会社を経営するにあたって、どの会社も資金不足に悩むものです。
資金不足に悩んだら、金融機関に相談して融資を受けたいと思うのですが、融資を受けられない会社もあるでしょう。
そのような時、多くの経営者は専門家に相談することを考え、税理士に書類作成を依頼するのですが、それでも金融機関に断られてしまうことが多々あります。
また、税理士や社労士に、助成金や補助金での資金調達を希望して相談した際にも、同様の場合があります。
これは、税理士や社労士の活かし方を知らなかったからです。
活かし方を知っていれば、これらの専門家は資金調達に役立つ存在です。
そこで本稿では、税理士や社労士といった専門家を、資金調達に活かす方法を解説していきます。
税理士は資金調達の専門家ではない
本稿をお読みの方の中には、金融機関からの資金調達にあたり、税理士に依頼して書類を作成したにもかかわらず、融資を受けることができなかった経験のある経営者もいるかもしれません。
税理士を頼って資金調達をした際、うまくいかないケースは意外なほどに多いのです。
なぜ専門家である税理士に依頼したのにうまくいかなかったのかと疑問に思うでしょうが、それはそもそも、税理士に依頼すれば必ずうまくいくと考えていることに問題があります。
税理士は、あくまでも税金や会計の専門家であって、資金調達の専門家ではないのです。
税理士というと、節税対策を色々と教えてくれますし、資金繰りについてもアドバイスしてくれる存在です。
だからこそ、資金調達を含む会社の財務に関すること全般の専門家であると思ってしまうのでしょう。
しかしこれは、税金の専門家だからこそ、節税対策のノウハウをたくさん持っています。
会計の専門家だからこそ、会計処理や資金繰りのノウハウをたくさん持っているというだけのことです。
うまく節税することやうまく会計処理をすることと、銀行が好む書類をうまく作って融資を引き出すこととは異なります。

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会計の知識は必ずしも資金調達には活かせない例
例えば、税理士は会計処理の専門家ですから、融資を受けやすくするために、決算内容を黒字にすることは可能だと思います。
赤字の会社でも、資産を売却したり、生命保険を解約したりすることによって自己資金を増やし、黒字転換をすることは可能です。
確かに、銀行は赤字の会社には基本的に融資をしないため、黒字である必要があります。
しかし、黒字に転換したからといって、それは最低条件のようなもので、それだけで融資が受けられるとは限りません。
むしろ、もともと赤字の会社なのですから、営業利益や経常利益の項目を見れば、事業が不調であることは一目瞭然です。
銀行が重視するのは、「黒字であるか」ということではなく、「きちんと返済できるだけの、十分な利益を出しているか」ということなのですから、単に黒字転換しただけでは融資は受けられません。

このように、赤字の会社が税理士に相談をしたら、書類上で黒字にするためのテクニックを使うことになり、結局融資は受けられなかったというケースは、実際にあることなのです。
税理士は節税や資金繰りのプロであり、必ずしも資金調達のプロではありません。
したがって、税理士に相談したら、様々な対策によって劇的に資金繰りが改善したものの、資金調達に関してはあまり相談に乗ってくれないというケースもよく見られます。

税理士である以上、資金調達に関してある程度の知識は持っていると思います。
しかし、ある程度の知識ではなかなかうまくいかないのが資金調達です。
銀行は支店ごとに融資の姿勢が違いますし、人事異動の度に方針が変わることも多いような世界です。
ある程度の知識を持っているというのではなく、資金調達に精通している専門家でなければ、対応は難しいのです。
以上の通り、税理士が「銀行が喜ぶ決算書を作れる」と思い込むのは、大きな誤りです。
しかし、これはなにも、税理士の全てが資金調達を苦手とするということではありません。
最初から「税理士=資金調達のプロ」と考えるのではなく、「税理士≠資金調達のプロ」であり、「中には資金調達が得意な税理士もいる」と考えるのです。
そして、節税や会計の知識と同時に、資金調達の知識を持っている税理士を探すことが大切です。

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助成金に精通していない社労士もいる
助成金を活用して資金調達を図りたい経営者もいると思います。
最近の助成金は、雇用創出に関するものではなく、社員教育や労働環境整備に関するものへとシフトしつつあります。
社員教育や労働環境の整備といったことの専門家は、何と言っても社労士です。
助成金をもらうための手続きは煩雑で、書類作成は専門家の力がなければ難しいでしょう。
専門家の力を借りて手続きすれば、ほぼ問題なく交付を受けられるものも多いです。
しかし、申請代行のニーズはありますが、手続きが煩雑で社労士が敬遠することが多かったり、役所が助成制度の受け入れに消極的であったりすることから、ニーズが十分に満たされていない現実があります。
このため、社労士は助成金受給に必要となる専門的知識を備えているものの、助成金制度そのものに精通していないケースが多いようです。

面倒な作業ではありますが、厳しい審査があるわけではありませんし、マニュアルに沿った条件を整えさえすれば、受給できるものだからです。
開業したばかりの社労士が、助成金の申請代行をメインの業務とし、助成金申請代行を通して顧客を開拓していくケースもしばしばみられます。
しかし、このような社労士も、事業が軌道に乗ると助成金申請代行業務に消極的になります。
助成金は制度が多く、内容は毎年変更されるため、常に情報を把握しておかなければならないからです。
事業が軌道に乗れば、社労士としての様々な仕事を抱えることになります。
さらに、毎年変わる助成金制度の勉強もするとなると無理が生じるため、助成金の申請代行には消極的になるのです。
その結果、助成金に精通していない社労士も生まれることになります。
もちろん、助成金の申請代行は社労士の専門分野ですから、会社が相談すれば申請を代行してくれることもあると思います。
制度は毎年変わっていても、助成金の骨子となる考え方には精通していますし、役所との交渉の方法、書類の作り方、書類提出の流れやタイミングなどにもやはり精通しています。
しかし、それが助成金の申請代行に消極的な社労士であれば、助成金の申請代行に積極的な社労士に比べ、手間取ってしまう可能性があります。
そこで、助成金に積極的な社労士を探すのが、最も手っ取り早い方法になります。
社労士の探し方
助成金は制度の数が多いため、そのすべてに精通している社労士を探すのは難しいものです。
しかし、それぞれの助成金制度に特化している社労士は、探せば見つかるものです。
特に、特定の制度に特化している社労士は、その制度ならではのルールにも精通していますし、ノウハウも蓄積されていますから、その助成金のプロであると言ってよいでしょう。
そのような社労士を探すためには、社労士の横のつながり、ネットワークを利用するのが良いでしょう。
社労士の仕事は業務の範囲が広く、自分がこなせない仕事を他の社労士に紹介するという慣習があるため、社労士のネットワークは非常に強いのです。
したがって、顧問先から助成金の相談を受けた社労士は、それが自身の専門でないならば、その助成金を専門とする他の社労士を紹介することになります。
助成金に精通している社労士は多くはありませんが、ネットワーク内には精通している社労士がいるでしょうから、紹介を受けて申請を代行してもらえば、助成金を受給することは難しくないのです。
したがって、資金調達のために助成金の相談をしたときに、芳しくない反応が返ってきたら、「資金調達に強い社労士を紹介してほしい」とお願いしてみましょう。
それもしてくれないならば、その社労士は信頼に足る社労士とは言えません。

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資金調達に詳しい専門家はこう見抜く
以上の通り、節税や会計の専門家である税理士や、労務の専門家である社労士が、必ずしも資金調達の専門家というわけではありません。
そのような税理士や社労士を資金調達の頼みとしてしまうと、資金調達が遅れ、自己資金を無駄に消費することとなり、会社の足を引っ張られることとなってしまいます。
したがって、税理士や社労士に、銀行融資や助成金・補助金などによる資金調達を相談する際には、以下の質問をしてみるのが良いでしょう。
Q1 、これまで銀行融資・助成金・補助金などによる資金調達を、どれだけ成功させてきたか?
資金調達をうまくできる専門家は、経験が豊富でノウハウも蓄積されているものです。
助成金や補助金などは、制度によって手続きや書類が異なりますが、申請代行を繰り返している専門家ならば、どの制度にも共通する段取りや書類のポイント、提出のタイミングや役所交渉などに精通するものです。

銀行融資での資金調達のためには次の通り能力が求められます。
- 銀行が好む事業計画書と資金繰り表を作れる
- 会社をアピールするための効果的な方法を考えられる
- 融資の必要性を効果的に説明できる
- 会社に最適な金融機関を選ぶことができる
- 金融機関ごとの付き合い方をよく理解している
これについても、経験がモノを言います。
経験によるノウハウがなければ、融資を引き出すことは困難です。
例えば、事業計画書や資金繰り表というものは、実際に作成して、融資に通ったり、通らなかったりすることを繰り返すうちに、次第に銀行が好むツボを押さえるようになっていくのです。
面談で聞かれることや好ましい答えなども、経験がなければアドバイスすることはできません。
これらのことから、経験と実績の有無によって、資金調達の専門家であるかどうかを判断できることが分かります。
Q2、認定支援機関の認定を受けているか?
認定支援機関とは、「税務、金融及び企業財務に関する専門的知識や支援に係る実務経験が一定レベル以上の個人、法人、中小企業支援機関」に対して、国が認定するものであり、公的な支援機関だと言えます。
経営革新を目指す中小企業の支援をしている機関であり、財務内容の分析、経営状況の分析、経営の改善のため相談などを受けており、それらに対して専門的な支援を行なうことを目的としています。
認定支援機関になるためには、社労士ならば一定の経験が求められますが、税理士の場合はそれが不要です。
申請書類を書いて提出すればすぐに認定支援機関になることができます。
資金調達のために補助金を受けるならば、認定支援機関のサポートを受けることが要件になっていることも多いため、資金調達の専門家ならば認定支援機関になっていることは当然であると言ってよいでしょう。

そのような社労士・税理士に依頼してしまわないためにも、認定支援機関の認定を受けているかどうかということは、きちんと聞いておくようにしましょう。
Q3、助成金情報を毎年4月に案内してくれるか
助成金の申請期間は、4~10月となっていることが多いのですが、助成金は予算の範囲内で交付されますから、まだ申請期間中でも、予算がなくなれば打ち切られることがあります。
つまり、助成金は早い者勝ちだということです。
助成金は、条件を満たしていればほぼ受給できるものですが、事前の準備には時間がかかるものです。
したがって、申請期間がまだあるから大丈夫だと思って準備を進めていると、打ち切られてしまって申請できないということになりかねません。
だからこそ、できるだけ早く準備を進めることが重要となります。
しかし、その年度の助成金一覧は、5月下旬辺りにならなければ発表されません。
予算が決まるのが年度末ギリギリの3月であり、その後調整が行われた結果、公式発表がやや遅れるのです。
それでも予算は使いきる必要がありますから、来年度はどのような助成金が募集される予定であるか、3~4月に仮発表が行われます。
資金調達の専門家であれば、この時点で情報を掴み、顧客に案内していくことができます。
したがって、4月に案内してくれる専門家ならば安心して依頼することができ、そうでなければ助成金の受給には不安が残ると考える必要があります。
以上のような質問をしてみて問題がなければ、それは本当に資金調達に強い専門家だと考えることができます。

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まとめ
税理士や社労士は、依頼すれば資金調達にも役立ってくれる専門家だというイメージがありますが、必ずしもそうではありません。
基本的に、税理士は節税や会計の専門家であり、社労士は労務の専門家であって、資金調達の専門家ではありません。
しかし、なかには資金調達を専門としている税理士・社労士がいるのも事実です。
会社が資金調達を円滑に進めていくためにも、そのような専門家とつながり、必要に応じてサポートを受けられるようにしておくことが大切なのです。