会社が資金を調達するための方法には色々ありますが、調達方法は借入ばかりではありません。
そのほかにも出資という方法があります。
もしベンチャーキャピタルからの出資を受けられれば、数千万円、数億円という返済不要のお金を一気に集められるかもしれません。
本稿では、ベンチャーキャピタルから出資を受けるため、ベンチャーキャピタルとの出会い方や事業計画の考え方などを解説していきます。
ベンチャーキャピタルとは?
ベンチャーキャピタルとは、有望な会社に出資することで、将来的にその会社が上場できるように資金面でサポートしてくれる組織です。
上場した暁には株価の値上がりによって、利益を上げることを目的としている組織の事を指します。
日本におけるベンチャーキャピタルは、1963年に中小企業投資育成株式会社法に基づいて、中小企業投資育成会社が設立されたことが始まりです。
当初は政府系の会社しかなかったのですが、その後は漸次民間のベンチャーキャピタルも増えていき、徐々にベンチャーキャピタルという存在が浸透していきました。
出資を目的とされて設立された独立系のベンチャーキャピタルだけではなく、銀行系のベンチャーキャピタルも増えていき、現在では50社以上のベンチャーキャピタルがあります。

ならば、ベンチャーキャピタルが出資するための資金はどこから捻出しているのでしょうか。
これは、たくさんの投資家から集めた資金が原資となっています(中には、原資を融資に頼るベンチャーキャピタルもあります)。
ベンチャーキャピタルは、投資家から集めた資金を企業に投資し、それによって得られた利益を投資家に分配します。
投資家の集合体
このことから、ベンチャーキャピタルは投資家の集合体だとも言えます。
個人投資家は、ベンチャー企業などに投資しようにも、ベンチャー企業の資金需要を満たすだけの資金を持っていません。
ベンチャー企業の資金需要は、数千万円や数億円という単位ですから、個人投資家では賄うことが難しいのです。
また、それだけの資金力がある個人でも、どの企業に投資すれば利益が得られるのかを判断することも難しいものです。
だからこそ、ベンチャーキャピタルに資金を提供し、ベンチャー企業への投資を間接的に行う流れができているのです。
このベンチャー企業が株式を上場すれば、出資した時よりも株価は大幅に値上がりします。
大きな利益を獲得でき、それを分配することで個人投資家も利益を得ることができます。

ベンチャーキャピタルは株式上場によって利益を得ることができ、個人投資家は運用益の分配によって利益を得ることができる仕組みであることが分かります。
今や、ベンチャー企業育成の観点からも、個人投資家の資産運用の観点からも、ベンチャーキャピタルは欠かせない存在となっています。
もちろん、ベンチャーキャピタルが出資の際に判断を誤り、出資した企業が倒産したり、いつまでも上場できなかったとすれば、ベンチャーキャピタルも個人投資家も損失を被ることになります。
このため、ベンチャーキャピタルの出資判断は非常にシビアです。
資金を調達したい企業にとっては、ベンチャーキャピタルからの支援を得られれば、返済不要の資金を一気に調達することができます。
しかし、出資を受けるためのハードルは非常に高いのも事実です。
だからこそ、会社が資金を必要とした場合には、ベンチャーキャピタルからの出資を仰ぐのではなく、銀行などの金融機関からの融資を受けるケースが圧倒的に多いのです。
しかし、革新的な技術やサービスなどによって上場を目指している会社ならば、ベンチャーキャピタルからの出資を受けられる可能性もあります。
その場合には、検討してみる価値があるといえるでしょう。

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ベンチャーキャピタルの種類
ベンチャーキャピタルは、上記の通り日本国内には50社以上あります。
これらのベンチャーキャピタルを大きく分けると、
- 政府系
- 銀行系
- 証券会社系
- 事業系
- 独立系
の5種類に分けられます。
それぞれの系統によって、性質が異なります。
政府系は日本経済の発展に寄与できる会社であることを重視します。
銀行系は安定性を重視し、事業系や独立系は意欲的・積極的である事を重視するのです。
証券会社系はその中間といった塩梅です。
ベンチャーキャピタル全体を大きく二つに分けると、クラシック系とマーチャント系の2種類に分けることができるよ!
クラシック系とは、ベンチャー企業に対して資金的な援助をするほか、積極的にアドバイスをしながら上場を目指します。
経営者からすると、経営に干渉されていると感じることも多いです。
マーチャント系では、出資によって資金的な援助はするものの、それ以降はあまり干渉しないのが特徴です。
経営者は、かなり自由に経営を続けることができます。
このことから、ベンチャーキャピタルから出資を受ける際には、経営者の素質や性格も大きく関係してくると言えます。
経営手腕が乏しく、干渉もやむなしと考える経営者は、クラシック系のベンチャーキャピタルから出資を受けましょう。
アドバイスをもらいながら経営するのが良いです。
経営手腕があるので、我流で経営していきたいと考えている経営者の場合「ただ資金が足りないだけの会社」ならば、マーチャント系で出資を受けるのが良いでしょう。
もっとも最近は、マーチャント系のベンチャーキャピタルが多くなっています。
というのも、ベンチャー企業が少なかった昔と比べると、最近は起業に燃える若者も増えております。
ベンチャーキャピタルの出番も多くなり、それぞれの会社に対して十分な経営アドバイスをするだけの余裕がなくなっているからです。

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出資を募るにはどうするか?
出資は融資とは異なり、返済しなくてよい資金です。
したがって、マーチャント系のベンチャーキャピタルから出資を受ければ、資金需要は解消され、経営に口出しされることもありません。
このような資金は、喉から手が出るほど欲しいと感じることでしょう。
しかし、出資を募るのは簡単なことではありません。
ベンチャーキャピタルから出資を受けたいと思っても、そもそもベンチャーキャピタルと知り合う機会などないのが普通だからです。
ベンチャーキャピタルから出資を受けるに足る、優れた技術やサービスを持っており、しかも素晴らしい事業計画があったとしても、ベンチャーキャピタルと知り合うことができなければ、出資を受けることは不可能です。
そこで、まずはベンチャーキャピタルと出会う方法を知っておく必要があります。
ベンチャーキャピタルと知り合うためには、以下のような方法が考えられます。
知人からの紹介を受ける
付き合いのある経営者が、キャピタリスト(ベンチャーキャピタルの中の人)と知り合いだという場合には、紹介してもらうのが最も簡単な方法です。
特に、その経営者の会社が、かつてベンチャーキャピタルから出資を受けていたなどの場合には、紹介を受けることでベンチャーキャピタルの信頼は増します。
公的機関に応募する

これは、雇用活性化や働き方改革のための助成金とは異なり、素晴らしいアイデアや技術があるにもかかわらず、資金がないために取り組めない事業を補助するための資金です。
補助金を出すのは政府や地方公共団体、学術機関などであり、公募によって決められます。
この公募に申し込むというのも一つの方法です。公募に応募し、補助金の支給を受けられれば万々歳です。
とはいえ補助金の倍率は高いため、落選する可能性も大いにあります。
しかし、各応募の内容にはベンチャーキャピタルも注目しており、将来大化けする会社への出資の機会をうかがっています。
残念ながら落選してしまった場合にも、ベンチャーキャピタルとしては将来性を感じ、「ぜひ出資したい」と考える場合もあります。
補助金を受けられた場合には、「ぜひうちからも出資したい」という接触が考えられます。
落選した場合にも接触の可能性がありますから、補助金に応募するというのも良い方法だと言えます。
帝国データバンクに情報を提供する
帝国データバンクを始めとした企業情報データベースを持っている会社は、ベンチャーキャピタルにもデータを提供しています。
投資先を探しているベンチャーキャピタルがデータを見れば、それをきっかけに出資につながることもあります。
出資を必要としておくならば、とりあえず帝国データバンクなどに情報を公開しておいて損はないでしょう。

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事業計画が重要な理由
ベンチャーキャピタルから出資を募るにあたっては、こちらから出資してほしいと頼むのではなく、ベンチャーキャピタル側から出資したいと提案してもらう必要があります。
そもそも、ベンチャーキャピタルは有望だと感じない事業に対しては、どれほどお願いしたところで出資してくれることはありません。
ベンチャーキャピタルが出資したいと提案するほどに魅力を感じなければ、出資はありえないのです。
そのように感じさせるために重要となるのが事業計画です。
しかし、これは起業に対する情熱だけでは成り立つものではありません。
情熱は確かに重要ですが、それに傾きすぎると会社側の主観からのみの意見になってしまい、ベンチャーキャピタルを納得させられないからです。
ベンチャーキャピタルを納得させる事業計画を作るためには、次の要素が重要です。
- 参入しようとしている市場に成長性はあるか
- 会社に成長性はあるか
- 顧客層はどうであるか
- 経営者の人格はどうであるか
このことから、客観的なデータがなければならないことが分かるでしょう。
具体的には、以下のようなことを踏まえた事業計画が重要となります。
市場の成長性

なぜならば、出資を受けるに足る事業というのは、将来性のある事業であり、成熟して成長に乏しい市場への参入には将来性を感じられないからです。
若く柔軟性がある市場でなければ、新規に参入して事業を展開していくことは難しいのです。
とはいえ、あまりにも新しく、市場規模が小さすぎれば問題となります。
市場が成長するには時間がかかります。
小さな市場で新たに事業を展開していくと、いくら将来性があっても、ベンチャーキャピタルが目指す株式上場までに時間がかかりすぎるからです。
したがって、市場が成熟しきっておらず成長性があること、さらに十分な利益を上げて事業を拡大していけるだけの市場規模があることを、事業計画で説明する必要があります。
会社の成長性
会社が成長しなければ、その株式を上場させ、ベンチャーキャピタルが利益を得ることはできません。
会社に成長性があり、さらにできるだけ早く上場できるだけの成長力を持っていることが分かれば、ベンチャーキャピタルが出資したいと考えることができます。
顧客層
その事業によって技術やサービスを提供するにあたって、どのような層が顧客になるかをあきらかにすることは、事業計画で非常に重要なところです。

顧客像が明確になっていれば、事業展開の方針や商品開発の方針なども明らかとなるからです。
ベンチャーキャピタルは、その事業のプロではなく、投資のプロです。
したがって、ベンチャーキャピタルに理解してもらう意味でも、顧客像を明確にし、顧客層について詳しく説明できればプラスになります。
経営者の人格
非常に漠然とした要素ですが、経営者の人格は確実に影響します。
例えば、市場の成長性も、会社の成長性も、顧客層も魅力的であるにもかかわらず、経営者の人格に問題があるならば、出資する意欲がなくなってしまうからです。
もちろん、経営者が聖人君子ということはありませんから、仁義礼智信に篤いという意味での人格ではありません。
- しっかりしている
- 真面目である
- 誠実だ
- 勉強熱心だ
- 情熱がある
- 行動力がある
- 部下に信頼されている
など、そういう要素が重要となるのです。

それがなぜであるかを詳しく説明することはできなくとも、歴史上、人格的に欠如しているトップが指揮したことで、組織が崩壊した例は枚挙にいとまがありません。
ベンチャーキャピタルでも、多くの会社に出資してきた経験から、感覚的にそのことを知っているのです。
したがって、事業計画の説明を通して、経営者が人格的に問題ありと思われないことも重要です。
しかし、これに関しては経営者本人の日頃の修養に依るところが大きいでしょう。
いざ出資を打診する段階になって人格を高めようとしても、大して効果はありません。

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まとめ
ベンチャーキャピタルからの出資を受けることは、普通ならばあまり縁のないことであり、多くの会社にとっては利用しにくいことです。
しかし、いずれは株式上場を目指しており、それを目指せるだけの技術、商品、サービスなどを持っている会社ならば、本校の方法によってベンチャーキャピタルと縁を持つことで、出資を受けられるかもしれません。
そのような会社ならば、一度検討してみると良いでしょう。