政府の目標もむなしく出生数は過去最少へ。今後の経営への影響を占う

先日、厚生労働省が2018年の出生率・出生数について発表し、出生率は3年連続低下、出生数は過去最低になったことが分かりました。

政府はこの事態を深刻に受け止めており、安倍首相に至っては少子高齢化問題を「国難」と位置付けているほどです。

当然、この問題には様々な形で取り組んでいくでしょうし、経営への影響も避けられないでしょう。

本稿では、少子化問題の現状を踏まえて、今後の影響や助成金の重要性について解説していきます。

出生数、過去最小へ

6月7日、厚生労働省により、2018年の合計特殊出生率が1.42になったことが発表されました。

合計特殊出生率とは、一人の女性が生涯(出産可能とされる15歳から49歳まで)で産む子供の数の平均を示す指標です。

この指標によって、様々な時代、様々な集団間での出産の状況を知ることができ、人口の自然増減がどうなっているかを知るためにも重要な指標となります。

過去最低の合計特殊出生率は2005年の1.26であり、その後増減をくり返しながらやや持ち直しているのですが、2016年から3年連続で低下し、2018年の1.42という数値に至っています

2018年の合計特殊出生率は過去最低ではないとはいえ、出生数でみると2018年の出生数は91万8397人で過去最低となっています。

2017年比みると、合計特殊出生率は0.01ポイントの減少、出生数は2万7668人の減少です。

これを見れば、合計特殊出生率を大幅に引き上げることができなければ、出生数ベースで減少を続けることが分かるよ!

出産・育児にあたる世代の女性が減少を続けているため、合計特殊出生率がやや上向いたところで、出生数は減少することになるのです。

出生数は、将来の経済を支える人の数でもあります。

出生数は公的年金や社会保障の前提となるものですから、この状況が続けば国家の運営にも大きな支障をきたすことは間違いないでしょう。

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まさに国難

政府は、出生率の目標を1.8として掲げていますが、上記の通り、合計特殊出生率は3年連続で低下していますから、この目標はまだまだ遠いと言えるでしょう。

また、この低下は織り込み済みというわけではなく、むしろ想定外の低下です。

2018年の出生数は、人口動態を将来にわたって予測している国立社会保障・人口問題研究所の将来推計を1万人近く下回っているのです。

安倍首相は、このように難航する少子高齢化問題を「国難」として位置づけています。

今後、より力強い取り組みが実施される可能性も高いです。

問題解決のためには、社会の構造・雇用や労働のあり方を変えていく必要があるため、出生率・出生数の低下は今後の企業経営にも様々な影響を与えると考えられます

この問題を解決するためには、大々的な取り組みが必要かもね。経営への影響も考えておかなきゃ。

出生数の低下の原因は?

出生数が低下せざるを得ないことをよく表しているデータがあります。

それは、平均初婚年齢や第一子出産年齢が高い水準で推移していることです。

平均初婚年齢や第一子出産年齢が高くなれば、二人目・三人目と産むことが難しくなり、出生率・出生数の低下につながります。

しかし、これは若い人々が結婚や出産を敬遠しているわけでもなく、むしろ望んでいる若者も多いです。

それをさせない社会の現状があり、これが出生率・出生数の低下を招いていると言えます。

その原因を作っている社会の状況には色々ありますが、代表的なものを挙げると、

  • 共働き世帯の増加
  • 女性の活躍の推進
  • 保育サービスの不足
  • 長時間労働
  • 再チャレンジが難しい環境

などが挙げられます。

これらを一言でまとめると、現在の日本社会は「出産しにくい社会」であると言えます。

中でも、特に大きな原因と考えられるのは、共働き世帯の増加です。

この問題を詳しく見ていくと、政府の現在の取り組みの真意や、今後の取り組みの方向性も見えてきます。

企業経営や助成金活用にも影響する要素ですから、経営者はしっかり把握しておく必要があります。

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共働き世帯増加の理由

現在、共働きの夫婦は非常に増えており、2018年の共働き世帯は1200万世帯を超えました。

これが、出生率・出生数の低下の大きな原因となっています。

共働き世帯の増加の理由は、価値観の変化・経済的な困難・政府の取り組みの三つの理由が挙げられます。

それぞれが個別に作用しているというよりは、複雑に絡み合って共働き世帯が急増しています。

 

まず、価値観の変化ですが、最近は自主性に富む女性が多く、家庭に入って落ち着くよりもバリバリと働くことを望む女性が増えています

もちろん、専業主婦を望む女性もいると思いますが、経済的な理由からそれができない場合も多いです。

夫の収入だけでは経済的に苦しい、あるいは将来の設計が成り立ちにくい世帯では共働きをする必要があり、女性の社会進出が加速していることによって、すんなりと共働きに踏み切る世帯が増えているのです。

 

また、労働人口が減少している日本では、経済成長の維持・増進のために、より多くの人が働ける社会を目指しています

従来は労働力になりにくかった高年齢者や女性が働くようになれば、労働人口は増え、経済成長にもつながります。

政府が女性の活躍を推進しているのもこのためです。これも、共働き世帯の増加に大きく影響しています。

今後も共働き世帯は増えていくだろうし、それが普通になるはずだ。

社会のシステムが古い

以上のように、様々な理由によって共働き世帯が増加しており、「夫婦共働き」という感覚は、若い世代ではもはや常識になっています。

実際、妻に専業主婦であることを望む未婚の男性は1割程度にまで減っています。

しかし、社会の中心を担っているのは、若い世代ではなく中高年世代です。

経験を積んだベテラン層は経済の中心であり、会社組織の中核をなすのもこのベテラン層です。

また、増加する高年齢者層が選挙で影響力を持ち、政治を動かす力となっています。

これにより、「夫が働いて家族を養い、妻は家を守る」という昭和の価値観・雰囲気が、政治・経済・社会・会社など、あらゆる場所で幅を利かせています

 

もちろん、古い価値観として認識されているものの、新しい価値観・若い世代の実態に合わせて社会のシステムを作っていこうとする動きは弱いです。

昭和モデルのシステムが刷新されない以上、共働き世帯の不自由さはなくなりません。

保育サービスが不足し、待機児童問題が取りざたされたことなどが良い例です。

 

保育サービスの不足という一事を以てしても、出生率・出生数低下の原因がよくわかります。

保育サービスを受けられなければ、共働きは困難です。

共働きが困難であれば、夫の収入だけでは不十分な多くの世帯で、出産を先延ばしせざるを得なくなります

このように、若い世代の実態と社会のシステムがマッチしていないことが、出生率・出生数の低下を招いています。

共働き世帯が子供を産みやすくなるには、まだまだ時間がかかりそうだ。

経営や助成金制度への影響は?

この問題を解決するために、政府は今後、共働き世帯でも働きやすくなるように法律を整備していくと考えられます。

政府の働き方改革では、労働人口の低下を防ぐために女性の活躍を推進しています。

これは、両立支援等支援助成金で「女性活躍推進化コース」が設けられていることからもよく分かるでしょう。

このため、出生率・出生数の低下に対処するために、政府が女性の活躍推進の手を緩めるとは考えにくいです。

ではどうするかと言えば、女性の活躍は推進する、しかし出生率・出生数も回復させる、そのために共働き世帯が働きやすい環境の整備を会社に求める、という流れになる可能性が高いです。

具体的には、

  • 出産・育児に伴う休暇の取得促進
  • 出産・育児がキャリアにマイナスにならない仕組みづくりの促進
  • 保育への支援の促進

といった取り組みです。

このような取り組みは経営に色々な影響をもたらしますが、政府は今後これらの取り組みを加速させるかもしれません。

人材不足の会社にとっては負担が大きい流れになるね。

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育児休業付与の義務化?

場合によっては、有給休暇の付与が義務化されたり、時間外時間労働の上限規制が設けられたりする流れと同じように、育児休業の付与が義務化されるかもしれません。

それも、単に育児休業の取得を認めるだけではなく、

従業員から育児休業の申請があった場合、会社はこれを拒否してはならず、○ヶ月以上の育児休業を付与することを義務付ける。また、育児休業後には、待遇を引き下げることなく原職に復帰させなければならない

というように、厳格な形で義務化される可能性もあります。

現在でも、育児介護休業法では、子供が満1歳になるまで育児休業を取得することが認められています。

しかし、育児休業を取得した従業員への処遇について何ら決まりはなく、育児休業を取得したことでキャリアに傷がつくこともあります。

このため、育児休業を取得しにくい職場風土も根強いです。

そのような状況を改善するためにも、育児休業の取得を義務化しようとする動きもあります。

これは、自民党の一部の人によって進められているもので、男性の育児休業取得を義務化しようとする動きです。

 

育児介護休業法では男女ともに育児休業の取得が認められていますが、男性従業員が育児休業を取得しても何の問題もない、という会社は非常に少なく、育児休業を取得したくても取得できない男性もたくさんいます

実際のところ、育児休業を取得しているのは女性だけで、それが不当な評価につながることもあるため、平等を期するために、女性の育児休業を義務化すると同時に、男性の育児休業を義務化しようとしているのです。

育児休業の義務化が実現すれば、企業は育児休業を認めざるを得なくなるため、男女ともに育児休業を取得しやすくなり、少子化対策にも効果があるかもしれません。

しかし、育児休業を義務化することで世帯の収入が減少したり、仕事の機会を失ったりすることにもつながりかねない、という反対も多いです。

なんでもかんでも義務化する流れになっている気がする。うまく対応できない企業は苦しくなる一方だぞ。

助成金制度への変化に注目

以上のような理由から、長期的に見れば育児休業の取得が義務化・厳格化される可能性もあるものの、近い将来にそうなる心配はなさそうです。

女性の育児休業を義務化しようとすれば、「男性の育児休業も義務化しなければ不平等だ」と反対する勢力もあり、男性の育児休業を義務化しようとすれば「それはまずい」と反対する勢力もあり、意見をまとめるのは難しいと思います。

したがって、政府は企業の自主的な取り組みを促すために、助成金による支援に取り組むと考えられます。

すでに厚生労働省は、両立支援等支援助成金で

  • 出生時両立支援コース
  • 育児休業等支援コース
  • 事業所内保育施設コース

などを実施しており、共働き世帯が出産・育児に積極的になれるように取り組んだ会社に、助成金を支給しています。

今後もこのような助成金は継続される可能性が高く、企業の取り組みをさらに促すために新たな助成金が新設されたり、既存の制度に変更が加えられることも考えられます。

例えば、

  • 助成金の支給額が増える
  • 受給要件の育児休業取得期間が長くなる

といった変更です。

政府は、少子化対策のために出生率・出生数を高めなければならない、しかし労働人口確保のために女性の活躍も推進しなければならないという、非常に難しい問題に取り組んでいます。

結果的に会社の負担が増大する方向へと、政府が舵を切る可能性も考えておかねばなりません。

それに伴って、政府は助成金などによって支援を実施するのが通例ですから、今後の助成金制度の動向にも注目し、政府の方針・社会の変化に対応していく必要があります。

政府にとっても会社にとっても、今後ますます難しい時代になっていく。助成金の重要性は高まっていくだろう!

※少子化社会で活用すべき両立支援等支援助成金について、詳しくはこちら

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まとめ

出生率・出生数の低下により、日本の少子化問題はどんどん深刻になっています。

政府は、今回の結果に伴う、少子化対策のために具体的な方針を打ち出していませんが、企業経営に影響を与える政策が打ち出される可能性は高いです。

この時、助成金制度も何かしら変化すると考えられるため、助成金をしっかり活用しながら、変化に対応していくように心がけましょう。

当サイトでは、時事に照らした助成金の活用についてもまとめていきますので、ぜひ参考にしていただければと思います。

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