銀行口座の使い分けで万が一のリスクを軽減しよう

通常、経営者ではない個人が銀行口座を使う際には、用途別に口座を使い分けるとしても、個人口座の使い分けでしかありません。

しかし、経営者の場合となると、経営者と個人は一体とみなされるため、個人口座とはいえ注意が必要です。

また、売掛金の入金口座、借入金の引き落とし口座、手形の引き落とし口座など、法人口座の使い分けも考える必要があります。

会社の規模がごく小さいうちは、入出金の把握を簡単にするべく、一つの口座に全ての取引をまとめても良いのですが、万が一の事態に備えるためにも、口座の使い分けを考える必要があります。

本稿では、経営者としての個人口座や、法人口座の使い分けについて解説していきます。

個人口座は個人情報の宝庫である

経営者も経営を離れれば個人ですから、どこかの銀行に個人口座を持つものです。

主に経営を離れた立場で用いる個人口座だからこそ、その開設先についてはそれほど考えていないことも多いようです。

そして、法人として融資を受けている銀行に対し、取引を深めるという目的もあり、個人口座を作ってしまう経営者がたくさんいます。

しかし、いくら個人口座といえども、開設先にはいくらかの配慮が必要です。

なぜならば、中小企業においては、基本的に会社と経営者個人は一体とみなされるためです。

借入先の銀行に個人口座を作った場合、その個人口座におけるお金の動きは全て銀行に把握されることになります。

法人口座ではなく個人口座なのだから、あまり問題はないだろうと考える経営者は多いのですが、実際には大いに問題ありと言えます。

また、現代は個人情報について神経質な時代ですから、個人口座を監視されていること自体知らない人もいるでしょう。

中には、コンプライアンスに厳しい銀行がそのようなことはしないだろうと考えている人もいます。

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しかし、経営者の個人口座は実際にチェックされているのよ!

というよりも、銀行はあらゆる個人の口座をチェックしていると考えるべきです。

コンプライアンスに厳しい時代だからチェックが行われないのではなく、銀行の帯びている公的使命から、コンプライアンス云々以上に重要な目的のためにチェックしています。

すなわち、テロ資金や犯罪関連の資金について、銀行はチェックする使命を持っているのです。

また、的確な収税のためにも、銀行口座の中身はチェックされていると考えるべきです。

マイナンバー制度の施行以降は特にそうだといえますし、マイナンバー以前でもチェックされていたほどです。

このような、犯罪予防や収税といった公的な目的があればこそ、銀行は個人口座をチェックしています。

その情報を、銀行が良くない目的で流用したとか、個人情報が漏れてしまったとかであれば、コンプライアンス的に問題とされることは間違いないことでしょう。

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しかし、公的目的も含めた個人口座のチェックは何ら問題のないことだ!むしろ必要なことだと言ええうだろう。

また、個人情報保護というものは、基本的に会社などが保有する情報を、その会社が責任を持って保護するというものです。

銀行という会社についても同じことで、銀行の業務のために個人情報をチェックすることは、個人情報保護違反とは考えないのが普通です。

ましてや銀行は、融資している会社に関する情報は、積極的に収集しているのです。

そのため、融資先の会社に関する情報のひとつとして、その経営者の個人口座をチェックすることは、ごく当たり前のことと言えます。

したがって銀行は、融資先である会社の経営者が持つ個人口座について、「振り込み・振込先・引き出し・引き落とし」などの情報を確実にチェックしています。

口座の履歴は、そのまま経営者の生活の記録とも言えるわけで、これをチェックすることによって、経営者の生活ぶりを把握することもできます。

 

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把握できるのは生活ぶりだけではないのだ!

例えば、その個人口座で保険料を引き落としているとすれば、その経営者が死亡した際にどれくらいの保険金を受け取るのかということも分かります。

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個人口座は借入のない銀行で

このように、経営者の個人口座は、銀行にとっては非常に便利な情報収集ツールになっているのです。

個人口座を通じて、個人情報を銀行に開放していると、どうなるでしょうか。

会社が融資を受けている銀行で個人口座も持っている場合、個人口座の情報が、会社と銀行の関係を悪化させる場合があります。

例えば、消費者金融から融資を受け、それが経営者の個人口座に入金されます。

そのお金が法人口座に振り込まれていたり、あるいは決算書に役員借入金としての記載がなされたりした場合、銀行は容易に「経営者が個人的に消費者金融から借り入れ、それを会社の運転資金に回した」ことを把握します。

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銀行は、ノンバンクからの借入があることを嫌うよ!

銀行などの金融機関から借りられないからこそ、ノンバンクから借り入れているのであり、その事実そのものが、経営が厳しいことを示す証拠となるからです。

この場合には、経営者が個人的に消費者金融から借り入れているにせよ、結局は会社がノンバンクから借りているのと同じ状況だと見なします。

これにより、会社の経営が好ましく無い状況にあることを把握すれば、銀行は融資を継続することに消極的になるでしょう。

危ない取引先として監視し、場合によっては回収に乗り出すこともあるかもしれません。

このようなことがあるため、経営者の個人口座は、借入のない銀行に開設しておくべきです。

銀行に個人情報を開放することは、問題を引き起こす可能性はあってもメリットはないのですから、そのようにしておくと安全です。

配偶者の口座にも注意

このほか、配偶者の個人口座にも注意が必要です。

銀行は、経営者の個人口座だけではなく、配偶者などの経営者と関係する人物の口座もチェックしています。

このため、配偶者の個人口座を借入銀行に作っている場合、それが好ましくない事態を引き起こす危険性があります。

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例えば、こんな話があるよ!

ある会社は、あまり経営がうまくいっておらず、銀行への返済も滞りがちになっていました。

銀行は貸しはがしを検討していたのですが、会社自体にも、経営者の個人口座にもとるべきものはありません。

銀行には、経営者の奥さんの個人口座も開設されていました。

もちろん、銀行が回収の対象にできるのは、会社と経営者個人の資産だけですから、奥さんの口座からの回収は不可能です。

しかし、奥さんの銀行口座には500万円の定期預金があり、銀行はこのことを把握していました。

そこで銀行は、経営者に対し、

現状、滞納がちになっていますから、継続での支援は厳しい状況です。しかし、奥様の口座預金から500万円入れていただいて、滞納分を解消していただければ、支援の検討も可能になります

ともちかけました。

経営者は、ともかく融資を受けなければ経営がまずい状況でしたから、銀行が貸しはがしを図っているとも知らずに、いわれるままに奥さんの個人口座から500万円を支払いました。

ところが、銀行が融資することはありませんでした。

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貸しはがしのためなのだから当然だ!

経営者に対しては、融資を出すべく稟議にも努めたものの、会社の経営状態が良くないため、本部がOKを出さなかったと説明しただけでした。

もし、奥さんの口座を借入のない銀行に開設していたならば、銀行がその口座の中身に目をつけることはなく、このようなことにはならなかったでしょう。

いずれ倒産に至り、会社や経営者個人の資産が差押えにあったとしても、夫婦別産制の日本においては、奥さんの口座で確保していたお金まで差し押さえられることはなく、生活再建に役立てることができます。

したがって、経営者の個人口座はもとより、配偶者の口座なども借入のない銀行の口座を用いるようにしましょう。

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入金口座をどうするか?

経営者の個人口座だけではなく、会社の法人口座も複数に分け、開設先にも配慮しておくことが大切です。

経営者の個人口座に関して、銀行がもれなくチェックしていることは上記の通りですが、個人口座さえチェックしている銀行ですから、法人口座も必ずチェックしています。

会社の口座をチェックし、お金の流れなどの情報を把握するのです。

会社が用いる法人口座のうち、頻繁に用いられる口座のひとつに入金口座があります。

法人が持っている色々な口座の中でも、銀行にとって特に重要な情報源になるため、入金口座は借入先の銀行に作ってはなりません。

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これは、入金口座の性質を考えると良くわかるわ。

入金口座とは、売掛金などを入金してもらうための口座です。

このため、入金口座をチェックされるということは、会社が取引している取引先や、それぞれの取引先の入金状況までチェックされるということでもあります。

銀行が入金口座をチェックし、入金を受けている取引先の情報をチェックしてリストを作ればどうでしょうか

そのリストはすなわち「融資先の会社が、継続的な掛け取引により、売掛金を持っている可能性が高い会社のリスト」つまり「差押えできる可能性が高い売掛金のリスト」になるとも言えます。

融資先の会社に危険な兆候が見られた場合、その銀行に入金口座を開設しているならば、銀行は売掛金リストを作ることでしょう。

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そして、差押えに動く際には、売掛金も確実に差し押さえてくるのだ。

つまり、融資を受けている銀行に入金口座まで作ってしまうということは、差押えられる売掛金のリストを提供しているとも言えます。

銀行は、融資などを通して付き合いが生じると、入金口座を自行で作って欲しいと依頼してくるものです。

それに応じることによって、融資を引き出しやすくなる場合もあり、銀行交渉のカードにもなり得ます。

この時、銀行は、入金口座として使ってもらえば手数料を取れることから、入金口座を作ってほしいと依頼しているとされます。

もちろん、それも大切な目的の一つなのですが、それと同時に、万が一返済困難になった場合の保全のためでもあるのです。

売掛金以外にも注意

入金口座に入金されるお金は、売掛金だけではありません。その会社が不動産賃貸業を営んでいる場合には、家賃の入金も反映されます。

銀行にとって家賃の入金情報は、売掛金の入金以上に使い勝手の良い情報になるものです。

掛け取引をする場合には、取引先との契約内容によって、売掛金の入金の期日が異なる場合があります。

期日を一律にしている場合には、月末などにまとまった売掛金が入金されることになりますが、実際には取引先の要望に応じて、入金の期日が異なる場合も多く、売掛金の入金は一定しないこともあります。

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しかし、家賃の入金は異なるよ!

不動産賃貸業においては、契約の際にオーナー側から「〇日までに家賃の支払いをお願いします」として契約するものです。

引き落としではなく振込とした場合、入居者によっては入金が前倒しになることもありますが、引き落としとして指定されていた場合、特定の日に家賃の支払いが行われます。

このため、前倒しで入金される家賃が一定数存在したとしても、ある程度まとまった入金が、引き落としにより特定の期日に入金されることとなります。

この時、入金口座では、特定の期日にまとまった家賃の入金が記録されます。

このため、入金口座の情報を把握している銀行では、「この会社は、毎月〇日にまとまった入金があるな。ならば、差押えに動くならば〇日がいい」と考えることができます。

このように、特定の期日にまとまった入金を受けている会社では、入金口座の情報から、差押えに動くべきタイミングを教えてしまうこととなります。

銀行から融資を受けて不動産賃貸業を始める場合には、家賃の入金口座を借入先銀行で開設することを要求されるものですが、その背景には上記のような理由があるのです。

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以上のことから、入金口座を開設するにあたっては、借入のない銀行の口座を使うべきだ!

さらに、将来的に銀行を開拓していくにあたり、開拓先の銀行に入金口座があるという状況を避けるために、将来的にも借入をしない銀行を指定するようにしましょう。

中小企業の場合、地銀や信金・信組などは、積極的に融資を検討すべきです。

しかし、メガバンクは大企業がメインの顧客であり、中小企業への融資には積極的ではありません。

このため、中小企業が入金口座として利用する銀行は、融資を受ける可能性が低い都銀などが良いでしょう。

都銀を入金口座にしておけば、会社がよほど大きくなった場合には別として、基本的には融資を受けることはないからです。

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返す必要のない、助成金で資金調達する方法もあります。

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手形の振り出し口座も別にしておく

会社の事業によっては、手形取引をしていることがあります。

建設業などでは、今も手形取引が行われることが多いです。

手形取引をするならば、手形の振り出し口座も、借入のない銀行に開設しておくことが重要です。

繰り返す通り、銀行はあらゆる口座から情報を収集しています。

もちろん、手形の振り出し口座についても、どのような手形取引を行っているかという情報や、手形を決済するための入金情報を把握しています。

経営がうまくいっているならば、このような情報が銀行に把握されたとしても、何ら問題はありません。

しかし、借入を行なっている銀行で手形を振り出しており、さらに期限の利益を喪失した場合には、大きな問題が生じます。

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期限の利益とは、特定の期日までは返済しなくてよい権利のことよ!

例えば、毎月25日に借入金を返済するならば、その期日までは返済しなくてよい権利をもっていることとなります。

また、契約通りに返済を履行した場合、5年で完済するという計画になっている場合には、5年をかけて返済する権利を持っており、前倒しでの返済を要求されることはありません。

しかし、銀行に対する背信行為(銀行へ嘘の報告を行った、滞納をしている上に連絡が取れなくなった、3ヶ月以上にわたって返済を行わなかったなど)を行うと、期限の利益を喪失することとなります。

期限の利益を喪失すると、銀行は返済計画に基づく期限の利益を認めなくても良いため、前倒しでの返済を求める、つまり早期の回収に乗り出すことが可能となります。

 

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法人口座が凍結されるのも、期限の利益を失った場合だ!

さて、期限の利益を失った会社が、借入先の銀行で手形を振り出していたならば、どのようなことが起こるでしょうか。

例えば、取引先に対して100万円の手形を振り出していたならば、その手形が決済されることはありません。

なぜならば、利益を喪失している場合、銀行は会社の口座を差し押さえることができるため、手形決済のために入金した100万円を、銀行が差し押さえてしまうからです。

このため、手形を決済したいと思っても、その銀行への返済が完了するまでは、いくらお金を振り込んでも手形が落ちることはなくなります。

つまり、手形が不渡りになってしまうのです。

手形の不渡りは、1回の不渡りだけでも重大な信用不安を引き起こします。

それから6ヶ月以内に2回目の不渡りを起こすと、会社は事実上の倒産状態となります。

日常的に手形取引をしている会社は、複数の手形を決済しなければならないものです。

借入先の銀行で手形を振り出しており、銀行の差押えによって手形が落ちない状態であれば、6ヶ月以内に2回目の不渡りを起こしてしまうと考えられます。

このように、手形の振り出し口座を借入先の銀行に作っている会社は、万が一の場合に、倒産を避けられなくなるのです。

CF ブルー
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もし、経営者個人の口座・会社の入金口座・手形の振り出し口座などを、借入のない銀行に作っていたらどうでだろうか。

その場合には、借入先銀行で期限を喪失した場合にも、借入ない銀行に確保しておいたお金や、入金されたお金によって、手形を決済することも可能です。

上記のように、手形の決済ができずに倒産に追い込まれるという事態を避けられますし、そのように延命しつつ、事業再生の可能性を探っていくことも可能です。

このため、手形の振り出し口座についても、借入のない銀行に開設しておくことが重要なのです。

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まとめ

借入先の銀行と付き合っていく中で、色々な口座を開設することを頼まれることがあるでしょう。

経営者の中には、銀行に情報を提供してしまうこと、万が一の場合に窮地に立たされるかもしれないことを考えず、口座の開設を了承してしまう人も多いです。

しかし、口座を通して銀行に情報を提供し、あるいは差押え可能な状況を作ってしまいます。

すると、経営が困難になったとき、必要以上に窮地に立たされたり、倒産に追い込まれたりしてしまう可能性があります。

したがって、経営者や配偶者の個人口座、法人の入金口座、手形の振り出し口座などは、借入のない銀行に作ることによって、リスクの軽減を図ることをお勧めします。

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