でんさいネットは、でんさいと呼ばれる電子記録債権をインターネットバンキングなどで利用できるシステムです。
売掛金を買い取ってもらうファクタリングと同様のことができる他、一度にたくさんの取引を行えるという意味の一括記録請求も、一括請求Assistがあれば可能です。
そもそもでんさいネットって何? どんなことができる?
企業間の取引の際以前は手形が使われることもありましたが、現在では現金が主流になっています。
手形を利用することによって支払企業にはメリットが多数ありましたが、納入企業にとってあまりメリットがないことが原因の一つです。
支払企業は手形を使えば支払期日を120日後などに設定することが可能なため、製品が売れてから売上金を使って支払ういわゆるツケ払いのようなことが可能です。
納入企業にしてみればすぐに現金が手に入らないだけでなく、手形を紛失したり盗難にあった場合には現金化ができません。
さらに、支払企業が倒産してしまえば、ただの紙切れになってしまうこともあります。
そのため、相手が信用できる企業でなければ手形での支払いを受け入れるのはリスクが高すぎます。
そもそも手形を利用したいという時点で資金繰りが危ういと考える場合もあるため、手形を利用しない企業が増えました。
このように手形にはデメリットも多かったため、手形の問題点を改善し利用しやすくするという目的で生まれたのがでんさいネットです。
でんさいの特徴
でんさいネットは電子記録債権を扱う全国銀行協会の子会社で、提供されているサービスの名称でもあります。
でんさいと呼ばれる手形のようなものをネットワーク上でやりとりして、企業間の取引をすることができます。

でんさいの特徴は全国銀行協会が提供しているため、全国の様々な金融機関で利用が可能なことです。
大手の銀行だけでなく地方銀行や信用金庫、商工中金、JAなど違う金融機関と取引を行っている企業ともやり取りができます。
また手形のように搬送の必要がないため、物理的な距離が離れている企業とのやり取りも簡単です。
でんさいネットを利用するためには、普段取引を行っている金融機関がでんさいネットのサービスに対応しているかどうかを確認しましょう。
でんさいネットへの登録方法
最初は金融機関で申し込みを行い、審査を経て登録をします。
利用者番号が発行され利用開始通知が届けば利用できるようになります。
利用者番号が9桁の英数字からなるもので、でんさいネットを利用する際に使います。
他の金融機関で別の契約を行う場合にも必要になるので、大切に保管しましょう。
でんさいの契約は複数することも可能で、金融機関ごとに別々の契約が必要になります。
取引相手と同じ金融機関である必要はないので、全ての取引を一つの契約で行っても、複数の契約を使い分けてもどちらでもかまいません。

もし今、資金繰りにお困りなら、こちらの窓口に相談されてみてはいかがでしょうか。
アクセルファクターについての関連記事はこちら
でんさいネットとファクタリングの関係
手形やでんさいなど、支払期日を決めて払う売掛金というものがあります。
現金払いの場合でも仕入れの都度に支払いをするのではなく、1ヶ月分まとめて月末に支払うということがよくあり、この時に未払いになっている部分が売掛金になります。
売掛金は通常問題なく支払いが行われ回収することが可能ですが、手形を利用する場合は支払期日が150日先になることもあり、期日より早く現金が必要になった場合に困ってしまいます。

ファクタリングとは
ファクタリングとはどのような意味なのでしょうか。
ファクタリングとは、売掛金の買取を行うサービスです。
ファクタリングを行っている会社から現金を受取り、支払期日に受け取る予定だった売掛金はファクタリング会社に支払われます。
期日前でも売掛金を現金化できることで、急にお金が必要になった場合にも融資を受けることなく対応できます。
融資とは違い担保を設定する必要がないため、融資を受けることが難しい企業には非常にメリットの多い方法です。
でんさいとの共通点
でんさいでもファクタリングと同じようなことが可能です。
でんさいの場合、譲渡や割引がそれにあたります。
譲渡というのは、支払期日前のでんさいを第三者に譲渡することで、手形でいう裏書手形のことです。
割引はファクタリングのように金融機関や割引を行っている企業に買い取ってもらうことです。
でんさいとの違い

ファクタリングや割引を行う場合、手数料がかかるため額面の全額を受け取ることはできません。
手数料は一般的にファクタリングの方が高くなっています。
またでんさいは分割が可能ですが、ファクタリングでは原則分割はできません。
例えばA社からB社に500万円の売掛金があり、B社がC社に300万円支払いたい場合、ファクタリングでは500万円の売掛金を一度現金化してから必要な分を支払うことになります。
一方でんさいでは500万円のうち300万円を分割してC社に譲渡することが可能です。
残りの200万円分を支払期日に受け取る場合であれば、かかるのは分割と譲渡に必要な事務手数料各数百円だけで済みます。

ファクタリングのメリット
一方でファクタリングの方が優れている点もあります。
でんさいを第三者に譲渡した場合、支払企業の都合で不渡りになってしまうと納入企業は譲渡先に対して支払いを行う必要があります。
ファクタリングの場合はファクタリング会社が買い取った売掛金が支払われなくても、請求が来ることはありません。
その分手数料が高めに設定されているわけです。
最近では金融機関がでんさいを買い取るでんさいファクタリングを行っている場合もあり、でんさいとファクタリング両方のメリットを享受することもできます。

もし貴社が、新型コロナウイルスで売上が低迷しているなら、この人達が救済してくれるゾ!
でんさいネットはインターネットバンキングで使える?
でんさいネットは金融機関を通じて申し込みや利用を行うシステムです。
そのためインターネットバンキングやファームバンキング、窓口など金融機関が用意した方法によって取引を行うことができます。
そのためインターネットバンキングを利用していない場合にもでんさいを利用することは可能ですが、インターネットを利用した方がよりでんさいネットのメリットを活かすことができます。
では実際にインターネットバンキングででんさいネットを利用する場合、どのような流れになるのでしょうか。
ネットバンキング利用の流れ
まず前提として、支払企業と納入企業の両者がでんさいネットを利用している必要があります。
片方がインターネットバンキング、もう片方は窓口というように、バラバラの利用方法でも問題ありません。

両者がでんさいネットの利用番号を所有していれば取引は可能です。
納入企業は事前にでんさいネットの利用者番号と口座情報を支払企業に知らせておきます。
これででんさいでの取引の準備は完了です。
最初の手続きは支払企業が行う必要があります。
手形でいう振り出しにあたる発生記録は、支払企業側が利用者番号や支払期日、金額、口座情報などを金融機関に送信します。
インターネットバンキングを利用している場合、この作業はパソコンを使って行うことができます。
金融機関はこの情報をでんさいネットのシステム上に記録します。
すると支払日にはでんさいネットから支払企業の取引金融機関に決済情報が送信されます。
金融機関は他行の場合であれば全銀システム、同行であれば行内システムを利用して発生記録の情報通りに送金を行います。

あらかじめでんさいネットやインターネットバンキングなどの利用登録を行ってある場合、この一連の流れを金融機関に行かずに全てインターネット上で済ませることが可能です。
そのためでんさいの特徴であるペーパーレスによるコストの削減はもちろん、手続きの手間も省くことができます。
インターネットバンキングを利用していなくても、この流れはほぼ同じです。
納入企業側がインターネットバンキングを利用していれば、でんさいで支払われたお金をさらに別の企業にでんさいで支払ったり、インターネットバンキングで振込をしたりとできます。
手形のように取り立て手続きが必要ないというメリットがさらに活用できます。

半年弱で50億円積み上げたOLTA、クラウドファクタリング「3兆円市場」目指してChatworkと連携するなど、この資金調達方法がすごい。

大手企業ともパートナー提携していて非常に安心よ♪
OLTAのサイトはこちらから→ https://www.olta.co.jp/
でんさいネットで行える一括記録請求とは
でんさいネットでは発生記録や譲渡記録、分割など様々な取引が可能です。
複数の取引先に対してでんさいでの決済を同時進行で進めている場合、同時にたくさんの手続きをすることもあります。
でんさいは従来の手形などと比べると事務手続きの手間は少ないですが、件数が増えれば当然大変になってきます。
このようにまとめて複数の手続きを行いたい場合には、一括記録請求を行うことができます。

次の手続きをまとめて行う事ができます。
- 支払いを行うための発生記録や
- 受け取ったでんさいを第三者に譲渡するための譲渡記録
- 分割譲渡記録
このように異なる手続きでもまとめて行うことができるのです。
手間を省くことができるのはもちろんですが、手続きを行うだけでなく現在進行中の手続きを照会する機能などもあるため、管理ツールを兼ねることもできます。
そのため一件一件手続きを行う場合に起こりがちな重複や抜けなどを防ぐこともできます。


そのため、まとまった金額のでんさいを複数に分割して譲渡するという使い方をすることもあります。
そのような場合も一括請求できるため便利です。
削除や予約取り消しなども可能なので、一通りの手続きが一括請求できるようになっています。
一括記録請求をするには
では、一括記録請求を行うにはどうすれば良いのでしょうか。
一括記録請求を行うためには、NTTデータフロンティアが提供している一括請求Assistを利用します。
一括請求Assistは別企業の提供する会計ソフトなどと連携しているため、でんさいの利用だけでなく会計作業や決算などの場面でも大きなメリットがあります。
金融機関によって一括請求Assistが利用できない場合もあります。

一括請求Assistは金融機関の提供するサービスと合わせて利用するため、ソフトは金融機関から無償で提供されます。
取引金融機関からライセンスキーを受け取る必要があるため、複数の金融機関ででんさいを利用している場合は、それぞれ申し出が必要です。
インストール後のファイル作成などの利用方法については、NTTデータフロンティアや各金融機関が提供するマニュアルなどで確認できます。
マニュアルはインターネット上でもPDFファイルなどの形で公開されているので、必要な時に自由に閲覧が可能です。

業界最大手の資金調達プロなら、10社のうち9社で資金繰りが改善しています。
資金調達プロに関する関連記事はこちら
でんさいネットで資金繰り改善?
現金での支払いが主流になっている現状で、手形による支払いを行うのは主に資金繰りの問題です。
手形の場合、支払期日を90日や120日先、場合によっては150日先などに設定することができます。
そのため支払企業にとっては、手元に現金がなくても商品の売上金を使って納入企業に支払いを行うことが可能になります。
現金での取引で同じことをする場合、金融機関から融資を受けて納入企業に支払いを行い、売上金で金融機関に返済を行います。

担保がなかったり信用が不十分で金融機関からの融資が難しい場合でも、手形は取引先が了承すれば利用できますし、期間が長い場合には利息の分でも差が出てきます。
しかし納入企業にとっては、手形での支払いを求める企業に対して資金繰りが危ういという印象を持つことも当然あります。
そのような事情で手形は敬遠されがちですが、でんさいを利用すれば両者にメリットがあるので資金繰りを改善させることができるかもしれません。

これは金融機関や割引業者に手形を買い取ってもらい、額面の金額から手数料を引いた現金が手に入る仕組みです。
手数料は6%程度のことが多く、額が多ければ多いほど損失は大きくなります。
それを避けるために未払いの手形をそのまま支払いに使うことがあります。
これを裏書手形といいますが、この方法が使えないことがあります。
例えば、自分の持っている手形が支払いに使いたい金額より大きい場合です。
手形は分割できないので、500万円なら500万円のまま譲渡することしかできません。
一方でんさいの場合、手形と同じように現金化することも譲渡することもできます。
でんさいファクタリングという金融機関がでんさいを買い取るシステムも利用できますし、裏書手形のように期日前でも支払いに使えます。

しかも回数や金額に制限がありません。
そのため500万円のでんさいを300万円と150万円と50万円に分割し、300万円はA社に、150万円はB社に譲渡し、50万円はそのまま期日まで所有するということも可能になります。
このような方法で支払期日前の状態でもある程度自由に使えるため、納入企業にとってのデメリットはほとんどなくなっています。
借り入れを行わなくても資金をうまく活用することができるので、でんさいの利用によって資金繰りがうまくいくようになる企業は多いはずです。