銀行員が会社の資産内容を分析するとき、最も安心して見られる科目は現預金だといいます。
現預金は最も流動性が高く、資金繰りに活用しやすく、また性質上粉飾がされにくいと考えられているため、他の科目の資産に比べて信頼できるのです。
しかし、銀行員が現預金に何の疑いも抱かないかというと、決してそうではありません。
現預金も実態価値を表していない場合があるからです。
本稿では、銀行員が現預金をどのように見るのかを解説していきます。
現預金とは?
会社の資産は、大きく分けて流動資産と固定資産に分けられます。これは、流動性があるかどうかによって分けられています。
さらに細かく分類すると、流動資産の中でも当座の支払いに充てられる、流動性の高い資産を当座資産とします。
現預金、売掛金、受取手形、有価証券を当座資産と考えます。

現預金とは現金と預金の総称よ!
会社の流動資産の中でも、最も信頼できる項目と考えられています。
売掛金や受取手形は数か月のうちに回収されますし、棚卸資産も数か月のうちに販売して売上債権になり、また数か月のうち回収されるからです。

最も流動性が高く、資金繰りの安定に寄与する資産として、高い信頼を寄せられるのだ!
とはいえ、銀行員が会社の資産内容を把握するにあたって、決算書の現預金の数字を額面通り受け取るかと言うと、そうではありません。
確かに、現預金は信頼性の高い資産ですし、経営や資金繰りに関して解説した書籍でも、現預金の数字が大きいほど融資交渉はスムーズになると書かれています。
しかし、中小企業においては、現預金の数字が信頼できないケースもしばしばあるのです。

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現預金が信頼できない理由とは?
現預金が信頼できないというのは、決算書の現預金として計上されている数字をそのまま受け取れない、あるいはその数字の価値があっても、本来現預金が持っている流動性が期待できないということです。
現金に小切手が計上されていることがある
まず、決算書に計上されている現金には、必ずしも現金だけが計上されているのではなく、小切手も計上されていることがあります。
小切手は、そのまま現金と同じように使えるものではありません。
法律上は、小切手の支払期日が到来していない場合でも、支払いを受けられるようになっていますが、実際にはそうはいきません。
普通に考えて、中小企業が取引先から小切手を受け取ったとき、「この日までは待ってほしい」と言われていれば、それを待たずに現金化できません。
また、そのような条件付きで振り出されることがほとんどです。
これにより、本来は最も流動性が高いはずの現金が、小切手であることによって、流動性が低い資産になってしまうのです。

もちろん、小切手の振出人が支払いできなければ、その小切手は不渡りとなるよ!
したがって、会社が計上している現金は、いつでもすぐに資金繰りに活用できるとは限らず、活用できるまでに一定の時間を要する、あるいは不渡りになって活用できない可能性があります。
会社によっては、不渡りになった小切手を、現金として計上している会社もあります。
このような場合には、当然ながら計上されている現金の額から、不渡りになった小切手の額を差し引いて、実態を把握する必要があります。

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預金は担保に入っていることがある
預金ならば、銀行に預けているものだからごまかしようもないし、信頼できるだろうと思うかもしれません。
しかし、銀行は預金についても、資金繰りに即時に活用できる資産として見ないことがあります。
なぜならば、預金担保として銀行に差し入れていることがあり、その場合には自由に引き出して資金繰りに充てることができないからです。
担保に入れており、資金繰りに活用できないのですから、少なくとも担保をはずすまでは、その預金はないものとして考える必要があります。

担保に入れている預金は、資産から差し引いて考えるよ!
この時、それと同額の借入金をないものとして考えるか、流動資産ではなく固定資産として考えます。
預金担保は隠せるか?
預金を担保に差し入れているのが、融資の申し入れを受けた銀行ばかりとは限りません。複数の銀行と取引しているならば、他行の担保に入れていることもあります。
銀行員は、預金の状態について把握するにあたり、現預金のうち預金はいくらであり、担保に入れている預金はいくらであるかを聞き取りによって把握します。
聞き取りだけで済むならば、聞かれなければ大丈夫ということです。
他行の定期預金が担保に入っていることを隠してもバレないだろうと考える人もいるでしょう。
しかし、バレる可能性は十分にあるため、それは避けるべきです。
預金の状態について銀行に聞かれ、どの銀行にどれくらいの預金があるかを話し、その預金の状態について照会されてしまえば、まず間違いなくバレてしまいます。

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現預金を粉飾してはいけない
現預金に限らず、すべてにおいて粉飾してはいけませんが、意図せずに粉飾してしまうこともあります。現預金の粉飾は、すぐにばれてしまうため特に注意が必要です。
普通、会社が現金として用意しておくのは、両替、つり銭、現場の現金支給くらいのものですから、現金があまりにも多い場合にはすぐに粉飾を疑われます。

いくら資産内容をよく見せたいからと言って、現預金を水増ししても無駄よ!
他の資産についても、粉飾はすぐに、あるいはいずれバレてしまう可能性が高いですが、中でも簡単にばれる現預金のごまかしが起きないように、充分に注意してください。

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まとめ
現預金が潤沢な会社は、資金繰りに活用できる手元資金が多いということですから、資金繰りが安定しており、銀行からも高評価につながることが多いです。
だからといって、銀行員が現預金の数字を鵜呑みにするわけではありませんし、水増しはすぐにばれてしまいます。
会社としても、表面上の現預金だけで借りられると考えるのではなく、現金と預金の中身を正確に把握し、融資交渉を進めていきましょう。
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