銀行が融資を判断するときには、決算書を分析することによって、会社の実質的な安定性や収益力、返済力などを把握する必要があります。
特に、会社の財務や資金繰りの安定性・健全性を知るためにも、貸借対照表の内容は詳細に分析していくのですが、その際には不透明な勘定科目は危険視され、マイナス評価につながることもあります。
そのような勘定科目が発生する会社では、正しい知識によって、正しく仕分けることでマイナス評価を防ぐことができます。
しかし、正しく理解していない社長も非常に多く、それが融資交渉にマイナスになることも多いです。
本稿で、このような勘定科目を正しく理解していきましょう。
危険視されやすい勘定科目を整理しよう
銀行が融資する際には、決算書を分析することによって、きちんと返済できるかどうかを見極めていきます。
そのためには、利益から収益力を見るだけではなく、決算書に粉飾がないか、疑わしい部分はないかを見ていきます。

この時に銀行が嫌うのが、資金繰りを不透明にしている勘定科目だ!
よく知られているのが、前渡金、前受金、仮払金、仮受金、未収金、未払金などです。
このような勘定科目は、資産や負債として計上するものですが、仕分けの方法や根拠についてよく理解していない会社もありますし、粉飾目的で計上されていることも多いです。
したがって、このような勘定科目が含まれている場合には、計上されているという事実だけでマイナスの印象になることもあります。
短絡的にマイナス評価にならないとしても、銀行は注意深く分析し、社長に説明を求め、最終的にマイナスに評価することも多いです。

もっとも、これらの勘定科目が計上されている会社でも、それぞれの意味を正しく理解して、本来の目的で計上しているならば、それほど問題にならないことも多いよ!
業種によって、あるいは経営方針によって、これらの勘定科目を避けられない会社もあると思います。
そのような会社が融資交渉をできるだけ有利に進めるためには、これらの科目を正しく理解しておくことが重要です。

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各科目の考え方
では、注意が必要な勘定科目の考え方を分かりやすくまとめていきましょう。
前渡金
いわゆる手付金であり、通常より早く支払っているのですから、本来は自分のと考えて流動資産に計上します。
前渡金を支払うことで仕入れ値が下がるなど、採算性の向上につながることがあるのですが、銀行はそのように単純に見てくれるとは限りません。
なぜならば、必要以上に早く手元資金が流出するため、資金繰り的にはマイナスになるからです。
また、そのような取引でなければ取引してくれない、何らかの理由があるのではないかと疑われることもあります。

さらに、前渡金という名目で他社にお金を貸していることもある!
この場合、前渡金ではなく貸付金として計上する必要があるのですが、貸付金はマイナスになる科目です。
貸付金によって金利収入が得られると考えるかも知れませんが、それ以上に資金を固定するデメリットのほうが大きいのです。
例えば、1200万円を2年間で返済するとした場合、毎月50万円の返済になります。
これを言い換えると、1200万円のすぐに使える資金が、今後2年間、毎月50万円までしか使えない状態に固定されてしまうということです。
また、貸付先の会社が、なぜ銀行から借りずに会社から借りているのかを考えれば、銀行が貸さない理由があると考えるのが順当です。
利息は得られるかもしれませんが、資金が長期にわたって固定化され、さらに貸し倒れリスクも高いのですから、銀行は貸付金という勘定科目を危険視します。
もちろん、前渡金という名目で貸し付けているとわかれば、大きなマイナス評価になります。
前受金
通常よりも早く受け取ったのですから、本来は相手のものと考えて、流動負債に計上します。
ほとんどの会社では信用取引をしているため、売上は売掛金として計上され、代金の入金は支払期日まで待たなければなりません。
このため、入金よりも支払いが先行し、資金繰りを圧迫することになります。
その点、一部でも前受金で受け取っている会社は、資金繰りが楽になります。
このように、本来の名目で前受金を計上しているならば、マイナスよりもむしろプラスの効果が期待できます。

しかし、前受金がマイナス評価につながることもあるのだ!
それは、資金繰りが非常に危険な状態にある会社では、とりあえず現金が欲しいと考え、前受金を受け取ることだけを目的に、採算割れの取引をすることがあるからです。
採算割れの取引でも、とりあえず前受金が手に入れば資金繰りが続きます。
しかし、長期的に見れば会社が破滅していくことは目に見えているため、そのような会社は銀行から大きなマイナス評価を受けることになります。

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仮払金
本来は自分のものですから、資産に仕分けられるものです。

しかし、仮払金は銀行からマイナス評価を受ける可能性が極めて高いわ!
そもそも、どこに仕分けるか確定していないという状況で仮払金が発生するのですから、短期間のうちに仕分け先が決まって、仮払金が消滅するのが普通です。
もし、長期間にわたって仮払金が計上されていれば、銀行はそれを危険視します。
例えば、仮払金を経費に振り替えることで赤字になる会社では、仮払金をいつまでも計上し続けることがあります。
そのような会社に対しては、銀行員は隠れている問題を探っていくことになります。
正しい理解のもとに、仕方なく仮払金を計上している会社もあるでしょうが、使い方を誤ると銀行の疑いを招くため、できるだけ避けたい項目です。
仮受金
確定するまでは相手のものと考え、負債に計上します。

このような場合、仮受金として計上するよ!
その後、取引先が売掛金の入金を前倒ししたとわかれば、それを踏まえて振り分けることで、仮受金は消滅することになります。
これも仮払金と同じように、短期間のみの計上ならば問題ありませんが、長期的に計上されている場合には不透明であり、問題視されることになります。

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未収入金
営業活動で発生した未回収の売上は売掛金として計上しますが、営業活動以外で発生した未回収の資金は、未収入金として仕分けます。
回収しているはずのものですから、本来は自分のものとして考え、資産に計上します。

未収入金は、いずれ回収することを前提としているため、問題視されにくい科目よ。
しかし、中には回収できる可能性が低いものを未収入金として計上していることがあります。
例えば、回収できない売掛金を未収入金に振り替えることによって、不良債権を隠していることがあるのです。
未収入金は、いずれ回収されることで減少していくのが普通です。
当然、回収できるはずのものが回収できていないのですから、資金繰りに悪影響があるとみなされ、マイナス評価になることもあります。

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まとめ
決算書を分析するとき、銀行員が疑いを抱きやすい、不透明な勘定科目について解説してきました。
それぞれの科目を計上する本来の目的と、危険視される理由やパターンが分かったと思います。
これらの勘定科目を計上し、なおかつ融資交渉にマイナスにならないためにも、その仕分けが間違っていないか、疑われないかをよく考え、疑われた場合にはしっかり説明できるように準備しておきましょう。
そうすることで、銀行からのマイナス評価を防ぐことができます。
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