事業計画書を作ることは、中小企業の融資に非常に役立つことです。
しかし、事業計画書は経営者自ら作るものであり、ほとんどの経営者が戸惑ってしまうことと思います。
本記事では、事業計画書の作り方を教えてくれる制度、作成時や金融機関に見せる際の簡単なポイントなどを解説していきます。
事業計画書が融資を有利にする

一般的に中小企業は作成しておらず、しかし中小企業でも作ることが可能で、中堅や大手が必ず作成しているものがあります。
それが「事業計画書」です。
事業計画書を作ることによって、大手や中堅企業は、財務体質はどうあれ、融資の可能性を大きく高めることに成功しているのです。
事業計画書とは、以下の要素から成り立ちます。
- 会社の概況
- 経営の外部環境に関する過去の状況と今後の見込み
- 会社内部における過去の取り組みと成果
- 今後の具体的な経営戦略
- 新たに予定している取り組み
- 過去の業績
- 今後の業績の見込み
大手や中堅の企業は、事業計画書によって経営方針を明確にし、またそれを株主や顧客、金融機関、社員などといった関係者に開示しています。
事業計画の内容によって株価が変動するのはこのためですし、金融機関もこれを融資の判断材料にします。
通常の融資では、財務内容や業績の他に担保を評価して融資を行なっていますが、担保がない会社でも、事業計画書で評価を受けて融資を受けられるケースも多いです。
事業計画書が融資に有利になる理由

筆者の調査(金融機関 関係者へのインタビュー)によると、従業員50人未満の会社ならば90%は事業計画書を作っていません。
しかし、事業計画書を作成している中小企業は、体感として長期にわたって生き残っています。
これは、事業計画書を作成している会社はそうでない会社に比べ、倒産確率が極めて低く、貸し倒れにも陥りにくいという体感でもあります。
なぜ、事業計画書を作る会社は倒産しにくいのでしょうか。
事業計画書とは、会社に今後起こるであろうことを見越したうえで作っていくものだからです。
たとえば、今年は去年に比べて為替の状況が悪くなりそうだと思うならば、その為替の状況でも可能な限り収益を確保していくために、対策を練ることができます。
事業計画書によって、事前準備が可能になります。
事業計画書は自分で作る

ただし、事業計画書が大切だからと言って、税理士やコンサルタントに丸投げして作ってもらってはだめです。
銀行員は、皆さんが思っている以上に観察力が高く、経営者の考え方を知っています。
ですから、事業計画書を読んだ時、「普段言っていることが反映されていないけれど、専門家に頼んだのではないか?」と判断されてしまいます。
作成してもらった事業計画書をもとに融資を受けたいと申し込んでも、説明を求められたときにうまく説明することができません。
事業計画書は、経営者自ら作ることが非常に重要です。
たとえつたない内容でも、経営者自らが作っているならば十分価値のある事業計画書となるでしょう。
事業計画書の書き方を教えてもらおう!

税理士や経営コンサルタントに直接依頼すると、事業計画書の書き方について非常に丁寧に教えてもらうことができるのですが、高額の費用が掛かる可能性があります。
できるだけお金をかけたくないと思っている人も多いでしょう。
無料で教えてもらえる場所や少額の費用で書き方を教えてもらえる場所を紹介していきます。
無料で教えてもらえる場所
完全無料で教えてほしいならば、「中小企業支援センター」を利用するのが良いでしょう。
中小企業支援センターは公的な支援機関であり、センターでは税理士や中小企業診断士といった専門家が相談に乗ってくれます。
もちろん、事業計画書の書き方について教えてほしいと言えば、面談を通して教えてもらうことができます。
中小企業支援センターは、都道府県庁所在地と政令指定都市にありますから、一度利用してみる価値があると思います。
ただし、1回あたりの面談は1時間~1時間半くらいで、何回まで教えてもらえるかということは、ケースバイケースのようです。
有料で教えてもらえる場所
創業塾や経営革新塾は、中小企業庁が運営する研修システムです。
創業塾は、創業を考えている人を対象として、事業を開始するためのビジネスプラン作成方法、融資制度や創業事例の紹介などを、約30時間の講習で教えてくれる塾です。
創業に伴う事業計画書の書き方なども教えてもらうことができます。
経営革新塾は、新事業展開などを目指す若手後継者などを対象に、経営戦略、組織マネジメントなどの役立つ知識を約20~30時間で教えてくれる塾です。
両方とも、経営コンサルタント、中小企業診断士などが講師となっており、事業計画書の書き方も教えてくれます。
受講料は30時間の受講で5000円で、格安と言ってよいでしょう。
アドバイザー派遣制度
アドバイザー派遣制度とは、中小企業支援センターが提供する制度です。
経営の向上を目指す意欲のある中小企業者や創業者が抱えている問題に対して、専門家を派遣することで相談や診断・助言を行う制度です。
事業計画書の書き方を教えてもらえるのはもちろんのこと、その他の多岐にわたる事柄を相談することができます。
専門家を派遣してもらう費用は、2分の1~3分の2を支援センターが負担してくれます。
後継者に作らせる

ここまで書いてきた通り、事業計画書を作ることは非常にメリットがあります。
しかし、経営者自ら作る時間がどうしてもない場合があるでしょう。
そのような場合にお勧めしたいのが、後継者に作らせるという方法です。
後継者が理解を深められる
後継者が入社する場合、中小企業においては、会社のことをよく教え込む時間を取らないことも多いと思います。
現場で身につければよいという考え方です。
しかし、後継者は案外、会社のことを理解していないものです。
そのまま何年も過ぎていき、いざ会社を継ぐことになってから困ることもよくあります。
ヒト・モノ・カネを始めとした会社の経営資源、自社のノウハウ、顧客や競合先、業界が置かれている状況、経済状況などを理解しなければ事業計画書を作ることはできません。
事業計画書作成を通して、会社の全体像を深く知り、また分析する機会を得られます。
後継者が危機感を持てる
自社への理解が深まり、経営者としての視点を身につけると、自社が置かれている状況をよりダイレクトに知ることになります。
会社の経営状況がよければ危機感を持つことはないのですが、多くの会社は全く楽観できるほどの状況にはないでしょうから、後継者に危機感を持たせるきっかけになります。
たとえば、事業計画を策定するにあたり、必ず借入総額を知る必要があります。
借入総額さえ知らない後継者は多く、自社の借入が大きな負担になっていた場合、その事実を知って愕然とすることでしょう。
後継者の存在を金融機関に知ってもらえる
金融機関は、融資先の後継者を注視します。
たとえば、後継者の能力不足によって業績が低下して行けば、いずれは貸し倒れという金融機関にとって最悪のシナリオを迎えるかもしれません。
逆に、後継者が優秀ならば、将来的に会社が安定して成長していくことが期待できます。
後継者が作った事業計画書を提出することができれば、金融機関は「この後継者なら大丈夫だ」と安心することでしょう。
事業計画書作成のポイント

経営者自ら作る、外部のサポートを得て作る、後継者に作らせるという方法を提示してきました。
いずれの場合でも下記のポイントを押さえておくと、事業計画書作成はスムーズに進んでいくことでしょう。
1.箇条書きにする
まずは、事業計画書に盛り込むことを箇条書きにしましょう。
書くべきだと思っていることは全て箇条書きにしていきます。
この時、箇条書きにする項目は多ければ多いほど内容が濃くなるため、非常に重要だと言えます。
2.アピールは存分に
そもそも事業計画書は、金融機関から理解を得て資金を調達するために作るものです。
したがって、アピールしたい部分は強くアピールすることが重要です。
ここで謙遜しては意味がないので、存分にアピールしてください。
3.書き直しをいとわない
事業計画書は、何度も書き直すことを前提としてください。
最初から完璧なものが書けるはずはありませんし、一度書いて専門家に見せて書き直し、また書いて専門家に見せて書き直しを繰り返していく上で、完成度を高めていきます。
4.自己完結しない
経営者や後継者が作ってみて、非常に良い出来だと思ったとしても、必ず第三者にチェックしてもらってください。
この場合、専門家に見せるのは当然のことですが、事業と全く関係ない第三者に見てもらって、理解できるかどうかを試してみてください。
全く事業と関係ない第三者に見てもらって理解できるような事業計画書でなければ、金融機関の担当者は理解できない可能性があるからです。
5.成果を見せる
金融機関に事業計画書を見せる時、印象をより一層高めるためには、具体的な調査結果報告書も一緒に提出しましょう。
事業計画書を作るためには、競合他社の調査や、新規店舗を出店するならば、そのコストの試算や出店エリアの調査を行うことでしょう。
その調査結果報告書を添付して提出すると、金融機関に頑張りが伝わり、効果が高まることが期待できるのです。
事業計画書の説明のポイント

事業計画書が完成したら、金融機関の融資担当役席(担当者の上席者)に連絡をし、事業計画書の説明のためのアポを取りましょう。
説明する中で押さえるべきポイントは、今期の方針と力を入れるポイント、投資計画です。
ここで言う投資計画では、最終的には「だから融資をしてください」という結論につなげていくことが目的です。
今期の方針と力を入れるポイントを説明し、そこから投資計画につなげていくのであれば、納得のいく資金使途と言えます。
金融機関は資金使途を非常に気にしますが、それが問題ないと見なされるということは、融資に大いにプラスになります。
初めて事業計画書を作るという人も多いと思いますが、その場合には作成直後に持参するのが良いでしょう。
まとめ
事業計画書を自分で書くべきと言われても良くわかりませんし、いまいちピンとこないというのが本当のところだと思います。
そこで、無料や格安で事業計画書の書き方を教えてくれる場所を利用し、具体的に作っていくことをおすすめします。
