70歳雇用に向けて企業に努力義務。なぜそうなる?どう対応すべき?

現在、政府は高年齢者の雇用に取り組んでおり、高年齢者を65歳まで継続雇用することを企業に義務付けています。

今年5月15日には、高年齢者雇用安定法を再び改正し、70歳までの継続雇用を義務(ただし努力義務)づける方針を発表しています。

改正案の提出は2020年の通常国会を予定しており、企業は今後ますます、高年齢者の活用に取り組んでいくことになるでしょう。

本稿では、政府の高年齢者雇用への取り組みの背景や方針、それに対応するための考え方や助成金の情報などをお伝えしていきます。

高年齢者の労働力が重要に

現在、政府が推進している働き方改革は、多様な働き方ができる社会の実現を目指しています。

なぜ、安倍政権になってから働き方改革に力を入れているかと言えば、現在の日本では労働人口の減少や少子高齢化といった問題を抱えており、それがいよいよ抜き差しならない状況、経済成長の停滞・後退が懸念される状況になってきたからです。

労働人口の減少

日本の人口はすでに減少を始めており、将来的な人口推計を見ても増加に転じるという予測は全くありません。

国全体の人口が減少すれば、当然ながら労働人口も減少していきます。

実際に、2018年の労働人口は2017年比で51万2000人減少の7545万1000人となっており、総人口の60%以下となっています。

この数字は、1950年以来最低の数字です。

このままいけば、2049年にはさらに3割減の5300万人まで減少していくとされています。

経済成長のためには労働人口が極めて重要であり、

  • 労働人口の増加によって量の面から経済成長を図る
  • 労働者一人当たりの生産性の向上によって質の面から経済成長を図る

この両方あるいはいずれかの道しかありません。

労働人口が減少している日本で経済成長を維持するためには、なんとかして労働人口の減少を食い止め、可能な限り増やし、なおかつ生産性の向上も模索していく必要があります。

少子高齢化も深刻化

さらに、少子高齢化がこの問題を深刻化させています。

戦争や天変地異といった大きな出来事によって、生産年齢人口と非生産年齢人口が同時に減少しているならば、それほど深刻な問題にならないこともあります。

確かに経済的には打撃を受けますし、経済成長も鈍化するものの、生産年齢人口の労働によって支えるべき非生産年齢人口の数も減るのですから、社会的には割とうまく回っていく可能性が高いのです。

しかし、現在の日本は人口の減少と同時に、少子高齢化という問題を抱えています。

つまり、非生産年齢人口を支えるべき生産年齢人口が減少すると同時に、

  • 医療の発達によって平均寿命が延び、非生産年齢人口である高年齢者が増える
  • 出生率は低下を続けており、非生産年齢人口かつ将来的な労働者である15歳未満の人口が減少している

という問題を抱えているのです。

50年前の日本では、「人生70年」などと言われていましたが、最近では「人生100年時代」などともいわれます。

平均寿命は伸び続け、2065年には75歳以上の人口が総人口の25.5%にまで上昇するというデータもあります。

これは、高年齢者自身が生涯で必要とするお金が多くなり、それを自分や世帯で稼がなければならないということでもあります。

格差社会により、収入が低い世帯も増えているため、高年齢者自身が収入を得る必要も高まっています。

しかしながら、人生100年時代に合わせて高年齢者が働ける場は少ないため、今後ますます、高年齢者雇用が働き方改革に深くかかわってくると予想されます。

また、将来の高年齢層、すなわち就職時期に不況に見舞われた世代の人々の中には、非正規雇用から抜け出せない人が大勢います。

このような人たちが老後を迎えたとき、社会が支援せざるを得ない高年齢者が大量に出ることになります。

これに備えるためにも、再就職を促進すると同時に、高年齢者が働きやすい社会の創出が急務となっています。

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政府の人口減と少子高齢化への方針は、今後も企業経営に大きく影響してくるはずだ。

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高年齢者雇用安定法の改正

以上のような背景によって、政府は高年齢者の雇用に取り組んできました。

平成25年4月には高年齢者雇用安定法が改正され、企業は希望者全員を65歳まで雇用することが義務付けられています。

この義務化では、

  • 平成25年4月1日~平成28年3月31日・・・61歳までの雇用を義務化
  • 平成28年4月1日~平成31年3月31日・・・62歳までの雇用を義務化
  • 平成31年4月1日~令和34年3月31日・・・63歳までの雇用を義務化
  • 令和34年4月1日~令和37年3月31日・・・64歳までの雇用を義務化
  • 令和37年4月1日~・・・65歳までの雇用を義務化

という流れで進められており、令和37年3月31日までで、この年齢層で就労を希望する労働者の就労率は100%となる予定です。

この改正による効果は大きく、60~65歳の高年齢者の就業率は高まり、改正後から2018年までに9.9ポイント上昇の68.8%となっています。

しかし、65~69歳の就労率は46.6%にとどまっています。

政府の調査によれば、この年齢層で「仕事をしたい」と考えている人は65%いるとされており、働きたくても働けない人がたくさんいることが分かります。

政府の試算では、65~69歳の就業率が、60~64歳の就業率と同水準にアップすれば、労働人口は217万人増加し、勤労所得は8.2兆円、消費支出は4.1兆円の増加となり、経済や社会保障に大きなプラスが見込まれます。

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データを見れば、政府が高年齢者層の雇用を促進したがる理由がわかるわね。

70歳までの雇用が義務化へ?

そして、今年5月15日、政府は再び高年齢者雇用安定法改正案の骨子を発表し、高年齢者が70歳まで働ける社会を作るべく、企業に努力義務を課していく方針を明らかにしました。

企業がこの努力義務に対応するための選択肢は7つ設けられており、

  • 70歳まで定年延長して、自社で継続して雇用する
  • 定年を廃止して、自社で継続して雇用する
  • 契約社員や嘱託などによって、70歳まで自社で再雇用する
  • 他の企業への再就職を支援する
  • フリーランスで働くための資金を提供する
  • 起業を支援する
  • NPO活動などへの資金を提供する

としています。

どれも、高年齢者が就労の機会を得るための支援です。

安倍首相は、この改正案を2020年の通常国会で提出するとしています。

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継続雇用の義務は65歳から70歳へ。引上げは急ピッチで進められているんだ。

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助成金を活用しよう

全ての企業に、一律で70までの雇用を義務付けると、負担に耐えられない企業も出てくるでしょう。

そのため、まずは努力義務を課す方針となっています。

努力義務であれば、70歳までの継続雇用に対応できていない会社でも、そのための努力をしていれば大きな問題にはなりません。

ならば、努力した風のポーズだけ取っていればそれで良いかと言えば、そうではありません。

2020年、この改正案が成立して努力義務が課せられる可能性は高いでしょう。

まずは努力義務を課して企業の努力を促しつつ一定期間の猶予を与え、努力義務ではどうにもならないレベルに達したところで、義務化される可能性も十分にあります。

努力義務を課しているときには、企業の努力を促すためにも、厚生労働省は助成金などによって企業を支援します。

現在でも、定年の引き上げや再就職支援など、高年齢者の就労にプラスになる取り組みを実施した会社では、様々な助成金を受給することができます。

今後、法改正に伴って助成金を活用できるタイミングは増えてくると考えられます。

したがって、高年齢者の雇用に取り組んで努力義務を果たし、助成金を受給して負担を軽減し、高年齢者の雇用を人材不足の解消に役立てていくのがベストです。

努力義務にすぎないと考えて無視していると、いずれ義務化されたときに高年齢者を雇用できる体制が整っておらず、経営に混乱を招く可能性が高いです。

その時になって取り組んでも、受給できる助成金は減っているかもしれません。

助成金の活用でも、高年齢者の活用でも、他の企業に大きく後れを取ることとなり、生き残りが困難になることでしょう。

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高年齢者の雇用は負担になるかもしれないが、無理のない範囲で取り組んでいき、社会に取り残されないようにしよう!

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活用できる助成金は?

現在、高年齢者雇用に伴って中小企業が活用できる助成金には、

  • 特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)
  • 特定求職者雇用開発助成金(生涯現役コース)
  • 65歳超雇用推進助成金

の3つが挙げられます。

特定求職者雇用開発助成金の特定就職困難者コースは、60歳以上の高年齢者など、就職が難しい人材を雇い入れることで助成金を受給できるものです。

特定求職者雇用開発助成金の生涯現役コースは、65歳以上の高年齢者を雇い入れることで助成金を受給できます。

そして65歳超雇用推進助成金は、自社の定年を65歳以上に引き上げたり、高年齢者の雇用管理制度を整備したり、高年齢者を無期雇用に転換した場合などに、助成金を受給できるものです。

高年齢者の雇用に取り組んでいく際、このような助成金が非常に役立つため、しっかりと活用していきたいものです。

※これらの助成金について、詳しくはこちら

高年齢者の雇用拡大が推進されている今、使うべき助成金はこれだ

今後、高年齢者雇用に関する助成金制度が充実してくる可能性が高いため、年度の変わり目などには、

  • 新たな助成金が発表されていないか
  • 既存の助成金の受給要件が緩和されていないか
  • 既存の助成金の受給額が増えていないか

など、しっかり確認しておくようにしましょう。

もちろん、このような会社にメリットのある変更以外にも、マイナスの変更点が出てくる可能性もあります。

現在では高年齢者の継続雇用にあたって、賃金を引き下げることを不給要件としていませんが、今後はこのような判断も変わってくるかもしれません。

目立った変更があれば、当サイトでもまとめていくつもりです。

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まとめ

高年齢者の継続雇用が進められることについて、負担を感じる会社も多いと思います。

しかし、現在の日本の状況を考えると、このような流れは仕方のないことでもあります。

ならば、この変化が会社にプラスになるよう、いかに対応していくかを考えるべきです。

この改正案の発表に伴い、安倍首相も、

元気で意欲のある高齢者に経験や知恵を社会で発揮してもらえるように法改正を目指す。それぞれの高齢者の特性に応じ多様な選択肢を準備する

と述べています。

高年齢者の経験や知識を活かすために、例えば高年齢者を若手育成に役立てるなどすれば、会社にとってのメリットは高まるはずです。

そのために、助成金もしっかりと活用していきたいものです。