粉飾が起きやすい売掛金を銀行はどう見抜くのか

銀行に融資を申し入れると、決算書その他の書類の提出を求められます。

これは、会社の業績や財務を把握するためですが、銀行員がその情報を鵜呑みにすることはありません。

なぜならば、中小企業の決算書は化粧されているのが普通であり、悪質な粉飾が行われることもあるため、決算情報を鵜呑みにすると判断を誤るからです。

したがって、銀行員は粉飾を見抜いていく必要があるのですが、どのように見抜くのでしょうか。

本稿では、粉飾が起きやすい売掛金について解説していきます。

銀行が売掛金を重視する理由

資産状況は、会社の安定性に大きく影響するものです。

当然ながら、銀行の与信管理や融資の判断では、融資先の資産状況をしっかりと把握することが重要となります。

資産には流動資産と固定資産がありますが、銀行がより重視するのは流動資産です。

なぜならば、普通の会社では固定資産よりも流動資産が多く、流動資産の割合が7割以上に上ることも珍しくないからよ。

したがって、銀行が資産状況を把握するにあたり、流動資産を優先的に把握していくことが多いわけですが、中でも売掛金の状況は厳しくみられるのが普通です。

これは、売掛金が資産の粉飾に使われることが多いからです。

売掛金とは?

売掛金について、簡単に説明しておきましょう。

売掛金とは、簡単に言えば、商品やサービスを販売したものの、まだ代金を回収していない売上のことです。

企業が消費者個人に対して販売する場合、現金販売をすることも多いです。

クレジットカードなどで決済した場合には、多少売上の入金が先延ばしとなりますが、売掛金に比べると短期で回収することができます。

しかし、企業対企業の取引では、現金販売が行われることが少なくなります。「毎月〇日締め、翌月〇日払い」などの契約になり、売掛金が発生するのが普通です。

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それを、なぜあえて掛け売りしているのかと言えば、以下のような理由があります。

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取引先の囲い込み

販売先に製品を卸すと、販売先がその製品を消費者などに販売するまでには数か月を要します。

2~3か月程度かかるのが一般的なケースですが、販売先は仕入れた製品がお金に変わるまでにラグがあり、仕入れと同時に支払うと資金繰りが苦しくなります。

そこで、販売元は販売先に対して一時的に代金を立て替えることで、他社製品ではなく自社製品のみを扱わせるなど、販路の確保に役立てることができます。

事務負担の軽減

現金取引だけならば、即時に売上が入ってくる代わりに、入金の度に事務処理をする必要があるため、事務負担が大きくなります。

そこで、特定の日を支払い日とすることで、事務負担を軽減することができるよ。

売掛金は粉飾されやすい

上記の通り、売掛金は販売先に対して一時的に立て替えるものであり、後日代金を受け取れることが前提となっています。

だからこそ資産価値があり、流動資産として計上されているのです。

しかし、これはあくまでも前提にすぎません

販売先の資金繰りが行き詰れば、代金が支払われない可能性もあります。

支払われなければ、売掛金に資産価値はありません。

ところが、売掛金が回収不能になっても、それを正直に決算に反映させることなく、隠そうとする会社も多いです。

本来ならば、貸倒損失を計上して資産から除外する必要があるのですが、そうすると自社の資産内容が悪化し、銀行からの印象が悪くなります。

これにより、必要な融資を受けられなくなる可能性もあるため、そうならないために売掛金として計上したままにしておくのです。

悪質な会社では、売ってもいないのに売上金をでっちあげて計上していることもあります

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銀行は売掛金の粉飾をどう見抜くか

しかし銀行は、売掛金の資産価値が、あくまでも前提にすぎないことをよく知っています。

また、会社が貸し倒れを隠したがることもよく知っています。

そのため、資産に計上されている売掛金のうち、回収できないものが含まれていないか、架空の売掛金が計上されていないかをしっかりチェックします。

具体的に、どのように粉飾を見抜いていくかと言えば、以下のようにいくつかの手段があります。

支払い日の様子

上記の通り、売掛金には、特定の日に入金されることによって、事務負担を軽減できるメリットがあります。

このため、売掛金の回収に何もトラブルがなければ、売掛金が入金される日には、ごく事務的な処理が行われるだけです。

これが、銀行員が融資先のトラブルをキャッチするきっかけになることがあるわ。

まず、融資先の会社が売掛金の入金口座として使っているならば、口座の動きをチェックすることができます。

多くの会社では、毎月の口座の動きはそれほど大きく変化しないものですから、口座情報から入金が少ないことが分かれば、回収が難航している可能性を察知できます

 

売掛金の入金口座として使っていない銀行ならば、口座の動きから回収トラブルを察知することはできません。

このような場合、支払い日に融資先を訪問することがあります。

支払い日に、何のトラブルもなく入金されていれば、その会社の経理がザワつくこともなく、事務的に処理されるだけです。

しかし、融資先を訪問してみて、経理部の様子がおかしいと感じた場合には、回収トラブルの可能性を察知します

もちろん、入金口座の動きも、経理部の雰囲気も、銀行員の直感に頼る部分が大きいですが、銀行員はこのように勘を働かせて、与信管理に活かしていくものです。

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社長へのヒアリング

回収トラブルの可能性を察知したときは特にそうですが、そのような危険を察知していないときでも、やはり粉飾の有無はチェックされます。

この時、社長へのヒアリングを通してチェックすることも多いです。

銀行員から、

  • 「売掛金と受取手形の割合はどうなっていますか?」
  • 「売掛金と受取手形の期間は、それぞれ何か月ですか?」

と聞かれたことがあると思いますが、これは掛け取引が資金繰りにどう影響しているかを把握すると同時に、粉飾の有無をチェックするためでもあります。

社長の答えから、銀行員は売掛金の残高を予想することができるよ。

すなわち、

売掛金残高=月商×売掛金の割合×売掛金の月数

という計算により、かなり確度の高い予想ができます。

 

例えば、社長がこの質問に対して、「売掛金が6割、受取手形が4割」「売掛金の期間は2か月、受取手形の期間も2か月」と答えたとします。

その場合、月商が1000万円の会社であれば、

売掛金残高=1000万円×0.6×2=1200万円

と分かります。

つまり、理論上は貸借対照表の売掛金に1200万円と計上されているべきで、これを大きく外れた金額が計上されていれば、粉飾を疑うことができるのです。

もし、この会社で売掛金が1500万円と計上されていれば、300万円分の不良債権が売掛金として計上されている、あるいは架空債権が計上されているなどの粉飾が疑われます。

勘定科目明細書を見る

全ての会社は、法人税の税務申告にあたって、勘定科目明細書を作っています。

これは、決算書の勘定科目を細かく記載した資料です。

通常、貸借対照表には「売掛金」と記載されるだけで、その売掛金の債務者は誰であるのか、金額はいくらであるかといった細かいことはわかりません。

しかし、勘定科目明細書にはそれが記載されています。

そこで銀行は、融資先に勘定科目明細書の提出を求め、すでに倒産している会社の売掛金が計上されていないか、残高が前期と変わらない売掛金はないかをチェックしていきます。

その売掛金が倒産先のものであるかどうかは、ブラックリストを照会すればわかるよ!

売掛金残高が変化していないならば、その債務者の業況や決算情報を調べます。

もちろん、債務者が自行と取引していなければ、このような調査はできませんが、自行に情報がある場合にはかなりの精度で調査ができます

債務者の勘定科目明細書を取り寄せて調べてみて、該当する売掛金に相当する買掛金が計上されていなければ、融資先が架空債権を計上している、あるいは債務者が簿外負債を抱えているかのどちらかだと考えることができます。

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まとめ

本稿で解説した通り、銀行は口座の動き、現場の様子、社長へのヒアリング、より詳細な資料など、様々な角度から売掛金の粉飾をチェックしていきます。

不良債権や架空債権を隠し通すことは困難です。

会社によっては、銀行を騙してやろうと考えているわけではなく、回収できなくなった売掛金の仕訳をついつい怠ったり、適切な仕訳ができなかったりする会社もあると思います。

しかし、銀行ではそれを粉飾と捉え、信用を失ってしまう可能性もあります。

そのようなことにならないためにも、売掛金を適切に処理することを心掛けてください。

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