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手形サイトが長くて悩んでいる時、松下幸之助がとった行動とは?

手形サイトが長期化することは、自社の経営にとって悪影響をもたらします。

また、自社の経営が厳しくなれば、取引先への支払いがうまくいかず、取引先にも迷惑をかけることになるかもしれません。

手形サイトを考える時、自社だけではなくもと広い範囲を見据えて捉えることによって、正しい商売観に基づいた経営も見えてきます。

資金調達プロ

手形サイトが長いことを憂えた松下幸之助

「経営の神様」といえば誰のことか、知らない人は少ないでしょう。

そう、松下電器(現パナソニック)の創業者である松下幸之助です。

経営の神様と言われるからには、さぞかし資金繰りも秀逸だったのであろうと思われるかもしれませんが、松下電器も資金繰りに困窮し、一時は経営困難の危機に見舞われたこともありました。

本稿でも取り上げる手形サイトのやりくりがうまくいかず、大規模な改革を迫られたことがあったのです。

実を言うと、当時、娘婿に社長の座を譲って引退していた松下幸之助は、大規模な改革にあたって陣頭指揮を執るために現場に復帰し、大改革を成し遂げて経営危機から救い、そのことをきっかけとして「経営の神様」と呼ばれることになったのです。

では、その時の様子について見ていきましょう。

この話を知ることで、手形サイトの長期化が企業に与える悪影響がよくわかります。

巨大企業であった松下電器でさえ、手形サイトの長期化で経営を脅かされるのですから、いわんや中小企業をやということです。

神武景気に続いて岩戸景気が続いていた高度経済成長の当時、池田勇人首相は所得倍増計画を推し進め、日本経済は右肩上がりとなっていました。

国民の生活も豊かになり、家電製品の売れ行きは好調だったのですが、それに伴って家電業界の競争は激化し、松下電器でさえも過剰生産によって販売組織が壊滅寸前に追いやられていました。

家電ブームに乗るべく、各メーカーが工場設備を拡張していった結果、当時三種の神器の一つと言われた白黒テレビなどは、大手メーカー1社の生産で業界全体の出荷台数をまかなえるほどになっていったのです。

 松下電器はの販売会社と代理店は170社ありましたが、その中で黒字経営をしているのはわずかに20社程度にとどまり、資本金500万円に対して1億円の損失を抱え、24億円の手形を切ることでようやく営業を続けている店もあるほどでした。

戦前の日本では月末現金決済が常識でしたが、ラジオなどの月賦販売が始まると、高額な商品の代金は松下電器が立替払いをする制度が出来上がり、手形決済が常態化していったのです。

 昭和26年以降には、産業界全体で借金経営が一般的となり、それゆえに売り上げがめざましく伸びていきました。

しかし、昭和38年の末頃になると、手形決済が滞ることも増えていきました。

昭和39年には売掛金と受取手形の合計が5ヶ月にまで長期化しました。

2000億円の売り上げに対して貸付金が1000億円もあり、松下電器は苦境に立たされました。

これらの貸付金支払不能に陥れば、松下電器は倒産してしまうことになります。

この事態を重く見た松下幸之助は、すでに引退していたところ営業本部長としての復帰を決意し、改革に挑むこととしました。

松下幸之助は、この苦境をどのようにして打開したのでしょうか。

 

 

手形サイトの長期化を防ぐことの意義

まず、このような問題を考える際には、そもそもどうして手形取引が行われるのかを考えなければなりません。

企業間取引において、現金での取引が行われることは少なく、多くの場合において手形取引など掛での取引が行われることになります。

買い手企業としては、現金での取引をすれば資金繰りが厳しくなってしまうことから、手形での取引を希望します。

このような事情を考慮すれば、手形取引が行われることは仕方のないことであり、ともすれば手形サイトが長期化することも、場合によっては仕方のないことであると考えがちです。

しかし、手形サイトが長期化することで経営危機の危険性が高まったとき、松下幸之助は手形サイトの長期化を潔しとしませんでした。

手形サイトの短縮を図ったわけですが、松下幸之助は取引先との関係を、対話その他によって是正することを重視しました。

同じ商品を販売している170社の販売会社・代理店のうち、約20社が集金を順調に行なっている事実を深く見て、手形サイトの長期化を防ぐことは可能であると考えたのです。

松下幸之助は、昭和39年に開いた全国販売会社代理店社長懇談会において、以下のように語っています。

同じ松下のものを売っていながら、なぜこんな違いが出てくるかといえば、社長の信念の強弱によるのです。

ある問屋さんは、小売店さんから集金が集まらなかった時、『すみませんが支払いを待ってください』と言われると『それは仕方がないな』と応じる。

別の問屋さんは、同じ状況の時に『それは困りますね、しかし今回だけは待ちましょう。おたくの集金が滞っているなら、あなたが難儀するのだから、訴訟にしてでも取りなさい』と条件付きで応じる。

このように念を押しておくと、小売店さんは『あの問屋さんは厳しいことを言ってくるから、あんまり支払いを伸ばすことはできない』と考えます。

簡単に待つ問屋さんには、言いやすいので小売店さんは容易に支払わない。

そのうちその問屋さんは資金繰りが悪化して、高利貸しから金を借り、ついには内整理をしなければいけないようになる。

つまりは経営者の信念によって、結果がどのようにでも出てくるんです。

 

 

商売の王道をと歩む

これを聞くと、当たり前のことを言っているだけじゃないかと拍子抜けする人もいるでしょう。

松下幸之助の言葉というからには非常に革新的なことを言っているかと思えば、実に常識的なことを言っています。

しかし、常識的であること、いわば経営の王道とも言えるものを軸に据え、信念として経営をしたところに松下幸之助のすごさがあるのです。

普通、手形サイトが長期化するのは、経営者であれば誰でも嫌うことです。

手形サイトが長期化しないために、手形ジャンプはできるだけ避けるべきであることも、当然のことです。

しかし、実際に手形ジャンプを依頼された時に、しっかりとした条件をつけるなど厳しい態度で応じるのではなく、「ともかく、支払えない相手に強く言ってもしょうがない」と簡単に応じてしまう経営者も多いのです。

しかし、松下幸之助は、取引先の集金が難航して手形の決済ができないならば、訴訟をしてでも取り立てなさいと言います。

これは、一見酷な言い様にも見えるのですが、ここにも経営の神様の信念があります。

その信念とは、商売によって適正な利益を得るのは当然のことであり、本来商売は絶対に損をしないものだ、というものです。

商売をすることでどちらかが損をしているのであれば、それはどちらかの商売観に間違いがあるからなのです。

集金が滞って資金繰りに困り、手形の受取人もまた困るという負の連鎖が起きているならば、その元を辿っていくうちに間違った商売観がいくつも見つかるでしょう。

そこで、それを正すために場合によっては訴訟も起こします。

そうすれば、訴訟をおこすべきだと言われた人や訴えられた人は「えらいことになった」と思うことでしょうが、これによって商売観は正されていきます。

訴えられた人は「甘く考えて支払いを滞らせたら、訴えられてしまった。とんでもないことになった」と反省するでしょう。

訴訟を促されて訴えた人は、「時には訴訟を起こすことも必要だな」と思います。

また、場合によっては訴訟を起こす人に対して、支払いを渋る人は少なくなるでしょう。

訴訟を起こすというのは、取引の是正のための一つの方法にすぎませんが、このようにして、取引に関わる人の間で商売観が正されていけば、本来の正しい姿で取引が行われるようになり、支払いの遅れや踏み倒しは減り、商売で利益を求めやすくなります。

松下幸之助は、このような信念によって松下電器と販売会社・代理店が共存共栄することを目指し、改革に取り組み、見事に経営を立て直しました。

 

 

正しい商売観で取り立てる

これは商売における真理ともいえるものですから、松下電器のような大企業だけではなく、中小企業にも広く言えることです。

皆さんが商売をしていくにときにも、間違った商売観が入り込む隙を与えないように注意し、間違った商売観が入り込んだ時には、対話や交渉や訴訟などによって商売観を是正する態度を持たなければならないのです。

売掛債権の回収にあたり、回収マニュアルを設けて社内に徹底することが有効とされますが、その理由も間違った商売観を入り込ませず、入り込んだ際には即座に正すためにほかなりません。

例えば、

  • 取引先との契約の際には、手形サイトは短くなるように交渉し、最大で何ヶ月まで妥協するかを明確にしておく
  • 手形ジャンプの際にはどのような条件をつけるかを明確にしておく
  • 不渡りに備えて、取引契約の際には自社商品や他社商品を引き上げたり、債権その他の資産を受け取るように契約のを交わしておく

などです。

このようにしておけば、取引段階で手形サイトが長期化してしまうことを防げますし、万が一支払いが滞ったり支払不能になった場合に弁済を受けることができます。

また、手形を振り出す取引先にはプレッシャーとなり、甘い考えで支払いを遅らせることはできないと考えることでしょう。

すると、取引先も手形や売掛金から支払いのための資金を捻出しなければならなくなりますから、しっかりと回収努力を払うようになります。

これが取引先の取引先へ、またその取引先へと波及していくことで、商売に携わる者の商売観が正されていくのです。

 自社の手形サイトのことだけではなく、商業全体のことを考えて行動したからこそ、松下幸之助は商売の神様になれたのかもしれません。

 

ファクタリングを生かす道

このように、正しい商売観に則って経営を行なっていくならば、自社が取引先へに対して手形代金や買掛金の決済を遅らせることはできません。

もし遅らせてしまえば、取引先も資金繰りが厳しくなり、支払い遅延を起こしてしまうことにもなり、負の連鎖を生んでしまう可能性があるからです。

そうならないために、まずは自社が資金繰りに困っている理由を突き止めることが大切です。

資金繰りに困っている理由は様々ですが、松下電器のように手形サイトが長期化していることによって、資金繰り困難になっていることもあるでしょう。

手形や売掛金の回収サイトが長期化するということは、売上を回収して経営に活かせるまでの期間が長くなるということですから、資金繰りを圧迫するのは間違いのないことです。

したがって、自社の資金繰り困難の原因を断つためには、取引を改めることが重要です。

取引先を選ぶ時にはきちんと信用調査を行い、支払い能力と支払い意思を持っている企業とだけ取引を行うべきです。

また、営業マンに教育を施し、手形サイトが自社の経営にどのような影響を与えるのかを認識させた上で交渉をさせ、契約の時点で手形サイトの短縮を測るのも効果的です。

このほか、上記でも述べた通りに支払い遅延の際の条件をも取り交わしておき、支払いが遅れることへの危機感を持たせておくのも良いでしょう。

このような取り組みを行えば、手形サイトが長期化する件数は大幅に減少するはずです。

しかし、これらの取り組みは一定以上の期間にわたって継続的に取り組み、初めて効果が得られるものです。

今現在すでに手形サイトが長期化しており、支払いのための原資がなくて困っているのであれば、取り組みのための余裕はありません。

そのような場合には、ファクタリングによって手形を資金化するのが効果的です。

ファクタリングとは、手形や売掛金などの売掛債権をファクタリング会社に買い取ってもらうことによって、資金調達を行うことです。

手形サイトが長期化しているならば、保有している手形をまとめて買い取ってもらって資金化し、取引先への支払いに充てることができます。

手形を資金化するという意味では、銀行や手形割引業者に手形割引を依頼するのも良いでしょう。

しかし、手形割引では不渡りの際に弁済の必要が生じるというデメリットがあります。

また、手形サイトが長期化している、あまり質が良くない手形なのですから、それを割引したところで割引料は高くなるでしょうし、後になって不渡りの始末をしなければならなくなる可能性もあります。

これに対して、ファクタリングでは基本的に償還請求権放棄での取引が行われるため、万が一ファクタリングした手形が不渡りになった場合にも、弁済の必要はありません。

もちろん、ファクタリングは手形の信用力によって手数料が変わってきますから、手形サイトが長期化している手形では手数料が高くなる可能性もあります。

しかし、手数料が高くなるという点では手形割引と変わりませんし、リスクの移転につながる分だけファクタリングのほうが優れていると言えます。

 

ファクタリングを利用した経営改善の流れ

推奨される流れとしては、手形サイトが長期化して困っているならば、それらの手形を一旦まとめてファクタリングしてしまい、資金を作り出し、取引先への支払いが滞らないように配慮します。

これは、正しい商売観を保つことだけではなく、きちんと支払って自社の信用を保つという意味でも大切なことです。

次に、手形サイトが長期化していた取引先との取引を見直します。

自社の取引姿勢に問題があって手形サイトが長期化していた場合には、取引の際の交渉を改善することによって、手形サイトを短縮できます。

取引先への信用調査が不十分であり、支払い能力が低いがゆえに手形サイトが長期化していたならば、信用調査の方法を改めるのが効果的でしょう。

手形サイトが長期化している手形を整理してしまえば、支払いの原資を確保することができ、取引の見直しも容易になります。

そのために、手形サイトの長期化を防ぎたいのであれば、ファクタリングを活用しながら取り組んでいくことをお勧めします。

 

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