中小企業は、経営基盤がそれほど強くないことが多く、外部からの影響を受けて業績が悪化することもよくあります。
一時的な悪化ならばまだしも、年々悪化の一途をたどっているような場合、銀行から融資を受けることもだんだんと難しくなっていくものです。
では、業績悪化に歯止めがかからない会社では、どのように運転資金を引き出していけばよいのでしょうか。
元銀行員にインタビューし、実際の事例とともに聞いてみました。
業績悪化と銀行融資
それはもちろんそうです。業績悪化も、一時的ならばそれほど問題ありませんが、長期にわたって悪化していると大きな問題です。
今は返済力に問題がなかったとしても、今後も悪化が続いて黒字が徐々に縮小していけば、返済力は小さくなっていきます。
例えば、10の返済力を見込んで融資していたのに、それがだんだん悪化していくと、返済が難しいところまで落ちてしまうかもしれません。
ある程度までならば、銀行も融資して支援することができますが、どんどん返済力が小さくなっていれば、そのままではいずれ赤字になり、貸し倒れリスクは非常に高くなります。
将来的に貸し倒れリスクが高くなるかもしれない、そんな会社には貸したくないものです。
判断としては、融資を断ってしまうか、融資せずにリスケに応じるか、融資するか、基本的にこの三つとなります。
悪化の程度にもよりますが、融資を断るという判断には、かなり慎重になります。
銀行が融資を断るとき、いとも簡単に断っているように見えるかも知れませんが、実際にはかなり慎重ですよ。
だって、自行が融資しなくて、他行も融資しなければ、その会社は立ち直りようがなくなって、貸し倒れになるかもしれませんからね。
銀行にとって、融資を受けることにもリスクがありますが、断ることにもリスクがあるんです。
はい。融資謝絶のリスクを考えてみて、取引を打ち切るリスクが高いと思えば、別の方法を考えます。
まずはリスケですね。リスケで返済負担を軽くすれば、返済に回していた分だけ手元に資金が残ります。
毎月100万円返済している会社ならば、その負担がなくなったことで、毎月100万円の融資を受けているのと同じ効果があります。
しかし、リスケをすると金融機関からの信用格付けは落ちますから、今後の資金調達が難しくなります。
その結果、経営が悪化して貸し倒れリスクが高まるなら、リスケの意味はありませんね。
そういう場合、融資できる要素を見つけ出して融資することがあります。

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具体的な事例
実際のケースで、ウチがメインバンクとして取引していた会社があります。
仮にA社としますが、決算期に社長と面談すると、「今年は3000万円ほど足りないだろう」と言ってきました。いずれ融資をお願いするだろうからよろしく、とのことでした。
A社との付き合いは長かったので、普段から情報はある程度集めていました。それに、悪化が続いていたことも知っていましたからね。
売上は年々下がって、業績悪化が続いている、3000万円も足りないとなると、融資は難しいです。
しかし、メインバンクが撤退すれば、それ以外の銀行が融資するはずはありませんから、貸し倒れリスクもかなり高くなります。
それは避けたいと考えました。
いえ、リスケも考えませんでした。だって、メインバンクが率先してリスケに応じるような会社だとわかれば、信用はかなり落ちるでしょうからね。
リスケで少々改善しても、返済を再開した後に資金需要が発生するでしょうから、すぐにまた窮地に陥るかもしれません。
その時、どこの銀行にも頼れないという状況はまずいでしょう。メインバンクがリスケで追い込むようなことは避けなければいけません。
メインバンクだから簡単には手を引けない、というのは銀行にとっても大きなプレッシャーですよ。

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稟議が難しい
苦労しましたね。業績が悪化していて資金が不足する会社ですから、いくらメインバンクといってもポンポン融資するわけにはいきません。
メインバンクだから、というだけでは稟議は通りません。
A社を取り巻く環境も悪く、同業他社は苦戦の末に次々倒産しているような状況でした。
そのまま稟議を始めても、いずれ返済できなくなると考えるのが普通ですから、稟議は通らないでしょう。
まず、社長に今後の展望をヒアリングしました。
ここで改善の見込みなしと思えば、いよいよ支援は難しくなります。ですから、社長には前向きな展望を語ってもらいたいですね。
A社の場合、社長は「売上を回復していく自信はない」と語ったものの、「売上をなんとか維持しつつ、利益率を高める努力はしてきた」と話しました。
詳しく聞いてみると、数年前から仕入先の見直しを大々的に進めているとのことでした。
実際、売上は大きく下がっているのに対して、利益の減少はごく軽微だったんですね。これが救いでした。
売上は長期的に減少していて、それは確かに良くないことですが、利益の減少は食い止めていたんです。
つまり、返済力はそれほど減っていなかったということですね。
この努力を今後も継続することで、利益の維持は可能だろうと思いました。これが一つ目の好材料となりました。
売上は減少している、けれども返済力はある、という論理ですから、これは大きな材料です。
このほかにも、A社は仕入れ先を見直すだけではなく、仕入れる商品の見直しも進めていました。
これまでA社は、社長のこだわりで、社長の地元から割高で仕入れていたのですが、そのこだわりを一切捨てて仕入れを見直したことで、利益率が徐々に伸びていたんです。
このような努力によって、A社は今後も生き残っていけるのではないかと考えました。これも稟議の好材料とみなしました。

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根抵当権の増額で融資実行
いえ、残念ながら決めてとしては弱いです。どちらかと言えば、今後の期待よりも不安のほうが大きいですからね。
不安は大きいが期待もあるという程度です。
ですから、なにか後押しする材料が欲しい。こういうときには、担保が役に立ちます。
もちろん、経営が悪化している会社では、担保にできる資産がないことも多いです。しかし、すでに担保設定している資産でも、担保に活用できることもあります。
A社の場合、保全さえ固めれば何とか融資できるという状況でしたから、担保について色々考えてみたんです。
そして、すでにウチが担保に取っていた自宅不動産に注目しました。
この不動産には根抵当権(担保とした資産の価値に応じて極度額を定め、その範囲内で融資する、抵当権の一種)をつけていたのですが、まだ担保余力が認められたんですね。
そこで、根抵当権の極度を増額することで、希望の融資が可能な状況を作りました。
そうですね。しかし、何も知らないから融資を断られるということは、よほどひどい場合を除いて考えにくいです。
銀行員と相談するうちに、こんな方法ならば融資できるかもしれません、といった提案を受けることもあります。
しかし、悪い銀行員もいますからね。いい顔をして提案しながら、実際には社長の無知に付け込んで、早い段階で資産を押さえにかかるような場合もあるので注意です。
はい。しっかり勉強して、交渉上手になってほしいと思います。

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まとめ
売上の悪化が止まらない会社では、融資を受けることが難しくなります。
しかし、これまで企業努力をしてきた会社ならば、銀行にアピールできるポイントがあるはずです。
それをしっかりアピールし、それで不十分ならば何らかの保全を提供することによって、融資を受けられる可能性は十分に出てきます。
ぜひ、当サイトで知識をつけて、交渉上手になってください。
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