日本政策金融公庫を利用すべきか?その由来と特徴から考える

日本政策金融公庫は、民間金融機関の補完のために運営されている政府系金融機関です。

民間金融機関では融資が難しい会社への融資を担っており、中小企業の資金繰りに役立つ存在です。

したがって、民間金融機関からの融資が困難な会社は、日本政策金融公庫からの融資も検討すべきですが、これは日本政策金融公庫が万能というわけではありません

本稿では、日本政策金融公庫の由来や特徴から、日本政策金融公庫を利用すべき場合、民間金融機関を利用すべき場合について解説していきます。

日本政策金融公庫とは?

日本政策金融公庫とは、政府の出資によって運営されている政府系金融機関です。

政府系金融機関には複数の金融機関がありますが、そのうち

  • 小規模事業者向けに融資を行う国民生活金融公庫
  • 中小企業向けに設備投資などを中心に融資を行う中小企業金融公庫
  • 農林水産業者向けに融資を行う農林漁業金融公庫
  • 国際金融業務を主とする国際協力銀行

が統合され、2008年10月に日本政策金融公庫が誕生しました。

国際協力銀行は、2012年に再分離されているため、実質的には国民生活金融公庫、中小企業金融公庫、農林漁業金融公庫の三つが前身の公庫であり、日本政策金融公庫ではこれら三つの公庫の業務を引き継ぐ形で運営されています。

 

発足当初は、2012年に沖縄振興開発金融公庫も統合される予定であり、国民生活金融公庫、中小企業金融公庫、農林漁業金融公庫、国際協力銀行、沖縄振興開発金融公庫の5つが統合されたメガ公庫が誕生する計画でしたが、上記の通り国際協力銀行は再分離され、沖縄振興開発金融公庫の統合は実現していません。

国民生活金融公庫、中小企業金融公庫、農林漁業金融公庫の三つの公庫は、沖縄県を除く46都道府県を営業エリアとしていたことから、日本政策金融公庫でも同じ46都道府県を営業エリアとしています

沖縄県での公的融資については、日本政策金融公庫と沖縄振興開発金融公庫の統合が実現していないため、現在も沖縄振興開発金融公庫が担っています。

日本政策金融公庫の目的

日本には、都市銀行、地方銀行、信用金庫、信用組合など、たくさんの金融機関が存在しており、日本全国を網羅して金融システムを成り立たせています。

このため、政府がわざわざ公庫を作って金融システムに介入する必要はないようにも思えます。

では、なぜ国民生活金融公庫、中小企業金融公庫、農林漁業金融公庫といった公庫、そして統合後の日本政策金融公庫が運営されているのかと言えば、それは政府の政策を経済・金融に反映するためです。

経済・金融政策は政府にとって非常に重要な政策の一つと言えますが、その政策を進めていくにあたって、民間金融機関を主導としていくことはできません。

もちろん、民間金融機関は金融庁の監督を受けており、金融庁の指導によって運営されているため、民間金融機関にもある程度は政府の意思が反映されています

しかし、民間金融機関は、あくまでも「民間」の存在だ。

多くの民間金融機関が株式を上場して運営されていることから、公的な使命を帯びていると同時に、営利目的の民間企業としての側面も持っています。

このため、民間金融機関は株主の利益も考えながら、ある程度は利益を追求した運営も必要となります。また、預金者の預金の保護も重要な使命です。

民間の金融機関の限界

これにより、民間の金融機関を介して政策を推進していくことには限界があります

例えば、政府の経済政策の一つとして、雇用を生み出して国民の生活を安定させるというものがあります。

そのためには、起業を促して雇用を生み出したり、企業の成長を促して雇用を生み出したり、企業の倒産を防いで雇用の減少を防いだりする必要があります。

起業のためには創業資金が必要であり、企業の成長や倒産防止のためには資金繰りのための融資が必要です。

しかし、起業は失敗に終わる可能性が高く、貸し倒れになれば民間金融機関は損失を被ります。

企業の資金繰りを支援するにしても、貸し倒れの危険がある会社に融資をすれば、貸し倒れによる損失を被る可能性が高くなります。

民間金融機関は、利益を追求する企業として、また預金者保護の義務を担う機関として、融資先を慎重に選んでいく必要があります。

したがって、いくら政府が政策のために、起業家への融資や資金繰りへの支援を求めたとしても限界があるのです。

そこで、民間金融機関が対応しにくい資金需要に対しては政府の金融機関が対応する、つまり民間金融機関の補完という立場で運営されているのが政府系金融機関です。

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日本政策金融公庫の特徴

政府系金融機関は、あくまでも政策推進を目的として運営されている金融機関であり、営利目的ではありません。

営利目的である民間金融機関では、貸し倒れリスクが高い会社に対して、損失を避けるために融資を拒否する必要があります。

これに対し、政府系金融機関は営利目的ではないからこそ、民間金融機関で融資できない会社に融資することも可能です。

これが、日本政策金融公庫の最大の特徴ともいえる点よ!

実際、民間金融機関では融資を出すことが難しい創業資金は、日本政策金融公庫から融資を受けることが非常に多くなっています。

もちろん、これから創業するわけではなく、すでに経営を続けてきた会社においても、民間金融機関から融資を受けられない場合には、日本政策金融公庫が役に立ちます

 

さらに、民間金融機関から融資を受けられない会社というのは、財務状況に何らかの問題を抱えている可能性が高く、だからこそ民間金融機関から融資を拒否されています。

これから創業する会社には実績がなく、収益力が未知数であるため返済力も量ることができず、財務的に不安定であり、手元資金も少ないのが普通です。

すでに経営している会社でも、財務や業績に問題があり、返済力や資金繰りの安定性に問題があることが多いのです。

そのような会社に融資を行うからこそ、日本政策金融公庫では会社にとって負担になりすぎない融資条件に設定されることも少なくありません。

固定かつ低金利で長期融資を出してくれることもあり、資金繰りに大きく役立ちます。

民間金融機関から融資を受けられない会社では、日本政策金融公庫を大いに活用していきたいものです。

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民業を圧迫してはいけない立場にある

ただし、政府系金融機関のもう一つの特徴として、民業を圧迫しないというものがあります。

政府系金融機関は、民間金融機関の補完を目的とする金融機関です。そのため、補完の立場にある日本政策金融公庫が、民間金融機関の収益機会を奪ってはなりません

つまり、日本政策金融公庫がいくら起業家や中小企業の役に立つ金融機関だからといって、融資希望者が日本政策金融公庫に流れてしまい、民間金融機関が融資できない(つまり利息収入が得られない)状況を作ってはならないということです。

実際には、日本政策金融公庫の融資が民間金融機関の収益機会を奪っている事例もありますが、それに対して全銀協が政府系金融機関を批判するなどの問題も起こっています。

このため、日本政策金融公庫はこのような問題も考慮しながら融資していくべき立場にあり、必ずしも簡単に融資を受けられるとは限りません。

民間金融機関が利用できるならそちらを優先すべき

現在、マイナス金利政策の影響から、信用が高く民間金融機関でプロパー融資を受けられる会社は、かなりの低金利で融資を受けることができます

そのような会社が、あえて日本政策金融公庫から融資を受けようとすれば、かえって高い金利で借りることになってしまいます

また、民間企業として利益も重視する民間金融機関では、その会社と取引メリットがあるかどうかを重視しています。

このため、その会社が定期預金を預けてくれる、売掛金の入金口座に使ってくれる、為替取引に利用してくれるなどのメリットがあれば、好条件での融資を検討します。

 

しかし、利益を求めていない政府系金融機関では、このような取引メリットを考慮しないため、せっかく良い交渉カードを持っていても、融資条件に反映していくことが困難です。

このような会社は、日本政策金融公庫ではなく、民間金融機関で融資を受けたほうが賢明です。

信用を活用して低金利でプロパー融資を引き出したり、交渉カードを活用して良い条件での融資を引き出したりすることを考えるべきです。

日本政策金融公庫の立場や特徴をよく理解しておくと、政府系金融機関と民間金融機関のどちらからでも融資を受けられる場合に、より資金繰りに役立つほうを適切に選ぶことができます。

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まとめ

日本政策金融公庫の由来と特徴を知れば、民間金融機関からの融資を受けられない会社にとって、資金繰りに役立つことが分かります。

しかし、その由来と特徴がもたらす性質には、

  • 民間金融機関から融資を受けられない会社には好都合
  • 民間金融機関から融資を受けられる会社には不都合

という二面性があります。

この点をよく理解したうえで、日本政策金融公庫と民間金融機関をうまく使い分けていくことが大切です。

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