助成金には様々なものがあり、支給のための要件や支給額がそれぞれ異なります。
また、特に雇用系助成金に多いのですが、中小企業と大企業で支給額が異なることや、中小企業しか利用できないこともあります。
多くの場合、中小企業のほうが良い条件で助成金を受給することができます。
そのため、計画的に助成金を活用するためには、中小企業と大企業の区分をしっかり把握しておく必要があります。
本稿では、助成金における中小企業と大企業の区分について解説していきます。
会社の規模によって異なる助成金
助成金制度について、厚生労働省のパンフレットなどを見てみると、中小企業と大企業では支給額が異なる場合があります。例えば、
< >は生産性の向上が認められる場合の額、( )内は中小企業以外の額」
といった設定がされていることがあります。
ほかにも、中小企業のみを対象とし、大企業は支給の対象外としている助成金もあります。
そして、助成金の支給額が異なる場合には、中小企業への支給額のほうが大きくなっているのが普通です。
中小企業だけを対象として大企業を対象としない助成金はあっても、大企業だけを対象として中小企業を対象としない助成金はほとんどありません。
これは、そもそも助成金制度が、主に中小企業を対象として実施されているためです。
企業数で見たとき、大企業の数は1%に満たず、日本の全企業のほとんどが中小企業に区分されます。
日本経済は中小企業なくしては成り立ちません。
しかし中小企業というものは、経営基盤がぜい弱であり、働き方改革などの政府の取り組みに大きな影響を受けるものでもあります。

だからこそ政府は、日本経済の根幹を担っており、デリケートな存在である中小企業を積極的に支援し、経済全体の発展を促しているんだ。
これが、助成金制度で中小企業が優遇されている理由です。

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中小企業と大企業の区分は?
では、中小企業と大企業は何を以て分けられているのでしょうか。
中小企業と大企業は、資本金あるいは常時雇用する労働者数によって区分されています。
すなわち、
業種 | 資本金額 | 常時雇用する労働者数 |
小売・飲食業 | 5000万円以下 | 50人以下 |
サービス業 | 5000万円以下 | 100人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
その他業種 | 3億円以下 | 300人以下 |
という業種別の基準が設けられています。
この表の資本金額または常時雇用する労働者数のいずれかを満たす会社は、全て中小企業に区分されます。
両方の基準を超えている会社は、大企業に区分されます。

例えば、サービス業者であれば、資本金額が5001万円で基準を超えていても、常時雇用する労働者数が100人であれば基準に収まっており、中小企業に区分されるぞ。
もし、資本金額5001万円の会社で、常時雇用する労働者数が101人であれば、両方の基準を超えるため大企業区分となります。

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勘違いしやすい点に注意
勘違いしやすいのが、常時雇用する労働者の考え方です。
常時雇用する労働者とは、2ヶ月を超えて使用される労働者、あるいは週所定労働時間が正規雇用者と同等の労働者のことです。
これを、「有期契約労働者は含まれない」と考える人も多いのですが、有期契約労働者でも2ヶ月超の有期契約であったり、フルタイムの有期契約であったりすれば、常時雇用する労働者に含まれます。
また、事業所が複数ある会社では、事業所ごとにカウントするのではなく、法人全体の人数で区分します。これは、事業所ごとに雇用保険適用事業所となっている場合でも、法人全体の人数で区分されます。
助成金によっては、「1事業所当たり最大○人まで」というように、事業所ごとに助成金を支給するものも多く、事業所ごとに考えてしまいがちなのですが、中小企業と大企業の区分については法人全体を基準とすることに注意しましょう。
法人によっては判断が異なる
会社によっては、社会福祉法人や医療法人など、資本金がない法人もあります。
このような法人は、株式を発行して集めた資本によって事業を行うものではなく、資本金という概念がないのです。
資本金がない法人は、上記の表における資本金額によって、中小企業と大企業を区分することができません。

このため、中小企業と大企業を常時雇用する労働者数のみによって区分することとなるわ。
このような区分をする業種の代表的なものは、介護サービス業者です。
介護サービス業は社会福祉法人として運営されていることが多いです。
資本金がないため、中小企業と大企業の区分は、常時雇用する労働者数が100人以下であるかどうかを基準として判断します。
介護サービス業者では、多くの介護士を雇わなければならないケースが多く、常時雇用する労働者数が100人を超過することもよくあります。
経営する側としては、決して労働力に余裕のあるとはいえず、業績・財務的にもラクではなく、大企業としての自覚は全くないかもしれません。
しかし、区分的には大企業として区分されるため、助成金の活用でも中小企業区分が適用されません。
労働者を多く必要とする介護サービス業だからこそ、雇用系助成金を良い条件で利用したいと考える会社も多いと思います。そのためには、自社の区分を正しく把握しながら活用していく必要があります。

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区分が変更されるタイミングにも注意
自社が利用できる助成金と条件を正しく把握しなければ、助成金を活用することは難しく、期待した通りの条件では利用できなくなる可能性もあります。
例えば、資本金5001万円のサービス業者で、常時雇用する労働者数が100人の会社は中小企業に区分されます。
しかし、人手不足となって1人の労働者を新規に雇用した場合、常時雇用する労働者数は101人となって大企業区分に変更されます。
それまで中小企業区分で助成金を活用してきた会社では、それ以降の経営計画にも中小企業区分での助成金活用を考えるかもしれません。

しかし、以降は大企業区分が適用されるため、それを踏まえて助成金の活用を考えていく必要があるよ。
もし、中小企業区分で助成金を使い続ける計画であれば、新規に雇用することによって労働力を確保するのではなく、
業務効率化などによって従業員1人当たりの生産性を向上させ、中小企業区分を維持し続ける方法も考えられます。
このように、自社に最も良い形で助成金を活用するためにも、企業区分を意識しておきましょう。

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まとめ
本稿で紹介した通り、中小企業と大企業は明確な基準によって区分されており、それによって助成金の内容が変わることも多いです。
このため、助成金を活用しながら、計画的に経営していくためには、自社の区分をしっかり把握しておき、事業拡大に伴って区分が変わるタイミングなども考慮しながら計画を立てる必要があります。
単に、自社の区分を把握するだけならば簡単でしょうが、助成金を計画的に活用していくことまで考えるならば、社労士のアドバイスを受けながら取り組んだほうが間違いないでしょう。
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