貸借対照表は、会社の財務状況をまとめたものであり、銀行の与信判断に大きく影響するものです。
この内容から、「煩雑で財務的に弱い」とみなされるか、「すっきりしていて財務的に強い」とみなされるかによって、融資の受けやすさは変わってきます。
では、貸借対照表をすっきりときれいなものにし、さらに強化していくためには、どのような方法が好ましいのでしょうか。
簡単なアプローチについて、銀行員に話を聞いてみました。
無駄な資産を除去する
そんな都合のいい方法があれば、誰でもやっている・・・と言いたいところですが、お勧めできる方法がありますよ。

都合のいい方法だからこそ、盲点なのかもしれないわね。
どの会社にも無駄はあるものですね。
ましてや、貸借対照表を改善する方法が知りたい、つまりその方法を知らないのですから、無駄になっているものを見落としている可能性も高いでしょう。
まずは、そのような「財務的な無駄」を省くことから始めるのがおすすめです。
どこから手を付けるべきでしょうか。
色々ある無駄の中でも、判断に迷う無駄については、とりあえず後回しでいいでしょう。
下手に削減してしまって、それが経営に必要なものであれば大変ですから。
それよりも、誰がどう見ても無駄なものから省いていきます。
業歴がそこそこ長くなると、長年のうちに忘れ去られた無駄な資産もあるはずです。
ゴルフの会員権、必要のない保険、使っていない不動産が代表的な無駄ですね。
このような無駄な資産は、処分すれば損失になってしまうから、処分できずに困っていることもあると思います。
保険ならば、返戻率が高くなるまでもうすこし時間がかかるとか、不動産ならば買ったときよりも価値が目減りしているとか、そういったケースも多いと思います。

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そうです。
含み損を抱えている資産は、それを削減することで損失になります。
保険ならば、期待していた返戻金を受け取ることはできませんから、掛け金を大きく損することになります。
それでも、ともかくそういった無駄な資産は一旦削減して、目減りするにせよ現金になるものは現金化するんです。
ほかには、貸し倒れが分かっている売掛金が計上されっぱなしになっている、明らかな不良在庫が棚卸資産として計上されたまま、といった場合にも、資産から省いていきます。
貸借対照表は、左側に資産、右側に負債と資本が記載されていますね。
無駄な不動産を削減すれば、固定資産は圧縮されますし、不良債権や不良在庫を削減すれば、流動資産は減ります。
削減に伴って現金化できた部分は、流動資産の増加につながります。

こうして資産が削られていけば、全体で見たときに資本の割合が増えることに繋がるんだな。
総資産が圧縮されたことで、相対的に資本の割合が増えて、自己資本比率が高くなります。
また、無駄な資産でごちゃごちゃしていた部分がすっきりしますね。
これによって、貸借対照表が見違えるようにきれいになりますから、それもポイントと言えるでしょう。
自己資本比率が高まることは、文句なしに良いものと評価できます。
また、不良債権や不良在庫、無駄な資産をどんどん削減して、その結果として貸借対照表がきれいになっているのです。
銀行にとっては、貸借対照表への信頼が高まりますし、良い傾向と捉えることが多いです。

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増資も検討する
それは勿論です。
資本金を増やすことは、財務の安定・強化に欠かせないでしょう。
増資も効果的ですが、それ以外にも利益を積み増すという方法もあります。
そうですね。
売上は簡単に伸ばせるものではありませんし、利益率を高めるのにも限界があります。

利益を増やす努力をすると同時に、利益を減らさない努力をすることが重要です。
それは、利益率を高めるときに取り組んでいるはずですから、あまり工夫の余地がありません。
それよりも、節税の見直しが効果的です。
無駄な資産を削減していくと同時に、無駄な節税もやめてしまうのです。
そうです。
節税によって納税額が小さくなれば、利益を守ることにつながります。
しかし、そのために無駄な節税をして利益を減らしてしまえば、却って手元に残る利益は減ります。
そこで、節税は本当に効果的な範囲内に限定して、その上で発生する税金は潔く払って、手元に残る利益をできるだけ確保したほうが財務的には強くなります。
利益の積み増しに比べると、増資のほうが手っ取り早く効果が表れますね。
増資さえ獲得できれば、一気に自己資本は増えますから。
ベンチャーキャピタルなどから増資を受けるのは、普通の会社には不可能です。
それでも、社長や役員が出資したり、社長や役員からの借入金を資本金に振り替えたりすることは、どの会社でも可能です。
ただし、増資では気をつけなければならないこともあります。

経営権の問題が出てくるからね。
もし、自社が将来的に株式公開を目指しているならば、安易に増資してしまうと、質の悪い株主が紛れ込んでいることで、後々障害になることもあります。
実際、株主公開にあたって、以前増資の際に入り込んだ株主をどうしようかと、悩んでいる会社は少なくありません。
いくら増資が効果的と言っても、後々苦労してしまうのでは意味がありませんから、検討を重ねることも必要でしょうね。

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借入れの構造を変える
借入れの構造を変えるというアプローチも、大きな効果が見込めます。
一口に借入れと言っても、内容は色々ありますね。
借入先、借入額、借入金利、返済期間など、色々な違いがあります。
特に、その借入れが短期か、長期かによって構造は大きく変わります。
例えば、100万円の借入れがあったとして、それが半年後に返済の場合と、3年後に返済の場合とでは、資金繰りへの影響は大きく変わりますよね。
貸借対照表を良いものにするには、短期の借入れをできるだけ減らして、長期の借入れをできるだけ増やすのがポイントです。
もちろん、すでに借りているものについて、「短期から長期に変更してください」とお願いするのではありません。
それは、返済計画の変更、つまりリスケジュールになるのですから、貸借対照表の内容が良くなったとしても、重大な信用不安につながりますからね。
そうです。
経営をしていれば、どうせ今後も借入れの機会はあるのですから、できるだけ借入期間が長期になるように意識して、融資交渉をしていくということです。
また、自社の業績や財務が好調で、銀行から借りてほしいと提案されているようであれば、短期の借入れを長期に一本化できる可能性もありますね。
それができれば、貸借対照表の内容は良くなりますし、財務的に強くなります。
そうですよ。
貸借対照表の右側、負債と資本金の部分で見てみると、
一番安定している資金は返済の必要がない資本金、
次に安定しているのは、返済の必要はあっても長期で返済する長期借入金、
そして最も不安定で、資金繰りへの影響も大きいのが短期借入金です。
会社の財務を安定させたいならば、短期よりも長期で借り入れたほうが、確実に効果があります。

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まとめ
本稿では、銀行員に具体的なアプローチを聞いてきました。
この内容をまとめると、
- 無駄な資産を削減する(すぐにできる取り組み)
- 利益の積み増しや増資を検討する(徐々にできる取り組み)
- 短期の借入れを減らし、長期の借入れを増やしていく(徐々にできる取り組み)
というアプローチによって、貸借対照表の内容を改善し、財務の強化を図ることができます。

すぐに始められる取り組みも多いので、ぜひ実践してみてほしい!
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