成長期の会社は、会社や商品の認知度も高まり、売上は右肩上がりとなります。
新規顧客が獲得できるだけではなく、それがリピーターになり、売上が順調に伸びていくのです。
この時、新規顧客を競合他社よりもいかに獲得していくかということ、つまりシェアの拡大を図ることが非常に重要です。
それだけに資金需要も旺盛で、資金ショートを防ぐために、しっかりと資金繰りを管理していく必要があります。
本稿では、成長期の会社がどんどんお金を集めるべき理由と方法を紹介していきます。
成長期と借金
創業期は、会社や商品への認知度が低く、なかなか売上が伸びていきません。
しかし、創業期の苦しい資金繰りの中で、宣伝広告や販促をしぶとく展開し、徐々に認知度が高まり、新規顧客が増えていくと、売上がだんだんと右肩上がりになっていきます。
このように、売上が順調に伸びていく時期を、会社における成長期と言います。
売上が順調に伸びていく時期には、資金繰りがかなりラクになります。
なぜならば、融資を受けるのがラクになるからです。
会社の成長は、いつまでも続くわけではありません。
したがって、今の成長はいつか停滞へと向かっていき、その停滞を払しょくしなければ衰退へと進んでいくことになるでしょう。
しかし、金融機関は将来的な見通しよりも、これまでの事業実績を重視します。
創業期から努力を続け、現在右肩上がりに売上が伸びている会社には、その後も売上が伸び続けると仮定して融資を行います。
いずれは停滞することを見越して、融資をしないということは、よほど斜陽産業でもなければ考えにくいことです。

業績が停滞してくると、金融機関は融資を出しにくくなるため、借りやすい成長期にできるだけ融資を申し込んでおくのです。
好調な時期には資金繰りに余裕があり、借金をせずとも資金繰りが問題なく回っていくという会社もあるでしょう。
そのような会社は、わざわざ融資を受けたくないと考える傾向があります。
特に、成長期に至って、ようやく創業融資の返済が終わった会社であれば、また返済をするのはうんざりだと考える経営者もいると思います。
しかし、ここで借りなければ、後で後悔する可能性が非常に高いです。
成長期に借りておかなければ後悔する
成長期は融資のチャンスです。
金融機関は、順調に利益を出しており、返済力が十分にある会社には積極的に融資してくれます。
きちんと返してくれるお客さんは、金融機関にとっては利息を稼がせてくれる良いお客さんであり、金融機関の方から営業をかけてでも融資を出したいと考えるのです。
だからこそ、成長期に融資を受けることには、以下のようなメリットがあります。
事業拡大の好機
成長期には思いのほかに業績が伸びていくものですから、それに満足してしまう経営者が多いことも、借金をしたがらない一つの理由だと思います。
しかし、成長期の勢いを十分に活かすことなく、借金をしてでも事業を拡大できなかった会社は、競合他社に取り残され、落ちこぼれてしまう可能性が高いです。
競合他社よりもシェアを伸ばすために、設備投資や商品開発、新規販売ルートの開拓、新規の店舗や支店の開業など、やるべきことはたくさんあり、必要となる資金は膨大です。
この意味でも、積極的に融資を受けていくことが非常に大切です。
融資条件が良い
成長期には、金融機関の営業マンが会社に足を運び、融資金額、金利、返済期間なども、会社にとって有利な条件を提示してくれます。
これは、他の金融機関よりも優先して借りてほしいからです。
もし、成長が停滞している会社ならばどうでしょうか。
金融機関の営業マンが会社に足を運んで「借りてください」などということはありません。
経営者みずから金融機関に足を運び、時にはあまり有利とは言えない条件でなければ借りられないことも多いです。
融資金額や金利、返済期間が不利になるだけではなく、信用保証協会付きでなければ借りられず、保証協会への保証料もかかってしまう可能性が高いです。

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新規の金融機関の開拓に便利
また、成長期にはこれまで取引がなかった金融機関との新規取引も開拓しやすいです。
これまで付き合いのなかった金融機関の営業マンが訪問してくるのですから、当然ですね。
しかし、売上の伸びが鈍くなってくると、営業マンは訪問してこなくなります。
資金繰りが厳しくなったとき、「あんなに借りてくれと言っていたし・・・」と思って経営者が訪問しても、金融機関は基本的に新規の融資取引には消極的ですから、融資を受けられない可能性も高いです。
返済実績を作るチャンス
成長期は、売上が順調で、融資条件も良いのですから、返済に困ることはないでしょう。
問題なく返済を続けていけば、金融機関に対して返済実績ができ、評価が良くなります。

金融機関に融資を申し込んだとき、金融機関は決算の数字だけではなく、これまでの返済実績も加味して融資の可否を決めていきます。
新規融資を希望する会社は、返済実績がないために消極的であり、返済実績のある会社であれば安心してお金を貸せると考えるのです。
このことから、会社の成長期は返済実績を増やし、停滞期にも問題なく資金を調達するために備える時期であるとも言えます。
以上のように、成長期には、既存・新規を問わずに金融機関の営業マンが訪ねてきてきます。
しかも好条件でプロパー融資を出してくれ、返済実績もラクに作っていくことができます。
このような好機を逃す手はないのです。
この好機を逃すと、停滞期に資金繰りに苦労することになります。
成長期に融資を受けておかなかった経営者は、この時初めて、「成長期に借りておけばよかった」と嘆くことになるのです。

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成長期には助成金や補助金の利用も可能
成長期には、金融機関からの融資だけではなく、助成金や補助金の利用も効果的です。
助成金と補助金の概要は以下の通りです。
助成金
助成金とは、主に労働環境の整備を目的とした国の施策であり、そのために努力や工夫をした会社に対して交付されるものです。
いわば、ご褒美的なものだと考えてください。
助成金をもらうためには、社員を教育したり、正社員化したり、有給休暇を増やしたり、育児休業を認めたり、残業時間を減らしたりする必要があります。
そうすると、短期的にはマイナスの影響も出ると思います。

- 社員教育によって仕事の質が上がる
- パートから正社員にすることで責任感をもって仕事をするようになる
- 育児休暇や有給休暇、残業の削減などを促進すると、実質的な労働時間が少なくなる
- そのため、業務の効率化を図るきっかけとなる
など、会社にとって色々なプラスが現れます。
ご褒美的なお金が交付され、会社にも長期的にプラスになるのが助成金だと考えてください。
トライアル雇用助成金
助成金には色々なものがありますが、成長期の会社が利用しやすい代表的な助成金としては「トライアル雇用助成金」があります。
この助成金は、職業経験や技能、知識などが不足していることによって安定的な就職ができていない人を、ハローワークを通じて最長3ヶ月間の試行雇用した場合に交付される助成金であり、試行雇用1人につき月額4万円(母子・父子家庭の場合には5万円)の助成金が交付されます。
この助成金は、就職が困難な人の雇用を促進することが目的です。
事業主は助成金をもらいながら、最長3ヶ月間の試行期間に適正を見極めることができるため、本当に有用な人材を雇用することができるというメリットがあります。
ただし、このような属性の人を単に雇うだけではなく、
- トライアル雇用労働者に関わる雇用保険被保険者資格取得の届け出を行なっていること
- 労働基準法に規定する労働者名簿、賃金台帳等を整備・保管していること
- トライアル雇用期間中に支払う賃金をきちんと支払ったこと
などの要件があります。
それでも、成長期には人材が欲しいものです。
この制度を利用し、試行期間に人材の適正を見極め、なおかつ助成金で賃金の一部を賄うことができるのですから、成長期の会社にはありがたい制度だと言ってよいでしょう。

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補助金
補助金とは、会社を補助するためのものです。
社会の役に立つ事業を展開しようとしている会社に対し、設備投資、販路拡大、商品開発などの費用を補助することが目的です。
それぞれの目的にかかった費用の一部が支給されるため、助成金と比較すると交付額も大きいのが特徴です。
革新的ものづくり・商業・サービス開発支援補助金
補助金にも色々なものがありますが、成長期の会社が利用しやすいものとしては、補助金ならば「革新的ものづくり・商業・サービス開発支援補助金」が利用可能です。
この補助金は、成長を目指す中小企業・小規模事業者への成長支援を目的としています。
補助金を受けるためには、
- 今後3~5年間、付加価値額が年率3%以上増加すること
- 今後3~5年間、経常利益が年率1%以上増加すること
を達成できる事業計画が必要となります。
このほか、認定支援機関のバックアップを受けていることも要件となります。
認定支援機関とは、
「中小企業の経営相談に対応できる税務・金融・財務などの専門知識を持っており、なおかつ実務経験が一般以上である個人・法人・団体に対し、国が認定する公的な支援機関」
のことです。
補助金額は、AIやロボットに関する設備投資の場合には最大で3000万円、その他の機械設備や計測機器、ソフトウェアなどの設備投資の場合には500~1000万円となっています。
助成金も補助金も、金融機関からの融資とは異なり、返済の必要がないという大きなメリットがあります。
また、助成金や補助金を受けておくと、ある意味で政府のお墨付きをもらったこととなり、良い会社であることの証明にもなります。
そのため、民間の金融機関から融資を受けられなくなった時に、日本政策金融公庫を利用しやすくなるというメリットもあります。

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まとめ
本稿で紹介した通り、成長期は最も資金の供給が旺盛になる時期です。
また資金需要も旺盛な時期です。
したがって、資金需要に思い切り応えて事業を拡大していくためにも、金融機関からの融資や助成金・補助金などを積極的に利用していくことが重要となります。