今後普及が予想されるジョブ型正社員とは?人材確保や助成金との関係は?

先日、規制改革推進会議の答申が提出され、ジョブ型正社員普及のための法整備を進めていく方針が明らかとなりました。

ジョブ型正社員とは・・
勤務地や職務の範囲、就労時間などの労働条件を限定して働く正社員のことで、雇用の促進や両立支援への効果が期待されています。

本稿では、このような流れを受けて中小企業が取り組んでいくべき、ジョブ型正社員の導入について解説していきます。

ジョブ型正社員普及に向けて

6月6日、規制改革推進会議が答申を提出しました。

規制改革推進会議とは、内閣設置法に基づいて設置されている内閣府の諮問会議です。

その目的については、

経済に関する基本的かつ重要な政策に関する施策を推進する観点から、内閣総理大臣の諮問に応じ、経済社会の構造改革を進める上で必要な規制の在り方の改革(情報通信技術の活用その他による手続の簡素化による規制の在り方の改革を含む。)に関する基本的事項を総合的に調査審議すること。

とされています。

政府の進める政策の方向性に影響を持つ機関であることから、規制改革推進会議の動向には注目しておく必要があります。

ジョブ型正社員とは?

規制改革推進会議の答申によると、今後の雇用分野への取り組みでは、ジョブ型正社員の普及に向けた法整備が進められていくようです。

ジョブ型正社員とは、その従業員を正社員として雇用するにあたって、勤務地・職務の範囲・就労時間などを限定した社員のことです。

ジョブ型正社員ではない一般的な正社員では、勤務地や職務の範囲、就労時間などが曖昧になっていることがほとんどです。

もちろん、労使間で一定の認識はあるものの、正社員ならば転勤を受け入れる人がほとんどですし、職務がなし崩し的に拡大したとしても、正社員であれば仕方がないと考える風潮があります。

時間外労働も、当たり前に受け入れるものです。

これは、労働条件を明文化しないことによって起こる問題です。

政府は働き方改革を推進する一環として、労働条件の改善に取り組んでいるため、このような問題を解決すべく、労働条件の明文化を義務付ける方針です。

この方針のためにも、ジョブ型正社員の普及が急務となっているわ。

労働条件を明確に定めたジョブ型正社員が普及していけば、労働条件が曖昧なことによる問題の解消につながっていくというわけです。

女性の活躍推進のためにも

もっとも、このような動きの背景には、政府が女性の活躍を推進していることも挙げられます。

総務省の労働力調査によれば、2018年の就業者は6664万人となっています。

前年比で134万人の増加となっていることから、女性・若年者・高年齢者などの雇用の促進や両立支援を通して、労働人口の維持・増加を図ってきた政府の取り組みが、功を奏していることが分かります。

この変化の中でも特に目立ったのが、増加した134万人のうち87万人、増加数の65%を女性が占めていたことだ。

しかし、これが女性の活躍推進や両立支援の結果かといえば、やや疑問も残ります。

増加した女性労働者のうち、育児世代の助成は育児と仕事の両立のために、非正規雇用を選んで就労する人もまだまだ多いに違いありません。

政府は、女性の活躍推進が軌道に乗りつつある事実を踏まえて、職務や就労時間が限定されているジョブ型正社員を普及させ、女性労働者が正社員として働きやすい環境を整えていこうとしているのです。

ジョブ型正社員の普及は、働き方改革の柱になるかもしれないね。

ジョブ型正社員の現状

ジョブ型正社員は、欧米では一般的な雇用形態ですが、日本ではそれほど普及していません。

特に、中小企業においては普及率が低くなっています。

企業規模ごとに普及率を比較してみると、このことがよくわかります。

正社員雇用に、働き方を限定する雇用区分を設けている会社は、

  • 49人以下の会社:29.9%
  • 50~99人の会社:31.0%
  • 100~299人の会社:34.5%
  • 300~499人の会社:37.7%
  • 500~999人の会社:47.7%
  • 1000人以上の会社:62.2%

となっており、企業規模とジョブ型正社員の普及率には強い相関があることが分かります。

規模が大きい会社ほど、人材募集にジョブ型正社員を活用する姿勢も強いようね。

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ジョブ型正社員のメリット

一般的に、大企業の経営陣には優秀な人材がそろっており、企業の生き残りのための舵取りも中小企業よりずっと正確です。

そんな大企業ほど、ジョブ型正社員の導入に積極的になっているのですから、やはり相応の理由・メリットがあります。

採用の幅が広がる

日本では、14歳以下人口が減少を続けており、ゆくゆくは新卒の人材も大幅に減ってくることが予想されるため、新卒に偏重した採用を続けている会社は、採用の方針を見直す必要があります。

ジョブ型正社員の採用ができれば、育児や介護などの事情を抱えた人でも、正社員として採用しやすくなります。

例えば、育児を抱えている女性は時間に自由が利かず、時間外労働がこなせずに正社員として就労できない人も多いです。

そこで、決められた時間で決められた職務をこなして定時に帰宅でき、有給休暇も取得しやすいジョブ型正社員で働くことによって、育児との両立も容易になります。

会社側から見れば、ジョブ型正社員を導入することにより、このような人材を確保できる環境を整えていけば、採用の幅が広がります。

一般的な正社員だけしか採用しなかった頃と比べて、より多くの人材が正社員として働くことを希望し、人材確保の機会も増えることでしょう。

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優秀な人材を確保できる

採用の幅が広がることと関連するメリットですが、ジョブ型正社員の導入によって採用の幅が広がり、応募してくる人材の絶対数が増えれば、それだけでも優秀な人材を確保できる可能性が高まります。

しかし、ジョブ型正社員で職務を限定することにより、特に優秀な人材の確保につながる可能性があります。

ここでいう「優秀な人材」は、「専門性が高い人材」とも言えるかもしれません。

ジョブ型正社員を希望する人の中には、特定の事柄について高い専門性とスキルを有しているものの、一方で特定の事柄を苦手としている人もいます。

例えば、非常に高い専門性を持っていながらコミュニケーションをとることを苦手としているようなケースです。

このような人材は、職場内で一般的に求められるチームワークを乱してしまったり、顧客対応で失敗をしてしまったり、「つぶしがきかない」人材であるため、通常の正社員として雇用しにくくなります。

しかし、特定の分野で大きな強みを持っている人材ならば、採用を見送るのはもったいないことです。

そこで、強みのある分野の職務に限定して雇用し、その職務で大いに力を発揮してもらうために、ジョブ型正社員が役立つのです。

職務の限定という点において、限定的な職務で高い能力を持った、優秀な人材を確保すれば、その職務での生産性が大幅に向上します。

また、将来的にはその人材を指導者として社内教育を実施するなどして、若手の育成につなげていくことも期待できます。

特定の欠点によって働きづらかった労働者も、ジョブ型正社員なら得意分野を活かして働ける。人材の強みを引き出していけるのだ!

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転換しやすくなる

このほか、転換しやすくなることも大きなメリットです。

個々の事情と仕事の両立の難しさから、あえて時間に自由の利く非正規雇用にとどまっている労働者は、いくら能力や適性があって、会社が正社員に転換したいと思っても、転換することはできません。

キャリアアップ助成金の正社員化コースでは、転換によって助成金を受給できますが、転換しにくい人材は助成金の受給が困難です。

助成金を活用できる機会の損失とも言えます。

転換できずに非正規雇用に留まっている状態では、何かのきっかけで離職しやすい状態でもありますから、人材の流出を招く可能性も高いです。

また、転換できない人材の中には、可能ならば正社員として働きたいと思っている人が大勢います。

そのような人材は、自分の抱えている事情と仕事の両立ができる会社で正社員雇用を目指すために、自社から離れていくことも考えられます。

このような人材の流出を防ぐためには、通常の正社員への転換が難しい人材でも転換できるように、ジョブ型正社員に転換できる体制を整えるのが効果的です。

そうすれば、より多くの人材が転換を受け入れられるようになり、助成金を活用できるチャンスが増え、定着率も高まります。

また、ジョブ型正社員として働くことを望む人材が他社から自社に流れて来ることもあり、これも人材確保を加速させます。

人材不足を解消するためには、人材の流出を防ぐことが不可欠よ。

ジョブ型正社員によって転換を促し、定着率を高めていこうね。

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ジョブ型正社員とキャリアアップ助成金

上記でも見た通り、中小企業ではジョブ型正社員を導入している会社がまだまだ少ないです。

中小企業は大企業に比べて人材確保にかけられる資金も少なく、人材不足が深刻な会社も増えています。

中小企業が、人材確保において大企業との差を完全に埋めることはできませんが、中小企業なりに人材確保を有利に進めていくことは可能です。

他の中小企業に先駆けてジョブ型正社員を導入すれば、少なくとも中小企業の中では有利な人材を確保しやすくなります。

この時、助成金を活用することも忘れてはなりません。

中小企業が活用しやすい助成金の一つにキャリアアップ助成金があり、これはジョブ型正社員にも適用することができます。

通常の正社員に比べて、ジョブ型正社員は様々な部分で限定されることから、準正社員的な位置づけに感じることもありますが、助成金制度では通常の正社員とジョブ型正社員の扱いは同じです。

厚生労働省の助成金関連のページや案内資料で「多様な正社員」と記載されているのが、ジョブ型正社員にあたります。

通常の正社員とジョブ型正社員の扱いが同じであることについて、厚生労働省のキャリアアップ助成金の案内では、以下のように記載されています。

正社員化コースにおいて、「多様な正社員(勤務地限定正社員、職務限定正社員および短時間正社員)」 へ転換した場合には正規雇用労働者へ転換したものとみなします。

例えば、キャリアアップ助成金の正社員化コースを使った場合、

  • 有期契約から通常の正社員へ転換=有期契約からジョブ型正社員へ転換

と考えます。

ジョブ型正社員も正社員も同じくくりで考えるんだね!

ジョブ型正社員は増額対象

以上のように、キャリアアップ助成金では通常の正社員とジョブ型正社員の転換の区分が同じとみなしますが、受給できる金額は異なります。

正社員化コースで、通常の正社員へ転換した場合に受給できる助成金は、

基本的な支給額 生産性が6%向上している場合
有期契約から正規雇用へ転換 1人当たり57万円 1人当たり72万円
無期雇用から正規雇用へ転換 1人当たり28.5万円 1人当たり36万円

(※すべての転換を合わせて、1年度1事業所当たり支給申請上限人数は20人まで)

となっています。

これに加えて、勤務地・職務限定正社員制度を新たに規定し、有期契約労働者等をジョブ型正社員に転換または直接雇用した場合には、

1事業所当たり9万5000円(生産性要件を満たしている場合には12万円)

の加算を受けることができ、受給額は

基本的な支給額 生産性が6%向上している場合
有期契約からジョブ型正社員へ転換 1人当たり66.5万円 1人当たり84万円
無期雇用からジョブ型正社員へ転換 1人当たり38万円 1人当たり48万円

となります。

なお、正社員化コースでは、派遣労働者を正規雇用に転換した場合には、

1人当たり28万5000円(生産性要件を満たしている場合には36万円)

という内容で多めの助成金を受給することができますが、これは派遣労働者からジョブ型正社員に転換した場合にも対象となります。

ジョブ型正社員を導入して転換すれば、追加助成のメリットもあるぞ!

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まとめ

6日の規制改革推進会議の答申からもうかがえる通り、今後政府はジョブ型正社員の普及を進めていくと思われます。

また、労働条件の明文化も義務化の方向へと動いているため、遅かれ早かれ、通常の正社員とジョブ型正社員の区別ははっきりとしていくでしょう。

好むと好まざるとに関わらず、ジョブ型正社員という雇用区分は広がっていく可能性が高いため、中小企業はジョブ型正社員を早めに導入し、政府の方針に従うと同時に、他の中小企業に先んじて人材確保に役立てていくべきです。

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これによって受給できる助成金もしっかり活用しながら取り組んでいくことをおすすめするよ!

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