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手形は裏書する以外に活用方法はないのでしょうか?

日本の商習慣には、手形による取引が深く根付いています。

最近では減少しましたが、それでも手形による取引がなくなるのは、まだまだ先になりそうです。

手形は、後日の支払いを約束して振り出されるものです。

そのため、支払期日前に資金繰りが厳しくなることもあり得ます。

そんなとき、手形の裏書譲渡によって現金と同様に利用することができるのですが、それ以外にも手形割引やファクタリングといった利用方法もあります。

本稿では、手形のいろいろな活用方法を見ていきましょう。

手形取引とは

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手形(正確には約束手形)とは、取引先から商品などを購入するときに、その場で代金を支払うのではなく、後日支払うことを約束するものとして振り出す債権の一種です。

たとえば、あなたが取引先に対して掛け売りで100万円分の商品を販売する際、○月○日を支払期日とする契約を結んで手形を受け取ると、支払期日には100万円が支払われるという取引になります。

近年、手形による取引は減少傾向にあります。

しかし、手形取引は日本の商習慣に深く根付いたものであり、利用している会社はまだたくさんあります。

商品を販売してから支払期日までの期間を「手形サイト」と言います。

手形サイトの期間中は、基本的に支払いが行われることはなく、売上はあるものの運転資金として活用できない形で所有することになります。

もしも、会社が資金繰りに困ったときに、手形を活用するすべを知らなければ、せっかく売上はあるにもかかわらず資金ショートを起こしてしまい、最悪の場合には黒字倒産にもなりかねません。

そのような事態を防ぐため、手形サイト期間中でも様々な活用ができるよう、手形に関する法的整備がなされています。

本稿では、その活用方法を学んでいきましょう。

 

手形の振出

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取引先と手形の支払期日を決めるにあたっては、確定日払、日付後定期払、一覧払、一覧後定期払の四つの方法があるのですが、ほとんどの場合において確定日払が利用されています。

これは、たとえば「平成29年1月10日」というように、具体的な日付を決めておき、その日に支払うというものです。

手形によって商品などを掛け買いするとき、買う側を手形の振出人と言います。

つまり、手形によって支払いを約束する人のことです。

手形というものは、それ一枚で取引の利害関係をすべて示すものであり、さまざまなことが記載されています。

どれも欠けてはならない情報ですが、誰が支払うという約束になっているのかという記載が最も重要な部分であるといえます。

振出人の名称の記載を、署名と言います。

署名には、自署と記名捺印の二種類の方法があります。

前者は手書きでサインをするものですが、手形取引が多ければサインするのは面倒ですから、後者の記名捺印によって、振出人の名前をゴム印で署名することも認められています。

もっとも、このときに利用するゴム印は、事前に支払銀行に届け出ている届出印でなければ支払いが行われないため、注意が必要です。

 

 

手形の支払い

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掛け売りした会社は、代金を回収するために、支払期日が来たならば支払銀行に持ち込む必要があります。

これを、支払のための呈示と言います。

なぜ呈示が必要なのかといえば、それはそもそも手形というものは、いろいろなところを転々としながら流通することを法律が想定しているからです。

後述の裏書譲渡、手形割引、ファクタリングなどによって、最初の受取人から他の会社へと転々とすることが多いものなのです。

手形の振出人が支払期日に支払う準備をしていたとしても、手形は譲渡されている可能性があるため、誰に支払えばよいのか分からないことが多いものです。

そのため、手形の振出人がその時の手形の持ち主に支払うのではなく、その時の手形の持ち主が支払いを請求することが必要となるのです。

このときに、手形の所有者が行う支払い請求のことを、支払のための呈示というわけです。

支払のための呈示にあたっては、注意すべき点があります。

それは、手形の呈示にあたっては、手形の支払期日の翌々日(支払期日を含めて三日間。三日間のうちに銀行の休業日が含まれていた場合には、その日数だけ延長される)までに呈示しなければならないということです。

呈示の場所は、基本的には手形の保有者が取引のある銀行で行われることになります。

本来ならば、手形の振出人が指定した支払銀行に呈示すべきとされているのですが、手形の所有者の所在地が指定の銀行と遠隔地にあった場合には、現実的には呈示が難しくなります。

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遠ければ遠いほど無理が生じますし、その日に複数の手形が支払期日を迎えているとなれば、手形によってそれぞれ支払銀行が違うという事態になり、あらゆる銀行を飛び回ることにもなりかねません。

このほか、指定されていた支払銀行としても、手形が持ち込まれたときに、その裏書を見れば持込人が法律上の債権者であると推定することができますが、盗んだ手形や拾った手形である可能性もあります。

このように、指定された支払銀行で支払いを受けるというのは、いろいろな点から難しさがあるため、所有者が取引している銀行を通じて支払いを受けることになるのです。

これを、手形の取立と言います。

形を呈示して取立を依頼するとき、手形の所有者は取立委任の裏書を記して銀行に持ち込みます。

もっとも、このような文言を付記せずとも取立は可能なのですが、原則的にはそのような決まりになっています。

銀行は、取立を委任されると、手形交換もしくは行内交換によって処理し、所有者の口座に入金します。

手形交換とは、他の銀行が支払場所になっている手形の取立を依頼された場合に行われるものです。

原則的には、支払場所の銀行に銀行員が呈示に出向くことになるのですが、銀行には多くの手形が集まりますから、それぞれの手形で指定されている銀行に出向くのは大変なことです。

そこで、手形交換所という施設に銀行員が手形を持ち込み、交換所に集まった銀行と手形を交換します。

手形交換所で手形を持ち込むことで、手形に記載された支払銀行に支払のための呈示をした効果があることが、法律で認められています。

次に行内交換です。

行内交換とは、たとえばA銀行のa支店が取立委任を受けたとき、同じA銀行のb支店が支払場所に指定されていることがあります。

そのようなときはわざわざ手形交換所に持ち込むのではなく、A銀行の内部で支払のための呈示を行い、支払処理を行うことになります。

同じ銀行の中で手形交換が行われ、支払いが行われていることから、行内交換というのです。

 

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手形の裏書譲渡

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上記のとおり、手形の使い道として最も基本的なものは、支払期日を待ち、支払期日になったら銀行に持ち込んで支払いを受けるというものです。

しかし、手形サイトは一般的に数ヶ月を要するものです。

取引先や業種によっても異なりますが、短くても1~3ヶ月、長ければ3~6ヶ月というのが普通です。

この間、手形は流動資産における売掛債権として計上され、実際に運転資金として活用できない状態のまま留保されることになります。

流動資産というと、流動性が高く活用しやすい資産にも見えますが、実際には「一年以内に資金として活用可能な資産」のことであり、すぐに活用できない手形もここに記載されているにすぎません。

皆さんもご存じのとおり、手形は数ヶ月後に初めて資金として活用可能となるものなのですが、実際にはその手形が発生するまでには、会社はいろいろな支払いを行っています。

商品を販売して手形決済を受けたならば、その商品の仕入れ費用、あるいは原材料の仕入れ費用や製造コスト、仕入れ業務や製造業務にあたるスタッフの人件費、仕入れた商品や製造した商品を在庫として管理するためのコスト、売掛債権管理のコストや管理にあたるスタッフの人件費など、細かいものまで考えると実に様々な支払いを行っているのです。

その支払いの分だけ、会社が持つ現金は減少し、それが回収されるのは数ヶ月先のことになるのですから、大なり小なり資金繰りを圧迫することになります。

財務体質が良好で現金が潤沢な企業であれば大して問題ありませんが、運転資金をぎりぎりで回している会社にとって、手形サイトは実に厄介な存在であるといえます。

ぎりぎりで回している会社ならば、ふとしたタイミングで資金がショートしてしまう可能性が十分にあります。

いくら気を抜かずに経営していても、その危険性は絶対にゼロにはなりません。

そんな事態に見舞われたとき、全く打つ手がなければ、売上はあるにもかかわらず、手形サイトを待てずに倒産してしまうことにもなりかねません。

しかし、そのような事態を野放しにしておけば、黒字倒産する企業が続出し、日本の商業は大変なことになってしまいます。

そこで、国は法律において、支払期日を待って支払いを受ける以外に、手形の活用方法を設けています。

その一つが、裏書譲渡です。

裏書譲渡とは、手形の裏に必要事項を記載することによって、その手形の額面を以て現金と同じように活用できるという制度です。

 

裏書譲渡の実例

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たとえば、あなたの会社がA社に対して1000万円分の商品を売り、支払いのために手形を受け取ったとします。

手形の振出日は2月1日、支払期日は3ヶ月後の5月1日という契約でした。

通常ならば、あなたの会社は3ヶ月後の支払期日に取引銀行に手形を持ち込み、代金を受け取ることになります。

しかし、あなたの会社は資金繰りが決して楽ではなく、手形サイトを待つことが難しい経営状態です。

あなたの会社は、商品を製造するための原料をB社から1000万円で購入していました。

その支払期日は4月1日であり、その時に1000万円の現金を用意することができませんでした。

そのままでは売掛金の滞納を起こし、B社から著しく信用を失うことになります。

そこで、あなたの会社はB社に対して、A社から受け取った額面1000万円の手形に裏書を施し、B社に裏書譲渡を行うことで決済をしました。

このように、受け取った手形はほかの支払いに充てることができます。

裏書を行い、他社への支払いに利用することを、特に「裏書譲渡」と言います。

譲渡できる先は、取引先だけではなく、手形割引を行う銀行や業者であったり、ファクタリング会社であったりするわけですが、そのようにして手形の所有者が移転することを「手形の譲渡」といい、その際に裏書をして譲渡をすることから、一般的には「裏書譲渡」と呼ばれているのです。

譲渡は、手形の支払期日の期間内であれば際限なく移転されることができるため、B社はC社への決済として、さらに裏書譲渡を行うこともできます。

手形を譲渡する際には、手形の裏面には譲渡する人の署名と、譲渡を受ける人の名前を記載する必要があります。

この行為を手形の裏面に行うからこそ、「裏書譲渡」といわれるわけです。

具体的には、一番上の署名は最初の受取人(この例ではあなたの会社)の署名をし、その下には譲渡先(この例ではB社)の名称を記載することになります。

その後、B社がC社に譲渡するならば、さらにB社が署名を行い、その下にC社の名称を記載して譲渡します。

これが繰り返し行われるため、いろいろな会社を転々とした手形の裏面には、多くの記載がなされることになります。

ただし、本稿の冒頭で述べたとおり、最近では手形以外の支払手段が増えてきていることから、企業間で手形の裏書譲渡が行われることは少なくなってきており、最初の受取人が支払期日に支払いの呈示を行って受け取るというケースが多くなっています。

 

裏書譲渡と責任

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裏書譲渡を行い、支払期日に手形の振出人が支払不能となった場合には、その時の手形の所有者は、手形の裏書をした人に代金を請求することができます。

このように、前の所有者に遡って請求することを「遡求」といいます。

そもそも、手形を支払いに充てるのですから、裏書譲渡には「所有者である私が、この手形がきちんと支払われるものであることを約束します」という意味がなければ成り立ちません。

そのため、裏書譲渡を行った会社は、譲渡した相手に対して責任を負うことになり、振出人が支払えなかった場合には弁済しなければならないのです。

上の例でいえば、裏書譲渡を受けるB社は、振出人であるA社を知らないというケースも当然あります。

もし遡求できないならば、存在を知らないA社の手形を受け取るのは不安であり、裏書譲渡を避けたいと思うことでしょう。

しかし、譲渡人であるあなたの会社に対して遡求できるシステムがあることによって、A社のことを知らなくても、安心して裏書譲渡を受けることができるのです。

 

 

手形と割引

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手形の活用方法として、裏書譲渡以外にも手形割引というものがあります。

これは、銀行や手形割引業者に手形を買い取ってもらうことによって、手形の支払期日前に現金化するというものです。

手形割引の際にも、割引を依頼する銀行や業者に所有者が変わるため、裏書して譲渡することになります。

ですから、裏書譲渡の一種であるともいえます。

手形割引の際には、割引料という手数料を支払わなければならないため、手形の額面金額をそのまま受け取れるわけではありません。

支払期日を待つことができるならば、支払期日を待って満額を受け取った方がよいのですが、支払期日前に資金繰りが厳しくなった場合などには、手形割引を行うことによって資金調達することができるのです。

手形割引の際の割引料は、依頼先や支払期日までの期間などによって変動します。

一般的に、銀行に依頼した場合には割引料は安く、手形割引業者に依頼した場合には高くなります。

銀行にもいろいろありますが、割引料はおおむね1.5~5.5%となっているのに対し、手形割引業者ではかなりの幅が設けられています。

より具体的には、手形割引業者に依頼した場合、振出人が上場優良企業の場合には6.5%以上、中小企業の場合には15%以下とされており、振出人の信用度が非常に高ければ6.5%以下になることもありますし、信用度が低ければ15%以上になることもあります。

こればかりは、実際に割引を依頼してみなければわからないところです。

ならば、銀行に割引を依頼したほうがよいに違いないのですが、事はそう簡単ではありません。

銀行と手形割引業者ではいろいろと条件が異なるため、手形割引を依頼する会社が置かれている状況によって、依頼すべき先が異なってくるのです。

 

手形割引の依頼先

手形割引を銀行に依頼するか、手形割引業者に依頼するかということを考えるにあたっては、まずは銀行と手形割引業者における、手形割引の際の考え方の違いを知るのがよいでしょう。

その違いとは、銀行は手形割引を融資と考えるのに対し、手形割引業者は手形の買い取りと考えるということです。

このように考え方が違うからこそ、取引条件も大きく異なります。

まず銀行を見てみましょう。

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銀行では、手形割引の審査を行うにあたって、決算書などを参考にし、手形の持込人の信用状況を審査します。

裏書譲渡の際には、振出人が支払えるということを所有者が受け合うことで、現金と同様に利用することができました。

しかし、銀行では手形割引を融資と考えていますから、振出人の信用状況ではなく、資金が提供される持込人の信用状況を審査して手形割引の可否を決定するのです。

いくらまで割引をするのかということは、持込人の信用度によって決められますし、担保として定期預金や不動産抵当権などが求められることになります。

通常の銀行融資と同様に、審査スピードは遅く、一週間程度(あるいはそれ以上)かかると思っておいたほうがよいでしょう。

これに対して、手形割引業者は手形の買い取りであると考えます。

そのため、手形の持込人に信用がなかったとしても、振出人に支払能力があればなんら問題ないと考え、審査の際には振出人の信用状況を見ます。

融資ではないため、持込人の信用状況は問われず、したがって割引に限度額も設けられず、担保も必要ありません。

審査も比較的簡単に行われますから、審査スピードが速い業者になると即日で買い取ってくれることもあります。

上記のとおり、銀行と手形割引業者には大きな違いがあります。

もし、あなたの会社がそれほど現金化を急いでおらず(銀行の審査結果を待つことができる)、信用力に問題がなく、担保も差し出せるのであれば、銀行に手形割引を依頼し、安い割引料で割引したほうがよいでしょう。

しかし、早急に現金化しなければならない、信用に問題があって割引してもらえない、信用を補うための担保がないなどの理由があるならば、割引料が高くなっても手形割引業者に依頼するほかありません。

手形割引を検討しているということは、多くの業者にとって時間的余裕がないでしょうし、手形を割引しなければならないということは財務体質も脆弱である可能性が高いといえます。

そのため、銀行に依頼する余裕はないことがほとんどですから、手形割引業者に相談するのがよいでしょう。

 

手形割引の注意

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手形割引も裏書譲渡の一種であるのは、すでに書いたとおりです。

ということは、裏書譲渡のくだりで説明したとおり、譲渡前の所有者は、譲渡先に対して責任を負うということです。

譲渡先が銀行や手形割引業者であったとしても、この点はなんら変わりません。

したがって、割引をした手形の振出人が支払不能となった場合には、銀行や手形割引業者に対して、手形の額面金額を弁済しなければなりません。

このときの請求は、一般的に一括で行われます。

そのため、割引した手形の金額によっては、かなりの額を一度に用意しなければならなくなります。

しかし、そもそも資金繰りが厳しいために手形割引に至っていることから、すでに割引によって得た資金は使い果たしており、請求に対応できないというケースも珍しくないと思います。

そのような場合には、信用が落ちることにもなりますし、差し押さえなどを受けることにもなります。

手形割引業者の中には、万が一手形が不渡りになった時、分割払いに応じてくれる業者もあります。

そのため、不渡りになるリスクを考慮するならば、あらかじめ分割払いに応じてくれる業者を選んで手形割引を依頼すれば、リスク軽減につながります。

手形割引業者の賢明な選び方に関しては、当サイトの他の記事で詳しく紹介していますから、そちらを参考にしてください。

 

ファクタリングによる手形の現金化

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上記の内容を読むと、手形は裏書譲渡して決済などに利用する方法があり、その他手形割引によって資金化する方法があることがわかります。

本来の支払期日を待たずに活用できるため、手形の使い道が広がるといえます。

しかし、もうお分かりと思いますが、用途はどうあれ手形を譲渡すると、その手形が不渡りになった場合のリスクは常に付きまといます。

このリスクはどうにかならないものなのでしょうか。

このリスクを避けるための最もよい方法は、ファクタリングを利用することです。

ファクタリングとは、売掛金や手形といった売掛債権を買い取ってもらうことによって、資金調達を行う方法の一つです。

ファクタリングを提供している会社にはいろいろなものがあり、三菱東京UFJ銀行やみずほ銀行などといったメガバンクの子会社が提供しているほか、ファクタリングサービスに特化した大小様々なファクタリング会社もあります。

ファクタリングの際には、これらのファクタリング会社にファクタリングを依頼することで、手形をはじめとした売掛債権を買い取ってもらうことになります。

ファクタリングは、徐々に広まってきています。

しかし、資金繰りに困ったときに、すぐにファクタリングを検討する会社は少なく、多くの会社は何を置いても銀行融資を受けることを考えるものです。

このことから、まだまだ浸透しているとは言い難い状況です。

これに対し、欧米ではファクタリングが非常に浸透しており、資金調達のためのごく一般的な方法として認識されています。

ちなみに専門的観点からは、ファクタリング会社のことを「ファクター」と呼ぶのが普通ですが、当サイトでは分かりやすさを重視し、特に理由がない限りファクタリング会社と記しています。 

 

ファクタリングの流れ

では、ファクタリングの流れを見ていきましょう。

  1. あなたの会社は、取引先に500万円分の商品を掛け売りし、支払期日を定めて手形を受け取りました。
  2. 手形の支払期日は長く、支払期日以前に資金繰りが困難になってしまいました。
    そのような状況では銀行からも融資を受けられず、あわや黒字倒産という状況です。
  3. 不動産や有価証券といった売るべき資産もほとんど持っていないあなたの会社は、早急に資金調達をしなければなりません。
    選択肢として考えられるのは、ノンバンクの事業者ローンから融資を受けるか、手形を活用することです。
    しかし、ノンバンクでの借り入れはあまりにも高金利であるため利用するのは賢明ではありません。
    そこで、手形の活用をすることにしました。
  4. 手形を現金化する方法として、まず考えられるのは手形割引です。
    しかし、手形割引では、万が一手形が不渡りになった際には弁済しなければなりません。
    そこで、ファクタリング会社にファクタリングをすることにしました(後述しますが、基本的にファクタリングでは不渡りの際にも弁済の必要がありません)
  5. ファクタリング会社の審査により、掛け目90%での買い取りとなり、500万円の手形を450万円で買い取ってもらうことができました(法的には譲渡です)。
    この現金を利用して支払いなど行い、倒産を免れることができたのです。
  6. 後日、手形の支払期日には、ファクタリング会社は譲渡を受けた(買い取った)手形を銀行に呈示し、額面金額を受け取りました。
    額面金額と買取金額の差額が、ファクタリング会社の利益になるのです。

他の記事も読んだ上で本稿を読んだ人は、微妙な違いに気付いたかもしれません。

通常、ファクタリングは2社間取引であり、取引先に知らせることなく売掛債権の買い取りが行われます。

そのため、支払期日には依頼した会社が売掛先に請求を行い、回収した代金をファクタリング会社に振り込むことになります。

しかし、本稿においてはそうではありません。

これは、手形だからです。売掛金をファクタリングした場合には、請求をしたうえで代金の回収をしなければならず、売掛先にファクタリングの事実を知られないためには、依頼企業が売掛先に請求して回収しなければならないのです。

しかし、手形はそもそも多くの人の手を渡ることが前提となっている債権であり、所有者が振出人に請求せずとも、銀行に呈示することで代金を受け取れるものです。

つまり、ファクタリング会社に譲渡してしまえば、あとはファクタリング会社が支払期日に銀行に呈示するだけであり、手形のファクタリングに関しては、2社間取引も3社間取引もないのです。

さて、裏書譲渡や手形割引と比較した際のファクタリングの優れているところは、手形が不渡りになった際にも弁済の必要がないということです。

これは、ファクタリングの契約は、基本的には償還請求権なしとなっており、弁済の責任を負わないからです。

つまり、手形が不渡りになった場合のリスクをファクタリング会社が負ってくれるということですから、リスクを移転できるメリットは非常に大きいといってよいでしょう。

では、償還請求権やリスク移転を踏まえ、ファクタリングの種類を見ていきましょう。

 

ファクタリングの種類

ファクタリングには、以下の3種類があります。

 

償還請求権留保・前払方式ファクタリング

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これは、償還請求権ありでの契約です。

基本的には償還請求権なしの取引となりますが、すべての取引がそうではなく、場合によっては償還請求権が留保されています。

この場合、ファクタリングした手形の支払期日に、全額または一部の支払いが拒否された場合、もしくは支払期日前であっても拒否される可能性が高い場合には、ファクタリング会社から依頼企業へと請求がなされ、依頼企業はすぐに手形を買い戻さなければなりません。

前払いで代金を受け取っているのですから、その資金はすべて弁済しなければならないのです。

 

償還請求権放棄・前払方式ファクタリング

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これが、最も一般的なファクタリングです。

ファクタリング会社は譲渡を受ける手形が万が一不渡りになった場合にも、依頼企業に弁済を求めることはできません。

それだけに、売掛先の信用調査はしっかりと行われ、適正と思われる手形のみ買い取りが行われたり、信用不安がある手形は買取率が高くなったりします。

もっとも、償還請求権なしでのファクタリングでも、例外的に弁済しなければならない特約が設けられているものです。

たとえば手形要件が欠陥している、偽造の手形である、盗んだ手形である、公権力によって債務が免除されたなどの理由から支払いが拒否されたならば、ファクタリング会社は依頼企業に弁済を求めることができます。

 

信用保証ファクタリング

これは、保険の機能をもったファクタリングです。

契約の際には、保証料を支払うことによって、譲渡する手形の信用力に応じて保証限度額を設定します。

支払期日になり、その手形が不渡りになった場合には、あらかじめ設定された保証限度額を上限として、損失を補てんしてくれます。

ただちに資金調達をする必要はないものの、手形が不渡りになった場合のリスクを避けたいと考えているならば、信用保証ファクタリングは利用価値があります。

 

ファクタリングのメリット

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ファクタリングのメリットは、何といっても手形を支払期日前に資金化できるということです。

もちろん、ファクタリング会社に対して買取料を支払う必要がありますが、緊急に資金を調達しなければならない時には大いに役立ちます。

裏書譲渡や手形割引のように、不渡りに際のリスクもありません。

手形をはじめとした売掛債権を資金化してしまうということは、非常にメリットのあることです。

現金に乏しく、売掛債権を回収して運転資金に充てている企業であれば、ファクタリングを利用することによって資金繰りが大幅に改善することでしょう。

また、ファクタリングの際にはファクタリング会社は売掛先の信用調査を行います。

このときの調査結果は依頼企業に報告されるため、信用調査を外部にアウトソーシングすることにもなります。

この他、ファクタリング会社によって提供しているサービスはいろいろですが、売掛債権の管理を代行してくれたり、さまざまなコンサルティング業務を提供しているファクタリング会社もあります。

これらの機能をうまく利用すれば、企業の経営体質を大幅に改善できるかもしれません。

 

まとめ

手形の支払期日が長く、資金繰りが悪くなっている企業は、ぜひファクタリングを利用すべきです。

裏書譲渡や手形割引という方法もありますが、不渡りの際のリスクを考えると、ファクタリングを利用したほうがよいのは言うまでもないことです。

ファクタリングは、手形だけではなく売掛金の買い取りにも対応しています。

ぜひファクタリングを活用して、経営に役立ててください。

 

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