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【基本知識】電子手形とは?通常の手形とは何が違うの?

紙の手形による取引は、近年減少傾向にあります。

しかし、日本の商習慣には深く根付いているものであり、まだまだ欠かせない存在です。

とはいえ、近年では手形には大きな変化が訪れています。

従来であれば、手形といえば紙の手形しかなかったのですが、インターネットが普及した昨今では、その電子版である電子手形の利用が広がっているのです。

では、紙の手形と電子手形にはどのような違いがあるのでしょうか。

資金調達プロ

電子手形とは?

電子手形とは、従来利用されていた手形、つまり紙の手形を電子化したものであり、情報化社会の新しい支払い方法として2009年11月からスタートしたものです。

最近では、「電手(でんて)」や「でんさい」などといった用語も徐々に浸透してきました。

このような新しい形の債権が誕生するにあたって、政府は電子記録債権法という新たな法律を施行しており、電子手形は電子記録債権法に基づく決済サービスとなっています。

従来の紙の手形と比較して、手形としての物理的な現物がなくなり、手形を保管や発行する必要がなくなるため、管理ややり取りが楽になるというのが大きな特徴です。

また、印紙税がかからないことも、大きな額の取引をたびたび行う企業にとっては無視できないメリットでしょう。 

この他にも、電子化された手形であることから、決済はもちろんのこと手形割引や譲渡も簡単になりました。

また、従来の紙の手形では、譲渡や割引の際には券面に書かれている額面金額をそのまま利用することしかできませんでしたが、電子手形では分割で割引・譲渡が可能であるため、より柔軟な資金繰りへの活用も可能となりました。

 

 

電子手形の仕組み

では、電子手形の仕組みを解説していきましょう。

従来の紙の手形では、自社と取引先の2社間で手形のやり取りが行われ、決済の際には取引銀行がその媒介を行いました。

一方、電子手形の取引においては、手形を振り出す企業、受け取る企業、取引銀行だけではなく、電子債権記録機関が関わっています。

その関係を図示すると、以下の通りになります。

 denshitegata

(https://mypage.otsuka-shokai.co.jp/html-files/it/keiri_mama/201302.htmlから)

 

電子債権記録機関とは、その名の通り電子債権の記録や管理を行っている機関のことであり、登記所のような機能を果たしています。

電子債権記録機関は、電子記録債権法に基づき、国の指定を受けて業務を行っているため、民間の機関であるとはいえ信頼できる機関です。

現在、電子債権記録機関は複数存在しており、メガバンクが運営する、

  • 日本電子債権機構株式会社
  • SMBC電子債権記録株式会社
  • みずほ電子債権記録株式会社

のほか、全国銀行協会による、

  • 全銀電子債権ネットワーク(でんさいネット)

があります。

これらを混同している人が非常に多いため、簡単に解説しておきましょう。

これらの4つの機関は運営主体が違い、流通する電子記録債権もそれぞれ異なります。

日本電子債権機構株式会社は三菱東京UFJ銀行系であり、「電手(でんて)」とよばれる電子記録債権を取り扱っています。

SMBC電子債権記録株式会社は三井住友銀行系であり、通称はないものの支払手形削減サービスを提供しています。

みずほ電子債権記録株式会社はみずほ銀行系であり、「電ペイ」と呼ばれる電子記録債権を取り扱っています。

主にそのグループ内やグループとの取引企業間で流通している電子記録債権を取り扱っているのであって、どのような会社でも簡単に、便利に利用できるものであるとは言えません。

しかし、でんさいネットは、多くの企業にとって利用しやすいものです。

でんさいネットは全国の金融機関が参加しているネットワークであるため、銀行を通じてでんさいの利用を申請すれば、すぐに利用が可能です。

取引先企業もでんさいを利用している必要がありますが、全国の銀行が加入しているネットワークですから、どのような企業にとっても利用しやすいものとなっているのです。

 

 

電子手形の流れ

電子手形が発生し、決済されるまでの流れは以下の通りになります。

 

電子手形の発生(手形の振り出し)

企業間で電子手形による取引が行われたとき、支払企業は納入企業を債権者とする電子手形が発生依頼を銀行に行います。

発生依頼を受けた銀行は電子債権記録機関に発生請求を回し、電子記録債権の発生が確定すると、その旨の通知が納入企業になされます。

ここにおいて、納入企業は電子手形をもって債権者となります。

 

決済

通常の決済、つまり既定の支払期日まで保有して代金を受け取る場合には、納入企業は特に手続きは行いません。

納入企業の指定口座には、代金が自動で振り込まれます。

支払企業は、電子手形の支払期日には、決済のための資金を用意しておかなければなりません。

事前に銀行から決済に関する通知が届くため、代金を指定口座に入金しておく必要があります。

電子手形の基本的な流れはこれだけです。

もし、電子手形を割引して期日前に資金化をする場合には、納入企業から銀行に期日前資金化の依頼を行います。

依頼を受けた銀行が電子債権記録機関に譲渡請求を行い、確定したならば譲渡が完了します。

銀行からは納入企業に電子記録債権譲渡の通知があります。

裏書譲渡の場合もほぼ同様です。

納入企業が、取引先に電子手形を譲渡して決済に利用する場合には、譲渡先を指定して銀行に譲渡依頼をします。

銀行は電子債権記録機関に譲渡請求を依頼し、それが確定すれば取引先への譲渡は確定します。

この場合、譲渡人の納入企業と譲受人の取引先の両方に、銀行から譲渡完了の通知がなされます。

 

 

紙の手形と電子手形の違い

企業間取引においては、現金による取引が行われることはほとんどなく、買い手企業が手形や売掛金によって支払いを約束することで、後日に定めた支払期日に代金支払いが行われます。

手形を振り出すにあたって、振り出す企業が銀行に当座預金を持たなければならないこと、決済期日に口座に代金が振り込まれていなければ手形が不渡りになってしまうなどのルールがあります。

紙の手形における基本的なルールは、電子手形でもなんら変わりません。

そもそも、電子手形がなぜ誕生したのかといえば、紙の手形にはいろいろなデメリットがあったからです。

情報化社会となり、その技術を活用して紙の手形のデメリットを解消しようという意図で電子手形が生まれました。

したがって、基本的なルールは変更されていないのです。

では、紙の手形のデメリットとは、具体的にはどのようなものなのでしょうか。

 

紙の手形のデメリット

紙の手形には、以下のようなデメリットがありました。

 

紛失・盗難・偽造が起こる

紙の手形は、紙に書いて振り出すものですから、現物が物理的に存在するわけです。

したがって、それを紛失してしまったり、盗まれてしまったり、偽造されたりというリスクが常にありました。

紛失や盗難の場合、その事実を知らない善意の第三者に手形が渡ってしまえば、紛失したり盗難の被害に遭った元の所持者は、手形の権利を失うこともあります。

また、災害によって手形を失ってしまうこともあり得ます。

偽造については、その手形が偽造であることを証明することができれば、発行したとされている企業が支払う義務は負いません。

しかし、実際に偽造される手形の多くはその企業の社員が偽造しているものですから、そのようなケースでは使用者責任を問われることになり、やはり好ましくない状況となります。

紙の手形には、このようなリスクが常に伴うのです。

 

受け渡し・持参・郵送などが必要である

紙の手形は、その現物が物理的に存在する以上、振出人から受取人に手渡しする必要があります。

そのため、取引先から振り出された手形を受け取るとき、手形を裏書譲渡するとき、手形割引をするときなど、手形を介したやり取りをする際には、常に手形を持参しなければなりません。

また、遠方の取引先と手形取引をする場合には、手形は手渡しが不可能であるため、郵送する必要があります。

このような行為は、紛失や盗難の危険性を高めてしまう行為であるといえます。

持ち運んでいる最中に紛失・盗難が起こる可能性がありますし、郵送の途中に間違いが起こってしまう可能性もゼロではありません。

 

コストがかかる

手形を振り出したり、受け取った手形を保管したりするにあたっては、相応のコストがかかるものです。

特に、手形の振り出しの際には印紙税の負担があります。

紙の手形には、以上のようなデメリットがありました。

本稿の冒頭で、近年では手形取引が減少傾向にあると書きましたが、これも紙の手形におけるデメリットを嫌ったために減少しているのです。

その証拠に、以下のように紙の手形のデメリットが解消された電子手形は、近年利用が拡大しています。

 

電子手形のメリット

電子手形のメリットは、以下の通りです。

 

ペーパーレスでコストカット

紙の手形と電子手形の最大の違いは、電子手形がペーパーレスであることです。

ペーパーレスであり物理的な現物が存在しないため、保管が簡単になります。

保管のための金庫はいらなくなりますし、発行や保管にあたっての手間や費用をカットすることができるのです。

 

盗難・紛失・偽造リスクもない

もちろん、保管の必要がないということは、紛失や盗難のリスクもありません。

インターネットを介して電子手形を取引すれば、受け渡し・持参の必要がなく、譲渡や割引の際にも紛失・盗難リスクはありません。

もちろん、遠方の取引先に手形を郵送する必要もありません。

また、災害などで手形を失ってしまうこともありません。

また、電子手形は電子債権記録機関という、国が認可した民間企業が運営しており、セキュリティ対策は万全を期しています。

偽造の可能性がゼロであるとは言い切れませんが、流通開始から今まで偽造による被害は一件も起きていないことから、紙の手形よりもはるかに安全であるといってよいでしょう。

 

回収の手間を省くことができる

紙の手形であれば、支払期日になると銀行に出向いて手形の呈示を行う必要がありました。

このとき、手形の支払い有効期限は、支払期日を含めて3営業日以内となっており、通常は期日前に銀行に取立依頼を出しておくものです。

もしも、うっかり取立依頼を出すことを忘れてしまい、有効期限を過ぎてしまったならば、代金の支払いを受けられないこともあります。

しかし、電子手形は銀行に取立以来をせずとも自社の口座に自動的に入金されます。

支払期日の2営業日前に電子債権記録機関からFAXもしくは電子メールで通知が入ることも、管理の助けとなります。

これも、電子手形の大きなメリットであるといってよいでしょう。

 

分割して活用できる

紙の手形では、分割して利用することは不可能でした。

たとえば、券面100万円の手形があったとすれば、それを手形割引によって現金化する場合には、100万円全額を割引することしかできなかったのです。

しかし、電子手形は1円単位で分割することが可能です。

このため、100万円の電子手形があれば、50万円を手形割引によって資金化し、残額は支払期日に受け取るという利用も可能です。

また、一部を譲渡することによって、買掛金などの決済にも利用が可能です。

電子手形には、上記のようなメリットがあります。

これを見れば、紙の手形のデメリットが見事に解消されていることがわかると思います。

以上のことを踏まえて、電子手形を導入したときに得られる効果をまとめておきます。

 

 

支払企業

納入企業

導入効果

・発行手続きにおける事務負担が軽減される

・手形を郵送する必要がなくなる

・印紙税による負担がなくなる

・紛失・盗難・偽造のリスクを回避できる

・手形の保管・管理の必要がなくなる

・盗難・紛失・偽造のリスクがなくなる

・受取や集金が不要になる

・取立や割引の際に持ち込む必要がなくなる

・支払期日当日に確実に資金化される

・分割での割引や譲渡が可能となる

 

電子手形の利用

電子手形を利用するにあたっては、事前に利用契約を結ぶ必要があります。

新規契約にあたっては、基本契約書や利用者登録票、商業規模謄本、印鑑証明書、本人確認書類などが必要となります。

利用申込書を金融機関に提出して審査を受け、利用契約を結べば利用が可能となります。

契約内容や利用のための手数料は金融機関ごとに異なることがあります。

利用契約する際にはよく調べる必要がありますのでお気をつけください。

 

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