運転資金と所要運転資金の違いとは?前渡金、現預金は含む?銀行交渉前に整理しよう

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運転資金と所要運転資金の違いとは?

会社経営において、「運転資金」への理解を深めることは非常に重要です。

運転資金への理解が浅いために、資金繰りが苦しい原因が運転資金にあると気づかない経営者もいます。

また、運転資金の知識を実際の資金繰りに活かすには「所要運転資金額」の正確なは相も必要です。

本記事では、「運転資金」および「所要運転資金」についての基礎知識を解説します。

【ポイント】

これらの知識があれば、資金繰り以外にも銀行交渉をスムーズに進めるにも役立ちます。

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ファクタリングとは

※上記の図解は2社間ファクタリング

ファクタリングとは、「債権買取り」を意味しています。

法人がファクタリングにおいては、保有している売掛債権(=請求書)を売却することで現金を得る資金調達方法の一種として認識されています。

企業は、ファクタリングを利用すれば、売掛債権の予定日よりも早く現金を受け取れます。

ファクタリングは売掛債権の売買で資金調達を行うため、銀行からの借入とはことなり融資にはあたりません(調達した資金の返済は不要です)。

融資ではないため金利はありませんが、利用時にファクタリング業者に手数料を支払います。

運転資金とは?

運転資金とは?

会社のバランスシートでは、常に資産負債のバランスがとれている必要があります。

しかし、実際の経営ではそのバランスが崩れる(=資金の収支がズレる)ことがあります。

このズレをカバーするための資金がなければ、資金繰りがショートしてしまう危険性があります。

多くの経営者にとって、「運転資金」は資産と負債のバランスが崩れたときに出てくるものです。

営業の結果、バランスシートには色々な変化が生じます。

▼流動資産で起こる変化(一例)

  1. 商品を仕入れて現金が減る
  2. 棚卸資産が増える
  3. それを販売することで棚卸資産が増える
  4. 売掛金や受取手形が増える
  5. 債権を回収して現金が増える

流動負債でも、買掛金や支払手形が増えるなどの変化が起きるでしょう。

このような営業活動において、流動資産と流動負債のバランスが崩れてしまうのは、主に売掛金や棚卸資産、前渡金などが増加した場合です。

なぜなら、仕入れた商品は一定の期間にわたって棚卸資産、売掛金などの形で滞留し、その期間は仕入代金を支払うまでの期間より長いのが通常だからです。

商品を仕入れてから販売する、あるいは売掛金を回収するまでの期間のズレ、そのための資金需要のことを、運転資金といいます。

運転資金の具体例

具体的な例を見てみましょう。

ある人が、卸売業を始めたとします。

この人は、必要な設備を自己資金でそろえて、売るための商品の仕入れも自己資金で支払い、開業しました。

取引先の会社が買ってくれれば、その分だけ売上が入ってきます。

しかし、なぜか慢性的にお金が足りずに資金繰りが苦しい状態でした。

その理由は、設備や商品仕入れによって多額の現金が流出したにもかかわらず、商品販売による現金収入が少なかったからです。

設備や仕入れにかかった多額の支払いを商品販売で回収するにはかなりの時間が必要です。

【注意】

この例のように、現金として回収するまでに時間がかかる資産を抱え、収支にズレが起こると、資金繰りは苦しくなります。

ズレの正体

今回の例にあげた卸売業者では、700円で仕入れた商品を1,000円で売っていました。

この時、700円の棚卸資産を仕入れたとき、700円の支払手形や買掛金、あるいは前渡金などが発生します。

つまり、仕入値ベースで計上されます。

しかし、商品を売ったときに発生する受取手形や売掛金、前受金などは売値ベースの1,000円で計上されます。

このことから、運転資金には儲けも含まれていることがわかります。

これがズレの正体です。

ズレへの対処を間違えると……

このような苦しい状況の中で、よくある間違いが「がむしゃらにやる」ということです。

苦しい原因を特定できず、ズレを埋めることができず、とにかく売上を伸ばせばラクになるはずだと考えて取り組むのです。

ところが、売上を伸ばすためには、売上の原因となる商品や原材料などの仕入が必要となるのですから、ズレは大きくなります。

つまり、運転資金は増えてしまいます。

ズレへの正しい対処方は?

正しい対処法の1つは、「運転資金を銀行融資によってカバーすること」です。

外部から調達した資金を補充することで、「運転資金は融資でカバーしたので、資金繰りは苦しくない」という状態に改善できます。


所要運転資金額とは?

所要運転資金額とは?

自社が必要としている運転資金の金額のことを、「所要運転資金額」と言います。

運転資金の正体がわかったところで、その金額の求め方を見ていきましょう。

所要運転資金を正確に把握できると、資金繰りだけでなく、銀行との交渉にも役立ちます。

所要運転資金額の算出方法

所要運転資金額の算出方法

所要運転資金額を算出するためには、以下のように計算します。

  • (現預金+受取手形+売掛金+棚卸資産+前渡金)-(支払手形+買掛金+前受金)

なお、この計算式の「受取手形」には、手形割引や裏書譲渡に使ったものも含みます。

計算式には、「前渡金」「前受金」なども含まれています。

これらは雑勘定の中でも、営業に関係する勘定であることから、計算式に盛り込みます。

所要運転資金額の把握が銀行交渉に役立つ理由

銀行は「必要な金額適正に見極め、必要な金額だけを融資する」ことを重視しています。

仮に、実際の所要運転資金額が100万円の会社に200万円を融資すると、どうなるでしょうか。

100万円は運転資金に充当されて利益に結び付き、返済も期待できるでしょう。

しかし、残る100万円についてはどのように使われるのか、利益に結び付くのか、回収できるのか分かりません。

過剰に融資した100万円分に対し、銀行は不要なリスクを負ってしまいます。

銀行側が必要融資額を適正に見極めやすくするためにも、所要運転資金に正確な算出は非常に重要です。

所要運転資金額の注意点

所要運転資金額の注意点

所要運転資金額を計算するにあたり、注意すべきことがあります。

所要運転資金額を計算する目的は、実態に基づいて必要な運転資金の金額を正確に把握し、それを資金繰りや銀行交渉に活かしていくためです。

計算式の各項目に不正確な情報が紛れ込んだ場合、所要運転資金額は本来の目的を達せられなくなります。

たとえば、売掛金の中に不良債権が含まれていたり、棚卸資産の中に不良在庫が入っていたりすれば、所要運転資金額は正確ではなくなります。

不良債権不良在庫は、営業の流れからはすでに外れた資産です。

悪質な会社では、必要以上の運転資金を借入れ、赤字の補填などに使うべく架空の売掛金や在庫を計上し、所要運転資金額を水増しすることもあります。

【注意】

所要運転資金額のなかに赤字補填資金が紛れ込むことを、銀行は極端に嫌います。
会社が申し入れた希望融資額と、銀行が把握した所要運転資金額に大きな乖離が出てしまうと、銀行が融資に慎重になる可能性があります。


まとめ

運転資金を理解していなければ、資金繰りをコントロールすることは困難です。

運転資金を理解していても、それを正しく計算することができなければ、やはり資金繰りはコントロールできません。

運転資金を理解し、所要運転資金額を正確に把握することができれば、調達すべき金額もはっきりとわかります。

融資希望額の根拠が明確であれば、銀行への説明もスムーズです。