【初心者向け】売掛債権担保融資とは?ファクタリングとの違いとメリット比較

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売掛債権を利用した資金調達の方法の一つに、売掛債権担保融資があります。

この制度は、いったいどのようなものなのでしょうか。

また、同じく売掛債権を利用した資金調達の方法であるファクタリングとはどのような違いがあり、どちらを利用した方がメリットが大きいのでしょうか。

 

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売掛債権担保融資とは?

売掛債権担保融資とは?

売掛債権担保融資とは、売掛債権を担保として金融機関から融資を受けることです。

主に中小企業の資金調達の多様化や円滑化を図るために設けられたものであり、利用実績と融資実行額は年々増加しています。

売掛債権を用いた資金上達方法として、ファクタリングと並んでよく利用されています。

風評に関する懸念

もともと売掛債権の譲渡にはあまり良いイメージがありませんでした。

これは売掛債権を「第三者に対する担保や第三者への譲渡による現金化に利用する」ことに対する経営への不信感から来ているものです。

利用すると、自社にとって好ましくない風評被害を生む可能性がありました。

しかし実際は、売掛債権の担保や譲渡等への利用促進は国の施策による影響も大きいです。

売掛債権担保融資の促進を図るための国の施策としては、平成16年に実施された掛目(売掛債権の評価率)の引き揚げがあげられます。

それ以前は、売掛債権を担保として融資を受ける場合に、売掛先の信用力に応じて50~90%の掛目となっていました。

しかし、この施策によって最小の掛目が不動産担保並みの70%に引き上げられました。

売掛債権担保融資保証制度の背景

売掛債権担保融資保証制度の背景

冒頭で述べた通り、売掛債権担保融資とは「中小企業が取引先に対して有している売掛債権を担保として、金融機関から融資を受ける」ことです。

この制度はあくまでも中小企業に対して適用されているものであり、たとえば製造業では資本金3億円以下の会社であるなどの定めがあります。

売掛債権を担保としない場合、中小企業は不動産担保に頼らざるを得ません。

しかし担保として提供できる不動産を十分に持っている中小企業は少ないです。

信用保証協会の設立などによって売掛債権担保融資保証制度を確立させることで、中小企業の資金調達の円滑・多様化を図った仕組みです。

日本で売掛債権を担保とした融資があまり広がらなかった理由

日本においては、ファクタリングと同様に売掛債権を活用した資金調達はあまり幅広く行われていませんでした。

その背景には、以下のようなものが考えられます。

  • 売掛先が倒産した場合、担保とした売掛債権には価値がなくなるなどのリスクがある
  • 売掛債権を担保として管理することにコストがかかる
  • 売掛債権を利用した資金調達に社会的な認知が低かった

これに対して、売掛債権担保融資保証制度が創設され対応を講じたことによって、徐々に浸透してきています。

 

売掛債権担保融資の仕組み

売掛債権担保融資の仕組み

売掛債権担保融資では、企業は金融機関に融資の申し込みを行い、金融機関と信用保証協会に売掛債権を担保として譲渡します。

もし企業が融資の返済が不可能となった場合には、信用保証協会が借入残高の90%を金融機関に弁済します。

その後、金融機関と信用保証協会は担保となっていた売掛債権から回収を行います。

この仕組みを詳しく解説すると、以下のようになります。

 

1.保証申し込み

売掛債権担保融資保証制度の利用にあたって、中小企業は現在取引のある金融機関を通じて、信用保証協会に売掛債権担保融資保証制度の申し込みを行います。

融資希望額と売掛債権の状況によって、企業ごとの借入額の上限額が決定されます。

その範囲内ならば1年間反復して融資を受けることが可能です。

 

2.売掛債権の担保設定

企業は、金融機関の融資に対する担保として売掛債権を提供します。

ここの融資は、取引先に商品やサービスを提供し、売掛債権が発生した段階でそれを引き当てとして行われます。

 

3.デフォルトしたら

デフォルトとなった場合は、信用保証協会は金融機関に対して、中小企業が受けた融資額の90%を弁済します。

その後、担保となっていた売掛債権から回収を行います。

売掛債権担保融資保証制度は改善されていく

売掛債権担保融資保証制度は改善されていく

売掛債権担保融資保証制度は、よりよい運用のために改善が加えられています。

たとえば、創設から約1年後に当たる平成14年11月に行われた改善では、借入の形に大きな変化をもたらしています。

それ以前には、商品の納入などが完了した後に発生した売掛債権を対象として融資が行われていました。

改正後は取引先との契約が成立した段階でも一定の範囲内で融資を受けることができるようになりました。

このほかにも、色々な改善が見られます。

 

申込窓口の自由化

今でも、一般的には既に取引のある金融機関に対して、売掛債権担保融資の申し込みが行われています。

以前は既に取引のある金融機関でしか申込みができなかったのに対し、改善後はどこでも申込みができるようになりました。

これは、各金融機関で売掛債権担保融資に対する見方が異なった事が理由にあります。

すでに取引のある金融機関が売掛債権担保融資に積極的である場合には問題ないのですが、消極的である場合にはうまく融資を受けられなかったからです。

そのことが普及の障壁となっていたため、これを改善するために申込窓口の自由化が行われました。

一括での申請が可能に

改正以前は、個別保証の場合に1債権者の1債権を引き当てとした借り入れが前提となっていました。

改正後は複数の債権者の複数の債権をまとめて引き当てとし、融資を受けることができるようになりました。

大きな額の売掛債権を少数の取引先に対して持っている業種ならば問題なかったのですが、小口の取引先も多数抱えている卸売業等の業種にとっては非常に利用しやすくなりました。

 

上限額の改善

以前は、1ヶ月以内に到来する複数の債権を束ねることを認め、その上限額は1000万円までとしていたました。

改善後、複数の債権を束ねる場合の上限金額は、すべて金融機関の判断に任せられることになりました。

 

対象となる売掛債権について

対象となる売掛債権について

売掛債権担保融資を利用する場合、担保として利用できる売掛債権には以下のようなものがあります。

  • 通常の売買契約における売掛金全般
  • 割賦販売代金債権
  • 運送料債権
  • 診療報酬債権
  • 工事請負代金債権

商品の提供による売掛債権だけではなく、さまざまなサービスの提供による売掛債権も対象となります。

譲渡禁止特約のついている売掛債権は担保とすることができないものの、債権譲渡禁止特約を解除できるものであれば、これも担保になります。

担保とする場合には、その売掛債権に関する「契約書・納品書・支払通知書」などの資料が必要となります。

 

譲渡禁止特約の解除について

これまでも述べてきたとおり、売掛債権には譲渡禁止特約が付いていることがあり、その場合には担保として利用することはできません。

まずは取引契約書を見直して、「当該売掛債権に譲渡禁止特約がついているかどうか」を確認してみましょう。

売掛債権担保融資の手続き

売掛債権担保融資の手続き

では、実際の手続きについて見ていきましょう。

 

借入額

制度上の借入限度額は、1億1100万円となっています。

実際に借りられる金額については、金融機関と信用保証協会の審査によって売掛債権の信用などを考慮したうえで、掛目を売掛債権の金額に乗じた金額の範囲内となります。

たとえば、1000万円の売掛債権に対して80%の掛目となった場合には、800万円の範囲内で借入が可能です。

しかし、この範囲内であれば満額借りられるかというとそうではありません。

融資を希望する企業の「資金需要・返済能力・経営計画」などからも判断したうえで、借入限度額が決定されます。

 

借入形式

借り入れは手形貸し付けの形式で行われます。

借入金の返済期日は、原則として担保とした売掛債権の入金予定日となっています。

売掛債権の支払サイトは長くても6ヶ月ということがほとんどであるため、借入期間も最大で6ヶ月となります。

 

売掛債権の譲渡

融資を希望する企業は、金融機関と信用保証期間に対して、売掛債権を担保として譲渡する契約を結びます。

そして、担保としての譲渡を行った後に、担保保全手続きを行います。

担保保全手続きとは、売掛債権を担保として譲渡したことについて、売掛先の企業から承諾を得るか、売掛先の企業に対して通知を行うかによって行われます。

 

借入実行

担保とした売掛債権の入金は、取引金融機関の名義の預金口座で受けることになります。

実際に資金を手にするまでには、信用保証協会の保証決定、担保の契約、保全手続き、金融機関の預金口座での売掛債権の回収準備完了という流れを経ることになります。

 

返済

先述の通り、売掛債権の回収日が借入金の返済日となっています。

売掛先から預金口座への入金がされると、それが借入金の返済となります。

 

ファクタリングとの比較

ファクタリングとは

売掛債権を利用した資金調達方法は、売掛債権担保融資だけではなくファクタリングもあります。

では、売掛債権担保融資とファクタリングでは、どちらが企業にとってメリットがあるのでしょうか。

 

調達資金

売掛債権担保融資は売掛債権額の70~100%であるのに対し、ファクタリングは70~90%となります(一般的な二社間ファクタリングの場合)。

優良な債権ならば、売掛債権額にかなり近い額の資金調達も可能となることでしょう。

しかし、一般的な中小企業ではそのような債権は少ないためあまり問題にはなりません。

売掛債権担保融資では限度額が1億1100万円となっているのに対し、ファクタリング会社ではそれ以上の限度額が設定されていることが多いです。

 

信頼性

信頼性に関していえば、売掛債権担保融資の方が圧倒的に高いと言えるでしょう。

取引する相手は銀行などの金融機関、そして公的機関である信用保証協会です。

一方、ファクタリングを依頼するファクタリング会社の中には、聞いたことのない名前の会社も多く、インターネットで検索してもあまり情報が分からないような会社も多いものです。

しかし、ファクタリング会社の中には安心できそうな大企業の傘下で行なっているものもあるのよ。

それらを利用すれば安心感はかなり高まるでしょう。

 

経営への影響

経営への影響を見ると、売掛債権担保融資は一長一短です。

売掛債権を担保とすることによって資金調達ができることは、経営にプラスになることです。

しかし、売掛債権担保融資はあくまでも融資です。

担保としていた売掛債権が「売掛先の倒産」などによって無価値になってしまった場合にも、銀行にはきちんと返済しなければなりません。

また、担保とした売掛債権は、通常の売掛債権とは別の扱いとして管理していかなければならない面倒くささもあります。

一方、ファクタリングは売掛債権を売却して資金調達を行うため、返済は必要ありません。