会社の安全性を図る指標の1つに、「自己資本比率」があります。
自己資本比率とは、外部から調達した他人資本ではなく、自己資本がどれくらいの割合を占めているかを示すものです。
自己資本比率が高いということは、外部の資本に頼らなくても経営していける、つまり経営が安定しているといえます。
銀行は融資を検討する際には、自己資本比率も必ずチェックします。
この時、自己資本比率が高ければ、審査に有利になることは言うまでもありません。
本記事では、「自己資本比率の概要」、「融資を受けるための自己資本比率の目安」などを上げる方法などを解説していきます。
自己資本比率とは


自己資本比率 (じこしほんひりつ)
企業の総資産に占める自己資本の割合を示した財務指標です。
自己資本は返済する必要のない資金ですから、この割合が高いほど、財務の安全性が高い企業ということになります。
自己資本比率とは、会社の総資本のうち自己資本がどれくらいを占めているかを示すものです。
自己資本には「出資金・剰余金・自己株式」などがあり、完全に自由に使える資金であるとも言えます。
一方、融資などによって外部から調達したものを他人資本と言いますが、これはいずれ返済する必要があるため、資産ではなく負債に計上されます。
自己資本比率が高い会社は安定性が高く、逆に自己資本比率が低い会社は安定性が低いと言えます。
銀行は融資の際に自己資本比率を確認している

銀行は、会社から融資の申し込みを受けた時、その会社の決算書から格付けを行ない融資の判断を下します。
この時、スコアリングシートというもので点数をつけていくのですが、その採点の大部分は決算書によって行われます。
スコアリングが融資判断を大きく左右するため、格付けが良い会社は希望通りの融資を「よりスピーディに、より低い金利」で受けられるようになります。
もちろん、スコアリングの全てが決算書によって行われるというわけではありません。
会社や経営者の「背景・現状・市場の動向・従業員のモチベーション」など、様々な角度から点数を付けられます。
この点数を伸ばし、融資を受けやすくするためには、さまざまな経営改善(おもに収益性・財務体質・経理処理の3点)が求められます。
収益性・財務体質・経理処理の改善は自己資本比率の改善に近い
これらの改善は、自己資本比率の改善方法とかなりの部分で一致します。
収益性を改善してしっかりと利益を得られるようになれば、他人資本に頼る必要はなくなり、自己資本比率を高めることができます。
売掛金をしっかり回収できる体制を整えたり、不要な資産を売って資金調達したりすることで、財務体質を改善します。
利益が多く残るようにすれば、これもやはり自己資本比率を高めることができます。
経理処理を改善すれば、資産計上すべきものをきっちりと資産計上し、経費にすべきものはきっちりと経費として処理するようになります。
やはり自己資本比率を高めることに役立ちます。
逆に、自己資本比率の良し悪しは、経営状態の良し悪しに通じる部分が多いと考えることができます。
融資が受けやすくなる自己資本比率とは?

上記の通り、自己資本比率を高めることによって、会社の経営が順調にいっていることを銀行にアピールできます。
「経営が順調にいっている=融資が受けやすくなる」ということです。
他人資本に頼っていなければ、返済の負担も小さく、今後の資金繰りにも困る可能性は低くいでしょう。
そのような会社であれば、融資した銀行も貸し倒れリスクが低く安心です。
目安となる自己資本比率:40%以上
では、どれくらいの自己資本比率があれば好ましいのでしょうか?
一般的には、40%以上が目安とされています。
40~69%程度ならば優良企業といえます。
70%以上あれば超優良企業であり、倒産リスクはほとんどないとみなされ、融資を受けやすくなります。
無借金がいいとは限らない
自己資本比率が高いほどいいとは言っても、自己資本比率100%の会社(=無借金経営の会社)が必ずしもいいとは限りません。
会社が成長していくためには、借金をして開発や設備、人材、販路開拓などいろいろなものに投資をする必要があります。
借金をせずに、それらの投資が満足にできる会社というのは非常に少ないのです。
無借金経営の会社の中には、借金を過度に嫌っているだけという場合も多いです。
会社が必要に応じて借金をしながら成長し、そのうえで自己資本比率が高い企業こそ、いい企業だと言えます。
自己資本比率の計算方法

自己資本比率は、【自己資本比率={(総資本-他人資本)÷純資産}×100】で計算します。
この計算式は、直近の決算書の数値を使えばすぐに計算できると思います。
自己資本比率は倒産リスクの予測に役立ちます。
一般的には、自己資本比率は以下のように評価します。
-4%以下の評価
自己資本比率がマイナスかつ-4%を上回った場合、赤字企業として格付けされます。
自己資本比率による評価のうち最悪の評価であり、そのような会社に銀行が融資することはほぼありません。
0%未満の評価
自己資本比率がマイナスになった状態です。
この状態では、欠損企業(決算が赤字の会社)として格付けされます。
評価としては、-4%未満の赤字企業よりもいくらかマシくらいです。
日本の会社の3分の2が欠損企業に分類されていると言われています。
0~19%の評価
自己資本比率がこの範囲内にある会社は、赤字に陥っているわけではなく、今後成長していく可能性もある会社です。
とはいえ、倒産リスクはやや低い程度であり、銀行が積極的に融資することはありません。
事業計画書などによって説得すれば、融資が可能になることがあります。
20~39%の評価
この数値は、自己資本比率の平均的なものであり、銀行はこれを普通の会社とみなします。
倒産リスクも「高くも低くもない」という程度です。
銀行が積極的に融資するとは考えにくいものの、審査の通し方によってはいくらでも融資が得られる可能性があります。
銀行が積極的に融資するのは優良企業であり、普通企業はそこまでの評価は得られていないため、提出資料の充実が求められます。
40~69%の評価
自己資本比率が40%を超えてくると、銀行はその会社を優良企業とみなし、積極的に融資してくれるようになります。
ですから、自己資本比率が低いために融資が難しくなっている会社は、まずは自己資本比率40%を目指すのが良いでしょう。
70%以上の評価
自己資本比率が70%以上になると、超優良企業と言えるレベルです。
経営破たんに陥るリスクは極めて低く、銀行は融資しても貸し倒れに陥るリスクがほぼないため、低金利、無担保での貸付けも可能となります。
ここまで自己資本比率を高められれば良いのですが、ここまでの会社はなかなかないため、まずは40%以上を目指すようにしましょう。
自己資本比率を上げるコツ

では、自己資本比率を40%以上に引き上げるためには、どのようにして自己資本比率を高めていけばよいのでしょうか。
▼自己資本比率を上げるために
- 他人資本を減らし、自己資本を増やす
- 他人資本はそのままに、自己資本を増やす
- 他人資本を減らし、自己資本を増やす
他人資本を減らしつつ自己資本を増やすのが最も効率的でしょう。
他人資本を減らすか、自己資本を増やすかのどちらかを行うだけでも、自己資本比率を上げることができます。
他人資本を減らす方法

他人資本を減らす方法は単純で、負債を圧縮するのみです。
負債には「金融機関からの借入・社債による借入・掛買いによる買掛金・支払手形」などがあります。
資産を売却して得た現金を返済に充てたり、利益を返済に回したりすることで、借入金を圧縮していくことができます。
もちろん、資金繰りを悪化させない程度に返済していくことが重要です。
これによって他人資本を減らしていけば、自己資本比率は高まっていきます。
自己資本を増やす方法

自己資本を増やす方法には、以下のようなものがあります。
資産の圧縮
余分な資産を処分することによって、自己資本を充実させることができます。
たとえば、資産を売却して現金化することによって、自己資本を増やすことができます。
現金を得れば、それだけ内部留保は多くなります。
また、回収不能な売掛金や貸付金などは、期末に貸し倒れ処理をして損失として計上すれば節税に役立ちます。
節税によって税金の支払いを減らせば、それだけ利益を多く残すことができ、自己資本が増えます。
回収不能な売掛金をそぎ落とし財務内容をスマート化すると、節税以外にも売掛金の管理が簡単になるなどのメリットがあります。
増資

増資とは、会社が新株を発行して資本金を増やすことです。
増資をすれば自己資本を増やすことができます。
増資のためには新株の引受人が必要となります。
一般の中小企業では、個人投資家から注目されることはありませんし、ベンチャーキャピタルからの出資を受けるのも簡単ではありません。
そこで、社長からの借入金を資本金にするなど、中小企業でも役立てられる方法がいくつかあります。
これは、会社の状況によって効果的な方法が異なるため、まずは税理士などに相談してみるのが良いでしょう。
利益を拡大する

単純な方法ですが、利益を拡大して内部留保を増やせば、自己資本比率は高まります。
利益を上げることは簡単なことではありませんが、利益を上げることは自己資本比率に関係なく、どの会社でも必要な姿勢です。
そのため、利益を上げるという会社本来の目的を達成しつつ、自己資本比率も改善すると考えるのが良いでしょう。
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まとめ:自己資本比率は40%以上を目指そう
自己資本比率は、融資を受けるために非常に重要な指標です。
しかし、多くの会社の自己資本比率が40%未満になっているのが普通です。
会社が銀行から良い評価を受け、スムーズに融資を受けるためには、自己資本比率が40%を超えている状態を目指すべきです。
そのためにも、本記事で解説したポイントを踏まえ、自己資本比率向上に努めてください。

