ファクタリングは資金調達だけでなく、倒産によって売掛金を回収することができないなどのリスクの回避にも有効なものです。
債権者であるからこそ、「どのような方法ととるのがよいか」、「債権隔離はどのようになっているのか」などのリスク回避方法を知っておきましょう。
取引先が倒産したらときの悪影響

事業を行っていくうえで、売掛金には常にリスクが伴います。
相手がどのような取引先であっても、万が一を考えると売掛金はとても怖いものです。
もともと資金繰りが厳しい中小企業では、取引先の倒産は重大な問題となってきます。
倒産すると、売掛金が入らないだけでなく、事業の継続そのものが難しくなる可能性があります。
取引先が倒産したときの対処法

実際に取引先が倒産した際はどのような対処が必要なのでしょうか。
最初に行わなければならないのが「情報収集」です。
情報収集をする
どのような状態であるのかを正確に把握することが大切です。
- 裁判所に破産手続き開始の申し立てをしたのか
- 債権者や債務者の合意に基づいた私的整理であるのか
- 手形が2回不渡りを出した事実上の倒産であるのか
金銭債権の確認
次に売掛金があるというだけでなく、債権がどのくらいあるのかを正確にしておきます。
売掛金などの金銭債権がある場合には、最終的に取引先の財産から配当が行われることになります。
配当があるといっても全額は難しくなりますから、負債となった分に関しては損金処理を行うことになります。
ファクタリング利用時の対応

売掛金にはこういったリスクがつきものとなりますが、ファクタリングを利用した場合は状況が異なります。
ファクタリングは売掛金を譲渡しますが、期日に売掛金が入らない場合にはどのようなことになるのでしょうか。
ファクタリングの場合は、必ずしも負債を負うとは限りません。
償還請求権の有無で異なる
ファクタリングには、償還請求権がある場合とない場合があります。
償還請求権がある場合(ウィズリコース)、売掛金が入らないと事業主に支払い義務が発生してきてしまうため、売掛金分を支払わなければならないということになります。
しかし、償還請求権がない場合(ノンリコース)には、ファクタリング会社が売掛金支払いのリスクを負います(=企業はリスクを回避できる)。
一見、償還請求権がない方がよく見えますが、償還請求権なしのファクタリングは手数料が高く設定されるのが一般的です。
ファクタリングと債権回収の流れ

ファクタリングは、資金調達のための新たな手段として注目されています。
方法としては2種類あり「3社間で行う場合」と「2社間で行う場合」とになりますが、その違いによって債権の流れにも違いが出てきます。
3社間で行う場合には、売掛先とファクタリングの利用会社、専門の会社という3社での間になります。
この場合、売掛先も契約を行うことになりますから、売掛先企業は売掛金を利用会社ではなく専門の会社に入金します。
2社間での場合には、売掛先は関わりませんから、通常通り期日には利用会社に入金されることになります。
入金されたら、そのまま専門の会社に入金する流れです。
2社間では直接回収をしない
2社間で行った場合であっても、売掛債権は専門の会社のものとなります。
売掛先とは契約を結んでいるわけではありませんから、専門の会社が直接売掛先に集金を行うようなことはできません。
この場合には、利用する会社と専門の会社の間で「集金代行業務委託」を結んで利用会社が集金を代行するという流れになります。
償還請求権の有無で流れは異なる
さらにチェックしておきたいのが、売掛先が倒産などの理由で支払いを行うことができなくなった場合です。
この場合、債権がどのような流れでどこにあるのかによって、負債を誰が負うことになるかも違ってきますから重要なものとなってきます。
3社間で行う方法と2社間で行う方法のほかにも、償還請求権がある場合とない場合とがあります。
償還請求権のある契約を結んだ場合、あくまでも契約を結んだだけであって、債権に関しては利用会社にそのまま残っているという状態となります。
つまり、債権は移動していません。
そのため仮に売掛先が倒産などして、売掛金の支払ができない状態となった場合には、債権を持っている利用会社が負債を負うということになります。
償還請求権のある契約の場合には、売掛金の回収ができ専門の会社に入金した段階で、債権が専門会社に移動するということになります。
売掛金の回収を行うことができない場合でも、売掛金分を専門会社に支払わないといけない状態です。
償還請求権がない場合には、契約を結んだ時点で債権は利用企業から専門会社に移動します。
売掛先が売掛金の支払を行うことができないような状態になった場合でも、債権を持っている専門会社が負債を負うことになり、利用会社は損害を被ることがありません。
資金調達で注意したい「倒産隔離」について

通常、資金調達する手段として利用するのは銀行などからの融資となります。
しかし、融資では解決することができない場合もあります。
そこで手形割引やファクタリングを利用といった方法での資金調達が必要となってきます。
ファクタリングなどは資産を現金に換えるという方法であり、ここで重要となってくるのが「資産」です。
ファクタリングの場合、売掛金が資産になりますが、「資産が誰のものであるのか」がとても重要なポイントとなってきます。
倒産剥離が重要な理由
倒産隔離は、資産の所有権者とSPCの倒産のリスクを回避することを指します。
SPCとは資産の所有権者が、その資産を資金に変えてくれる会社のことになりますから、ファクタリングは専門会社ということになります。
なぜ倒産隔離が重要なものとなってくるのかというと、仮に資産の所有者が倒産してしまった場合に、その資産に投資した会社は大きな損をすることになります。
損をするだけならまだしも、それによって投資した会社自体が倒産してしまうということも考えられますから、とても重要なことになります。
具体的に言うと、資産の所有者が投資した場合には、その資産は差し押さえられる可能性があります。
ファクタリングでは、売掛金が差し押さえられてしまうということになりますから、先に出しておいたお金が戻ってこないということになってしまいます。
この影響は甚大なものとなりますから、そうならないために倒産しても資産を所有者の物でない状態にしなければならないということです。
ファクタリングと償還請求権
これは重要な問題となってきますから、償還請求権があるのかないのかということでもそれがわかります。
償還請求権がある契約を行う場合には、売掛債権は専門会社にあることになります。
償還請求権がない場合には、売掛金が専門会社に入金されるまではファクタリング利用企業の物となってきます。
ファクタリング会社から見てみると償還請求権がある場合には、万が一にも売掛先が倒産などで売掛金が入らないような状態になった場合には負債を負うことになります。
そのため、そのリスクを回避するために手数料を高めに設定しています。
そもそも手形割引とファクタリングの違いって?

手形割引とは、支払い期日前の受取手形を銀行や手形割引業者に買い取ってもらい早期に現金を入手する方法です。
手形保有者は、銀行などの業者に手数料を支払うことで、支払い期日前に現金を入手できます。
ファクタリングも手形割引も「手数料を支払って支払い期日前に現金を入手るする」という点は同じですが異なる点もあります。
それは現金化する対象物の信用度です。
- ファクタリング(売掛債権):代金が支払われるかわからない
- 手形割引(受取手形):支払われる確率が非常に高い
手形は半年間に2度以上の不渡り(=支払い期日を過ぎても決済できない状態)を出すと、金融機関との取引が非常に難しくなります。
よって、一般的に手形割引の方が買取側のリスクが少ないため、手数料が2.0~5.0%とファクタリングより低いのが特徴です。
その他見ておきたいファクタリングのメリットとデメリット

ファクタリングは資金調達のための有効な手段として注目されていますが、メリットもあればデメリットもあります。
メリットだけでなく、デメリットをきちんと理解した上で利用することが何よりも重要なことになります。
手形割引など似たような仕組みのものもありますから、どちらを利用するのがよいのかは「メリットとデメリット」を理解していないと判断が難しくなります。
ファクタリングのメリット

今回の記事にもっとも関係があるメリットとしては、多くのファクタリング契約で「万が一、売掛先が倒産しても利用者はの費用負担はない契約」になっている点です。
ファクタリング利用者が売掛先の倒産時に費用負担を負うかは「償還請求権の有無」によって異なります。
償還請求権とは、支出した金銭の返還を求める権利です。
ファクタリングの場合は、売掛先が倒産した際にファクタリング業者が利用者に費用を請求する権利として扱われます。
一般的なファクタリング契約に、償還請求権はないため、売掛先が倒産しても利用者は何の請求を受けることもありません。
一部の悪質ファクタリング業者は「償還請求権あり」として、利用者に不利な契約を結ばせることがあります。
契約前に、償還請求権について確認するようにしてください。
ファクタリングのデメリット

ファクタリングの手数料は、融資などのほかの資金調達法と比べるとかなり割高に設定されています。
便利でスピーディーに入金される分、手数料は割高になりがちです。
なお、ファクタリングの手数料を融資等の金利と比較する際は、同じ「%表記」でも何を基準に計算しているかが異なるためご注意ください。
- ファクタリング:月率表記
- 金利:年率表記
本記事では、コストを単純比較するために、ファクタリング側の数値を×12倍で表記しています※。
※実際にかかるコストは、ファクタリングの手数料は一括払い、融資は継続的に利息を払うといった違いを考慮のうえ計算する必要があることにご留意ください。
▼ファクタリングとその他資金調達法とのコスト比較
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厳密な比較には細かい返済計画と利息計算が必要ですが、基本的には「融資と比べるとファクタリング手数料は割高になりがち」と覚えておけばOKです。
ファクタリングには手数料の上限がありません。
業者は手数料を自由に設定できるため、利用前に必ず手数料相場を確認しましょう。
あまりにも相場とかけ離れた手数料の業者は避けるのが無難です。
まとめ
ファクタリングと企業の倒産には大きな関係があります。
普段あまり目にしませんが、倒産時には重要となってきますので、「償還請求権」について簡単に知識をもっていると安心でしょう。
