銀行から融資を受ける際は、基本的に「プロパー融資」を受けるのがベストです。
ただし、中小企業では多くの場合が「保証協会の保証付き融資」になるでしょう。
保証協会付き融資は、銀行にとって大きなメリットがあり、融資するためのハードルがかなり下がります。
それでも、リスクがありそうな会社に対しては、保証協会付き融資でも銀行からの融資が受けられないことがあります。
では、保証協会付き融資も難しい会社はどのように銀行と交渉していくべきでしょうか。
保証付き融資を通しやすくする方法:書類をきちんと作成する

保証協会付き融資も難しい会社が融資を受ける方法、と書くと何か裏ワザのようなものがあると思われるかもしれません。
しかし実際には、当たり前のことを的確にこなしていくことが重要です。
本章で紹介する「書類をきちんと作成する」というポイントも、その一つです。
なぜ書類が重要かと言うと、銀行は「稟議制度」によって融資の可否が決められているからです。
稟議制度では、融資依頼を受けた融資担当者が稟議書を作り、それを上司から支店長へ、場合によっては本部へと稟議書が回されます。
重要なのは、自社のことをまったく知らない人が「稟議書の内容だけで会社の良し悪しを判断し、融資の可否を決定していく」という点です。
稟議書が融資の結果を左右するため、稟議書を作る際の根拠となる書類が重要になります。
保証協会付き融資で準備する資料

保証協会付き融資を受ける際に提出する資料は2種類あります。
一つは「手続きに必要な書類」であり、もう一つが「融資の判断に必要な書類」です。
手続きに必要な書類
保証協会付き融資の手続きに必要な書類には、次のようなものがあります。
- 信用保証依頼書
- 信用保証委託申込書
- 信用保証委託契約書
- 個人情報の取り扱いに関する同意書
- 確定申告書
- 決算書
- 商業登記簿謄本
これらの資料は、審査にあたって必要となる書類であり、求められればすぐに提出できるように準備しておく必要があります。
保証協会付き融資は「会社⇔銀行⇔保証協会」とやり取りが行われるため、書類の手続きが煩雑です。
記入漏れや書き間違いがないように準備しましょう。
融資の判断に必要な書類
融資の判断に必要な書類には次のものが必要です(新規金融機関の場合)。
- 決算書
- 5年分の損益予定表
- 合計残高試算表
- 資金繰り予定表
- 事業計画書
- 金融機関別借入内訳表
これらの資料から、会社の過去から現在に至るまでの経営状況、今後の経営の見通しなどを見ることができます。
銀行は、これらの資料から、その会社にお金を貸しても大丈夫かどうか、きちんとお金が返ってくるかを判断します。
上記資料のうち、とくに説明の必要があるものについて補足していきます。
合計残高試算表
合計残高試算表は、毎月作っておくべきものですが、毎月作っている会社はそれほど多くはありません。
会計ソフトなどで簡単に作成できますので、どんぶり勘定を避けるためにも毎月きちんと作成してください。
合計残高試算表があれば、収支の小さなズレに気付きやすくなります。
前月の合計残高試算表を翌月15日までに作成する体制を作っておきましょう。
銀行も毎月「合計残高試算表」を作成している会社に対しては、「きちんとした会社」として好印象を抱きやすいです。
資金繰り予定表
資金繰り予定表からは、貸したお金がどのように使われ、どのような効果が期待できるかを読み取れます。
そもそも、銀行が融資をする時には、必ず確認する3つの事項があります。
それは、「資金使途」、「返済原資」、「保全」の3つです。
これによって、融資の8割が決まると話す銀行員もいるほど、これらの要素は重要なです。
この3つの事項は、責任共有制度(=貸し倒れの場合に銀行と保証協会が責任を共有する制度)があるため重要となっています。
万が一、貸し倒れた場合、「銀行:保証協会=2:8」の割合で責任を負担します。
そのため、銀行は保証協会付き融資であっても、貸し倒れを防ぐために「資金繰り予定表」をよく確認します。
事業計画書
うまく融資を引き出していくために重要となるのが、「事業の透明化」です。
保証協会は保証のための事務手続きのプロであり、銀行は審査のプロですが事業経営に関してはほぼ素人と言ってよいでしょう。
これをうまく利用することが大切です。
そこで重要となるのが「事業計画書」です。
事業計画書を読み、そこに実現の可能性があり、経済的に合理的であり、客観性があると見れば、問題なく融資を受けられるはずです。
大切なのは、社長がしっかりとした考えを持っており、行動していけることが文章と数字で表されていることです。
そのような経営計画書を添付しておけば、保証協会や銀行が首を縦に振る可能性は大きく高まります。
金融機関別借入内訳表
この資料は、現在融資を受けている金融機関ごとの「借入額、借入残高、毎月の返済額、保全状況」などを一覧表にしたものです。
銀行は、他の銀行の動きを探りたいと常に考えています。
金融機関別借入内訳表を提出すれば、自社の借入状況を全てオープンにすることにもなります。
銀行にとっては、安心して取引できるかどうかを判断するための、重要な資料となるわけです。
金融機関別借入内訳表の提出は必須ではないものの、心証を良くしてもらうための資料だと考え、できるだけ提出するようにしましょう。
保証付き融資を通しやすくする方法:銀行との交渉ポイント

ではここから、上記の資料を提出することを前提として、銀行といかに交渉していくかを見ていきましょう。
銀行が融資の可否を決める重要な要素は、先ほど紹介した3つの要素が重要となります。
- 資金使途
- 返済原資
- 保全と担保
銀行との交渉ポイントも多くはこの3つにあります。
1.資金使途

3つの要素のうち、最重要と言えるのが「資金使途」です。
融資可否の半分以上は、資金使途によって決まると言われるほどに重要です。
それは、不良債権化してしまった会社のほとんどが、資金使途を誤ったことに原因があるからです。
融資するお金は……
- 設備資金なのか
- 運転資金なのか
- 前向きな投資のための資金なのか
- 現状維持のための後ろ向きな資金なのか
銀行はこれらを十分に把握したうえで審査に役立てていきます。
2.返済原資

返済原資とは、返済のための財源のことです。
原則的に、返済は利益の中から行なっていくものです。
融資を受けた資金を活用することにことで、「きちんと利益が出ている」ことを示すことができれば、銀行はそれを返済原資とみなしてくれます。
長期融資を希望する場合。返済原資を示すには「事業計画書」と「資金繰り予定表」に加え、「今後5年間の損益予定表」を追加します。
3.保全と担保

最後のポイントが、保全と担保です。
保証協会付き融資は、無担保の場合には上限枠が8000万円ですが、有担保の場合には上限枠が2億円まで広がります。
担保の条件は、次の3種類があります。
- 優先
- 同条件
- 劣後
有担保で保証協会付き融資を受けた場合、この条件により、銀行と保証協会の間で担保の配分を決めています。
仮に、有担保で3000万円の融資を受けた会社があったとしましょう。
この会社が倒産し、貸し倒れになった場合には、上記の3種類によって、担保は以下のように処分されます。
優先
優先とは、銀行よりも保証協会を優先させる条件です。
通常、貸し倒れになった場合、担保を処分した全額を銀行が受け取ります。
しかし、優先になっている場合には、まずは銀行ではなく保証協会が担保の全額を受け取ります。
同条件
同条件は、担保処分によって得られたお金を銀行と保証協会で均等に分ける条件です。
たとえば、3000万円の貸し倒れになり、担保を2000万円で処分できたならば、銀行と保証協会で1000万円ずつ分け合うことになります。
劣後
劣後は、優先の逆であり、保証協会よりも銀行を優先させる条件です。
貸し倒れになった場合、担保を処分した全額を、通常どおり銀行が受け取ります。
保証協会には1円も入りません。
優先・同条件・劣後の3つの条件はどのように決定されているのかというと、それは銀行です。
交渉のポイントとしては、銀行に以下のように言ってみることです。
「今回は、有担保枠での借入を考えています。しかしその場合、保証協会を優先にしてもらえませんか」
このように言えばプレッシャーになり、銀行は最悪でも同条件、あるいは優先で考えざるを得なくなります。
そうなれば、保証協会の保証を受けやすくなり、保証協会付き融資が出やすくなるのです。
まとめ:対策をしても融資が受けられないときは別の資金調達方法を利用しよう
保証協会付き融資を受けられない場合でも、まだできる対策は多くあります。
特別なことをするのではなく、保証協会付き融資を引き出すために、当たり前のことを当たり前にやるのがポイントです。
それでも融資が出なかった場合は、ファクタリングなど別の資金調達方法も柔軟に考えていきましょう。
