融資担当者が語る財務分析(4)危険視すべき勘定科目は?

銀行員が財務分析をする目的は、資金繰りの様子を把握するためです。

その会社の資金繰りは果たして良いのか、悪いのかを知り、融資を判断していくわけです。

当然、資金繰り悪化につながる悪材料には注意し、そこから危険と判断して融資を拒否することもあります。

では、具体的にはどのような勘定科目を危険視するのでしょうか。

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特に注意する勘定科目は?

―――ここまで、資産項目への分析について、主に借入金と各科目の関連性という見方をしてきましたが、マイナス評価となる勘定科目があれば教えてください。

勘定科目の中には、健全性に大きな影響がでるような勘定科目もあります。

そのような科目が増加していると要注意という見方をします。

これについては、おそらく知っている経営者もいるかと思いますが、

  • 貸付金
  • 未収入金
  • 仮払金
  • 前渡金
  • 投資有価証券の増加

は要注意と見ます。

銀行ウケする決算書を解説した書籍も色々ありますが、そのような本で紹介されていることもよくありますね。

確かに、このような科目は銀行が警戒するものです。

―――なぜ警戒が必要なのでしょうか。

第一に、これらの科目は資金が固定化しやすいことが大きな問題です。

このような名目で資産計上されていると、資産総額が増えることになります。

ですから、良い評価につながるだろうと考える経営者もいるようですが、とんでもありません。

本来の意味で言えば、これらの勘定科目は長期的に見て、いずれは資金繰りに活用していくことが可能とも考えられます。

しかし、ほとんどの場合で実質的には固定化された資金であり、資金繰りに利用することは難しいです。

それが貸借対照表に計上されているということは、「動かせないお金がこれだけあります」と言っているようなものです。

また、そのお金が結局回収できなかったり、使途不明金が紛れ込んでいたり、投資の場合には価値を失ってしまったりすることもあるのです。

これらの勘定科目が全て悪いとは言い切れませんし、内容によっては問題ないこともありますが、銀行は警戒する必要があるのです。

CF戦隊
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貸付金

―――まず、貸付金からお話しいただけますか。

貸付金について考える時、そもそも論で考えるのが一番分かりやすいと思います。

貸付金とは、会社のお金を個人や会社に貸し付けることですが、貸金業者でもない会社が、そもそもどうしてお金を貸し付けたのかという疑問が起こるわけです。

その意味で、貸付金は通常発生しない科目と言えます。

また、貸したお金は固定化します。

会社のお金を貸すのですから、おそらく返済条件を設けて貸し付けているでしょう。

しかし、逆に言えば、その条件を繰り上げて返済する必要はないということです。

1200万円のお金を毎月50万円、2年かけて返済するという条件ならば、毎月50万円ずつしか使えないように資金が拘束されてしまいます。

CFレッド
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貸さなければフルに資金繰りに活用できたはずの1200万円が、このような形で固定されるのはどう考えても資金繰りにマイナスだ.

―――さらに、返済されない可能性もあると。

返済されない可能性も十分にありますね。

お金を貸すプロである銀行員でも、たまには見誤って貸し倒れを起こすことがあります。

それを、お金を専門に取り扱っていない会社の判断で貸し付けるのですから、返済能力に応じた貸し付けもできません。

特に、信用状態がよくわからない個人や会社に対する貸し付けは問題です。

借り入れをお願いしてきた個人や会社は、なぜ金融機関にお願いせずにその会社から借りようとしたのでしょうか。

おそらく、金融機関では借りられないからそうしたのでしょう。

CFイエロー
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お金を貸すプロが、融資することを嫌っている時点で、返済力は非常に低いと言えるわね。

その個人や会社に貸し付けたお金が貸付金に計上されていても、返済されない可能性は高いと考えるのがまともです。

このように、貸借対照表に貸付金が計上されていても、それをプラスに見ることはなく、貸付金を資産から差し引いて考えるのが普通です。

場合によっては、そのようなお金の使い方をしていることにマイナスの印象を抱きます。

―――経営者個人への貸し付けも多いと思います。

多いですね。

中小企業では、経営者と会社が一体の関係にありますから、会社のお金を個人的に使ってしまう経営者も多いです。

経営者が個人的な遊興にお金を使った時、それをまともに計上することはできませんから、経営者への貸付けとして計上するといった感じです。

それならまだかわいい方で、表に出せないお金を貸付金に計上することもあります。

例えば、契約を取るために、取引先の役員にお金を渡していたとすれば、そのような資金は表に出すことはできませんから、経営者への貸付金として処理することになります。

経営者の個人的な目的で使われた資金の多くは、計画的に使われたものではないでしょうから、返済するつもりはあっても、実際に返済されることは少ないです。

その他の怪しい使い道についても、借りたことになっている経営者が返済できるとは考えにくく、やはり資産性はありません。

このように、本来は経費として扱うべきところを、何らかの理由で貸付金として計上していることが非常に多いわけです。

資金が固定化されるだけでも資金繰りを圧迫しますし、返済されないならばなおさらです。

資金繰りを圧迫する行為自体もマイナス評価です。

銀行員は、理論的にも経験的にも、貸付金は怪しいと感じ取りますから、かなり注意すべき科目と言えます。

―――問題ない貸付金があるとすれば、どのようなものでしょうか。

目的と返済の可能性がはっきりしているものならば、それほど大きな問題とはみなさないこともあります。

例えば、従業員に対して住宅所得資金を貸し付けている場合などは、貸付金の内容が明確です。

CFブルー
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経営者個人の使い込みや使途不明金のすり替えに比べると随分マシだな。

しかし、会社の資金繰り的に考えると好ましくないことは事実ですし、理由が説明できればそれでいいというものではありません。

CF戦隊
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未収入金

―――未収金についてはどうでしょうか。

未収入金は、未回収の資金のことです。

売掛金も未回収の資金ですが、売掛金は営業活動から発生するのに対して、未収入金は営業活動以外で発生するものです。

例えば、会社が持て余していた不動産を賃貸した場合、賃料が発生します。

未回収の賃料があれば、それは未収入金になります。

他には、活用していなかった資産を売却して、まだ代金を受け取っていないならば、それも未収入金となります。

このように営業活動以外で発生するもので、未回収の状態にあるものを未収入金と考えます。

まともな性質のものであれば、未収入金はそれほど問題視するものではありません。

しかし、回収不能な売掛金が未収入金に振り替えられていることもあるので要注意です。

数期分の決算書を見てみて、未収入金が増加を続けているような場合、同額の未収入金がいつまでも計上されていれば、回収できないものを計上している可能性が高いです。

数期にわたって未収入金が増えていることもありますが、これも回収できないものを度々計上することで、増え続けている可能性が高いです。

となると、入金される可能性はないものが計上されているだけですから、なんの資産価値もないとみます。

もちろん、未収入金といいながらも実質的には貸し倒れなのですから、資金繰り的に好ましくないものですし、マイナス評価につながりますね。

仮払金

―――色々ある科目の中でも、仮払金は特によくないという意見もよく聞きますが、どうでしょうか。

その見方は間違っていません。

仮払金は、本来はなくて当然という項目です。

しかるべき経費として処理すべきところを、経費項目が確定していない段階で一時的に仮払金として計上するものですから、それが長期間にわたって計上され続けているのは普通ではありません。

CFイエロー
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しかし、仮払金をいつまでも計上している会社が多いのも事実なのよ。

数期分の貸借対照表を見ると、同額の仮払金がずっと記載されているようなことがあります。

なぜ、いつまでも仮払金から正しい経費項目に代わらないのかというと、それを経費に計上すれば赤字になるからです。

このため、仮払金が多額に計上されている会社は、決算上の問題を仮払金で誤魔化しているとみます。

資金繰りがしっかりしている会社ならば、仮払金をいつまでも計上するようなことはありませんし、それが普通とも言えます。

逆に、仮払金があれば、何か問題があるから仮払金を使っているということがほとんどですから、隠れた問題を探っていくことになります。

仮払金はできるだけ計上しない方がいいでしょうし、問題ない会社で計上しているなら、痛くもない腹を探られるかもしれないと考えてください。

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前渡金

―――次に前渡金ですが、これにそれほど悪いイメージを持たな人も多いと思います。

前渡金を、本来の目的の通りに使っている会社にとっては、その通りでしょう。

仕入れ代金の一部を納入前に渡せば、それは前渡金として計上されます。

単にそれだけのことならば、何の問題もありませんし、銀行も悪く捉えることはありません。

CFブルー
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しかし、前渡金もおかしな使われ方をすることがあるんだ。

例えば、他社に前渡金の名目でお金を貸していることがよくあります。

前渡金として計上されていても、中身は単なる貸付金に過ぎないわけです。

そうなると、前渡金は貸付金として見る必要があります。

すでにお話しした通り、貸付金は資金が固定化して資金繰りを圧迫しますし、しかも返ってこない危険性もあるのですから、当然マイナスの印象を持たれることになります。

投資有価証券

―――取引のために株式を保有することもありますが、投資有価証券は中身が重要と言えそうですね。

おっしゃる通り、他社とのつながりを強めて事業に活かすために株式を保有しているというならば、投資有価証券が計上されていても問題視しません。

投資有価証券を見る時には、事業のためであるかどうかを良くチェックします。

事業に全く関係ないものの、経営者の趣味のような感じで投資していることもあります。

投資に取り組む人というのは、損すると思って取り組む人はいないわけですから、

会社のお金で事業と関係ない投資をしているとしても、経営者としては会社のお金を増やそうという気持ちがあると思います。

会社のお金を投資で増やして、それを事業に使っていくのだから、自分のやっている投資は事業のためだとこじつける人もいるでしょう。

しかし、会社の資金を単なる投資に使っている場合、体質そのものに問題がありそうだと考えるのが妥当です。

投資したお金が大きく減ったり、なくなったりする危険性もあるのが投資というものです。

大きく増える可能性もあるといえばありますが、それを期待して会社のお金をつぎ込むという軽薄さは問題でしょう。

100の資金を事業に活かして利益につなげていけば、100が110や120に増えていくでしょう。

しっかりとした事業であれば、それが90や80に減っていくよりも、増えていくのが普通です。

CFレッド
CFレッド

基本的に、事業とはそのように地道なものだ。

しかし、単なる投資は100の資金が150や200になる可能性もある一方で、50や0になってしまう可能性も十分にあるのです。

投資を本業としている会社でなければ、それを事業として捉えるには無理があり過ぎます。

ですから、会社のお金を安易に投資に回す会社は基本的に問題視します。

事業と無関係な投資をするくらいなら、それを資金繰りに回すべきです。

銀行に融資を申し込む前に、その辺を改めるべきではないかと考えますね。

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まとめ

資産科目に計上されるもののうち、銀行が特に問題視する科目について話してもらいました。

これらが問題視されることは、既に知っている人もいると思いますが、銀行の財務分析の際になぜ問題視されるのか、それを銀行員目線で考えるのは有益なことです。

これらの勘定科目を、銀行員は資金繰りを悪化させるものだと断定しています。

だからこそ、融資にマイナスに働くのです。

普段からこれらの発生防止に努めることで、実際に資金繰りにプラスの効果が現れるでしょうし、決算書の内容にも無駄がなくなり、融資にも役立つことと思います。

融資
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「あなたの資金調達の力になりたい…」そう願ってやまない戦隊ヒーロー。さまざまな資金調達に関する情報をあつめて提供するのが使命。

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