助成金が増額される「優遇助成」って知ってる?対象の助成金と仕組みについて

助成金制度の中には、基本的な受給要件を満たした場合に受給できる助成金のほかに、一定の追加要件を満たすことで助成金額が増額されたり、助成率がアップしたりする場合があります。

その代表例は「生産性要件」ですが、このほかに「優遇助成」というものがあります。

優遇助成を受給できる助成金は、2019年5月現在では労働移動支援助成金の早期雇入れ支援コースのみとなっていますが、優遇助成の受給によって受給額を大きく伸ばすことができます。

そんな優遇助成について、本稿で詳しく見ていきましょう。

企業の取り組みを活性化する仕組み

厚生労働省が実施する助成金制度は、雇用の創出や安定、労働環境の整備、生産性の向上などを支援し、中小企業を盛り立てて経済を活性化することを目的としています。

このため、

  • 雇用を生み出した会社
  • 雇用安定に取り組んだ会社
  • 労働環境を整備した会社
  • 業務改善に取り組んだ会社

などが、助成金を受給することができます。

また、これらの取り組みについて、より困難な取り組みや、より社会に有意義な取り組みを行った場合には、助成金の支給額が大きくなります。

これをよく表しているのが、多くの助成金で設定されている「生産性要件」というものだ。

例えば、キャリアアップ助成金は非正規労働者の処遇を改善するためのものですが、正社員化コースでは有期契約から正規雇用へと転換した場合の助成金支給額について、以下のように定めています。

「1人当たり57万円<72万円>(42万7,500円<54万円>)
< >は生産性の向上が認められる場合の額、( )内は中小企業以外の額」

つまり、キャリアアップ助成金の正社員化コースでは、

  • 有期契約から正規雇用に転換し、処遇改善に取り組んだ中小企業には、1人当たり57万円を支給する
  • 転換への取り組みを通して、さらに生産性も向上した中小企業には、1人当たり72万円を支給する

という仕組みになっているのです。

最低限の取り組みを評価して支給する助成金と、積極的な取り組みを評価して上乗せする助成金を設けることで、会社の取り組みを活性化し、経済への効果を高めようとしていることが分かります。

優遇助成とは?

このような仕組みは、生産性要件として助成金制度の随所に見られますが、生産性要件以外にも助成金を上乗せする仕組みがあります。

本稿で紹介する「優遇助成」も、その一つです。

優遇助成が設けられているのは、離職した労働者の再就職を促すための「労働移動支援助成金」です。

生産性要件は、基本的に3年間での生産性の向上率を基準として支給されるものですが、優遇助成で生産性よりも、主に成長性を基準として支給されます。

会社によっては、3年程度の取り組みでは生産性をアップさせることができず、生産性要件を満たせないこともあります。

しかし、優遇助成であれば、生産性は向上していなくとも、成長性を評価してもらうことによって、助成金を増額してもらえるんだ。

また、生産性要件による増額は、せいぜい基本支給額の25%程度の上乗せになることが多いのですが、優遇助成では支給額が2~3倍以上になることもあり、かなり大きな上乗せが期待できます。

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労働移動支援助成金(早期雇入れ支援コース)の概要

ここからは、優遇助成について詳しく解説していきます。

まず、優遇助成が設けられている、労働移動支援助成金の早期雇入れ支援コース(以下、早期雇入れ支援コース)の仕組みについて、簡単に見ておきましょう。

早期雇入れ支援コースの取り組みは、特定の離職者を雇用した場合に受給できる「早期雇入れ支援」が基本となります。

さらに、早期雇入れ支援を行った上で、雇用した労働者を訓練した場合に「人材育成支援」に取り組むことも可能です。

それぞれの取り組みにおける、助成金の支給額は以下のようになっています。

【早期雇入れ支援】

通常助成 優遇助成 優遇助成(賃金上昇区分)
第1回申請分 30万円 40万円 40万円
第2回申請分 40万円 60万円

(1年度1事業所当たり500人が上限)

【人材育成支援】

訓練の種類 助成対象 支給額
通常助成 優遇助成 優遇助成(賃金上昇区分)
Off-JT 賃金助成(上限600時間) 1時間あたり900円 1時間あたり1,000円 1時間あたり1,100円
訓練経費助成 実費相当額(上限30万円) 実費相当額(上限40万円) 実費相当額(上限50万円)
OJT 訓練経費助成(上限 340時間) 1時間あたり800円 1時間あたり900円 1時間あたり1,000円

(1年度1事業所当たり5000万円が上限)

離職者の雇い入れによって、人材確保を通して助成金を受給でき、さらに雇い入れた労働者の教育を通して助成金を受給できるため、人材確保から能力アップまで一貫して取り組むことができます。

雇い入れた人材が即戦力になりやすく、非常にメリットが大きい助成金と言えます。

※労働移動支援助成金(早期雇入れ支援コース)の詳しい情報は、以下の記事を参考にしてください。

→労働移動支援助成金(早期雇入れ支援コース)を活用して人材を確保しよう!

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優遇助成を受けるためには?

そもそもの仕組みが大変にメリットの大きい助成金ですが、優遇助成を受けることによって、メリットはさらに高まります。

助成区分による支給額の違いについて、区分ごとに見ていきましょう。

通常助成

優遇助成を受けなかった場合の助成区分を「通常助成」と言います。

通常助成は、早期雇入れ支援コースで定められる基本的な受給要件を満たすことによって、助成を受けられる区分です。

早期雇入れ支援では、支給対象者1人につき30万円の支給を受けることができ、それ以上は支給されないよ。

人材育成支援の場合にも、賃金助成と訓練経費助成は最も少なくなっています。

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優遇助成

優遇助成は、一定の成長性が認められる事業所の事業主が、地域経済活性化支援機構(REVIC)の再生支援等、一定の要件を満たした事業所等から離職した労働者を雇い入れた場合、通常助成よりも多くの助成金を受給できる区分です。

早期雇入れ支援では、支給対象者1人につき80万円(第1回申請分40万円、第2回申請分40万円)が支給されるため、受給額は通常助成の2.5倍以上にもなります。

人材育成支援でも、通常助成と比べて賃金助成が1時間あたり100円アップ、経費助成の上限が10万円アップします。これは、どれも対象労働者1人当たりの支給額ですから、トータルすると受給額を大幅に伸ばすことができます。

一定の成長性が認められる事業所とは?

優遇助成を受けるためには、雇い入れを行う会社が「一定の成長性が認められる事業所」であることが条件となっています。これは、以下のいずれかに該当する事業所のことです。

支給申請を行う年度の直近年度の売上高が、その3年度前と比較して5%以上伸びていること

ローカルベンチマークの財務分析結果(総合評価点)が「B」以上であること

(※ローカルベンチマーク・・・経済産業省がインターネット上において提供する企業の経営状態を把握するためのツールのこと。売上増加率、営業利益率等の6つの財務指標を入力することにより、AからDの4段階で評価される。)

支給申請を行う年度の直近年度と、その3年度前の生産性を比較することによって算定した生産性の伸び率が6%以上伸びていること。

かつ、同期間中に、当該事業主において雇用する雇用保険被保険者を事業主都合によって解雇(退職勧奨を含む)をしていないこと

以上の①~③のいずれかに該当するならば、優遇助成を受けられる可能性があります。

は生産性要件と似ていますが、その他は売上の伸び率や財務分析結果が基準となっていることが分かります。

なお、①~③に該当しない場合であっても、③の生産性の伸び率が3年で1%以上6%未満であり、申請事業主の承諾の上で金融機関が行う与信取引状況や企業の事業に関する見立てを参考に、

当該企業の成長性・将来性が見込まれるものと労働局が判断した場合には、成長性が認められる事業所と見なします。

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一定の要件を満たした事業所等から離職した労働者とは?

さらに、自社で雇い入れる労働者が、「一定の要件を満たした事業所等から離職した労働者」であることも条件となっています。

これは、以下のいずれかに該当する事業所が、再就職援助計画を提出した場合に、「特例対象者」の認定を受ける労働者のことです。

REVIC、中小企業再生支援協議会等の事業再生・再構築・転廃業の支援を受けていること

事業再生・再構築・転廃業を行うことについて、特定調停(裁判所手続)を受けていること

営業利益と減価償却費の合計(EBITDA)が直近の事業年度でマイナスであること

ローカルベンチマークの財務分析結果(総合評価点)が「C」評価以下であること

再就職援助計画を提出した年度の直近の事業年度の売上高が、その3年度前と比較して20%以上減少していること

この条件に当てはまる労働者は、ハローワークが発行する「再就職援助計画対象労働者証明書」等に「特例対象者」 と記載されています。この記載があるならば、優遇処置を受けられないか検討してみるべきです。

優遇助成(賃金上昇区分)

さらに、優遇助成は優遇助成でも、賃金上昇区分というものがあります。

これは、優遇助成で雇い入れた労働者について、雇い入れ1年後の賃金が雇い入れ時の賃金と比較して2%以上上昇していた場合に、助成金を支給するものです。

賃金上昇率の計算を具体的に示すと、以下のようになります。

例えば、

  • 対象者の雇入れ後に、初めて支払われる賃金→20万円
  • 対象者の雇入れから1年経過後に、初めて支払われる賃金→21万円

であれば、

賃金上昇率(%)=(21万円-20万円)÷20万円×100=5%

となり、優遇助成の要件を満たすことになります。

また、賃金上昇率を2%ギリギリに抑えたければ、

2=(X万円-20万円)÷20万円×100

という計算式により、少なくとも20万4000円に引き上げておく必要があります。

なお、ここでいう「賃金」とは、時間外手当と休日手当を除く、毎月決まって支払われる基本給と諸手当を指しています。

とはいえ、それほどハードルは高くないよ。

この要件を満たすことにより、第1回申請の際には、通常の優遇助成と同じく40万円の支給、その後第2回申請の際に賃金が上昇していた場合に「賃金上昇区分」を適用し、60万円の支給となるのです。

支給額の合計は1人につき100万円となり、実に通常助成の3倍以上となっています。

人材育成支援でも、通常助成と比べて賃金助成が1時間あたり200円アップ、経費助成の上限が20万円アップし、トータルではかなりの増額につながるでしょう。

したがって、優遇助成を適用できる労働者の中に、能力や働きぶり、その他の理由から賃金を上げても良いと思っているならば、第2回申請までに賃金を上げておくのが良いでしょう。

どうせ賃金を上げる予定であれば、このタイミングで引き上げ、賃金上昇区分の20万円増額を受けるべきです。

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まとめ

本稿で解説した通り、労働移動支援助成金の早期雇入れ支援コースには優遇助成が設けられており、これによって受給額を大きく引き上げることができます。

優遇助成で上乗せされる金額を実際に見てみると、生産性要件などとは比較にならない、かなり思い切った上乗せになっていることが分かるはずです。

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早期雇入れ支援コースを活用し、人材不足を解消していく会社では、積極的に優遇助成を狙っていくことをおすすめするよ!

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