正規雇用したいが技術がない・・・有期実習型訓練で人材確保に成功した会社の事例

人材不足を解消するためには、会社に長く定着して働き続けてくれる正社員を増やすことが欠かせません。

しかし、正規雇用したくとも、そのレベルに達している従業員が少なく、正社員を増やせないことも多いものです。

そこで効果的なのが、訓練を実施することで従業員のレベルを高め、有期契約から正規雇用へと転換し、正社員を増やしていくことです。

本稿では、訓練の実施によって正社員を増やし、人材確保に成功したT社の事例を紹介し、助成金活用の具体的な方法について解説していきます。

製造業の人材不足

近年、日本の企業(特に中小企業)では、人材不足が深刻になっています。中でも、製造業では人材確保に悩んでいる会社が多いことでしょう。

それは、製造業は他の業種では見られにくい問題、すなわち

「単に人材を雇えばよいのではなく、技術水準の高い人材を確保しなければならない」

という問題を抱えているためです。

このため、若手の人材が不足しているからといって、技術の乏しい若手を正規雇用するわけにもいきません。

若手の人材はどうしても有期契約として雇用することが多くなり、定着率も低く、その結果技術の高いベテランの正社員の比率が高くなってしまうのです。

 

もちろん、ベテラン従業員は年々高齢化していき、いずれ退職してきます。

会社は顧客を納得させられる製品を製造することができなくなり、倒産の危機に陥ります。

そうならないためには、早いうちから対処していく必要があります。

まず、人材不足解消のためには正規雇用での人材確保を推進する必要があり、そのためには新規の人材の技術を引き上げるために、教育に取り組まなければなりません。

本稿では、上記のような問題を抱えていた会社が、新規の人材に教育を実施し、正規雇用に結び付け、人材不足を解消したケースを紹介していきます。

日本経済を支えている中小の製造業者が、人材不足に困っているんだね。

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T社の問題

本稿で取り上げるT社は、婦人服の製造を手掛ける製造業者です。

T社は昭和中期から続く老舗業者であり、以前は自社工場に加え、訓練校も持っていました。

当時は労働者が多く、人材不足がほとんど問題になっていませんでした。

訓練校では、ミシンの操作、縫製、アイロン・プレス作業などの計画的な訓練も実施していましたが、それ以上に、地方から上京してくる働き手のために、住居を提供する方が重要であったため、T社は訓練校を寮に転用しました。

訓練校を閉鎖してからも、T社の経営に大きな問題はありませんでした。

就職を希望する人材のなかにはそれなりの技能を持った人材も多く、訓練校での計画的な訓練の必要性は高くなく、正規雇用への転換も容易でした。

 

しかし、時代は変わり、T社の人材不足は徐々に大きな問題となっていきました。

会社が求める人材は集まりにくく、経験がほとんどない人材を雇用することが増えました。そのような人材が、業務を通して身に着ける技術の水準は低く、雇用しても正規雇用へ転換することが難しくなったのです。

もちろん、技術水準が低い有期契約の従業員に任せられる仕事は限られています。

労働力確保のために、有期契約労働者も全てフルタイムでの勤務としていましたが、業務内容は主に正社員の補助的な部分での、縫製・プレス・裁断・製品管理に限られていました。

T社では新規の人材が育たず、任せられる業務にも限界があり、生産性も徐々に低下していきました

また、有期契約から正規雇用へと転換される見込みがないため、新規の人材にとってT社は一時的な就職先でしかなく、いずれは正社員として雇用してくれる他社へ転職していきます

以上のように、T社は

  • 従業員の技術水準が低い
  • 生産性が低下している
  • 生産性低下により、さらなる人材不足にあえぐ
  • 正規雇用は進まない
  • 離職率は高い
  • 正社員の高齢化が深刻化する

といった、多数の問題が連鎖している状況でした。

まさに、「製造業特有の人材不足」に陥っていたのです。

 

T社の経営陣は、このままではベテラン従業員が年齢を理由に退職していき、いずれは取り返しのつかない状況に陥ると危機感を強めました。

そこで注目したのが、助成金の活用による人材確保です。

このままでは、T社は倒産してしまうだろう。どうやって解決したのかな?

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キャリアアップ助成金に注目

まず、T社が注目したのはキャリアアップ助成金です。

キャリアアップ助成金の正社員化コース(以下、正社員化コース)では、有期契約から無期雇用または正規雇用へ転換、あるいは無期雇用から正規雇用へ転換した場合に、以下の助成金を受給できます。
基本的な支給額 生産性が6%向上している場合
有期契約から正規雇用へ転換 1人当たり57万円 1人当たり72万円
有期契約から無期雇用へ転換 1人当たり28.5万円 1人当たり36万円
無期雇用から正規雇用へ転換 1人当たり28.5万円 1人当たり36万円

(※すべての転換を合わせて、1年度1事業所当たり支給申請上限人数は20人まで)

T社の場合、新たに雇用する派遣社員やパートスタッフは全て6ヶ月更新の有期契約での雇用としていました。

有期契約のパートスタッフを正規雇用に転換すれば57万円、派遣社員を正規雇用へ転換すれば、57万円に加えて28.5万円の追加助成を受けられます。

これを受給することで、

  • 採用コストをカバーできる
  • 転換の望みがあることを周知することで、有期契約労働者の意欲が高まり、生産性や定着率の向上につながる

というメリットが期待できます。

T社では、正規雇用の従業員が増えれば、定着率は高まり、人材不足は着実に解消されるだろう、と考えました。

また、定着率が高まれば採用コストが軽減され、助成金を受給すれば財務的な負担が軽くなります。

それによって生まれた余裕資金を、徐々に訓練に投入していく計画です。

しかし、正社員化コースによって転換制度を設けることによって、T社の人材不足解消されることはありませんでした

効果がなかった理由

T社は転換制度を就業規則に明記し、また事務所のカウンターや工場の階段踊り場に転換制度について掲示したり、毎週1回の朝礼で話したりと、周知を徹底しています。

しかし、転換の望みがあることが分かっても、転換のためには十分な技術が求められます。

T社が正規雇用転換のために求める最大の条件は、「十分な技術を持っており、製品の完成度が高いこと」となっていたのです。

T社には、有期契約の従業員に対する計画的な訓練の場がありません

実務を通して、正社員にふさわしい技術水準に達する労働者はごく一部であったため、多くの従業員にとって現実味が乏しかったのです。

キャリアアップ助成金は人材不足解消に効果的だ。しかし、T社のように転換が進まないケースもあるのだ。

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人材開発支援助成金に注目

T社は、転換制度を設けるだけでは人材不足の解消にはつながらないことを痛感しました。

訓練の実施も転換に必要であることを痛感しましたが、訓練を実施するためには様々なコストがかかります。それを負担するだけの財務的な余裕もありません

また、正規雇用できるだけの技術を身に着けさせるための訓練校はすでになく、かといって技術を身に着けていない従業員を転換するわけにもいきません。

訓練校を寮に転用するのは容易でしたが、従業員が暮している寮を再び訓練校に戻すこともできません。

どうしたものかと悩んでいたところ、訓練によって受給できる助成金があることを知りました。人材開発支援助成金です。

人材開発支援助成金には、特別訓練コース、一般訓練コースなどのほかに、特別育成訓練コースがあります。
特別育成訓練コースは、有期契約労働者を正規雇用することを前提として有期実習型訓練を実施することで、助成金を受給できるものです。

T社は、特別育成訓練コースを活用して有期契約労働者に有期実習型訓練を実施し、技術を高め、正規雇用転換に結びつけることを考えました。

訓練を後回しにせず、前倒しにしたんだな。的確な判断だ!

転換制度に訓練を盛り込む

この後、T社では転換制度を再び整備し、転換の条件を以下のように改めました。

  1. 6ヶ月間の有期実習型訓練を修了すること
  2. 訓練中の態度が優秀であること
  3. 有期実習型訓練指導員(総務部長、班長2名)の評価が良好であること
  4. 製品の完成度が高いこと
  5. 総務部長の面接試験に合格すること

これまでの転換制度は、

「技術は実務を通して各自で学習してください。その結果に応じて、正規雇用への転換を検討します」

というものであり、訓練に計画性はなく、求められる技術水準や学ぶべき技術の方針も曖昧でした。

これが、転換の進まない最大の理由であったため、

「転換希望者には訓練を提供します。訓練にしっかり取り組めば、正規雇用への転換を検討します」

という内容に変更したのです。

このような制度なら、転換を目指す従業員も増えるだろう!

有期実習型訓練とは

有期実習型訓練とは、新規に採用した非正規雇用労働者に対して計画的な訓練を実施し、適性や能力を見極めたうえで正規雇用を図るものです。

有期実習型訓練は、かつてのT社のように自社訓練校を持っている会社でなくとも、取り組むことができます

訓練の方法は大きく分けて、OFF-JT(業務に必要な知識やスキルについての訓練を、通常の業務以外で実施すること)とOJT(指導者の指導によって、通常の業務の中で実務を通じて訓練すること)に分けられます。

OFF-JTは「通常業務以外」であることがポイントです。

自社でカバーできない部分は外部機関に依頼することもできますが、自社のベテラン従業員が講師となり、通常業務以外で実施するものはOFF-JTとして認められます。

つまり、自社でOJTやOFF-JTを実施し、自社でカバーできない部分は外部機関に依頼することによって訓練できるため、自社訓練校などを持たずとも、計画的な訓練を実施することができるのです。

特別育成訓練コースの受給要件

特別育成訓練コースを活用して有期実習型訓練を実施すれば、助成金を受給しながら訓練することができます。

具体的には、以下のような訓練基準に沿って訓練を実施します。

  • OJTとOff-JTを効果的に組み合わせて実施する訓練であること。
  • 実施期間が3ヶ月以上6ヶ月以下であること。
  • 総訓練時間が6ヶ月当たりの時間数に換算して425時間以上であること。
  • 総訓練時間に占めるOJTの割合が1割以上9割以下であること。
  • 訓練修了後にジョブ・カードにより職業能力の評価を実施すること。

以上のように、OFF-JTとOJTを組み合わせながら訓練を実施するのがポイントです。

効果的な訓練計画をじっくり作成していこう!

助成金額

有期実習型訓練を実施した会社では、賃金助成と経費助成を受給できます。

有期契約労働者を訓練する場合、無給で訓練を実施するのではなく、きちんと賃金を支給する必要があります。

また、外部機関に訓練を依頼すれば、相応の費用もかかります。

特別育成訓練コースでは、それらの費用を助成金によってカバーできるのです。

OFF-JTを実施した場合には、

  • 賃金助成:1人1時間当たり760円(生産性要件を満たしている場合には960円。1人当たりの助成時間は最大で1200時間まで)
  • 経費助成:100時間未満では10万円、100時間以上200時間未満では20万円、200時間以上では30万円を上限として実費を助成

を受給することができ、OJTを実施した場合には、

  • 賃金助成:1人1時間当たり760円(生産性要件を満たしている場合には960円。1人当たりの助成時間は最大で680時間まで)

を受給することができます。

※人材開発支援助成金の特別育成訓練コースについて、詳しくはこちら

賃金助成を受けられることに注目しよう。通常業務で訓練しながら、その業務に従事した賃金も助成金でカバーできるんだ。

有期実習型訓練の例をT社の内容から

有期実習型訓練への具体的な取り組みは、T社の訓練内容をみると良く分かります。

T社では、OJTを680時間、OFF-JTを76時間の訓練を計画しました。この計画は、

  • OFF-JTとOJTを組み合わせている
  • 6ヶ月の有期契約の従業員に対して、6ヶ月間にわたって実施している
  • 総訓練時間は6ヶ月で756時間である
  • 総訓練時間に占めるOJTの割合89%である

という内容から、特別育成訓練コースの受給要件を全て満たしています。

訓練は、基礎的な訓練から、正規雇用の後に必要となる訓練まで一貫して行われます。

基礎的な訓練(縫製やプレスに関する基礎的な訓練)の内容は、通常業務でも行われる内容です。

これまでは、実務を通して徐々に習得し、難しく感じて離職する従業員も多かったのですが、訓練によって早期に習得が可能となり、困難に感じる従業員が諦めて離職することも減ります。

また、最終的に転換するかどうかを別としても、有期契約期間中の生産性向上に貢献します。

これらは全てOJTで訓練します。

応用的な訓練では、正規雇用後に必要となる特殊ミシン作業、仕上げ作業、縫製ミシンの点検や調整などについてOJTで学ばせるほか、ミシンやアイロンの構造・操作、安全教育などをOFF-JTで学びます。

こまめなフォローを

また、訓練がやりっぱなしにならないように、訓練期間中はベテラン社員2名が技術指導員として細かく指導し、指導員2名と総務部長が訓練の経過を毎日チェックします。

さらに毎月1回、訓練の対象となるそれぞれの技術について、訓練対象者が技術達成度を自己評価し、自己評価の結果を職場に掲示します。

これによって、誰がどの技術に苦労しているかを知ることができ、指導員は各人の苦手な作業を重点的にフォローできるようになりました。

有期実習型訓練で、従業員の能力を最大限に高めるためには、T社のようにこまめなフォローも欠かせません。

訓練を実施しながら達成度を把握すれば、より適切な訓練ができるぞ。

キャリアアップ助成金と人材開発支援助成金は併給できる

キャリアアップ助成金の正社員化コースと、人材開発支援助成金の特別育成訓練コースは併給することができ、追加助成の対象となっています。

つまり、

  1. 有期実習型訓練の実施→特別育成訓練コースの受給
  2. 訓練後に正規雇用→正社員化コースの受給、特別育成訓練コースの追加助成

という流れで、助成金の受給額を増やすことができるのです。

訓練実施後に正規雇用に転換された場合には、OFF-JTに要した経費助成の上限額が、

100時間未満では15万円、100時間以上200時間未満では30万円、200時間以上では50万円

となり、追加助成を受給することができます。

この経費助成は、外部機関に講師を依頼した場合の費用などに使うことができますが、それ以外にも様々な経費が対象となります。

 

T社では、自社のベテラン従業員が講師となってOFF-JTを実施しているため、外部講師への依頼料はかかりません。

しかし、業務外でミシンやアイロンの構造を学ぶための教材の購入費や、練習に使った布や糸などの消耗品の購入費などが対象となります。

このため、自社の従業員が講師になる場合にも、正社員化コースとの併給による追加助成を受けることにより、より充実した訓練が可能となります。

訓練の充実のためにも、追加助成の受給も忘れずに!

取り組みの効果

T社は、特別育成訓練コースによる有期実習型訓練と、正社員化コースによる転換を活用したことで、以下のような効果を得られています。

計画的な育成が可能に

特別育成訓練コースで有期実習型訓練に取り組むにあたっては、計画的なカリキュラムを作成する必要があります。

これを通して、T社では毎回の訓練がより効果的に実施されるよう、カリキュラムの調整に取り組むようになりました。

指導に当たる熟練作業員や総務部長とも話し合い、カリキュラムを調整していくことで、訓練の効率は年々高まっています。

訓練の結果をもとに調整していけば、転換できる従業員は増えていくね。

人材不足の解消

T社が当初目的としていた「人材不足の解消」は、着実に効果をあげています。

訓練を実施せず、正規雇用への転換もできなかった頃、有期契約として雇い入れた労働者はいずれ離職することが多かったのですが、訓練を通して転換を実施することで、

  • 有期契約の従業員が正社員になり、定着することが増えた
  • 有期契約の従業員も、正規雇用を目指して継続的な訓練を希望し、定着することが増えた

という結果につながりました。

1年間あたりの成果を見ると、有期契約として雇い入れる従業員が年間10人、そのうち正規雇用への転換を希望して訓練を受ける従業員が6人となっており、希望者6人は全て訓練を修了しています。

訓練を修了したものの、正規雇用へ転換されない従業員もいますが、6人のうち4人程度は正規雇用に転換し、転換されなかった従業員も有期契約のまま働き続けて正規雇用をめざしながら、学んだ技術を発揮しています。

このように、取り組みによって定着率は大きく高まりました

転換されなくても、転換の可能性が見えた従業員は定着するのだ。

生産性の向上

有期実習型訓練の実施により、有期契約労働者の技術を早期に高めることができ、生産性も向上しています。

また、正規雇用に転換してからも、生産性向上を図るために、T社では全ての正社員に対して、日産目標額を設定するようになりました。

正社員となれば、給与の日額は上がり、毎年昇給するため、会社の人件費負担は増大します。

これに対応するために、日産目標額を設定して生産性の向上を促したのです。

正社員になった従業員には責任感も芽生えるため、日産目標額の設定に異を唱える正社員はおらず、生産性向上にしっかりと貢献しています。

生産性向上も、人材不足への効果は大きいよ!

社内の雰囲気が変化

上記の通り、訓練対象者の自己評価は掲示され、訓練の経過を誰でも見ることができます。

これにより、訓練を受けている有期契約労働者同士が互いの技術習得度を知り、切磋琢磨し合う雰囲気が生まれました

また、訓練対象者による自己評価は「やったことがある」、「不良を出さずに作ることができる」、「品質・作業スピードともに高いレベルである」、「人に教えることができる」の4段階評価となっています。

習得度が把握できる仕組みによって、「人に教えることができる」レベルの従業員には、その作業を苦手とする従業員に教えさせる機会も作り、さらなる習熟に取り組みました。

これが、習熟度の向上と同時に、従業員同士のコミュニケーションを促すことにもつながり、相互扶助の雰囲気が生まれています。

 

これまで、計画的な訓練をすることなく、各自が実務を通して技術を学んでいた頃には、他の従業員の技術習得度を意識することはなく、職場には活気がありませんでした。

もちろん、技術習得に会社全体で取り組むこと、技術習得と事業継承への指針を明確にすることで、有期契約の技術習得に対する意欲は高まり、指導員以外の社員も人材育成を助ける雰囲気ができました。

訓練によって着実に技術が高まるのはもちろんのこと、職場に活気が生まれることも、計画的な訓練の効果と言えるでしょう。

職場に活気が生まれると、欠勤する従業員が減ったり、モチベーションが高まったり、生産性向上にもつながるんだ。

資金面での余裕

キャリアアップ助成金と人材開発支援助成金を受給することで、財務的な負担は大きく軽減されています。

高い技術が求められる製造業では、技術の継承のために丁寧な指導が必要です。

しかし、丁寧に指導すれば生産性が低下します。以前のT社では、資金的な余裕がないことから、各自に技術の習得を任せるほかなかったのです。

T社では、助成金の活用によって財務的な負担が軽減され、丁寧な訓練が可能になりました。これも、T社の成功には欠かせない要素であったと言えます。

特に、特別育成訓練コースの賃金助成は大きかったでしょう。

特別育成訓練コースのOJTでは、通常業務を通して学び、賃金助成も受けられます。

熟練作業者は指導のために通常業務から離れ、訓練対象者は訓練しながら業務をこなすため、一時的に生産性が低下するものです。

しかし、助成金を受給しながら賃金を支給することで、生産性の低下分は十分にカバーでき、余裕をもって取り組むことができたのです。

T社は、OJTの割合を89%と高く設定し、多くは業務の中で訓練を進めています。

財務的な負担から訓練が難しいと感じている会社では、T社のようにOJTの比率を高く設定し、訓練に取り組むのが効果的です。

OJTとOFF-JTの組み合わせの工夫も欠かせないね。

人材の多様化

最後に、多様な人材を受け入れられるようになったことも、T社の人材不足に大きく貢献しています。

以前は、全くの未経験者は採用しにくい、特に中高年の未経験者は採用できないなど、採用できる人材が制限されていました

制限を緩めて採用しても、未経験者は業務を困難に感じて離職することが多かったため、これも人材不足の原因となっていました。

しかし、計画的な訓練カリキュラムを作り、未経験者でも十分な技能を身に着けられる体制を整えたことにより、T社は意欲さえあれば誰でも雇用できるようになりました。

実際にT社は、一般的に雇用が難しいとされる中高年の雇用に取り組み、40代、50代の従業員を複数雇用し、正規雇用に転換しています。

人材不足解消のためには、多様な人材を雇用していくことが欠かせません。

訓練を施し、正規雇用に転換できる仕組みを作ったT社は、多様な人材を対象として雇用することで、人材不足の解消に成功したのです。

多様な人材を雇用していくためにも、訓練に取り組んでいこう!

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まとめ

T社が人材不足を解消した流れを見てきました。これによって、人材不足解消のための具体的なイメージが得られたと思います。

正規雇用転換を促すことは、確かに人材不足解消に役立ちます。

しかしT社のように、訓練を後回しにしていては、正規雇用への転換が進まないこともあります。

そこで、訓練を前提として正規転換に取り組むことで、人材不足が大きく解消されることがあるのです。

人材確保のために、助成金を活用しながら取り組むことは重要です。しかし、取り組みの順序や内容をうまく組み合わせなければ、十分な効果は得られません。

ぜひ、T社のように、自社にベストな組み合わせで取り組んでいきましょう。

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