雪国では、積雪や寒冷の影響から冬期の継続雇用ができない、季節労働者が少なくありません。
これにより、雪国とそれ以外の地域で格差が生まれています。
また、季節労働者の生活が安定しないだけではなく、企業側でも安定して人材を確保することができないことがあり、企業側・労働者側の双方でデメリットが生じます。
これを解消するためには、季節労働者を通年雇用するのが効果的です。
季節労働者の通年雇用に取り組む会社には、助成金も支給されています。
本稿では、雪国の会社の人材確保に役立つ、通年雇用助成金について解説していきます。
雪国の人材確保
中小企業の人材不足が深刻化しており、当サイトをご覧の方の中には、解決策を模索している経営者も多いと思います。
中でも、人材問題が深刻なのは雪国の企業です。
雪国の企業では、雪国ではない企業とは異なる事情を抱えています。
積雪や寒冷の影響を受ける産業(多くの第一次産業や一部の観光業)では、冬期に事業を縮小しなければならず、従業員が離職せざるを得ないのです。
このような会社では、離職した労働者の穴を埋めるために、冬が開けたときに備えて人材確保を図る必要があります。
冬期の間に離職していた従業員が戻ってきてくれればいいのですが、そうでない場合には新たに従業員を雇用し、仕事を覚えるまで生産性が落ちてしまうこともあり、経営の負担になってしまいます。
また、冬期に離職を余儀なくされる労働者は、冬期の間は別の仕事をするなどして収入を得る必要があります。
このような労働者を「季節労働者」と言います。

季節労働者は、冬期でも働けるところで出稼ぎをする必要があるわね。
例えば、冬期以外は建設業に従事し、仕事ができない冬期はスキー場で働くといった働き方がよくみられます。
このように、季節労働は企業側にも、労働者側にも大きなデメリットがあります。
少なくとも、雪国とそうでない地域の企業と労働者の間で、地域格差が生まれることは避けられません。
これを解消するためには、季節労働者を冬期にも離職させず、通年雇用化を図るのがベストです。
通年雇用が実現すれば、企業は安定して人材を確保し、労働者は安定した就労が可能となり、雪国の経済、ひいては日本全体の経済にも良い影響が期待できます。
このため、厚生労働省では、季節労働者を通年雇用する会社に対して、「通年雇用助成金」を支給しています。

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通年雇用助成金とは?
通年雇用助成金は、北海道や東北地方など、積雪や寒冷の度が特に高い地域で、冬期間に離職を余儀なくされる季節労働者を通年雇用した事業主に対して、助成金を支給するものです。
これにより、季節労働者の通年雇用化を促進することを目的としています。
利用できる地域と業種
通年雇用助成金は、上記の通り積雪などの影響を受ける地域と業種を対象としている助成金です。
したがって、以下の対象地域・業種の両方を満たしている必要があります。
対象地域
- 北海道
- 青森
- 岩手および秋田の全市町村
- 宮城
- 山形
- 福島
- 新潟
- 富山
- 石川
- 福井
- 長野および岐阜の 一部の市町村
対象業種
- 林業
- 採石業および砂、砂利または玉石の採取業
- 建設業
- 水産食料品製造業
- 野菜缶詰、果実缶 詰または農産保存食料品の製造業
- 一般製材業
- セメント製品製造業
- 建設用粘土製品(陶磁器製のものを除く)の製造業
- 特定貨物自動車運送業
- 建設現場において据付作業を行う「造作材製造業(建具を除く)」、「建具製造業」、「鉄骨製造業」、「建設用金属製品製造業(鉄骨を除く)」、「金属製サッシ・ドア製造業」、「鉄骨系 プレハブ住宅製造業」、「建設用金属製品製造業(サッシ、ドア、建築用金物を除く)」、「畳製造業」
- 農業(畜産農業および畜産サービス業を除く)
- CF戦隊
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対象措置と支給額
上記の対象地域・業種を満たしている会社では、季節労働者の通年雇用化を図るために、以下のような措置を実施することで助成金を受給することができます。
措置の内容と助成額は以下のように異なります。
事業所内就業・事業所外就業
まず、最もスタンダードな継続雇用の措置として、事業所内就業・事業所外就業があります。

事業所内就業とは、季節労働者を冬期間も継続して同一の事業所で就業させる措置だ。
事業所外就業とは、季節労働者を他の事業所で配置転換・労働者派遣・在籍出向により就業させ、冬期間も継続雇用する措置です。
これを実施した会社には、
- 申請1回目:対象期間に支払った賃金の2/3(上限額71万円)
- 申請2、3回目:対象期間に支払った賃金の1/2(上限額54万円)
が支給されます。
また、指定地域外の地域で、請負契約に基づき事業を行い、就業をさせるために住所または居所の変更に要する経費を負担した場合には、距離に応じて3~15万円の経費助成を受給できます。
休業
この措置は、季節労働者を冬期も継続して雇用するものの、期間中一時的に休業させて、休業手当を支払う措置です。
これを実施した会社には、賃金助成として、
- 申請1回目:対象期間に支払った賃金の2/3(上限額71万円)
- 申請2、3回目:対象期間に支払った賃金の1/2(上限額54万円)
あるいは、休業助成として、
- 1回目:1月から4月に支払った休業手当(最大60日分)および対象期間に支払った賃金(休業手当を除く) の合計額の1/2(上限額 新規継続労働者71万円、継続・再継続労働者54万円)
- 2回目:1月から4月に支払った休業手当(最大60日分)および対象期間に支払った賃金(休業手当を除く) の合計額の1/3(上限額54万円)
のいずれか(年度ごとに選択した額)が支給されます。
(支給対象者1人あたり、賃金助成は最大3回、休業助成は最大2回、両方あわせて最大3回の支給)
季節トライアル雇用
季節トライアル雇用は、一般的な「トライアル雇用助成金」の仕組みを、季節労働者の雇用に適用したものです。
一般的なトライアル雇用では、3ヶ月間のトライアル期間を設けて雇用し、トライアル期間終了後に、常用雇用として雇い入れた場合に、助成金の対象となります。

季節トライアル雇用も同じような流れでトライアル雇用を実施し、なおかつ一般的なトライアル雇用よりも多くの助成金を受給できるよ。
これを実施した会社には、賃金助成として、常用雇用に移行した日から起算して6ヶ月の期間に支払った賃金の1/2の額から、トライアル雇用を行うことによって支給されたトライアル雇用助成金(最大3ヶ月12万円)の額を減額した額(上限額71万円)が支給されます。

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職業訓練
これは、冬期間継続雇用している季節労働者に、職業訓練を実施する措置です。
継続雇用しながら、職業訓練によって季節労働以外の業務を教えるなど、幅のある使い方も可能です。
これを実施した会社には、賃金助成として、
- 申請1回目:対象期間に支払った賃金の2/3(上限額71万円)
- 申請2、3回目:対象期間に支払った賃金の1/2(上限額54万円)
を支給することに加えて、経費助成として、
- 季節的業務の訓練:訓練の実施に要した費用の1/2(上限額3万円)
- 季節的業務以外の訓練:訓練の実施に要した費用の2/3(上限額4万円)
の合計が、1年ごとに3回まで支給されます。
業務転換
業務転換は、季節労働者を季節的業務以外の業務に転換し、継続して雇用する措置です。
季節的業務以外の業務を抱えている会社では、季節労働者を業務転換すれば、継続雇用が容易になります。
これを実施した会社には、賃金助成として、業務転換の開始日から起算して6ヶ月の期間 に支払った賃金の1/3(上限額71万円) が支給されます。
新分野進出
これは、季節労働者を通年雇用するために、新たに新分野の事業所を設置・整備することにより、異業種での継続雇用を実施する措置です。
季節的業務しかない会社では、季節労働者に業務を与えることができず、継続雇用をしても無駄が多くなります。
そこで、新分野進出・新規事業展開によって季節的業務以外の業務を生み出すことによって、継続雇用が可能となります。
これを実施した会社には、賃金助成として、
- 申請1回目:対象期間に支払った賃金の2/3(上限額71万円)
- 申請2、3回目:対象期間に支払った賃金の1/2(上限額54万円)
を支給することに加えて、経費助成として、
- 事業所の設置・整備に要した費用の1/10(上限額500万円)
の合計が、1年ごとに3回まで支給されます。

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まとめ
本稿では、雪国の企業が人材確保や事業展開にあたって活用すべき、通年雇用助成金について解説しました。
単なる経費助成だけではなく、新分野進出に伴う経費助成が受けられる可能性があり、様々な形で活用できるため、雪国の企業はぜひとも検討したいものです。
なお、本稿はごく表面的な情報のみ伝えています。
通年雇用助成金には色々な措置がありますが、それぞれの具体的な情報についてもまとめているので、参考にしてみてください。
※通年雇用助成金の活用について(基本編)
※通年雇用助成金の活用について(応用編)
→雪国の会社が通年雇用助成金を利用するなら、「賃金助成+α」を検討してみよう
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