冬期の操業が困難な雪国の会社では、冬期に離職する季節労働者が出ることによって、安定した労働力の確保が困難な場合があります。
このような会社では、季節労働者の通年雇用に取り組むことで、通年雇用助成金を受給することができます。
通年雇用助成金では、単に継続雇用を実施して賃金助成を受けるだけではなく、職業訓練や新分野進出などによって継続雇用を図ることで、「賃金助成+α」の支援を受けることも可能です。
本稿では、通年雇用助成金の応用ケースについて解説していきます。
通年雇用助成金とは?
雪国の会社では、冬期に操業できない期間があり、従業員が離職せざるを得ない場合があります。
そのような会社では、毎年のように離職者を出してしまうことから、安定して労働力を確保することが難しくなります。
また、労働者としても、冬期は出稼ぎなどで収入を得る必要があり、安定した就労によってキャリアを築いていくことが困難です。
このような困難は、雪国の経済が発展しにくかったり、雪国以外の労働者と地域格差が生まれたりといった問題にもつながります。
そこで、政府は雪国の会社に対し、季節労働者の通年雇用を促すために、「通年雇用助成金」を実施しています。

これによって、雪国での雇用問題が緩和されると同時に、企業の人材不足を解消するきっかけにもなるわ。
通年雇用助成金で、助成対象となっている措置は複数あります。
単に継続雇用をした場合に助成金が支給される措置だけではなく、継続雇用と同時に職業訓練や新分野進出などに取り組んだ会社では、手厚い支援を受けることができます。
本稿で、通年雇用助成金の応用ともいえる、職業訓練・業務転換・新分野進出についてみていきましょう。
※通年雇用助成金の概要については、こちらの記事を参考にして下さい。

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職業訓練
これは、冬期間継続雇用している季節労働者に、職業訓練を実施する措置です。
職業訓練は、事業主自ら運営する職業訓練、施設に委託して行う職業訓練のどちらでも構いません。ただし、
を全て満たす必要があります。
支給額
職業訓練によって継続雇用に取り組んだ場合、以下の①と②の合計が支給されます。
①新規あるいは継続・再継続労働者を、12月16日から翌年3月15日まで雇用したときの賃金助成
対象労働者 | 支給額 |
新規継続労働者 (第1回目の支給対象者) |
対象期間に支払った賃金2/3 (上限額71万円) |
継続、再継続労働者 (第2、3回目の支給対象者) |
対象期間に支払った賃金の1/2 (上限額54万円) |
②職業訓練に要した経費の一部
対象労働者 | 支給額 |
季節的業務の訓練 | 訓練の実施に要した費用の1/2(上限額3万円) |
季節的業務以外の訓練 | 訓練の実施に要した費用の2/3(上限額4万円) |
となり、合計100万円の支給を受けることができます。
さらに、この従業員に対して季節的業務の訓練を実施し、5万円の費用を要した場合には、
5万円×1/2=2.5万円
の支給を受けることができ、これを加算した合計支給額は102.5万円となります。
ポイント
職業訓練措置の魅力的なところは、事業所内就業・事業所外就業によって継続雇用したときに支給される助成金と、職業訓練に要した費用の経費助成が同時に受給できることです。

職業訓練の予定がある会社では、通常の継続雇用措置に比べて、より多くの助成金を受給できるのが魅力的だ。
会社にとって、通年雇用化のメリットを大きくするためには、対象となる労働者の能力は高ければ高いほどいいでしょう。
そのため、継続雇用の際には、能力の高い労働者を優先的に対象と考えるはずです。
しかし、職業訓練も視野に入れて考えるならば、能力に不安がある労働者に訓練を施しながら継続雇用することができます。
したがって、より多くの労働者に対して継続雇用を図ることができ、人材確保に一層役立てることができます。

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業務転換
業務転換は、季節労働者を季節的業務以外の業務に転換し、継続して雇用する措置です。
支給額
業務転換措置を実施した会社には、業務転換の開始日から起算して6ヶ月の期間 に支払った賃金の1/3(上限額71万円) が支給されます。
具体例
例えば、1人の労働者に対して業務転換措置を実施し、転換後の6ヶ月間に月20万円、計120万円の賃金を支払った場合には、
120万円×1/3=60万円
の支給を受けることができます。
ポイント
様々な業務を抱えている会社では、年間を通して取り組んでいる業務もあると思います。
もし、そのような業務で人手が不足しているならば、季節労働者の業務転換によって労働力を確保し、業務転換措置による助成金を受給するのが良いでしょう。

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新分野進出
これは、季節労働者を通年雇用するために、新たに新分野の事業所を設置・整備することによって、異業種での継続雇用を実施する措置です。
上記でも業務転換措置を紹介していますが、これは既存の業務への転換であるのに対し、こちらは新規に事業を展開し、それによって生み出された業務へ転換するものです。
支給額
新分野進出に取り組み、継続雇用を実施した会社には、以下の①と②の合計が支給されます。すなわち、
①新規あるいは継続・再継続労働者を、12月16日から翌年3月15日まで雇用したときの賃金助成
対象労働者 | 支給額 |
新規継続労働者(第1回目の支給対象者) | 対象期間に支払った賃金2/3(上限額71万円) |
継続、再継続労働者(第2、3回目の支給対象者) | 対象期間に支払った賃金の1/2(上限額54万円) |
②事業所の設置・整備に要した費用の1/10(上限額500万円)
の合計が、1年ごとに3回まで支給されます。
具体例
例えば、1人の労働者に対して事業所内就業措置を実施し、12月16日~翌年3月15日までの3ヶ月間に月20万円、計60万円の賃金を支払い、これを3年間継続した場合には、
- 60万円×2/3=40万円(第1回目の賃金助成)
- 60万円×1/2=30万円(第2回目の賃金助成)
- 60万円×1/2=30万円(第3回目の賃金助成)
となり、合計100万円の支給を受けることができます。
さらに、新分野進出のために事業所を設置・整備することで、1000万円の経費を要していた場合には、
1000万円×1/10=100万円
を受給することができ、賃金助成との合計では200万円の受給となります。
ポイント
新分野進出の措置は、既存の事業では継続雇用の余地がない会社でも、新分野への進出で発生した労働力の需要をカバーするために、継続雇用を実施できるところに魅力があります。

多くの会社にとって、業容の拡大のために、新分野への進出を図るタイミングがあるはずよ。
新分野に進出するには多くの困難が伴いますが、中でも、
- 新分野での人材確保
- 新規事業が軌道に乗るまでの資金繰り
が大きな問題となります。
そこで、通年雇用助成金の新分野進出措置を活用することで、
- 季節労働者を新規業務へ転換・継続雇用することで人材を確保する
- 新規事業に要する人件費の助成と、設置・整備の費用を助成してもらう
というように、人材確保と資金繰りの両面で負担を軽減しすることができます。
新分野進出を検討している会社では、ぜひとも検討してみるべきでしょう。

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まとめ
通年雇用助成金に対して、単に継続雇用をした場合に助成金が受給できるというイメージを抱いている人は多いと思います。
しかし、対象措置には色々なものがあり、職業訓練や新分野への進出などに伴う経費助成を受けることで、「賃金助成+α」の支援を受けることも可能です。

通年雇用助成金は応用の利く制度なので、自社に適した形での活用を検討してみてはいかがだろうか!
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