すでに倒産の危機に陥ってしまった時、果たしてできることは何もないのでしょうか。
倒産の危機というと、そういうイメージがあります。
しかし、そんなことはありません。
倒産の危機に陥ってからでも、できることはたくさんあるのです。
本稿では、倒産の危機を回避するために大切なことを、七つに分けて解説していきます。
一つ目:危機の早期発見
人間が重大な病気になったとき、早期に発見して治療ができたならば、病気が治る確率はぐんと高まります。
会社における倒産の危機は、人間において重大な病気にかかり、命の危機に陥っていることと同じです。
したがって、会社が倒産の危機を回避する際にも、早期発見と早期治療にかかっています。
そのために重要となるのが、会社の現状を正確に把握することです。
逆に言えば、会社の現状を把握していなければ、倒産の危機を早期発見することはできず、早期の対処もできず、どんどん状況が悪化していくと言えます。
このことは、経営者自身を顧みると、良くわかるかもしれません。
例えば、「感覚的に売上が落ちていて、おそらく来月か再来月に払えなくなるかもしれない」といったように、大雑把に把握している経営者が非常に多いのです。

何となく経営が回っているから大丈夫くらいに考えていたら、いつの間にか「来月が危ない」というところまで来てしまうのです。
多くの経営者は、経営がうまく回っていると、あまり細かな数字には気を取られず、感覚的にやっていてもなんとかなるものだと思い込んでいます。
事業が赤字に陥っており、借り入れが少しずつ増えているなどの状況になっても、回っているから大丈夫と考えるのです。
そして、経理から支払いができないと告げられてから、「売上があるのになぜ!?」と困惑することになります。
そうならないためには、以下のことを踏まえながら、会社の状況を正確に把握していく必要があります。
それができていれば、危機の兆しが見えてきたときに「あれ、なんだかおかしいぞ?」と早期発見することができるのです。
危機回避の全ての根本は早期発見にありと言っても良いでしょう。
この点はよく知っておいてください。

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二つ目:収益力を的確に知る
次にすべきことは、会社の事業の収益力を詳しく知ることです。
帳簿を見て、現金の出入りを把握し、きちんと利益が出ているか、毎月利益を出せているかを確認します。
危機に陥りかけている会社は、まずこれをやらなければなりません。
事業の収益力を三年分も調査すると、会社の実態、つまり危機に陥るに至った実態が分かります。
例えば、売上はあるものの、給料や税金の支払いや借入金返済などをすると赤字に陥ってしまう状態が長期間続いており、借入資金で事業が回っていたというような実態です。
経営者は、「まあ、売上はあるし、事業も回っているし大丈夫」と考えていたのに、実は赤字状態が続いており、早晩行き詰まる可能性が高いという実態が分かったのです。

例えば、次のような事が分かるようになるのです。
- あと○万円売上を伸ばせば黒字になる
- 社員を○人減らしたら黒字になる
- 無駄な経費を削れば黒字になる
さしあたっての資金を確保するために、売上に貢献していない、今後も貢献しないと思われる資産を売却するという視点も、ここで初めて生まれてきます。
会社が「来月支払えない」という状況で、このような悠長なことをしていられないと思うかもしれませんが、現状の把握なくして対処なしです。
収益力の把握は、数日もあればできてしまうと思います。
現在の収益力の把握を、年次の決算書でやろうとする人もいるのですが、決算書では正確な把握は不可能です。
この調査はお金の出入りだけから把握可能であり、帳簿からお金の流れを見ることを意識しましょう。

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三つ目:お金の流れを把握する
お金の流れを掴み、現状を把握するために必要となる資料は、資金繰り表と残高試算表です。
資金繰り表は、お金の流れを掴むために必要となる資料です。
月ごとの資金繰り表を作ります。
会計ソフトなどを使えば、簡単に作成することが可能です。
残高試算表は、月次の決算書と考えてください。
これも、会計ソフトによって作成可能です。
会計ソフトがない場合には、ネット上に無料で公開されている雛形の利用がおすすめです。
この雛形はエクセルファイルになっており、各マスに数字を入力していくと、自動で計算される仕組みになっています。
とかく、倒産の危機に陥らないため、あるいは陥った後の回避の方策を立てていくためには、今月はいくら入ってきていくら出て行くのか、来月はどうかといったことを掴むことが大切です。
果たして今、いくらの現金があるのか、お金の出入りは今月・来月どうなっているか、そこが分からなければ対処のしようがありません。

資金繰り表は、3~6ヶ月先のものまで作るのがポイントです。
これによって、月ごとのお金の流れを把握し、月ごとにマイナスにならない状況を考えながら資金繰りをしていくことができます。
残高試算表では、税引き前当期利益を算出することができますが、これが黒字でも安心はできません。
確かに、数値上では儲けが出ていると言えますが、実際にはそこから税金の支払いや銀行への返済があります。
それを差し引いたら赤字になる可能性も十分にあるのです。
したがって、残高試算表を見る時には、税引き前当期利益から、税金を月割にした金額と銀行への返済額を差し引きます。
その上でプラスになっていることを確認する必要があります。

- 資金繰り表における残金がマイナスになっている
- 残高試算表における真の利益がマイナスになっている
- なおかつ銀行から借り入れていると
もしこのような状況ならば、それは借金で資金繰りを回しているのと同じことで、危険な状態だと言えます。
そのままの状態で経営を続けていれば、いずれは倒産することになるでしょう。
四つ目:売上至上主義を捨てる
売上至上主義を捨てることも大切です。
なぜならば、売上至上主義が倒産の危機を招いていることも多々あるからです。
中小企業の経営者は、カンに頼って経営していることが非常に多いです。
売上があれば会社が回っていくなどと考えています。
経営計画は自身の頭の中にあり、それに沿って計画的に経営で来ていると思い込んでいるのです。
だからこそ、売上至上主義に陥ってしまうのです。
しかし、本当に重要なのは売上ではなく利益のはずです。
売上と経費のバランスがとれておらず、たくさんの売上があっても赤字ならば大問題です。

売上ばかりを重視すると、「売上は出ているから大丈夫」の論理に陥り、資金繰りを詳しく見ることがなくなってしまいます。
資金繰りを把握しておらず、売上と販管費だけが頭に入っており、
「これくらい売上があるのか。じゃあいつもの経費はこれくらいだから、多分大丈夫だろう」
といった感覚的な資金繰りをしていると、必ずいつか危機に陥ります。
なぜならば、イレギュラーな支払いが生じた時、頭の中での資金繰りに狂いが生じてしまうからです。
このことからも、売上さえあれば大丈夫という考え方が間違であることが分かります。
売上が安定してあっても、単月で大きな支払いが発生すれば、売上の安定に関わらずお金が足りなくなるのです。
だからこそ、将来的に訪れるイレギュラーな支払いも含めて把握しておくために、3~6ヶ月の資金繰り表の作成が重要であり、売上至上主義は捨てることが大切です。

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五つ目:逃げずに対処する
非常に単純なことと思われますが、逃げずに対処することは、倒産回避の上で絶対条件となります。
近い将来の支払いが危なくなったと感じ、資金繰り表や残高試算表を見たらかなりまずい状況であったことが分かると、怖くなって逃げてしまう経営者もいるのです。
逃げると言っても、夜逃げをするというのではありません。
具体的な対処をせずに時間ばかりが過ぎていき、取引先や銀行への支払いができなくなり、それらからの電話連絡にも対応しないようなことを「逃げる」というのです。

支払いや返済ができなくなると、楽天的、どんぶり勘定な経営者も、ようやく倒産の危機を認識します。
しかし、そこで逃げてしまうと、倒産の危機は深刻化します。
銀行返済の場合、特に顕著に事態が深刻化します。
払えないから逃げて、督促されても逃げ続け、期限の利益(借入金返済を、この日までは払わなくてよいとする権利)を失い、一括返済をさせられることになるのです。
一ヶ月分の返済ができずに逃げ回っていた経営者が、一括返済などできるはずがありません。
だから、経営者はまた逃げます。
そうなると、ついに差押えとなり、事業も自宅も失い、倒産となり、家族にも従業員にも迷惑をかけることになってしまうのです。

経営者は、相談できる相手をもっていないことが多いですし、対処の方法も知らないことが多いです。
だからこそ逃げてしまうのですが、そこで逃げるのがいけません。
逃げることなく、会社の現状の把握に努め、作るべき資料を作り、必要に応じてリスケなどを検討することが大切です。
六つ目:リスケを検討する
詳しいリスケの方法や流れについては、他の記事に詳しく書いているのでそちらを参考にしてほしいのですが、態勢立て直しのためにリスケを検討するのは重要なことです。
会社の現状を把握し、経費削減などを検討してもなかなか黒字転換しない場合には、借入金返済が問題になっていることが多いです。
そこで、銀行にリスケお願いし、元金の支払いを猶予してもらい、当面は利息支払いだけでしのぎ、態勢の立て直しを図るのです。
銀行も、全部返せなくなってしまうと困りますから、きちんとしたプランがあり、誠実に話をすれば、リスケを受け入れてくれるものです。
もしリスケを受け入れてもらったならば、倒産の危機はひとまず回避されたことになります。
経営者が逃げ回り、滞納が数ヶ月にわたってしまったような状況では、銀行はリスケの相談に乗ることが難しくなります。
この意味でも、やはり逃げることなく、返済が厳しくなったらすぐに収益力を見直し、資金の流れを把握し、返済が厳しいことを具体的に話し、リスケを納得してもらうことが大切です。
早期の相談ならば、銀行も受け入れやすいのです
七つ目:支払いの優先順位を知る
最後に、支払いの優先順位を知ることが必要です。
会社にとっての経営資源を「ヒト・モノ・カネ」と言いますが、支払うべき優先順位も「ヒト・モノ・カネ」の順番です。
つまり、後回しにすべき順番は「カネ・モノ・ヒト」であり、このことからも、まずは銀行への返済をリスケによってストップさせることが大切だと分かります。
「借りたお金は返さないといけない」、「銀行から信頼を失ったらおしまいだ」などと、強迫的に支払おうとする経営者もいますが、それは大きな間違いです。
事業の本質を考えてみれば、まずは利益を出し、自分や従業員、そしてその家族の生活を確保するのが第一です。
第二に、利益を以って材料を仕入れたり、機械をメンテナンスしたり、モノにお金を回すことです。
そして、税金を支払った後に残った利益を銀行の返済に回す、これが第三です。

カネの支払いは、銀行にリスケを依頼したり、仕入先にお願いしたりすることで止められるものです。
しかし、ヒトへの支払いは止めてはなりません。
ヒトがいなければ、事業は継続できません。
モノよりカネより、まずはヒトへの支払こそが、最優先なのです。

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まとめ
本稿では、倒産の危機に陥った会社が取り組むべき大切なことを、七つに分けて解説してきました。
よくよく見てみると、倒産を回避するためのウルトラCがあるのではなく、基本的なことに取り組むことが分かると思います。
これは、基本的なことができていなかったからこそ、倒産の危機に陥っているからです。
したがって、倒産の危機を察知したら、基本的なことに早急に取り組み、必要に応じてリスケなども行うことで、倒産の回避を図るのです。
倒産の危機だと感じても、やるべきことをしっかりやれば、倒産の危機を回避できる可能性は十分にあります。
危機から逃げずに、真っ向から立ち向かってほしいと思います。