中小企業が積極的に活用していくべき制度の一つに、助成金制度があります。
これを活用することによって、助成金を受給しながら人材不足の解消や労働環境の整備を進めていくことができます。
しかし、助成金の手続きではタイミングを間違えないよう、十分に注意する必要があります。
手続きのタイミングを誤ると、せっかく受給できる助成金を受給できなくなることも多いのです。
本稿では、助成金を正確に受給するためのタイミングの考え方について解説していきます。
助成金制度とは?
人材不足、労働環境の整備、生産性の低下など、中小企業は多くの問題を抱えています。
政府としても、中小企業の活性化によって日本経済を盛り立てていくために、働き方改革の推進をはじめとした、様々な取り組みを行っています。
中でも、厚生労働省が実施している助成金制度は、中小企業の経営に非常に多くのメリットがある制度です。
これは、労働環境を整備したり、生産性を向上させたりした会社に対して、負担の軽減やさらなる活動を促すために、助成金を支給する制度のことです。
これを活用すれば、中小企業にとって深刻な問題となりつつある、人材不足を解消することも可能です。
労働環境を整備すれば、その会社で働きたいと考える人が増え、人材が定着しやすくなります。
また、生産力を向上すれば、必要な労働力を抑えることができます。
つまり、このような取り組みによって、人材不足を解消しつつ、さらに助成金も受給できる制度なのです。
経営基盤が脆弱な中小企業だからこそ、助成金を積極的に活用していくべきです。

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助成金制度はリスクもある
しかし、助成金制度を利用するにあたって、いくらかのリスクがあるのも事実です。
もちろん、リスクよりもはるかにリターンのほうが大きいため、積極的に利用すべきと考えて間違いないでしょう。
しかし、きちんと取り組まなければリスクだけを被り、リターンはそれほど得られずに却ってマイナスの影響をもたらす可能性もあります。
特に注意すべきことは、期間の定めを守ることです。
そもそも助成金とは、国が設けた仕組みの中で、正確に手続きをしてこそ受給できるものです。
当然、申請のタイミングにも適不適があり、タイミングを損ねた場合には受給できないことがあります。

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タイミングによっては受給できない
例えば、多くの中小企業にとって活用しやすい「キャリアアップ助成金」という制度があります。
この制度の「正社員化コース」では、
- 従業員を有期契約から無期契約
- 無期契約から正規雇用
- 有期契約から正規雇用
というように転換した場合に、助成金を受給することができます。
キャリアアップ助成金を受給する時にも、タイミングに注意が必要です。
キャリアアップ助成金の要件を詳しく見てみると、有期契約労働者から無期雇用労働者へと転換する場合の要件として、
- 転換日の前日から起算して6ヶ月前の日から1年を経過する日までの間に、転換を行っていること
- 有期契約としての雇用期間が3年以内であること
- 転換の前提として6ヶ月以上雇用しており、なおかつ転換後に無期雇用労働者としての賃金を6ヶ月分支給していること
などを満たす必要があります。
受給のために、様々な期間・期限の定めがあることが分かるでしょう。

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転換のタイミングに注意
ほとんどの有期契約は3年以内の契約になっているでしょうから、2の条件は問題ないでしょう。
この中で期間・期限を意識すべきは1と3の要件です。
キャリアアップ助成金を利用する会社が、仮に転換日を毎年4月1日と定めたならば、受給要件を満たすためには、
「転換日(当年4月1日)の前日(当年3月31日)から起算して6ヶ月前の日(前年10月1日)から1年を経過する日(当年9月30日)までの間に、転換を行っていること。
また、転換日(当年4月1日)の前日(当年3月31日)までに6ヶ月以上雇用しており、転換日(当年4月1日)以降、6ヶ月にわたって賃金を支払っていること」
が必要となります。
したがって、有期契約の更新を繰り返してきた従業員を、2019年4月1日に無期契約へと転換する場合、キャリアアップ助成金の支給対象となるのは、すべての要件を満たしつつ2019年9月31日まで雇用した後です。
- 就業規則で定めた転換日が守られていない
- 転換の前提となる雇用期間を満たしていない
- 転換後に雇用すべき期間を満たしていない
など、要件として定められている期間の定めを守っていない会社は、助成金を受給することができなくなります。
申請のタイミングに注意
転換のタイミングを間違いなくクリアした場合にも、その後に助成金の支給を申請するタイミングに注意を要します。すなわち、転換後に6ヶ月にわたって給料を支払ったうえで、
「転換後の賃金を6ヶ月分支給した日の翌日から起算して、2か月以内に申請すること」
と定められています。
もし、賃金締切日が月末、支払いが翌月10日の会社であれば、
「転換後の賃金を6ヶ月分支給した日(当年10月10日)の翌日(当年10月11日)から起算して、2か月以内(当年12月10日まで)に申請すること」
と定められているのです。
この支給申請期間として定められている期間内に申請しなかった場合、助成金の受給資格はなくなります。
それまで、受給を目指して手続きを進めてきたにもかかわらず、申請の期間を1日でも過ぎてしまえば、それまでにかけたコストや手間もむなしく、受給には至らないのです。

このようなミスが起きないためにも、税理士や社労士とうまく連携し、適切なタイミングで手続きを進めていくことが大切です。

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まとめ
本稿で解説した通り、助成金を確実に受給するためには、対象となる制度の内容をしっかりと把握する必要があります。
専門家との連携を強め、タイミングを損なわないように手続きしていくことが大切です。
助成金は、正確に手続きさえすれば高確率で受給できるものです。
しかし、それに安心してしまうことなく、緊張感をもって手続きしていきましょう。
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