社内格付けとは、自社が新規に取引を開始する会社や、既に取引がある会社に対して、その会社を自社内で独自に格付けするものです。
社内格付けを作っておくと、取引相手の信用力が分かりますから、安全な範囲内で掛け売りをしたり、あらかじめ短めの売掛金回収期間で契約して置いたり、販売の一部を現金で行なったりすることによって、自社の貸し倒れリスクを低くするのに役立ちます。
本稿では、社内格付けとはどのようなものなのか、作り方のさわり、目的などを解説していきます。
社内格付けとは?
社内格付けとは、自社の新規あるいは既存の取引先に対して、信用力を調査し、独自に格付けすることです。
それによって、今後の取引方針の策定に役立てていきます。
まず言えることは、社内格付けは決して簡単なものではないということです。
取引先の信用力が高いか、低いかと言った判断は簡単にできそうですが、実際やってみるとなるとかなり難しいものです。
例えば、
- 収益力は高いが財務に不安がある
- 収益力は低いが財務は安定している
という二社があった場合、どちらをより信用力が高いとするでしょうか。
これは、かなり難しい問題だと思います。
しかし、社内格付けをしておくと、非常に役立つのもまた事実です。
社内格付けは、統一された基準(主に支払い能力はどうか、倒産の危険性はどうかなど)で行い、数字や記号で取引先を分類していきますから、それぞれの取引先の信用力を簡単に比較でき、与信管理が容易になるのです。
この時の分類は、あまり細分化しすぎるのではなく、以下のようにA~Hくらいで分けるのが一般的です。
格付け | リスク | 内容 | 倒産確率 |
A | リスクなし | 支払い能力が非常に高い | 0.05% |
B | リスク小 | 支払能力が高い | 0.25% |
C | 平均的 | 平均的支払い能力 | 0.90% |
D | 平均よりやや低い | 将来的な支払い能力に懸念あり | 1.50% |
E | 要注意 | 支払い能力に懸念あり | 2.50% |
F | 要警戒 | 通常取引不適格 | 6.00% |
G | 問題あり | 回収遅延などの問題が発生している | |
H | 事故あり | 倒産状態にある |
取引先を分析する際の最優先事項は、倒産の可能性があるかどうか(その会社の支払能力は十分か)ということです。
よく、取引先はきちんと利益を上げているかということを基準に社内格付けをしてしまうケースがあるのですが、それよりも支払い能力の方が大切です。
極端な話をすれば、取引先の利益が低調でも、支払能力に全く問題がなければ取引を続けて良いということです。
このことから、取引先を分析し、社内格付けを作っていく上では、

という視点で分析していくことが最重要だと言えるでしょう。
そのためにも、加点方式ではなく、減点方式で評価していくのが好ましいです。

半年弱で50億円積み上げたOLTA、クラウドファクタリング「3兆円市場」目指してChatworkと連携するなど、この資金調達方法がすごい。

大手企業ともパートナー提携していて非常に安心よ♪
OLTAのサイトはこちらから→ https://www.olta.co.jp/
情報収集の難しさ
取引先を分析する際、分析のための情報収集にも難しさがあります。
会社の情報というものは、決算書のように数値化されている情報よりも、数値化されない情報の方がはるかに多いものだからです。
決算書から財務分析を行って、その取引先を格付けしたとしても、最終的に倒産するかどうかはまた別の話です。
数値化されない部分が引き金となって、倒産することも非常に多いのです。

取引先の定性情報、つまり成長性や市況、抱えている障害や経営者の能力、社内統制などをも数値化していく必要があります。
したがって、取引先を分析していくためには、以下の流れで数値化していくことを覚えておきましょう。
- 定性要因(数字に表れる情報)を評価する
- 定性要因(数字に表れない情報)を評価する
- 外部評価(格付け機関の評価)を参考にする
- 自社との取引内容や取引実績を考慮する
- 最終的な格付けを付与する

もし今、資金繰りにお困りなら、こちらの窓口に相談されてみてはいかがでしょうか。
アクセルファクターについての関連記事はこちら
社内格付けの目的は?
では、社内格付けの目的を見ていきましょう。
冒頭で述べた通り、社内格付けは取引先の管理に役立てていくことを目的とする者ですが、より細かいことを言えば、三つの目的があると言えます。
与信リスクの定量化
格付けによって取引先を見ることによって、客観的な視点で取引先を評価できるようになります。
その視点を以て、それぞれの売掛債権をどうしていくかという方針も決まってきます。
取引先の評価にあたっては、自社の社長と取引先の社長と個人的な関係や、取引先との歴史の長さなどを踏まえて評価することも多いのです。
しかし、色々な点を数値化して作られた格付けをもとに判断すれば、感情的な部分によって間違いを犯すリスクが減ります。
また、格付けごとに売掛債権を集計していくと、それぞれの売掛債権に内在する与信リスクの管理が簡単になります。

もし貴社が、新型コロナウイルスで売上が低迷しているなら、この人達が救済してくれるゾ!
取引方針の明確化
社内格付けがあることによって、それぞれの取引先のリスクや取引の状況が把握しやすくなっています。
これによって、取引先ごとの取引方針を明確化することも容易になります。
- 積極的に売り込んだほうが良いのか
- 現状維持に努めたほうが良いのか
- 取引を縮小したほうが良いのか
- 取引から撤退したほうが良いのか
といった判断が簡単になるのです。
与信管理の効率化
格付けを作り、格付けに応じた与信管理ルールを定めておくと、結果的にはリスクに応じた管理をすることになります。
各取引先それぞれに与信管理方針を定めるのではなく、格付グループごとに大まかな方針で与信管理をしていくことができるため、与信管理業務が効率化します。

業界最大手の資金調達プロなら、10社のうち9社で資金繰りが改善しています。
資金調達プロに関する関連記事はこちら
まとめ
本稿では、社内格付けの概要と目的を確認していきました。
これによって、社内格付けが非常に役立つものであることが分かったと思います。
社内格付けを設けている会社と、儲けていない会社とでは、与信管理の効率や実際の貸し倒れリスクなどが、大きく変わってくることがお判りいただけたでしょう。
本稿が、まだ社内格付けを作っていない会社にとって、作るきっかけを提供できたならば幸いです。