当サイトでは、非常にたくさんの角度から、たくさんの事柄を説明しています。
これは、資金調達においては、知識量が豊富であればあるほど、有利に進められるものだからです。
本稿でも、「知っててよかった」ときっと思える、資金調達に役立つモノサシとして、損益分岐点売上高と必要売上高の考え方と計算方法をお伝えしていきます。
損益分岐点売上高
損益分岐点売上高とは、損益がトントンになる売上高のことです。
会社は商品を売り、その売上の中から原価や経費を支払い、残ったお金が利益となります。
ですが、経費がかさんで売上を食いつぶすと、損益がトントンになる損益分岐点売上高に到達することになります。
中でも注意したいのが、固定費です。
原価や経費には、売上高の増減に関わらずに一定の支払いが発生する固定費と、売上高の増減によって変動する変動費があります。
売上の中から固定費を回収すれば、後は売れば売るほど利益が出て行くことになりますから、固定費を適正値に保ったり、無理のない範囲内で削減していくことが非常に重要です。

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損益分岐点売上高の算出
損益分岐点売上高を知るには、まずは費用を固定費と変動費に仕分ける必要があります。
したがって、損益分岐点売上高という考え方を知り、経営に活かしていくためには、その前提として固定費と変動費をマスターする必要があるとも言えます。
固定費と変動費の詳しい考え方については、別の記事に譲りますが、簡単に言えば変動費は月や季節によって変動する費用のこと、固定費は月や季節によってほとんど変動しないものと考えましょう。
直接費用を固定費と変動費に分解するためには、売上原価を変動費とし、販売費及び一般管理費を変動費または固定費として適宜振り分けていきます。

限界利益とは、利益がでるぎりぎりのラインのことで、 限界利益=売上高—変動費 で算出します。
そして、いよいよ損益分岐点売上高の計算に入ります。
損益分岐点売上高は、損益分岐点売上高=固定費÷(限界利益÷売上高)という計算式で算出します。
他と言えば、売上高が1億円、固定費が3000万円、変動費が6000万円の会社があったとすれば、以下のように計算します。
- 限界利益=1億円-6000万円=4000万円
- 損益分岐点売上高=3000万円÷(4000万円÷1億円)=7500万円
このことから、この会社の損益分岐点売上高は7500万円、つまり売上高が7500万円になって、初めて損益がトントンになることが分かります。
7500万円を境に、それ以上稼いだものは丸ごと利益になります。

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損益分岐点売上高の評価
また、自社の損益分岐点売上高を算出してみて、得られた数字が果たして適正であるかどうか、非常に気になるところでしょう。
一般的には、損益分岐点売上高は、低ければ低いほど収益性が高いと言えます。
損益分岐点売上高を境に、それ以上稼げば丸ごと利益になるのですから、その境界は低ければ低いほどいいのです。
しかし、損益分岐点売上高の良し悪しは会社ごとの規模にもよりますから、適正水準を知っておくのが良いでしょう。
損益分岐点売上高の適正水準は、損益分岐点比率(%)を算出して考えます。
損益分岐点比率は、損益分岐点比率(%)=損益分岐点売上高÷実際の売上高×100で計算します。
つまり、上記の例の会社ならば、損益分岐点比率(%)=7500万円÷1億円×100=75%となります。
一般的な損益分岐点比率の評価は、以下のようになっています。
損益分岐点比率 | 100% 以上 |
95~ 100% |
90~ 95% |
85~ 90% |
80~ 85% |
80% 未満 |
評価 | 極めて 危険 |
危険 | やや 危険 |
普通 | やや 良好 |
良好 |
したがって、上記の例の会社の損益分岐点売上高は良好であるとの評価が可能となります。
皆さんの会社でも、損益分岐点売上高と損益分岐点比率を算出してみて、自社の利益の状況がどうであるかを見てみましょう。
その上で、あまり良好ではない、あるいは危険だとわかったならば、固定費削減に努めるべきです。
必要売上高
必要売上高は、損益分岐点売上高の応用です。
必要売上高を求めると、来期の売上予算を編成したり、新規事業の売上予測を立てたりすることができます。
これにより、銀行交渉で提出する事業計画の売上予測も可能となります。
必要売上高まで計算して提出しておくと、数字に根拠を求める銀行員は「オッ?」と感心するかもしれません。

「来期は〇億円の利益を上げたい」と立派な目標を掲げても、「では、そのためにはいくら売り上げればいいの?」ということが分からなければ計画は立てられません。
そこで、必要売上高という考え方が非常に重要となります。
必要売上高を算出するためには、 必要売上高=(固定費+目標利益額)÷(限界利益÷売上高)という計算式を用います。
損益分岐点売上高の計算式に似ていることが分かると思いますが、目標利益額という項目が加わっています。
では、この公式を用いるための計算を、順番に見ていきましょう。
1.今期実績の確認
ここでは、来期の売上予算を編成するために、必要売上高を算出するものと仮定します。
まずは、今期の実績を確認します。
確認したところ、売上高は1億円、変動費は5500万円、固定費は3500万円、利益は1000万円という数値が得られました。
2.条件の確認
次に、来期の売上予算を編成するために、来期に予想される条件の変更事項を確認します。
それによって、変動費率が5%上昇すること、固定費が200万円アップすること、さらに目標利益額は50%増を目指すことが分かりました。

単に限界利益を算出するのではなく、変動費率から限界利益率を計算する必要があります。
限界利益率とは、結局のところ必要売上高の公式における、「(限界利益÷売上高)の部分であることがポイントです。
3.必要売上高を算出する
ここまでに得られた情報により、必要売上高を計算することができます。
必要売上高=(固定費+目標利益額)÷(限界利益÷売上高)という条件のうち、
- 固定費=3500万円+200万円=3700万円
- 目標利益額=1000万円×1.5=1500万円
- 変動費率=(5500万円÷1億円)×100+5%=60%
- 限界利益率=1-変動費率=1-0.6=0.4
これらの数値を代入すると、必要売上高=(3700万円+1500万円)÷0.4=1億3000万円となります。
この会社が来期の目標利益額を今期の50%増しに据えるならば、今期の売上高よりも3000万円売らなければならないことが分かりました。

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実現性はあるか?
ここで重要となるのが、必要売上高を算出しっぱなしにするのではなく、その必要売上高が実現可能なものであるか、また実現するためにはどうすればよいのかを考えることです。
例えば、上記の会社は目標利益の達成のために、売上高を30%もアップする必要があることが分かりました。
そもそも売上高とは、(客数×客単価)で算出されるものですから、30%の売上アップのためには、顧客を増やすか、客単価をあげるか、それを同時に行うのかといったことを考えていく必要があります。
また、顧客を増やすということは、新規顧客を増やすという意味もあれば、既存顧客の来店頻度を高めるという意味もあります。
客単価のアップにせよ、商品単価を高めるのか、顧客1人あたりの売上アップを目指すのかと言ったことが考えられます。
このように考えていき、実現性があると思えば、この計算をもとに来期の事業を進めていくこととなります。
修正の方法

まずは、目標利益額を据え置いたまま、他の数値を操作することで実現可能かどうかを検討していきます。
例えば、従業員の残業や休日出勤を減らして固定費を削減すれば、必要売上高の公式における固定費が圧縮されますから、必要売上高も低くなります。
他にも、在庫管理を工夫して仕入れの無駄を省き、変動費率を5%より低く抑えることができたならば、これは必要売上高の公式における限界利益率が大きくなりますから、必要売上高は低くなります。
このように、多方面から少しずつコスト削減を意識していくと、必要売上高を必ず引き下げることができます。
これによって、例えば必要売上高が1億1000万円という計算結果を得られたならば、伸ばすべき売上高は30%から10%に圧縮され、実現の可能性が出てきます。

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まとめ
損益分岐点売上高を知れば、自社の収益性の良し悪しが良くわかります。
また、その応用である必要売上高を理解していれば、事業計画をより緻密に立てることができ、経営や銀行交渉に大いに役立てることができます。
皆さんも、ぜひこの二つの指標を理解し、経営改善の武器としてほしいと思います。