障害者雇用で欠かせない職場復帰支援の効果とは?助成金活用のポイント

障害者雇用促進法では、一定以上の規模の会社に障害者の雇用を義務付けています。

今後、障害者の雇用義務は拡大していくと予想されるため、比較的業容の小さい中小企業でも、障害者雇用に取り組む機会が増えていくはずです。

障害者雇用で重要となるのは、職場への定着です。

しかし、障害特性によっては療養のための長期休職が必要となることもあり、これにどう対応するかによって会社の負担や、雇用した障害者の定着に大きく影響してきます。

そこで本稿では、障害者の長期休職が会社に与える影響と、長期休職を認めることによって得られるメリット、さらに助成金の受給について解説していきます。

障害者の長期休職の負担

障害者を雇用する際には、合理的な配慮の義務が生じます。

合理的な配慮としてよく挙げられるのが、勤務時間や休暇制度への配慮です。

障害特性に合わせて、必要ならば短時間勤務を認めたり、休暇を認めたりするのです。

これくらいであれば、多くの会社で特に困ることもなく、取り組むことができるでしょう。

しかし、障害特性によっては、長期休職が必要になる場合もあります。

例えば、精神疾患や難治性疾患などを抱える障害者が、症状の悪化によって長期療養が必要となることがあるのです。

時には、1ヶ月以上の長期休職も珍しくありません。

障害者雇用に取り組む会社は、障害者雇用から生じる負担を少しでも軽減したいと考えるでしょう。

早く職場に馴染めるように、あるいは早く業務に慣れるようにといった配慮のために、人員の配置や設備の導入なども工夫していきます。

このため、雇用した障害者が長期にわたって休職すれば、配慮のために変更した仕組みを一時的に調整したり、やがて復職したときに備えたりと、新たな負担が生じることになります。

しかし、障害者雇用に取り組んでいく中で、障害者の長期休職はいずれ考えなければならないことです。

長期休職の負担、休職させるメリット、休職と職場復帰支援でもらえる助成金などを知っておくことで、障害者の長期休職に対応しやすくなります。

障害者雇用に取り組むならば、雇用後に困らないように、休職についても考えておくべきね。

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休職期間の考え方

まず、障害者が長期休職を必要としたとき、長期休職をどのように認めるかという問題があります。

就業規則の中で認めている休職期間は、会社によって様々に規定されています。

勤続年数で差をつけていることが多く、一般的には、

  • 勤続年数が5年未満→3ヶ月以下の休職期間、あるいは休職を認めない
  • 勤続年数が5年以上→6ヶ月の休職期間

といった規定が多くなっています。

そして、休職期間を満了しても復職しない従業員を解雇することは、基本的に認められています。

もちろん、長期休職の理由が会社にある場合、例えば会社が長時間労働を強いたり、パワハラをしたりすることによって精神疾患を発症した場合などは別です。

このほか、医師が復職可能と診断しているにも関わらず、会社が復職を認めずに解雇した場合なども不当解雇にあたります。

そのようなケースを除けば、特に問題はありません。

休職期間を満了しても復職せず、退職扱いとなった従業員が不当解雇として訴訟を起こした過去の判例を見ても、退職扱いを適法とする判例が大部分を占めています。

これは、解雇する従業員が障害者の場合にも同様で、実際に

  • アスペルガー症候群
  • 適応障害
  • 精神疾患

などを理由として休職した従業員が、休職期間を満了しても復職しなかったことを理由に退職扱いとしたことを適法と判断した事例は多いです。

デリケートな問題だから、休職に対応できず、離職されるのも怖い・・・という会社もあるだろう。

しかし、裁判は会社の立場も汲んでくれている。

休職させるのが難しいことも

上記のような法的側面から、障害者に対する休職を考える際にも、

  • 自社が就業規則で定めている休職規定を適用し、条件を満たさない場合には障害者であっても休職させない

あるいは、

  • 条件を満たしていても規定以上の休職は認めない

などとすることは可能です。

もちろん、一般の従業員も障害者の従業員も等しく適用されるものであり、障害者が不当に差別されていないことが前提となります。

障害者への配慮は義務付けられていますが、自社に無理のない範囲で配慮すれば良いこともまた認められているため、

「障害者だから、一般の従業員以上に優遇して、会社が大きな負担に耐えても休職させなければならない」

という義務はないのです。

したがって、長期の求職を理由に会社の負担が増大するならば、就業規則に照らして退職扱いとすることも、現実的には考えなければなりません。

例えば、復職後に障害特性が著しく悪化している場合には、会社はさらなる配慮の必要がありますし、場合によっては十分な配慮ができないことがあります。

また、特に精神障害に多く見られますが、休職を認めて療養させたものの、復職後も再発をくり返し、会社はその調整によって多くの負担を強いられるケースがあります。

このような場合にも、障害者福祉の観点からは雇用し続けることが望ましいのですが、それによって会社の負担が雇用時に想定していたよりも大幅に増えてしまうならば、継続雇用を断念せざるを得ないのです。

障害者だから絶対に休職させなければならない、それを理由に退職扱いにできない、と勘違いしてはいけないよ。

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基本的には休職を認めたほうが良い

しかしながら、障害者雇用に取り組むにあたっては、基本的には休職を認める体制を作ったほうが良いでしょう。

これは、単に社会貢献のためではありません。

結果として社会貢献になることは事実ですが、社会貢献はひとまず置いておき、第一に経営への影響を考えたとき、休職を認めたほうが何かと良いのです。

なぜならば、雇用する障害者の長期休職を認めることによって、以下のようなメリットがあるからです。

雇用義務への対応になる

まず、障害者雇用促進法における雇用義務への対応に役立ちます。

休職を認めることが会社の負担になるとはいえ、休職に対応しなければ負担を回避できるわけではありません。

なぜならば、休職に対応できずに障害者が離職した場合には、新たに障害者を雇用し、雇用義務を果たす必要があるからです。

離職した障害者のために、これまでも配慮を構築してきたことと思います。

しかし、新たに雇用する障害者に対して、その配慮をそのまま適用できるとは限りません。

特に精神障害や発達障害など、同種の障害でも特性が異なることが多い障害であれば、新たな配慮に取り組む必要があり、それが負担につながることも多いです。

休職を認めるならば、雇用を継続しながら休職させるのですから、休職させる障害者も法定雇用率の算定対象となり、新たな障害者雇用は必要ありません。

そして、復職後は休職前の配慮を適用することも可能です。

休職させた場合の負担と、新たに雇用した場合の負担を比較してみて、休職させた方が軽い負担で済むならば、休職を認めたほうが賢明です。

休職させなかったからといって、負担がなくなるわけではないわ。

将来にわたって役立つ

障害者雇用の経験に乏しい会社では、障害者の休職への対応に困ることもあると思います。

しかし、それをあえて認めることによって、障害者が休職しても経営に大きな負担とならないよう、対策を考えていくことができます。

障害者雇用に取り組んでいれば、長期休職を必要とする障害者は必ず出てくるはずです。

そのたびに、休職に対応できないからといって離職させていれば、障害者の新規雇用による負担がしばしば発生しますし、障害者の職場への定着もなかなか進まないでしょう。

事業を拡大していく会社では、新たな労働力を確保する必要があり、従業員数の増加とともに障害者の雇用義務も増えていきます。

当然、雇用した障害者が休職を求める機会も増えていきます。

早いうちから、徐々にでも休職への対応を構築していくことで、将来における障害者雇用にも役立つことでしょう。

休職への取り組みを通して障害者雇用への対応力を鍛えるのだ!

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対応力が高まる

長期休職を認める場合には、休職する障害者の業務を他の従業員に割り振ったり、障害者のサポートにあたっていた従業員の業務を調整したりする必要があり、職場のチームワークに様々な影響が生じます。

できるだけ休職を認め、その際の職場の動き方、チームワークのあり方を考える機会を設けることによって、休職への対応がスムーズになっていきます。

このような対応力は、障害者の休職だけではなく、一般の従業員がケガや病気、育児休暇などによって欠けた場合の対応にも役立ちます。

これは、一部の労働力が欠けても生産性を維持できるということですから、生産性の向上であると言えます。

対応力を高め、生産性アップを促す機会と捉えれば、障害者の長期休職を認めやすくなるはずです。

コ休職への取り組みが生産性向上につながるのだ。

マイナスをプラスに変えていこう!

助成金を受給できる

さらに、障害者の長期休職を認め、職場復帰支援に取り組んだ会社では、障害者雇用安定助成金の障害者職場定着支援コースによって助成金を受給できます。

障害者職場定着支援コースでは、障害者の職場定着に役立つ措置をとった会社に対して、助成金を支給しています。

複数設けられている措置の一つに「職場復帰支援」があり、療養のために1ヶ月以上の休職を認め、さらに職場復帰を支援した会社では、

対象となる障害者1人当たり月額6万円(支給対象期間は1年2期[6ヶ月×2期])

を受給できるのです。

障害者雇用に伴って受給できる助成金の多くでは、雇用期間を重視しています。

例えば、特定求職者雇用開発助成金の特定就職困難者コースでは、重度障害者を除く障害者を雇用するだけで120万円を受給できますが、これは30万円を4期に分けて受給できる仕組みになっており、2年間の継続雇用によって満額受給となります。

つまり、障害者雇用の負担を助成金によって軽減していくためには、長期にわたって雇用していくことが重要です。

雇用する障害者が長期休職を必要としているとき、それを認めずに離職につながれば、雇用したことで受給できるはずだった助成金が受給できなくなることがあります。

したがって、長期休職を認めるように努めていけば、障害者職場定着支援コースによる助成金を受給できるだけではなく、障害者雇用に伴う他の助成金の受給額を伸ばすことにも繋がるのです。

障害者雇用にあたって助成金の活用が欠かせない以上、長期休職にしっかりと取り組み、助成金の最大化・負担の最小化に努めることが重要です。

色々なメリットがあるわね。あくまでも負担になりすぎないことが前提だけど、積極的に取り組みたいわ。

※障害者職場定着支援コースは、障害者の休職と職場復帰をスムーズに進める上でも役立ちます。詳しくはこちら

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まとめ

障害者を雇用すれば、様々な負担が生じるものです。

この負担をできるだけ軽減するためにも、障害者が職場に定着できるよう配慮に取り組み、新規雇用による負担を軽減するとともに、助成金の受給額を最大化していく必要があります。

そのためには、障害者雇用とは切っても切れない「療養のための長期休職」にしっかり対応していくことが欠かせません。

障害者の長期休職と職場復帰支援に取り組めば、職場の定着を促進でき、助成金も受給できます。

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これが、結果的に他の助成金の受給額を増やすことにもつながるため、ぜひ障害者職場定着支援コースを活用していこう!

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