高年齢者の雇用で人材不足を解消しよう!使える助成金4選

日本では、生産年齢人口が減少し、高年齢者人口が増加しています。

生産年齢人口が減少すれば経済成長が期待できなくなるため、政府は外国人労働者を受け入れたり働きにくい事情を抱えている国内の労働者が働きやすくなるようにしたり、様々な取り組みを実施しています。

中でも、増加の一途をたどる高年齢者人口から労働力を確保する動きは強く、助成金制度でも、特に高年齢者雇用を対象とした制度が設けられています

本稿では、高年齢者雇用を人材確保につなげる際に活用すべき助成金について解説していきます。

高年齢者が増加している!

日本の人口問題が深刻化している今、会社に求められる雇用のあり方は大きく変わってきています。

日本の人口がどのように変化しており、またどのような問題が懸念されているのかについては、国立社会保障・人口問題研究所が発表している、日本の人口推計を見るとよくわかります。

日本が高度経済成長期にあたる1970年、日本の人口の内訳は以下のようになっていました。

1970年
14歳以下人口:2515万人(全体の24.0%)
15~64歳人口(生産年齢人口):7212万人(全体の68.9%)
65歳以上人口:739万人(全体の7.1%)

それから45年後の2015年には、以下のような内訳へと変化しています。

【2015年】
14歳以下人口:1589万人(全体の12.6%)
15~64歳人口(生産年齢人口):7629万人(全体の60.7%)
65歳以上人口:3347万人(全体の26.6%)

1970年から2015年までの変化を見れば、生産年齢人口はそれほど変わっていないものの、65歳以上人口の割合が約4倍に上昇し、14歳以下人口の割合が約半分に低下しています。

生産年齢人口は微増といえども、将来の働き手となる14歳以下人口が減少し、生産力とはなりにくい65歳以上人口が増えているのです。

その結果、さらに45年後の2060年には、以下のような変化が予測されているよ!

【2060年】
14歳以下人口:791万人(全体の9.1%)
15~64歳人口(生産年齢人口):4418万人(全体の51.0%)
65歳以上人口:3464万人(全体の39.9%)

14歳以下人口の減少は、長期的に生産年齢人口の大幅な減少につながっています。

14歳以下の減少は相変わらず続いているため、2060年以降、生産年齢人口のさらに減少していくと考えられます。

65歳以上人口も、今後はどんどん増えていくでしょう。このままでは、日本経済が深刻な事態に陥ることも十分に考えられます。

日本経済のためには、生産年齢人口を増やしていく必要があります

しかし、14歳以下人口の減少は止まらず、生産年齢人口が自然的に増加していくことは考えにくいです。

そこで政府は、外国人労働者を受け入れたり、65歳以上の高年齢者の雇用も推進することで、生産年齢人口の確保を模索しています。

高年齢者の雇用を考える

外国人労働者の受け入れについては、まだまだ受け入れに消極的な企業が多く、政府は長期で取り組むことになると思います。

それに比べて、高年齢者の雇用は取り組みやすい問題であり、1億総活躍時代のテーマの一つでもありますから、政府は力を入れて取り組んでいます。

会社にとっても、高年齢者の雇用は受け入れやすいだろう。

若手の人材確保に困っている会社が、高齢のベテラン社員をできるだけ長く雇いたいと考えていることもありますし、高年齢者側でも働きたいと思っている人はたくさんいます。

特に、近年は老後の貧困が社会問題になっていることもあり、政府は経済成長のためだけではなく、貧困問題の一環としても、高年齢者雇用を進めています。

 

とはいえ、高年齢者を雇用する際には、雇用条件がよくないケースが多くなります。

高年齢者は、知識や経験に強みがあるものの、どうしても体力・精神力などで劣る部分があり、会社としても一般従業員と同水準の待遇で雇用することは難しいのです。

そのような待遇の悪化を緩和するため、厚生労働省が実施する助成金では、高年齢者雇用に伴う助成金制度をいくつか設けています。

基本的には、「65歳超雇用推進助成金」という制度を設けて支援しているのですが、この制度は、

  • 65歳超継続雇用促進コース
  • 高年齢者雇用環境整備支援コース
  • 高年齢者無期雇用転換コース

という3つのコースに分けられています。

これに加えて、キャリアアップ助成金の正社員化コースも利用できる助成金の一つだ!

医療が発達した現代では、一般的な定年である65歳を超えていても、元気に働ける人が多いものです。

人材不足の解消に取り組むにあたっても、高年齢者雇用の活用を検討することによって、大幅な改善につながる会社もあることでしょう。

そのような会社では、複数の助成金の中から、特に高年齢者雇用に役立つものを活用しながら取り組んでいくことが大切です。

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65歳超雇用推進助成金(65歳超継続雇用促進コース)

65歳超継続雇用促進コースは、65歳を超えても働き続けられるよう、雇用管理制度を整備した場合に助成金を受給できるものです。

多くの会社では、定年の定めを設けていると思います。

60歳で定年、65歳で定年などのパターンが考えられますが、それを引き上げたり、廃止したりすることにより、高年齢者雇用を推進することが目的です。

65歳超継続雇用促進コースを利用することで、大きなメリットが期待できるのは、中小の製造業が良い例でしょう。

中小の製造業者では、ベテランの職人が熟練の技で製造に従事することで、事業が成り立っているケースが少なくありません。

若手の人材確保が困難であり、若手が確保できても経験を積むまでには時間がかかるもの。

そのため、会社が今後も長く経営を続けていくためには、定年を引き上げたり、廃止したりすることによって、助成金を受給しながらベテランの職人に長く活躍してもらい、若手への技術の継承を図るのが良いでしょう。

受給要件

65歳超継続雇用促進コースを受給するためには、高年齢者雇用推進員を選任したのち、高年齢者雇用管理に関する措置として、以下のうち1つ以上を実施する必要があります。

  • 職業能力の開発及び向上のための教育訓練の実施等
  • 作業施設・方法の改善
  • 健康管理、安全衛生の配慮
  • 職域の拡大
  • 知識、経験等を活用できる配置、処遇の改善
  • 賃金体系の見直し
  • 勤務時間制度の弾力化

以上の取り組みをしたのち、定年の定めを変更していきます。

支給額

雇用管理制度の整備の内容には、

  • 定年を65歳以上に引き上げる
  • 定年の定めを廃止する
  • 希望者全員を対象として、66歳以上の継続雇用制度を導入する

の3パターンがあります。

助成金の支給額は、雇用管理制度をどのように整備するかによって異なります。

また、定年を何歳引き上げるか、60歳以上の雇用保険被保険者数が何人いるのかによっても、支給額が変化します。

助成金支給額は、以下のようになっています。

65歳以上へ定年を引き上げる、あるいは定年の定めを廃止する場合

60歳以上の被保険者数 65歳まで引き上げ 66歳以上に引き上げ 定年を廃止
5歳未満 5歳 5歳未満 5歳以上
1~2人 10万円 15万円 15万円 20万円 20万円
3~9人 25万円 100万円 30万円 120万円 120万円
10人以上 30万円 150万円 35万円 160万円 160万円

希望者全員を対象として66歳以上の継続雇用制度を導入した場合

60歳以上の被保険者数 66~69歳まで 70歳以上
4歳未満 4歳 5歳未満 5歳以上
1~2人 5 10 10 15
3~9人 15 60 20 80
10人以上 20 80 25 100
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65歳超雇用推進助成金(高年齢者雇用環境整備支援コース)

上記の65歳超継続雇用促進コースは「雇用管理制度の整備」であるのに対し、高年齢者雇用環境整備支援コースは「雇用環境の整備」です。

定年引上げなどの整備とは異なり、高年齢者の負担を軽減し、長く働ける環境を作るために、

  1. 高年齢者の職業能力を評価する仕組みを導入または改善する
  2. 1の仕組みを活用した賃金・人事処遇制度を導入または改善する
  3. 高年齢者の希望に応じた短時間勤務制度や隔日勤務制度などを導入または改善する
  4. 高年齢者が意欲と能力を発揮して働けるために、必要な知識を付与するための研修制度を導入または改善する
  5. 法定外の健康管理制度を導入する

などの措置を実施するコースです。

これらの実施には、専門家に委託したり、コンサルタントに相談したりする必要があり、相応の経費が掛かるよ!

このとき要した経費に対して、以下の助成率で助成金が支給されます(上限は30万円)。

中小企業の助成率 大企業の助成率
生産要件を満たさない場合 60% 45%
生産要件を満たした場合 70% 60%
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65歳超雇用推進助成金(高年齢者無期雇用転換コース)

高年齢者無期雇用転換コースは、有期契約の高年齢者を無期雇用に転換した場合に助成金を受給できるものです。

65歳超雇用推進助成金のコースですから、65歳超の高年齢者が対象になると勘違いされやすいのですが、支給対象となるのは「50歳以上かつ定年年齢未満の有期契約労働者を無期雇用に転換した場合」です。

転換によって受給できる助成金と言えば、キャリアアップ助成金の正社員化コースをイメージすると思います。

受給要件についても、

  • 無期雇用転換計画書を作成・提出したうえで取り組むこと
  • 有期契約から無期雇用に転換するための制度を、労働協約や就業規則に規定すること

など、正社員化コースの要件とかなり似ています。

しかし、転換する労働者が「50歳以上かつ定年年齢未満」であるならば、ぜひ高年齢者無期雇用転換コースを利用すべきです。

なぜならば、この条件の労働者を有期契約から無期雇用へと転換するとき、キャリアアップ助成金の正社員化コースを利用した場合の助成額は、

1人当たり28万5000円(生産性要件を満たしている場合には1人当たり36万円)

となっているのに対し、高年齢者無期雇用転換コースを利用した場合の助成額は、

1人当たり48万円(生産性要件を満たしている場合には1人当たり60万円)

となっており、より多くの助成金を受給できるからです。

ここで、高年齢者無期雇用転換コースを知らずに正社員化コースを利用してしまっては損です。

キャリアアップ助成金(正社員化コース)

高年齢者の転換にあたっては、高年齢者無期雇用転換コースと、キャリアアップ助成金の正社員化コースのどちらも利用が可能です。

異なるのは、上記のように支給額が異なるほか、支給申請の上限が異なります

支給申請の上限は、正社員化コースが20人であるのに対し、高年齢者無期雇用転換コースは10人となっています。
このため、まずは高年齢者無期雇用転換コースを利用し、10人を超えて転換する会社では正社員化コースを利用するという流れが良いでしょう。

ただし、正社員化コースは年齢制限を受けない仕組みですから、正社員化コースの上限枠を「50歳以上かつ定年年齢未満」の労働者で使ってしまうよりも、ほかの労働者の転換に活用したほうがいい場合もあります。

このような点に留意しつつ、社労士などとも相談しながら取り組むのがポイントよ!

また、高年齢者無期雇用転換コースは、あくまでも「有期契約から無期雇用」の転換のみに対応しているため、50歳以上かつ定年年齢未満の労働者を「有期契約から正規雇用」あるいは「無期雇用から正規雇用」へと転換する場合には、正社員化コースを利用することとなります。

正社員化コースを利用した場合、高年齢者を転換することによる増額などはなく、以下の基本的な条件が適用されます。

基本的な支給額 生産性が6%向上している場合
有期契約から正規雇用へ転換 1人当たり57万円 1人当たり72万円
有期契約から無期雇用へ転換 1人当たり28万5000円 1人当たり36万円
無期雇用から正規雇用へ転換 1人当たり28万5000円 1人当たり36万円

●正社員化コースを利用するときの注意点

正社員化コースを利用して高年齢者を転換するとき、以下の場合には支給対象外となるので注意が必要です。

  • 転換または直接雇用後の雇用形態に定年制が適用される場合、転換または直接雇用日から定年年齢に達する日までの期間が1年以上である者であること
  • 支給対象事業主または密接な関係の事業主の事業所において定年を迎えた者でないこと

「定年」という要素が絡むことによって、普段の転換ではあまり意識しない要件で引っかかる可能性があります。

せっかく転換したのに受給できなかったということがないように、注意して取り組みましょう。

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まとめ

本稿で解説した通り、高年齢者を労働力として活用する際に、利用できる助成金が色々あります。

活用の方針としては、基本的には高年齢者雇用のための助成金である65歳超雇用推進助成金の3つのコースを優先的に活用しましょう

その上で、65歳超雇用推進助成金では対応していない部分について、キャリアアップ助成金の正社員化コースなども組み合わせながら、負担を軽減していくのがポイントです。

確実な活用のためには、社労士などの専門家に相談しながら進めていきましょう。

この時の費用についても経費助成を受けることができるので、軽い負担で大きな効果が期待できるはずです。

助成金

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