資金繰りが苦しい会社では、生産性が低いことが原因になっているケースがよくあります。
生産性が低ければ、手元に残る利益は圧迫され、社員の人件費負担も重くなり、資金繰りに悪影響を与えるのです。
そこで、経営改善を進める場合には、生産性の改善を目標に据えることが非常に重要です。
この時、せっかく生産性を改善するのですから、生産性を改善した会社に支払われる助成金をしっかり受給したいものです。
本稿では、生産性と助成金の関係について解説します。
人件費負担を改善するには?
企業が負担している経費の中でも、人件費は特に大きな負担となります。
実際に、資金繰りが苦しい会社では、人件費の負担が大きすぎるケースが珍しくありません。
例えば、
- 会社が好調な時期に多くの人材を雇い入れたものの、その後業績が軟調となったことで人件費負担が大きくなった
- 新規事業の展開にあたって、優秀な人材を雇い入れたものの、事業が軌道に乗らずに人件費負担だけが重くなった
などのケースがよくみられます。
このような会社で資金繰りを改善するためには、業容や業績に見合った水準に人件費を落とすべく、リストラを断行しなければならないこともあります。
もちろん、社員を雇いすぎているわけではないものの、なかなか利益を確保できず、人件費負担に苦しむ会社もあります。

明らかに雇いすぎているならばリストラが必要ですが、ギリギリの人数でやっているにもかかわらず、資金繰りが苦しい会社も非常に多いのです。
そのような会社では、リストラをすれば業務が回らなくなる可能性が高いので、リストラ以外の方法で改善していく必要があります。
働き改革が叫ばれ、最低賃金なども順調に伸びている時代ですから、減給による人件費削減も良い方法ではありません。
そこで、有効な解決策となるのが生産性の改善です。
社員一人当たりの生産性を高めることができれば、より多くの利益を確保することができるようになり、資金繰りも改善します。

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社員一人当たりの生産性とは
社員一人当たりの生産性について、簡単に説明しておきましょう。
社員一人当たりの生産性は、粗利益を社員数で割ることで求められます。
粗利益は、
売上-売上原価(売上の源泉となる商品の仕入費用や外注費用)=粗利益(売上総利益)
という計算式で求めます。
したがって、社員一人当たりの生産性は、
粗利益÷社員数=社員一人当たりの生産性
となります。
上記の計算式を見れば分かりますが、リストラすることなく社員一人当たりの生産性を上げるためには、粗利益を高める必要があります。
粗利益を高めるためには、売上を高めるか、売上原価を削減する必要があります。

そのため、社員一人当たりの生産性を高めるためには、仕入れ先の見直しや在庫の調整、製造過程におけるロスの削減などによって、売上原価を圧縮するのが効果的です。
社員一人当たりの生産性に大きな問題を抱えている会社では、粗利益が圧迫されていることが非常に多いものです。
その場合には、売上原価の圧縮に努めることで、生産性を大きく伸ばすことができます。

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助成金を活用しよう
社員一人当たりの生産性を高めていけば、経営改善を効率的に進めることができます。
しかし、それだけで満足してはもったいないです。
助成金制度を実施している厚生労働省では、労働環境の改善や経済成長などのために、生産性を高めた会社を評価し、助成金を支給しています。
せっかく生産性を高めるのですから、助成金についても学び、しっかりと受給していくべきです。
しかも、生産性向上によって経営改善に成功している会社では、それによって得られた利益を社員に還元していることも多いため、以下のように生産性向上と雇用条件改善の二種類の助成金を受給できる可能性もあります。
人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)
この助成金は、人事評価制度を整備して生産性を向上させることによって、社員の賃金が2%以上アップしている会社に、50万円の助成金を支給するものです。
例えば、生産性を改善する以前は、社員一人当たりの生産性は月50万円、社員の月給は30万円であったとしましょう。
この給料の2%増は30万6000円です。生産性を向上させているならば、2%の賃金アップは何ら問題ないでしょう。
さらに、人事評価制度等整備計画が認定された日が属する会計年度と、3年度前を比較して、生産性が6%上昇している場合には、さらに80万円の助成金を受け取ることができます。
ここでいう「生産性」とは、付加価値(営業利益+人件費+減価償却費+動産・不動産賃借料+租税公課)÷雇用保険被保険者数で算出します。
例えば、月間の生産性が500万円の会社であれば、3年間努力を続けることで、月間の生産性を530万円に高める必要があります。

賃金アップと生産性アップの両方を達成すれば、合計で130万円の助成金を受け取ることができます。

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キャリアアップ助成金
また、生産性を向上させている会社では、キャリアアップ助成金も利用できる可能性が高いです。
人材確保等支援助成金では、主に正規雇用の社員への待遇改善を目的としているのに対し、キャリアアップ助成金は非正規社員の正規雇用を促したり、給料アップを促したりすることを目的としています。

また、キャリアアップ助成金でも、生産性の向上によって受給額が加算される仕組みになっており、生産性を改善した会社のメリットは特に大きくなります。
なお、キャリアアップ助成金の生産性も、人材確保等支援助成金と同じく、助成金申請の直近の会計年度と3年度前を比較して、6%上昇していることが条件となります。
正社員化コース
キャリアアップ助成金の正社員化コースでは、
基本的な支給額 | 生産性が6%向上している場合 | |
有期契約から正規契約へ転換 | 1人当たり57万円 | 1人当たり72万円 |
有期契約から無期契約へ転換 | 1人当たり28万5000円 | 1人当たり36万円 |
無期契約から有期契約へ転換 | 1人当たり28万5000円 | 1人当たり36万円 |
の支給を受けることができます。
例えば、生産性改善に伴って資金繰りに余裕が出たことで、5人の有期契約社員を正規契約社員へと転換した場合には、計285万円の助成金を受けられます。
生産性6%アップも達成していれば、最終的な受給額は360万円となります。
賃金規定等改定コース
賃金規定等改定コースは、非正規社員の給料をアップした場合に支給される助成金です。
全ての有期契約労働者の基本給の賃金規定を増額改訂し、2%以上増額した場合には、
対象労働者数 | 有期契約労働者全員に2%増額の場合 | |
基本的な支給額 | 生産性が6%向上している場合 | |
1~3人 | 1事業所あたり9万5000円 | 1事業所当たり12万円 |
4~6人 | 1事業所あたり19万円 | 1事業所当たり24万円 |
7~10人 | 1事業所あたり28万5000円 | 1事業所当たり36万円 |
11~100人 | 1人当たり2万8500円 | 1人当たり3万6000円 |
の助成金が支給されます。もし、3%以上の増額改訂となった場合には、
対象労働者数 | 有期契約労働者全員に3%増額の場合 | |
基本的な支給額 | 生産性が6%向上している場合 | |
1~3人 | 基本的な支給額に加えて 1人当たり1万4250円の加算 |
基本的な支給額に加えて 1人当たり1万8000円の加算 |
4~6人 | ||
7~10人 | ||
11~100人 |
が加算されます。一部の有期契約労働者に対してのみ、賃金規定を2%以上増額した場合には。
対象労働者数有期契約労働者の一部に2%増額の場合
対象労働者数 | 有期契約労働者の一部に2%増額の場合 | |
基本的な支給額 | 生産性が6%向上している場合 | |
1~3人 | 1事業所あたり4万7500円 | 1事業所当たり6万円 |
4~6人 | 1事業所あたり9万5000円 | 1事業所当たり12万円 |
7~10人 | 1事業所あたり14万2500円 | 1事業所当たり18万円 |
11~100人 | 1人当たり1万4250円 | 1人当たり1万8000円 |
の助成金が支給されます。もし、3%以上の増額改訂となった場合には、
対象労働者数 | 有期契約労働者の一部に3%増額の場合 | |
基本的な支給額 | 生産性が6%向上している場合 | |
1~3人 | 基本的な支給額に加えて1人当たり7600円の加算 | 基本的な支給額に加えて1人当たり9600円の加算 |
4~6人 | ||
7~10人 | ||
11~100人 |
が加算されます。
生産性向上の結果、5人の有期契約労働者全てに対して賃金を2%アップしていれば19万円の支給、3%アップしていた場合には26万1250円の支給を受けられます。
もちろん、生産性6%アップを達成していたならば、2%アップの場合には24万円、3%アップの場合には33万円の助成金を受けることができます。
助成金をしっかり受給すると・・・
ある会社では生産性改善に取り組みました。
その結果、人材確保等支援助成金とキャリアアップ助成金を利用し、正社員の給料2%以上アップ、有期契約雇用者3人を正規雇用に転換し、有期契約雇用者2人の給料を3%アップしました。
なおかつ生産性が6%向上していたので
- 人材確保等支援助成金:130万円
- キャリアアップ助成金(正社員化コース):216万円
- キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース):9万6000円
となり、最大で355万6000円の助成金を受給できる可能性があります。

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まとめ
これから経営改善のために生産性向上を目指す会社では、なんとしても成功させるつもりで始めるでしょうし、結果に応じて社員にも還元していくはずです。
ならば、取り組みを始める段階で助成金を申請しておく、あるいは取り組みながら需給の可能性が出たものは随時申請することにしましょう。
そうする事で、目標達成への意識を高め、無事に達成したときには数百万円の助成金までもらえるように条件を整えるべきです。
単なる経営改善努力から、報酬付きの経営改善努力になると考えて、受給できる可能性がある助成金には積極的に応募していきましょう。
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