最低賃金の上昇をキャリアアップ助成金でカバーしないのはもったいない!

近年、働き方改革の流れを受けて、最低賃金が毎年2~3%の伸び率で上昇を続けています。

人件費負担軽減のために非正規労働者を雇っていた事業者にとって、資金繰りへの影響は決して無視できないでしょう。

政府の方針では、今後もしばらく値上げが続くと思われます。

中小企業がこの流れに対応していくためには、キャリアアップ助成金を活用し、助成金によって人件費の増加をカバーしていくのがポイントです。

本稿では、キャリアアップ助成金の活用によって、最低賃金上昇に備える方法を解説していきます。

最低賃金は上昇し続けている

現在、政府が力を入れている取り組みの一つに「働き方改革」があります。

これは、労働環境を抜本的に改革することにより、長時間労働、サービス残業、正規労働者と非正規労働者の格差などの改善を目指すものです。

働き方改革によって、労働者が働きやすい環境が広がっていけば、国はGDPの底上げや税収の増加が期待できます。

企業にとっても、近年は人手不足が深刻化しているため、働き方改革によって働き手が増えることは好ましいでしょう。

そして、労働者にとってもサービス残業や休日出勤などがなくなり、賃金もアップします。

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国・企業・働き手の三者にメリットがある仕組みになるとされているのよ!

ただし、財務基盤の弱い中小企業では、賃金アップによって人件費の負担が増えることは間違いなく、これに悩む経営者も少なくないはずです。

以下の表に示す通り、最低賃金値上げは順調に続いており、最近は年間の値上げ幅が安定して2%以上となっており、3%以上となることも増えています。

最低賃金の全国平均の推移

最低賃金 上昇率
平成14年 663 0%
平成15年 664 0.15%
平成16年 665 0.15%
平成17年 668 0.45%
平成18年 673 0.75%
平成19年 687 2.08%
平成20年 703 2.33%
平成21年 713 1.42%
平成22年 730 2.38%
平成23年 737 0.96%
平成24年 749 1.63%
平成25年 764 2.00%
平成26年 780 2.09%
平成27年 798 2.31%
平成28年 823 3.13%
平成29年 848 3.04%
平成14-29年 平均上昇率 1.65%

そもそも、アルバイトやパートなどの従業員を雇っている会社は、人件費負担が苦しいからこそ、時間給の労働者をあえて雇っているのです。

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最低時給がこのまま高くなっていけば、人件費負担に耐えられない会社も増えていくはずだ。

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返す必要のない、助成金で資金調達する方法もあります。

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最低賃金アップによる負担増のシミュレーション

平成28年から29年にかけて、最低賃金は25円アップしています。

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このような時給の上昇が資金繰りに与える影響をシミュレーションしてみよう。

ここでは、次の条件で考えます。

  • 時間給の従業員:10人
  • 時給:823円
  • 出勤日あたりの勤務時間:6時間
  • 毎月の勤務日数:15日

この時、前年比で最低賃金が25円アップすれば、一人当たりの人件費負担は以下のように増大します。

昇給前 昇給後 増加分
時給 823 848 25
日給(6時間勤務) 4,938 5,088 150
月給(15日勤務) 74,070 76,320 2,250
年間(12ヶ月) 888,840 915,840 27,000

アルバイトの従業員1人あたり、年間で2万7000円の負担増となり、10人では27万円の負担増となります。

利益率が10%の業種であれば、27万円の人件費をカバーするためには年間270万円の売上アップが必要です。

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まったく耐えられない数字でもなさそうだろう。

しかし、労働力を従業員に頼らざるを得ない、財務・営業基盤の弱い会社ですから、このような負担増はかなりの圧迫になっていると予想できます。

とはいえ、最低賃金を守らなければ労基署の指導が入りますし、従業員から訴えられたり、公的な制度が使えなくなったり、色々なリスクがあるため、応じないわけにはいきません。

一部の評論家などは、働き方の効率化を図り、生産性を高めることによって賃金上昇分をカバーすればよいだけだとする意見もあります。

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しかし、効率化や生産性向上は簡単にできるものではないのだ!
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効率アップを求める対象が責任感の希薄なアルバイトの従業員となればなおさらよ。

また、生産性を高めることによって、今年はカバーできたとしても、このような上昇が毎年のように続くとなれば、いずれ効率化が追い付かなくなる会社も多数出てくるでしょう。

そうなれば、行きつく先は人員削減しかなくなり、働き方改革が本末転倒な結果に陥る可能性もあります。

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キャリアアップ助成金でカバーしよう

では、会社側はこの状況にどう対処していくべきなのでしょうか。

このような社会の変化に確実に対応していくためには、キャリアアップ助成金を活用するのが効果的です。

キャリアアップ助成金とは、労働環境や労働条件の整備・改善を目的とした助成金です。

雇用条件の改善や賃金のアップ、従業員の教育など、労働環境・条件の整備や改善のために取り組み、一定の基準を満たした会社は、助成金を受け取ることができます。

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非正規労働者の賃金アップも、キャリアアップ助成金の対象となっているよ!

もちろん、政府が最低賃金の改定を実施し、会社がそれに応える形でやむを得ず賃金を上げた場合には、助成金は得られません。

しかし、能動的に賃金と向き合い、キャリアアップ助成金をうまく使うことによって、非正規労働者の最低賃金の上昇分をカバーできる可能性があります。

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賃金規定等改定コースの概要

キャリアアップ助成金のひとつである「賃金規定等改定コース」では、非正規雇用の従業員の給料を上げることによって、以下のように助成金の支給を受けられる仕組みとなっています。

有期契約雇用者全員の賃金をアップした場合

対象労働者数 有期契約労働者全員の賃金を2%増額した場合
基本的な支給額 生産性が6%向上している場合
1~3人 1 事業所あたり9万5000円 1事業所当たり12万円
4~6人 1 事業所あたり19万円 1事業所当たり24万円
7~10人 1 事業所あたり28万5000円 1事業所当たり36万円
11~100人 1人当たり2万8500円 1人当たり3万6000円

 

対象労働者数 有期契約労働者全員の賃金を3%増額した場合
基本的な支給額 生産性が6%向上している場合
1~3人 基本的な支給額に加えて1人当たり1万4250円の加算 基本的な支給額に加えて1人当たり1万8000円の加算
4~6人
7~10人
11~100人

 

有期契約雇用者の一部のみ、賃金をアップした場合

対象労働者数 有期契約労働者の一部の賃金を2%増額した場合
基本的な支給額 生産性が6%向上している場合
1~3人 1 事業所あたり4万7500円 1事業所当たり6万円
4~6人 1 事業所あたり9万5000円 1事業所当たり12万円
7~10人 1 事業所あたり14万2500円 1事業所当たり18万円
11~100人 1人当たり1万4250円 1人当たり1万8000円

 

対象労働者数 有期契約労働者の一部の賃金を3%増額した場合
基本的な支給額 生産性が6%向上している場合
1~3人 基本的な支給額に加えて1人当たり7600円の加算 基本的な支給額に加えて1人当たり9600円の加算
4~6人
7~10人
11~100人

賃金アップの対象、値上げする金額、賃金を上げたことによる生産性への影響など、複数の要素によって受給額が変動します。

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しかし、これはよくできた制度だ!

それぞれの事業所の規模で、最低賃金アップの影響を十分に吸収できるだけの助成金が支給されるのです。

実際に、従業員10人の全員を対象として給料を2%アップする場合で考えてみても、少なくとも28万5000円の助成金が得られます。

上記のシミュレーションで、最低賃金値上げによる1年間の負担増は27万円でしたから、キャリアアップ助成金によってこれを全てカバーできることが分かります。

キャリアアップ助成金活用のシミュレーション

では、具体的に活用する流れを見ていきましょう。

上記の例と同じく、以下の条件でシミュレーションです。

  • 時間給の従業員:10人
  • 時給:823円
  • 出勤日あたりの勤務時間:6時間
  • 毎月の勤務日数:15日

この会社は平成28年、アルバイトの従業員に最低時給の823円を支給していました。

翌年の最低賃金25円アップを助成金でカバーするためには、政府が最低賃金の引き上げを実施する前から動き出す必要があります。

というのも、賃金規定等改定コースで助成金を得るためには、最低賃金の改定が実施される前日から起算して3か月以上前から賃金アップを実施し、なおかつ6ヶ月以上の期間にわたって継続していることが条件となるからです。

平成29年、最低賃金25円アップが実施されたのは10月1日のことですから、その前日にあたる9月30日から起算して3か月前、つまり7月1日が、会社の自主的な賃金アップのリミットとなります。

政府の最低賃金改定が通年10月1日に行われていること、最近では2~3%の値上げ幅であることなどを頼りに、この会社でも平成29年の最低賃金が3%アップすることを見越しました。

自主的に賃金を25円引上げ、その賃金を6ヶ月間継続することで、平成30年1月1日には賃金規定等改定コースの受給要件を満たすことができます。

この時点で、25円アップの賃金で6か月間にわたって雇用し続け、会社の人件費負担は13万5000円となっています。

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このように、短期的な負担の増加は受け入れる必要があるよ!

しかし、この後に賃金を3%増額したことが認められれば、

  • 非正規労働者全員を対象に、賃金を2%増額したことによる助成金→28万5000円
  • 非正規労働者全員を対象に、賃金を3%増額したことによる加算→14万2500円

となり、合計で42万7500円の助成金を受け取ることができます。

賃料アップに伴う27万円の人件費負担を差し引いても、会社には15万7500円が残ります

もちろん、積極的に賃金をアップしたことにより、従業員の幸福度やモチベーションがあがったり、離職率が減ったりするメリットも期待できます。

できるだけ早いタイミングで始めよう

働き方改革は政府が特に推進している取り組みであるため、今後も最低賃金の引き上げは続くでしょう。

政府は、全国平均で最低賃金1000円を目標としているため、ただその状況を受け入れているだけでは、資金繰りは苦しくなる一方です。

平成30年決定の全国平均は874円であり、目標の1000円まであと126円です。

本稿の例、すなわち非正規雇用の従業員10人、1日6時間、月90時間、年1080時間で考えると、人件費負担は従業員10人で年間1080万円にもなります。

政府が働き方改革を推進する限り最低賃金は上昇し、資金繰りが圧迫されることはほぼ確実なのですから、ただ手をこまねいているだけではいけません。

助成金をはじめとして、使える制度は何でも使って、時代の流れに即応していくべきです。

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まとめ

キャリアアップ助成金に対して、数十万円程度のメリットしかないから必要ないと考えている経営者もいると思います。

しかし、助成金制度はその時々の政府の意向を汲んで実施されるものですから、最低賃金のアップにあたっても、事業者にいくばくかの配慮がなされていることに注目すべきです。

賃金規定等改定コースは、1年度1事業所につき申請は1回まで、上限人数は100人までとなっています。

逆に言えば、毎年賃金をアップしているならば、多くの会社が毎年、この恩恵に浴することができるのです。

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