セーフティネット保証で新型コロナウイルス対策。4号と5号の違いと使い分けについて

新型コロナウイルスにより、資金繰りが圧迫されている中小企業が急増していることを受けて、政府は2月28日、セーフティネット保証4号の実施に踏み切りました。

セーフティネット保証4号は、突発的な原因によって経済への深刻な影響が懸念される場合に、政府の保証によって中小企業の資金繰りを支援する制度です。

今回、実施が発表されたのは、セーフティネット保証の4号ですが、このほかに活用できる制度として、常時実施されているセーフティネット保証5号もあります。

本稿では、セーフティネット保証の4号と5号の違いと使い分けについて解説します。

セーフティネット保証4号について

景気は循環するのが常であり、一般的に好景気・不景気にはサイクルがあるとされています。

このようなサイクルによって循環する場合、急激な変化は起こりにくいため、政府は様々な政策によって時間をかけて対処することができます。

しかし、景気は必ずしも一定のサイクルで動くとは限らず、時として急変することがあります。

最近の新型コロナウイルスの感染拡大も、これにあたります。

このような場合、企業を取り巻く環境は急激に変化するため、政府は時間をかけて対処することができないため、緊急的な対処を断行することとなります。

2月28日、政府はセーフティネット保証4号の実施を発表しました。

セーフティネット保証4号は、自然災害をはじめとする突発的事由によって打撃を受ける中小企業が急増したとき、その資金繰りを支援するために緊急的に実施される保証制度です。

※セーフティネット保証4号の基本的な情報は、以下の記事で解説しています。

 

4号と5号の違い

先日発表されたのはセーフティネット保証4号ですが、セーフティネット保証にはその時々の状況に応じて、常時実施されているセーフティネット保証5号もあります。

セーフティネット保証の4号と5号は、どちらも緊急的な支援制度であり、基本的には似ています。

具体的には、

  • 資金使途が「経営安定資金」であること
  • 通常時の保証協会付融資(信用保証協会の保証を伴う融資)の保証上限額とは別枠で、2億8000万円までの保証を受けられること

といった点で共通しています。

しかし、内容には細かな違いがあります。

CFイエロー
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4号と5号は併用できますが、保証限度額は同じ枠となるため、4号と5号のうち、自社により適している方を選んで活用することが大切よ。

セーフティネット保証4号

まず、セーフティネット保証4号から確認していきましょう。

4号・5号いずれにおいても、セーフティネット保証は、信用保険法という法律によって運用されています。

経済産業省は、信用保険法第2条第5項第4号をもとに、セーフティネット保証4号を以下のように定義しています。

自然災害等の突発的事由(噴火、地震、台風等)により経営の安定に支障を生じている中小企業者への資金供給の円滑化を図るため、災害救助法が適用された場合及び都道府県から要請があり国として指定する必要があると認める場合に、信用保証協会が通常の保証限度額とは別枠で借入債務の100%を保証する制度。

セーフティネット保証4号の特徴

以上の定義から分かる通り、セーフティネット保証4号には、

  • 突発的事由への対処を目的としていること
  • 特定の業種ではなく、特定の地域において、事業活動に支障をきたしている中小企業を支援すること
  • 借入債務の100%を保証すること

などの特徴があります。

もっとも、セーフティネット保証4号は特定地域に限定して支援するものですが、今回の新型コロナウイルスの影響は全国的なものであるため、全都道府県が対象地域となります。

セーフティネット保証4号が全都道府県に適用されるのは初めてのことであり、新型コロナウイルスの影響の大きさが分かります。

対象となる中小企業

セーフティネット保証4号の対象となるのは、以下の要件を満たす中小企業です。

  1. 指定地域(今回の場合は全都道府県)において1年間以上継続して事業を行っていること。
  2. 災害の発生に起因して、当該災害の影響を受けた後、原則として最近1か月の売上高等が前年同月に比して20%以上減少しており、かつ、その後2か月を含む3か月間の売上高等が前年同期に比して20%以上減少することが見込まれること。

ここで押さえておきたいのは、

  • 業歴1年未満の中小企業は対象外となること(業歴1年以上であっても、休業などの理由によって事業継続期間が1年未満の中小企業も対象外)
  • 直近1ヶ月と、その後2ヶ月を含む3ヶ月間における売上高の減少は、どちらか一方ではなく、両方同時でなければ認められないこと
  • 売上高の減少が、新型コロナウイルスの影響によることが明らかであること

です。

CFブルー
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まずは、自社が要件を満たしているか確認しよう。

売上高減少の考え方

これらの要件のうち、特に売上高の減少については市区町村長の認定が必要となるため、しっかりと理解する必要があります。

今回実施されたセーフティネット保証4号は、あくまでも新型コロナウイルスの煽りを受けた中小企業を支援するためのものです。

このため、前年同月・同期比で売上高が20%以上減少していたとしても、そこに新型コロナウイルスの影響を受ける以前の影響が含まれていれば、認定されない可能性があります。

例えば、

  • 昨年2月の売上高が1000万円
  • (新型コロナウイルスを受けた)今年2月の売上高が800万円

であれば、今年2月の売上高は前年同月比20%の減少となり、4号の対象となります。

しかし、

  • 昨年2月の売上高が1000万円
  • (新型コロナウイルスの影響を受けていない)昨年10月の売上高が800万円
  • 今年2月の売上高が800万円

といった場合には、売上高の減少は新型コロナウイルスによるものと言えません。

したがって、今年2月の売上高が前年同月比20%減となっていたとしても、対象外となる可能性が高いです。

CFレッド
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判断がつきにくい場合には、最寄りの信用保証協会に問い合わせるのが良いだろう。

 

セーフティネット保証5号

セーフティネット保証5号も、緊急的な支援制度ではあるものの、4号のように突発的事由に対処するためのものではありません。

その時々の経済の状況に応じて、業況が悪化している業種を対象に支援する制度です。

経済産業省は、信用保険法第2条第5項第5号に基づき、セーフティネット保証5号を以下のように定義しています。

全国的に業況の悪化している業種に属することにより、経営の安定に支障を生じている中小企業者への資金供給 の円滑化を図るため、信用保証協会が通常の保証限度額とは別枠で80%保証を行う制度。

セーフティネット保証5号の特徴

以上の定義から分かるように、セーフティネット保証5号には、

  • 業況の悪化への対処を目的としていること
  • 特定の地域ではなく、特定の業種において、事業活動に支障をきたしている中小企業を支援すること
  • 借入債務の80%を保証すること

などの特徴があります。

対象となる業種は、その時々の業況に応じて定められており、もともと152の業種が指定されていました。

しかし、新型コロナウイルスの影響が深刻になったことを受けて、3月3日、新たに40業種が緊急的に追加指定されています。

対象となる中小企業

セーフティネット保証5号の対象となるのは、以下の要件を満たす中小企業です。

  1. 指定業種に属する事業を行っており、最近3か月間の売上高等が前年同期比で5%以上減少していること。
  2. 指定業種に属する事業を行っており、製品等原価のうち20%以上を占める原油等の仕入価格が20%以上上昇しているにもかかわらず、製品等価格に転嫁できていていないこと。

留意点

セーフティネット保証5号の指定業種は様々ですが、業種によっては新型コロナウイルスの影響がそれほど深刻ではない場合もあるでしょう。

しかし、今後の進展によっては、大きな影響を受ける可能性もあります。

そのような企業では、「最近3ヶ月の影響は軽微であるものの、2月以降の今後3ヶ月は危ないかもしれない」ということもあり得ます。

このため、セーフティネット保証5号では一時的な運用緩和のために、2月以降の売上高の見込みを含む3ヶ月間の売上減少でも認められるとしています。

CF戦隊
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もし今、資金繰りにお困りなら、こちらの窓口に相談されてみてはいかがでしょうか。

 

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セーフティネット保証4号・5号の使い分け

セーフティネット保証の4号と5号には、上記のように色々な違いがあります。

より自社にメリットがあるように使い分けるには、以下のような視点で考えるのが良いでしょう。

新型コロナウイルスの影響が明らかな企業

新型コロナウイルスによる影響が明らかであり、売上が20%以上減少している企業であれば、セーフティネット保証4号の対象となる可能性が高いです。

セーフティネット保証4号は、債務を100%保証します。

5号の80%保証であれば、貸し倒れの場合に金融機関が20%の損失を被りますが、4号の100%保証ではそのリスクがなく、金融機関も融資を実行しやすいです。

このため、スムーズな借入れによって資金繰りを安定させるためにも、セーフティネット保証4号を選ぶべきです。

売上高の減少が軽微な場合

セーフティネット保証の要件となる売上高の減少は、4号・5号ともに3ヶ月間の減少率を満たす必要があります。

ただし4号の場合、これに加えて最近の1ヶ月の売上高の減少も満たさなければなりません。

このため、新型コロナウイルスの影響と、今後3ヶ月の売上高減少が明らかであっても、最近1ヶ月の売上高減少率が前年同月比20%未満であるならば、セーフティネット保証4号の対象外となります。

このような場合には、最近の1ヶ月の売上高減少が要件となっていないセーフティネット保証5号を検討しましょう。

CFイエロー
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5号は、売上高減少率の要件が5%以上であり、ハードルが低いこともメリットよ。

業種による使い分け

このほか、自社が属する業種によって選ぶ方法も考えられます。

観光業など、新型コロナウイルスの影響で売上が大きく下がる業種では、売上高減少率20%以上の要件も満たしやすいため、まずは100%保証の4号を検討するのが良いでしょう。

一方、業種によっては、新型コロナウイルスの影響による売上高の減少は比較的軽微であるものの、コスト負担が増大が深刻になる場合があります。

例えば、製造業などでは、売上はそれほど減少していなくとも、材料の仕入れ価格が上昇したことで利益率が下がり、資金繰りを圧迫されるケースがあります。

コスト負担の増大が深刻である場合、これを要件としているセーフティネット保証5号が適用されやすくなるため、こちらを検討するのがおすすめです。

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まとめ

新型コロナウイルスの影響によって、資金繰りを圧迫されている中小企業は多いと思います。

しかし、影響の程度や内容は様々であり、自社に適している制度も変わってくるため、セーフティネット保証を活用する際には4号と5号のいずれを利用するか、じっくり検討する必要があります。

CF戦隊
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4号と5号の違いをよく理解して、メリットの大きいものを選ぶようにしよう。セーフティネット保証についての相談は以下から可能です!

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