助成金の活用を加速するためには、生産性の向上が欠かせません。
助成金の多くでは、生産性要件を満たした場合に助成金の加算を行っているため、生産性を向上させた会社ではより多くの助成金を受給し、メリットを高めていくことができるのです。
しかし、生産性を向上させるとはいっても、具体的にどのように取り組めばよいかわからない会社も多いと思います。
そこで本稿では、生産性向上に大きな影響を与える労働能率の改善について、トヨタ方式を参考にしながら解説していきます。
助成金と生産性の関係
助成金制度を活用すべき大きな理由の一つは、会社が人材不足その他の問題に対処していくにあたって必要となるコストを、助成金の受給によって軽減するためです。
助成金を受給すれば、取り組みに要した費用の一部、場合によっては全額をまかなうことができ、取り組みは容易になります。
もちろん、受給した助成金をさらなる取り組みに再投資していけば、好循環を加速させることも可能です。
このように考えると、当然ながら受給する金額は多ければ多いほどメリットが高まります。
助成金の中には、取り組みの内容によって受給できる金額が異なったり、助成金の加算を受けられたりするものが多いため、できるだけ受給額を伸ばすことを考えるべきです。
そこで重要となるのが、生産性を高めることです。
助成金の多くでは、生産性要件を満たすことによって、助成金の加算が受けられます。
例えば、キャリアアップ助成金の正社員化コースでは、有期契約から正規雇用へ転換した場合の基本的な支給額を57万円としています。
さらに、生産性要件を満たしている会社への支給額は72万円へと増額されます。
正社員化コースの生産性要件は、助成金の支給を申請する時点の直近の会計年度の生産性と、その3年度前の生産性を比較したとき、生産性が6%以上伸びていることが要件となります。
つまり、生産性向上を目指して取り組み続けてきた会社では、助成金を利用した際に生産性要件を満たしていることが認められ、より多くの助成金を受給できるのです。

※追加助成を受給するための生産性要件について、詳しくはこちら

労働能率の改善が欠かせない
生産性は、インプットに対して、どれだけのアウトプットが得られたかを示すものです。
つまり、会社が投じたコストに対して、どれだけのリターンが得られたか、別の言い方をすればどれくらい効率よく稼いでいるかを示します。
このため、生産性の高い会社はお金の使い方もうまいとも言えます。
銀行が融資先の会社を分析するとき、生産性を気にするものですが、これはお金の使い方がうまい会社に融資すれば、貸し倒れのリスクも低いと考えるためです。
生産性は、
生産性=付加価値(営業利益+人件費+減価償却費+動産・不動産賃借料+租税公課)÷雇用保険被保険者数
という計算によって算出します。
生産性の計算式の分母の数値が高まると、生産性は低下します。
分母は雇用保険被保険者数、つまり常時雇用する従業員の数ですから、従業員の数が多いものの、付加価値が低い会社では生産性が低くなります。
したがって、生産性を高めるためには、
- 雇用保険被保険者数が減り、付加価値が変わらない
- 雇用保険被保険者数が変わらず、付加価値が高まる
- 雇用保険被保険者数が増え、付加価値も高まる
のいずれかに取り組んでいく必要があります。
そこで欠かせないのが、労働能率を改善することです。
労働能率とは、一定の単位時間に同一量の労働を投下して生産し得る生産物の量の程度を意味する言葉です。
つまり、
「一定の時間と労働力が、どれくらいの付加価値を生み出しているか」
ということですから、生産性にも直接的な影響を与えます。
労働能率を改善すれば、生産性も向上していくのが普通です。
例えば、工場を毎日24時間稼働させるために、100の労働を投入し、生産量は100であったとします。
このとき、
- 投入する労働を90に減らし、生産量は100である
- 投入する労働は100であり、生産量は110に増える
といった成果が得られれば、労働能率は改善したと言えます。
そのような成果を目指して労働能率を改善していくことは、生産性を高め、助成金の加算を受けるためにも欠かせない取り組みです。

労働能率を上げるためには?
しかし、労働能率を改善することで、生産性も向上するとはいえ、具体的にはどのように取り組めばよいか分からない会社も多いと思います。
労働能率を改善すると聞くと、
- 機械設備を古いものから最新のものに変え、生産スピードをアップする
などと考える人も多いのですが、設備投資にかかるコストは大きく、効果の薄い投資をしてしまうと、コストに見合う成果が得られない可能性が高いです。
また、一般的に中小企業の財務は脆弱です。
もし、設備投資が労働能率改善の唯一の方法であれば、諦めざるを得ない会社も出てくるでしょう。
しかし、労働能率は様々な方法によって改善することができます。
設備投資のようにコストをかけずとも、コストをそれほどかけずに労働能率を改善する方法もあれば、コストをカットしながら労働能率を改善する方法もあります。
財務的に厳しい中小企業ほど、様々な方法を検討してみるべきです。
そのために参考となる具体的な取り組みが、トヨタ方式です。
日本一の企業であるトヨタは、常に労働能率の改善を目指して取り組んでいます。
さらに、その取り組みの多くは「小さな無駄を省くこと」であり、中小企業でも参考にできるものがたくさんあります。
小さなひとつの無駄を省くことによって、労働能率が劇的に改善されるわけではありません。
しかし、小さな無駄をいくつも省いていけば、やがてその効果は積もり積もって、労働能率・生産性を大きく高める結果へとつながります。
トヨタ方式では、省くべき無駄を
- 加工の無駄
- 在庫の無駄
- 作りすぎの無駄
- 手待ちの無駄
- 動作の無駄
- 運搬の無駄
- 不良・手直しの無駄
の7種類に分類しています。
それらを知ることで、労働能率を改善するヒントが得られます。


加工の無駄
加工の過程では、様々な無駄が含まれているものです。
トヨタは製造業ですから、
- 機械加工
- 溶接作業
- 仕上げ作業
- 検査作業
など、加工の過程で生じる無駄を削減していきます。
例えば、本来ならば10の状態へと加工すればよい過程で、11の状態へと加工しているならば、1の無駄が生じています。
その1を加えることで、相応の付加価値が得られるならば、それは無駄とは言えません。
しかし、相応の付加価値が得られないのであれば、削減すべき無駄と言えるでしょう。
あんばいが難しいのは、加工の過程で行われる検査は、後述する不良・手直しの無駄を省くためにも欠かせません。
しかし、必要以上の検査は加工の無駄であり、そのために要する時間や人件費は削減すべきです。
製造業では、複数の工程を経て製品を作り上げていくのですから、各工程で少しずつ加工の無駄が生じていれば、生産全体で多くの無駄になります。
労働能率改善のために
加工の無駄を削減するポイントとなるのが、作業を標準化しておくことです。
標準が定まっていない状態では、必要のない作業や必要以上の作業が発生してしまいます。
作業が標準化されていれば、このような無駄が生じにくくなり、労働能率が高まります。
また、作業が標準化されている会社でも、その標準が無駄を含んでいるならば改善の必要があります。
特に、歴史の長い会社では、従来のやり方を守り続けた結果、多くの無駄が発生していることも多いです。
長く続けてきた方法に変化を加えることに、抵抗を感じるかもしれません。
それでも、従来のやり方を見直し、本当に必要な作業であるかどうかを検討していき、標準における無駄を省くことが欠かせません。

在庫の無駄
在庫の無駄とは、
- 材料
- 部品
- 仕掛品
- 完成品
などの在庫を必要以上に抱えていることです。
その理由として、
「突発的に大きな案件を受注することがあるかもしれない。だから、常に在庫は多めに抱えている」
と考えている会社も多いのですが、そのために多くの無駄が生じているのです。
在庫は、そこに存在する理由が必要です。
なぜそこにあるのかを説明できない在庫は無駄ですし、説明できたとしても「万が一の備え」として多くの在庫を抱えているならば、起こらない可能性が高いことに備えているのですから、やはり無駄であると言えます。
過剰な在庫を抱えるためには、過剰な仕入れコストがかかっており、在庫がお金に変わるまでの期間も長期化し、資金繰りの負担になります。
多くの在庫を抱えていることで、在庫を保管するために多くのスペースが必要になったり、在庫の管理が徹底されなかったりします。
材料の保管場所と製造現場の距離が長くなったりすれば、後述する動作の無駄や運搬の無駄、不良・手直しの無駄などにもつながります。
さらに、鮮度の問題も出てきます。
材料や製品が劣化してしまい、顧客の満足度を低下させる恐れがあるのです。
材料の劣化を防ぐために、材料の品質管理が複雑になったり、劣化の程度について検査が必要となったり、加工の無駄も生まれます。
在庫といえば、資金繰りへの悪影響を問題視することが多いのですが、労働能率にも様々な悪影響を与えているのです。
労働能率改善のために
在庫の無駄を省くためには、あくまでも必要な在庫だけを確保することが重要です。
突発的な事態に陥った場合に備えるならば、無駄な在庫を常に抱えるのではなく、突発的な事態に対応できるよう、仕入れルートを確保しておくことで対応したほうが賢明です。
このことは、以下に解説する「作りすぎの無駄」と合わせて取り組むべきです。
作りすぎを防げば、確保すべき在庫も減らすことができ、在庫の無駄を省くことができます。


作りすぎの無駄
作りすぎの無駄とは、売れるスピードで作っていないことによって生じる無駄です。
トヨタ方式では、7つの無駄の中でも、作りすぎを最も悪い無駄としています。
売れる以上に作るということは、会社にお金が入ってこないものを作っているのですから、これによって無駄な在庫を抱えることになりますし、製造のための加工や運搬でも無駄が生じます。
売れるまでの期間が長くなれば、不良・手直しの無駄も生まれます。
このように、作りすぎるということは、多くの無駄につながるのです。
トヨタの場合には、売れる以上に車を製造してしまうと、完成した車をヤードに長く置いておくことになります。
売れない期間が長期化するほど、塗装が日に焼けたり、タイヤが変形したり、色々な劣化も起こってきます。
だからこそ、売れるスピードで作り、作りすぎの無駄を省くことが重要です。
労働能率改善のために
作りすぎの無駄を省くためには、過去の販売実績から、月ごと・季節ごとに売れるスピードを分析し、それに応じて作ることが大切です。
分析が正しければ、作りすぎの無駄を省くことができます。
また、できるだけロットを小さくする工夫も効果的です。
例えば、AとBの二つの工程で製造しているとして、工程Aで10の製造に1時間かかるとします。
2時間かけて製造し、20溜まってから工程Bに流し、工程Bの完了に2時間かかるとすれば、製品が完成するまでに4時間を要します。
そして、1ロットで確保すべき材料は20相当となります。
そこで、ロットを小さくして、工程Aで10溜まってから工程Bへ流せば、製品が完成するまでに要する時間は2時間となり、1ロットで確保すべき材料は10相当となります。
このように、ロットを小さくすることを意識すれば、生産量を微調整しながら作りすぎの無駄を省くことができ、無駄な在庫を抱えることも少なくなります。
これまで、作りすぎの無駄を見逃してきた会社では、作りすぎの無駄を省くことによって、本稿で紹介する多くの無駄を省くことができます。
もちろん、作りすぎによって、必要以上に多くの労働力を確保してきた会社では、確保すべき労働力が減り、人材不足の解消にもつながります。

手待ちの無駄
手待ちの無駄とは、作業することがなく、手待ち状態になっていることです。
手待ちは付加価値を生まないため、労働能率を悪化させ、生産性を下げる原因になります。
手待ちの状態は、作業に対して必要以上の労働力を投入していることから生まれます。
100生産できる人材を、80生産すべき作業に従事させれば、20の手待ちが発生するのです。
また、段取りの悪さから手待ち状態になることもあります。
例えば、製品Aの製造から、製品Bの製造へと切り替える時、機械の設定を変更したり、型を入れ替えたり、調整したりする必要があり、その間は作業できずに手待ち状態になることもあります。
労働能率改善のために
手待ちが発生しないためには、従業員の能力やチームワームを見極め、それぞれの現場に適切な人材と、必要な人数を見極めて配置することが重要です。
ただし、手待ちの無駄を省くことは簡単ではありません。
なぜならば、作業する人が作業スピードを調整すれば、手待ちの無駄が隠れてしまうからです。
手待ちの無駄を顕在化するには、具体的な数値目標を与えるのが効果的です。
具体的な目標がなければ、1時間で100生産できる人材が、作業スピードを緩めて1時間に80しか生産しないことも起こり得ます。
また、労働能率が少々下がっても間に合わせることができ、問題が見えなくなることもあります。
具体的な数値目標を与え、作業スピードを作業者自身の裁量で緩められないようにすれば、手待ちを隠すことは難しくなります。
また、問題があれば目標を下回りますから、目標がすぐに顕在化し、改善すべき点を見つけるのにも役立ちます。
段取りの悪さによって生まれる手待ちを防ぐには、段取りを工夫することが重要です。
例えばトヨタでは、製造物が変わる際の機械の設定や型の変更を「段替え」と呼んでいますが、ある時期のトヨタでは、32個の型を全て取り出して次の型を組む必要があり、段替えに1時間半かかっていました。
しかし、全て取り出して組むのではなく、必要なものだけを抜き出して型を組む方式に変更するなどの改善を2年間にわたって続けた結果、段替えに必要な時間を9分に縮めたといいます。
トヨタほどではなくとも、工夫の積み重ねによって手待ちの無駄を大幅に削減できるのですから、色々な工夫を検討してみるべきです。

動作の無駄
動作の無駄とは、労働能率を低下させる、動作上の無駄のことです。
これは、省くべき小さな無駄の最たるものです。
なぜならば、動作の無駄は見逃されることが多く、その気になれば多くの無駄を見つけることができ、労働能率の改善につなげやすいからです。
作業における動作には、探す、しゃがむ、持ち替える、調べるといった様々な動作があり、その中には付加価値を生まない無駄な動作も多いものです。
動作の無駄の原因として、わかりやすいのが整理整頓ができていないことです。
整理整頓ができていない現場では、必要な道具や材料などを探すのに時間がかかり、無駄な動作が生まれます。
ほかにも、高い場所から取るために台にのぼる、低い場所から取るために頻繁にしゃがむなどの動作があれば、それも無駄な動作です。
データにおいても、整理整頓ができていなければ、調べる作業に時間がかかってしまい、無駄な動作になってしまいます。
もちろん、必要な道具や材料を探したり、データを調べたりしている間、それを待っている作業者が手待ち状態になってしまうこともあります。
このように、付加価値を生まない無駄な動作が、積もり積もって多くの無駄になるのです。
労働能率改善のために
動作の無駄を省くために、まず検討すべきは整理整頓です。整理整頓された現場では、色々な動作の無駄がなくなり、労働能率は高まります。
すでに整理整頓されている現場でも、日ごろから動作の無駄に気を付けておくことが大切です。
例えば、材料を床に置いて製造しており、度々しゃがんだり、そこを通る別の作業員がよけたりしているとします。
材料を置く台を設けることによって、しゃがむ動作はなくなりますし、別の作業員もよけやすくなり、労働能率は高まります。
このように、動作の無駄を省くことを常に意識することが大切です。
絶えず動作の無駄を省いてきたトヨタでさえ、今も動作の無駄をチェックし続けています。
その姿勢は徹底しており、例えば現場の床にボルトが一個落ちているだけでも、それを徹底的になくそうとします。
ボルトが床に落ちていると、それを踏んだ人がすべって転び、ケガをするかもしれません。
ケガをしないとしても、転んで立ち上がるという動作は付加価値を生みません。
また、落ちているボルトを避けて通るために、本来2歩で歩けるものが3歩かかるかもしれません。
たった1歩の違いでも、この動作の無駄が多くの作業者がやっていれば、やがて大きな無駄になります。
落ちているボルトに注意しない現場では、ボルトが複数落ちている状況になりやすく、動作の無駄がどんどん増えていきます。
たった一つのボルトといえども、全く落ちていない現場とそうでない現場では、労働能率に大きな差が表れるのです。


運搬の無駄
運搬の無駄とは、必要以上にモノを移動、仮置き、積み替えなどする無駄のことです。
これは、簡単に理解できるものですが、意識しなければそれが当たり前に感じられ、気づきにくい無駄でもあります。
例えば、ある製品を製造するために異なる複数の材料を必要とする現場で、最も頻繁に使う材料の保管場所が製造現場から遠いとします。
それほど使わない材料の保管場所が近いならば、頻繁に使う材料の運搬で多くの無駄が生じます。
また、上記のボルトの例は、動作の無駄であると同時に、運搬の無駄であるとも言えます。
製造に必要なボルトだけを現場に移動させていれば、必要のないボルトが持ち込まれることはなく、ボルトが落ちたまま放置されることはないはずです。
必要以上のボルトを移動させたからこそ、ボルトが落ちたままの状態が生まれ、ボルトを避ける無駄な動作につながった可能性が高いのです。
頻繁に使う材料の保管場所が遠いケースを考えても、移動距離が長いことで運搬の無駄が生じるだけではなく、
「運搬が無駄だから、一度でたくさん運んでおこう」
という考え方につながり、それが動作の無駄の原因になることがあります。
このように、運搬の無駄から他の無駄が生まれることも多いため、労働能率改善のためにも是非削減していきたいものです。
労働能率改善のために
運搬の無駄は、多くの場合、工程のバランスが崩れていたり、モノの流れが決まっていなかったり、様々な理由から運搬の無駄が生まれます。
運搬の無駄を見つけ、省いていくためには、全体のバランスや流れを広く見ていくことが大切です。
移動を減らすためにロットの単位を変えてみる、保管場所を改善してみるなど、色々な工夫ができることでしょう。

不良・手直しの無駄
最後に、不良・手直しの無駄です。
これは、不良品を廃棄、手直し、作り直しする無駄です。
不良品が出てしまえば、売れるはずのものが売れなくなるのですから、生産性の低下につながります。
もちろん、それを製造するための加工や運搬は無駄となり、不良品に変わった在庫も無駄だったことになります。
労働能率改善のために
不良品は、管理の不備や甘さ、標準作業の不徹底などによって生まれます。
そこで、管理の体制を見直すことによって、無駄を省くことができます。
不良品が生まれる原因を特定すれば、その部分で管理を強化することで、不良品を減らすことができます。
例えば、A~Eの5つの工程のうち、工程Cに原因が潜んでいたと分かれば、工程Cから工程Dの間で検査を実施する。
すでに検査していても二重のチェックを実施する、検査の担当者を一定時間ごとに変更するなどの対策が考えられます。
これによって、工程Cでエラーを検知することができれば、不良品が工程D、Eに流れなくなり、加工や運搬の無駄が発生することも減ります。
もちろん、不良品の原因は工程だけとは限りません。
例えば、使用する材料に問題があるケースも考えられます。
その場合には、在庫の無駄を省いて材料の鮮度を高めるのはもちろんのこと、材料の品質管理を見直すことも重要です。

労働能率を高めて助成金活用も加速
以上のように、トヨタ方式を参考にすれば、企業の規模や業種に関係なく、労働能率を高めるヒントが得られます。
特に、中小の製造業者では、すぐに活用できることも多いはずです。
一つ一つの取り組みは小さなものかもしれませんが、小さな積み重ねがやがて大きな効果をもたらします。
小さな無駄を省き、労働能率の改善に努めていけば、3年で6%の生産性向上は十分に可能です。
政府が働き方改革を推進している今、助成金制度を必要性は高まっています。
当サイトを参考に、これから助成金をどしどし活用していきたいと考えている会社も多いことでしょう。
例えば、無期転換ルールというものがあります。
2013年に改正労働契約法が施行されたことで、有期労働契約が5年にわたって反復更新された労働者は、無期雇用への転換を申請でき、会社はこれを受け入れることが義務づけられました。
このため、これまで有期契約で労働者を確保してきた会社でも、今後は無期雇用に転換することが増えていき、正社員化コースを活用する機会も増えていくはずです。
正社員化コースでは、有期契約から無期雇用に転換した場合に、1人当たり28.5万円の助成金を支給しています。
1年度1事業所当たりの支給申請上限人数は20人であり、この枠を全て無期転換に使えば、570万円を受給できます。
このとき、労働能率の改善に励み、生産性要件を満たしている会社では、1人当たりの支給額が36万円に増額されるため、支給申請上限を全て無期雇用転換に使った場合の総受給額は720万円に増額されます。
このほかにも、助成金の多くで生産性要件による増額が受けられます。
労働能率の改善に取り組んだ会社では、助成金を活用すればするほど、多くの増額を受けることができ、助成金のメリットを飛躍的に高めていくことができます。


まとめ
助成金を利用し、基本支給額は受給したものの、生産性が変わっていない会社では、十分な効果が得られにくいです。
助成金による財務メリットは得られても、助成金を通して強い会社へと変わっていくことは難しいのです。
労働能率を改善し、生産性を高めていけば、助成金による財務メリットは高まり、生産性の高い強い会社へと成長していくことができます。
もちろん、人材不足の解消にも大きな効果が期待できます。
日ごろから労働能率の改善を心掛け、小さな無駄を省いていきましょう。
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