雇用調整助成金の申請が簡素化へ。小規模事業者の申請がとても簡単になった!

5月19日、雇用調整助成金の申請の簡素化が発表されました。

以前から雇用調整助成金では、申請に伴う資料作成が難しいとされていました。

このため、雇用調整助成金を使いたくても使えない人や、申請したものの不備があって使えない人などが少なくありませんでした。

これを受けて、厚生労働省は雇用調整助成金の申請簡素化に踏み切り、短期間で簡素化を実現しました。

特に、小規模事業者の申請が大幅に簡素化されており、誰でも簡単に申請できるようになりました。

本稿では、この簡素化によって変わった点と、どれほど簡単になったのかを解説します。

雇用調整助成金の申請が簡素化へ

5月19日、政府は、雇用調整助成金の申請を簡素化することを発表しました。

助成金には、雇用調整助成金以外にも様々なものがあります。

働き方改革によって拡充された助成金もあり、中小企業にとって助成金が身近な存在になりつつありますが、それでも助成金を利用したことのない中小企業は非常に多いものです。

今回、新型コロナウイルスの影響によって、雇用調整助成金をはじめとする助成金を初めて真剣に検討した中小企業も多いことと思います。

しかし、これまで助成金が身近な存在ではなかっただけに、いざ助成金を申請するとなると、複雑に感じられてなかなか申請に踏み出せない経営者も少なくありません。

特に、雇用調整助成金は、助成金の中でも歴史が古く、長い歴史の中で不正受給防止の仕組みを作り上げてきました。

このため、求められる要件が複雑であり、申請書に記載する内容も入り組んでいることから、申請書類の作成のハードルが非常に高いものとなっていました。

中でも、小規模事業者は普段から社労士などの専門家とも付き合いが少なく、助成金の相談相手がいない人も多いです。

さらに、忙しいため自分で申請に関する知識をつける、試行錯誤しながら申請するといった余裕もなく、いつまでも申請が進まないケースが珍しくありません。

今回の申請簡素化では、このような小規模事業者の状況を踏まえて、小規模事業者の申請がより簡単になるように工夫されています。

これまで、申請を先延ばしにしてしまっていた小規模事業者は、ぜひもう一度チャレンジしてみるべきね。

小規模事業者の定義

なお、小規模事業者の定義について、厚生労働省が公表したマニュアルでは、

従業員が概ね20人以下

としています。

ここにある「従業員」とは、

  • 2ヶ月を超えて雇用した従業員
  • 2ヶ月を超えてしていないものの、雇用期間の定めのない従業員
  • 2ヶ月を超えてしていないものの、2ヶ月を超える雇用期間を定めて雇用した従業員

のいずれかであり、なおかつ「所定労働時間が他の従業員と同程度」の従業員を指します。

例えば、「2ヶ月以上雇用しているものの、所定労働時間が他の従業員の半分である」といった、定義に含まれない従業員は数える必要はありません。

具体的には、定義に含まれない従業員が10人、定義に含まれる従業員が20人の会社では、「従業員が30人」と数えるのではなく、「従業員が概ね20人」と数えることとなり、小規模事業者と見なされます。

短時間のアルバイトを多く雇っている会社などであれば、小規模事業者の自覚がないこともあります。

しかし、実際にはこの定義に含まれ、小規模事業者向けの申請簡素化を利用できるかもしれません。

まずは、この定義に沿って従業員を数え、小規模事業者に該当するかどうかを確認することが大切だな。

「概ね」の詳細は不明

また、定義には「概ね」というアバウトな表現が含まれています。

厚生労働省のマニュアルでは、これについて特に説明がなく、詳細は不明です。

「概ね」という表現の通り解釈すれば、「従業員が20人よりやや多い」といった会社でも、小規模事業者と見なされる可能性があります。

とはいえ、何人の超過を許容範囲とするのか不明であり、従業員が21人、22人といった会社は戸惑うことでしょう。

この点については、専用の窓口に問い合わせて確認することをおすすめします。

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小規模事業者の申請はどう変わる?

さて、小規模事業者の申請はどのように簡素化されたのでしょうか。

整理しながら見ていきましょう。

受給額の算定方法

簡素化の最大のポイントは、助成金の受給額の算定方法が大きく変わったことです。

従来の雇用調整助成金では、「平均賃金額」に基づいて受給額を算定する必要がありました。

平均賃金額は、

平均賃金額=前年度の賃金総額÷(前年度の1か月平均雇用保険者被保険者数×前年度の年間所定労働日数)

で算定します。

算定においては、従業員の増減や入れ替わり、従業員ごとの労働日数・労働時間・給与の違いなども考慮しつつ、正確に計算する必要があります。

働き方や賃金が異なる従業員が多ければ多いほど、計算は複雑になります。

また、計算の根拠を示す資料も提出し、その情報と算定した平均賃金額が一致する必要があります。

このため、平均賃金額の算定でつまずいてしまう小規模事業者も多かったんだ。

しかし、今回の簡素化によって、小規模事業者は「実際に支払った休業手当の額」によって算定できるようになりました。

「複雑な計算をもとに算定した平均賃金額」ではなく、「実際に支給した休業手当の額」からダイレクトに計算できるようになったため、申請が非常に簡単になったのです。

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これだけ簡単になった!

では、どれくらい簡単になったのかを具体例で見てみましょう。

ここでは、月間の所定労働日数が20日間のうち、10日間を出勤、10日間を休業とした従業員で考えてみます。

この従業員の基本給が30万円であれば、1日当たりの給与は1万5000円、休業による欠勤控除は15万円となります。

労働基準法では、欠勤控除の6割を休業手当として支給することを義務付けているため、最低でも9万円の支給義務があります。

簡素化された受給額の算定式は、

受給額=実際に支払った休業手当の額×助成率

です。

もし、6割の休業手当を支給した場合には、

受給額=9万円×助成率

という計算だけで簡単に算定できます。

また、助成率も簡単にわかるよう工夫されています。

簡素化に伴って公表されたマニュアルでは、5つの質問に「はい」か「いいえ」で答えることで、受給額算定に用いる助成率を8パターンから特定できるようになっています。

各従業員に実際に支給した休業手当の額と出勤簿の情報から休業実績一覧表を作成でき、従来に比べてかなり簡素化されていることが分かります。

このほか、給与明細の写しなど休業手当の支給額が確定した書類があれば、賃金支給日の前でも申請可能としています。

このような柔軟な対応は、従来の雇用調整助成金では絶対にありえなかったことです。

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休業協定書もいらなくなった

また、休業協定書を作成しなくてよくなったことも、大きなポイントです。

従来の申請では、会社と従業員が休業にあたって交わした休業協定書を提出する必要がありました。

休業協定書とは、休業の実施期間や休業日数(休業時間数)、休業対象者、休業手当の算定基準など、休業に関する情報を細かく記載したものです。

小規模事業者では、従業員が少ないこと、従業員と強い信頼関係にあることなどから、簡易的な取り決めによって休業したいと考えている場合も多いです。

しかし、協定書の内容に不備があれば、雇用調整助成金の申請は通らないため、休業協定書はしっかりと作り込む必要がありました。

もちろん、協定書を正しく作る知識がない場合がほとんどで、ここに難しさを感じていた必要も多いです。

しかし、簡素化されたことにより、休業協定書の作成が不要になったわ。

「休業実績一覧表」には、

事業主及び労働者代表は、この一覧表(休業実績一覧表)に記入した休業に関する内容が、事前に事業主と労働者代表との間で確約したものであることを確認しました。

と書かれた欄があり、そこに事業主と労働者代表が署名押印するだけで、休業協定が交わされていると見なし、休業協定書を不要としたのです。

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まとめ

今回の簡素化によって、小規模事業者は受給額を簡単に計算できるようになり、書類作成の負担が大幅に軽減されました。

厚生労働省が小規模事業者向けに公表した申請マニュアルをみれば、どれほど簡素化されたかがよくわかります。

従来の雇用調整助成金ガイドブックでは、申請マニュアルに15ページを割いており、全ページにわたって小さな文字の説明であふれ、理解しにくい説明も多々見られました。

申請書類作成の際には、細かい説明を読みながら一つずつ項目を埋めていかねばならず、すべての項目にミスなく記載することも困難でした。

しかし、簡素化後の小規模事業者向けのマニュアルはわずか6ページであり、最小限の説明が大きな文字でなされています。

分かりやすい説明に沿って進めていけば、誰でも申請できる仕組みになりました。厚生労働省の工夫に感心するばかりです。

申請に不安がある小規模事業者は、まずマニュアルを見てみましょう。

マニュアルを見るだけで、心理的な抵抗がかなり減るはずです。

小規模事業者向けマニュアル→https://www.mhlw.go.jp/content/11603000/000631526.pdf

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