障害者を長年雇用して負担が重くなってきた?ならば助成金の活用を

障害者雇用に取り組むとき、短期間で離職してしまう状況は好ましくありません。

くり返し雇用し、一から配慮していく必要があり、助成金の受給額も予定より小さくなってしまうため、会社の負担が増大するのです。

このため、障害者雇用では長期継続雇用を前提とすべきですが、この時に問題となるのが、加齢に伴う能力の低下です。

これに対応しながら継続雇用を支援する会社は、障害者職場定着支援コースによって助成金を受給することができます。

では、中高年障害者のために、どのような支援を実施していくべきなのでしょうか。

本稿では、加齢に伴う能力の低下、必要な配慮、受給できる助成金、助成金活用のポイントなどを解説していきます。

障害者の長期継続雇用の問題

一口に障害者雇用といっても、雇用する対象は

  • 身体障害者
  • 知的障害者
  • 精神障害者
  • 発達障害者
  • 難治性疾患を持つ人

など多岐にわたります。

また、その障害者が重度の障害を持っているかどうかによっても、会社が果たすべき配慮は大きく変わってきます。

このため、障害者雇用に取り組む会社では、自社で十分な配慮が可能だと判断できる障害者を、しっかりと選んで雇用していく必要があります。

会社の状況に応じて、負担の軽い障害者を選ぶといえば、障害者雇用に消極的だという批判もあると思います。

しかし、自社では十分な配慮ができない障害者を雇用してしまえば、雇用される障害者は十分な配慮を受けられず、結局離職してしまいます。

会社には負担だけが残り、新たに受け入れられる障害者の幅も狭まります。

社会全体への長期的な利益を考えれば、自社で対応できる障害者を選んで雇用し、しっかりと継続雇用に努めていくことは、至極まともな方針なのです。

しかし、自社で対応できる障害者を選んで雇用しても、雇用時の能力に対する配慮を永遠に続けられるわけではありません。

なぜならば、年齢を重ねることによって能力が低下するからです。

会社への負担を考慮して、雇用する障害者を選ぶことは、決して悪いことではないんだ。

加齢によって能力は低下する

障害者職業総合センターが、平成7年度から5年間にわたって実施した調査研究によれば、「加齢に伴う作業能力の低下が見られる障害者がいる(過去にいた)」とする事業所は28.6%であり、それ以外の71.4%のうち67.0%は「40歳以上の障害者の作業能力の低下は見られない」、残る3.8%は「40歳以上の障害者を雇ったことがない」という結果でした。

障害者雇用に取り組む会社では、雇用時の能力に基づく配慮、継続雇用での能力の変化に応じた配慮などを通して、長年にわたって雇用するうちに、働きやすい環境を整備していきます。

これにより、加齢による能力の低下が表面化しないことも多く、実際には能力が低下していても「能力の低下は見られない(表面化していない)」と回答しているケースも多分に含まれていることでしょう。

「加齢による能力の低下は見られない」とする回答が少数派であることから、年齢を重ねても大きな問題は生じない場合が多いように感じるかもしれません。

しかし、健常者でも加齢とともに能力が低下していくことが一般的であり、障害者でも能力の低下は避けられません。

実際に、普通に働ける年齢の上限を同じ職種で比較したデータでは、能力の低下が見られる障害者は健常者より5.4歳低くなっており、特に知的障害者では健常者より10.5歳低くなっています。

能力の低下が見られない障害者も健常者より1.1歳低く、それが精神障害者や脳性まひ、知的障害者である場合には、健常者より5歳低くなっています。

普通に働ける年齢の上限が同程度であれば、障害者でも(健常者と比較して)特に能力が低下するわけではないと言えるでしょう。

健常者より普通に働ける年齢の上限が低いということは、能力の低下を感じて雇用側が限界を感じている、あるいは障害者本人が能力の低下と限界を感じているのであって、能力が低下している証拠です。

このようなデータを以て長期継続雇用を甘く考えていると、実際に能力の低下が始まったときの対応に苦労する可能性があります。

健常者でも障害者でも、加齢による能力の低下は確実に起こるのですから、それに備えて環境を整備していくこと、一定以上の年齢になれば特に配慮を考えていく必要があります。

数年、数十年先を見据えて取り組むことは難しい。

しかし、長い期間で少しずつ取り組んでいけば、負担は確実に軽減されるだろう。

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具体的な配慮とは

障害者雇用に取り組む会社は、加齢に伴う能力低下の問題を考慮しても、できるだけ長期継続雇用を目指し、配慮していくべきです。

一定以上の規模の会社では、障害者の雇用義務があります。

雇用した障害者が離職すれば、雇用義務を満たすために新たに雇用する必要があり、前回雇用した障害者と異なる配慮が求められることも多いです。

継続雇用ができれば、障害者の離職に伴う採用活動、新たに採用した障害者への新たな配慮などによる負担を避けられます。

同じ障害者を雇用し続けるなかで、会社は同一の障害者に対してより良い配慮を考えていくことができ、会社の負担は軽減され、障害者の幸福にもつながります。

ただし、上記の通り、継続雇用の期間が長くなるほど、加齢に伴う能力の低下も出るため、配慮が難しくなるという問題もあります。

具体的な能力の低下には、作業の速度、持久力、機敏性、正確さ、仕事の変化への適応性などの低下などが挙げられます。

障害者職業総合センターの調査を受けた障害者自身も、

  • 目の機能が落ちてくる
  • 夜勤や残業などの無理がきかなくなる
  • 記憶力や理解力が落ちてくる
  • 足の機能が落ちてくる
  • 健康面に問題がでる

といった能力低下を感じています。

長期継続雇用により、中高年の障害者を雇用する会社では、

  • 出勤日数や休暇への配慮
  • 1日の労働時間の短縮
  • 作業環境の改善
  • 仕事内容の調整
  • 仕事量の調整
  • 指導員や補助者の配置

などの配慮が必要となります。

配慮にも色々だね。

適切な配慮に取り組んでいかなきゃいけないわ。

障害者職場定着支援コースの活用

これらの配慮に伴い、積極的に利用したいのが障害者雇用安定助成金の障害者職場定着支援コース(以下、障害者職場定着支援コース)です。

障害者職場定着支援コースでは、障害者の職場定着のために有効な措置を実施した会社に助成金を支給しています。

複数の措置が助成対象となっており、上記のような配慮のための措置によって助成金を受給できます。

例えば、

  • 出勤日数や休暇への配慮
  • 1日の労働時間の短縮

といった配慮では、「柔軟な時間管理・休暇取得」の措置によって助成金を受給できますし、

  • 指導員や補助者の配置

についても、「職場支援員の配置」措置によって助成金を受給できます。

※これらの配慮について、具体的な取り組みと助成内容はこちら

中高年障害者の継続雇用のために

上記のように、障害者職場定着支援コースに定められている措置の実施によって、中高年障害者の配慮でも助成金を受給できます。

しかし、全ての中高年障害者が、勤務時間・勤務日数・休暇・職場支援員の配置などによって、負担が十分に軽減されるとは限りません。

  • 作業環境の改善
  • 仕事内容の調整
  • 仕事量の調整

を求める声も多く、作業環境・仕事内容・仕事量などへの配慮も必要なのです。

このための具体的な措置の一つが、職務開発です。

職務開発とは、それぞれの障害者の能力に合わせた職務を与えるために、

  • 職務の洗い出し
  • 職務の切り出し・再構成
  • 職務の創出

などに取り組むことです。

これによって、中高年の障害者の能力低下に合わせて仕事内容や仕事量を調整することができます。

また、補助となる機器を導入し、従来の職務を継続できる場合には、作業環境の改善の効果的です。

※職務開発の考え方や方法について、詳しくはこちら

勤務時間や日数、休暇への配慮よりも、むしろ職務の調整が効果的な場合があるんだ。

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中高年障害者への配慮でもらえる助成金

上記のような、中高年障害者向けの措置を実施した会社は、障害者職場定着支援コースによって助成金を受給できます。

障害者職場定着支援コースにおける「中高年障害者の雇用継続支援」措置は、以下のような内容となっています。

助成額

受給できる金額は、取り組みの対象となる障害者1人当たり70万円(35万円×2期)です。

1期は6ヶ月であり、6ヶ月の支給対象期間ごとに35万円を、2回にわたって受給できるということです。

対象となる労働者

雇用継続支援の対象となる「中高年の障害者」は、

  • 措置の開始時点で満45歳以上である
  • 一般被保険者として、10年以上継続雇用されている

ことが条件となります。

対象となる措置

助成の対象となる措置は、

  • 職務開発を実施する
  • 職種を転換する
  • 作業環境を整備する

のいずれかです。

ただし、

  • 地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センター、就労移行支援事業所などの外部専門家の援助を受けて職務開発を実施すること
  • 外部専門家による援助の結果、従来の職務に従事できない業務があれば職種を転換すること
  • 外部専門家による援助の結果、必要と認められる支援機器や設備を導入し、作業環境を整備すること

などが要件となっています。

会社が独自に取り組む場合、十分な配慮が難しい場合も多く、そのような取り組みに助成金を支給しないために、あくまでも外部専門家の援助が基本となっています。

もっとも、中高年障害者への支援の経験が少ない会社も多いでしょうから、外部専門家の援助は渡りに船でしょう。

外部専門家の支援は基本的に無料で、相談も受けてくれる。

どんどん利用していこう。

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助成金を投資に回そう

職務開発や職種転換には手間がかかるでしょうが、コスト面での負担はそれほど大きくありません。これによって助成金を受給できるならば、財務メリットは大きいと言えます。

作業環境の整備に取り組み、それを助成金の受給によってカバーすることも検討してみると良いでしょう。

障害者の補助となる福祉用具には様々なものがあり、価格も数千円から数万円、数十万円まで幅広いです。

70万円もの助成金を受給すれば、45歳以上の中高年障害者1人分の必要な設備は、色々と整えることができます。

補助のための機器や設備を導入すれば、加齢による能力低下を補い、生産性の低下を軽減できます。

もちろん、導入した設備は、支援した障害者が退職した後、新たに雇用する障害者でも使えるものです。

障害者雇用と配慮、生産性の向上、経営への負担軽減に長期にわたって役立つのですから、受給した助成金を投資に回すことも考えてみるべきです。

なお、導入すべき機器や設備は、45歳以上の障害者を支援する段階になってから検討するのではなく、それ以前から積極的に検討していきましょう。

地方自治体や支援団体の取り組みの中には、障害者を雇用する会社向けに、様々な就労支援器を無料で貸し出す制度もあります。

このような制度を利用して、普段から効果的な設備を検討しておくと、助成金の投資もスムーズになります。

自社が営業している地域の支援機関のホームページを見ると、色々な情報が得られるわよ。

助成金の最大化にも役立つ

設備への投資は、障害者雇用に伴う助成金を高めることにも役立ちます。

障害者雇用によって受給できる助成金には色々なものがあり、その多くは雇用期間によって受給額が変わります。

例えば、特定求職者雇用開発助成金の特定就職困難者コースでは、障害者をはじめとする就職困難者の雇用によって、以下の助成金を受給できます。

対象労働者 支給額 助成対象期間 支給対象期ごとの支給額
短時間労働者以外の者 重度障害者等を除く身体・知的障害者 120万円 2年 30万円 × 4期
重度障害者等 240万円 3年 40万円 × 6期
短時間労働者 重度障害者等を含む身体・知的・精神障害者 80万円 2年 20万円 × 4期

45歳以上の障害者を支援することで助成金を受給し、作業環境の整備に投資すれば、新たに雇用する障害者も働きやすくなり、定着率が高まり、助成金の受給額も増えます。

また、上記の表における「重度障害者等」とは、重度の身体・知的障害者と、45歳以上の身体・知的障害者及び精神障害者を指しています。

このため、障害者職場定着支援コースで中高年障害者の雇用継続支援に取り組み、設備投資も実施している会社では、45歳以上の中高年障害者を雇用することで240万円の助成金を受給することも考えやすくなります。

さらに、その障害者を10年以上継続雇用し、その後雇用継続支援に取り組むことで再度70万円を受給し、さらなる環境整備に取り組むことも可能です。

中高年障害者の雇用は、一般的な障害者雇用よりも難しいところもありますが、45歳以上であれば重度身体・知的障害者に含まれない障害者も「重度障害者」に含まれる仕組みを利用して、助成金の受給額を高めていくこともできるのです。

もちろん、中高年障害者を雇用する負担をよく考えて、負担になりすぎる場合には重度障害者等を除く障害者を雇用して80~120万円の助成金を受給すべきでしょう。

しかし、それはある意味、「一般の障害者しか雇用できない体制である」と言えますし、障害者雇用の幅を限定しているとも言えます。

障害者雇用における助成金の活用を考えるにあたっては、助成金の再投資によって障害者雇用の幅を広げ、45歳以上の障害者の継続雇用や新規雇用が容易になるよう、工夫していくことも大切です。

助成金の再投資による環境整備は、一般の雇用でも、障害者雇用でも大切なことなのだ。

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まとめ

障害者雇用では、できるだけ長期にわたって雇用し続けることが大切です。

障害者を長く雇用することは社会貢献にもなりますし、配慮の組み立てやすさ、助成金の受給しやすさなどによって、会社の負担を軽減することにもつながります。

長期継続雇用を前提とすれば、雇用する障害者の加齢に伴う能力の低下も見越して配慮に取り組み、実際に45歳以上になった障害者には具体的な支援を実施しましょう。

CF戦隊
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これも、助成金を受給できる取り組みであり、将来的な会社の負担軽減につながるんだ!

 

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