雇用調整助成金で驚きの緩和が発表。これまでもらえなかった中小企業ももらえる可能性あり!

新型コロナウイルス拡大によって経営が厳しくなった会社を支援するために、政府は様々な支援策を打ち出しています。

中でも、雇用調整助成金の拡充・緩和措置が次々と打ち出されています。

これまでに発表された雇用調整助成金の拡充では、主に助成率の引き上げ、生産性指標の緩和、対象労働者の拡大などが行われてきました。

これに加えて先日、より多くの会社が雇用調整助成金を受給できるよう、さらなる緩和が発表されました

この緩和によって、これまで雇用調整助成金を受給できない立場にあった中小企業でも、受給できる可能性が高まっています。

本稿では、この緩和について詳しく解説していきます。

雇用調整助成金FAQの更新

新型コロナウイルスによって売上が急減し、資金繰りを圧迫される会社が増えています。

売上の改善が困難な状況で資金繰りを改善するためにも、多くの中小企業で経費削減が急務となっています。

中でも、休業によって労務コスト削減に取り組む会社を支援するために、政府は雇用調整助成金の拡充・緩和を進めています。

これまでにも、助成率の引き上げ、生産性指標などの要件の緩和、対象労働者の拡大などが実施されてきました。

雇用調整助成金に関して、厚生労働省が公開している資料の一つに「雇用調整助成金FAQ」があります。

これは、中小企業に雇用調整助成金の活用を促すために、中小企業経営者などから厚生労働省に寄せられた質問と回答をまとめた資料です。

雇用調整助成金が必要な会社が急増し、多くの質問が寄せられたことによって、4月27日現在、80以上の質問と回答が記載されています。

雇用調整助成金FAQは随時更新されています。4月27日の更新では、大幅な緩和措置につながる記載が加えられました。それは、問22の

「労働保険料の未納や労働関係法令違反で不支給要件に該当していますが、従業員の雇用維持のため雇用調整助成金を利用できませんか。」

の項目です。

普通ならば絶対に受給できない

このような質問に対し、平常時であれば「利用できません」と回答されます。

まず、労働保険料の納入は企業の義務であり、雇用調整助成金の財源は労働保険料です。

普段から義務を怠り、雇用調整助成金の財源確保に協力していない会社が雇用調整助成金を申請しても、利用できなくて当然です。

また、労働関係法令は、厚生労働省が企業に順守を義務付けている法律です。

最近では、労働者の保護を含む働き方改革が推進されてきたため、労働関係法令違反は重大な問題とみなされることが増えています。

実際に、違反した会社へ罰則規定なども整備が進められています。

このような流れの中で、労働関係法令に違反している会社が雇用調整助成金の支給を求めても、これまた拒否されて当然です。

受給できない中小企業は多い

以上のように、労働保険料や労働関係法令といった厚生労働省のルールを守らない会社が支援を求めても、平常時ならば拒否されます。

むしろ、ルールを守らない不良企業に雇用調整助成金を支給すれば、普段からきちんと労働保険料を納付し、労働関係法令も順守している真面目な会社は納得できないでしょう。

大きな不公平が生まれ、不満・批判が噴出するはずです。

意外な回答が

しかし、意外にも問22の回答は以下のようになっています。

今般の「緊急対応期間の特例」は、新型コロナウイルス感染症の拡大が見られる状況下において、雇用維持を最優先とした緊急時の対応であることから、労働保険料の未納や労働関係法令違反の不支給要件に該当していても、特例的に利用いただくことが可能です。

この記載を受けて、社労士などの専門家からも驚きの声があがっています。ここに書かれていることをやや誇張して解釈すれば、

「ルールを守っていない会社にも雇用調整助成金を支給します」

ということであり、普段ならば絶対的な「不給要件」とされていたものがひっくり返ったのです。

政府主導の緩和策

ルールを守らない会社を厚生労働省が支援することは、これまで運用してきたルールを破ることにほかならず、平常時ではとても考えられないことです。

たとえ新型コロナウイルスの影響があったとしても、厚生労働省が自ら仕組みを壊してしまうような緩和をすることはあり得ません。

ならば、なぜ今回のような方針が打ち出されたのでしょうか。

それは、おそらく政府の強い要請があったためだと考えられるよ。

雇用の維持は、労働者の保護にほかなりません。

そのためには、会社が労働者を解雇する事態をできるだけ避ける必要があります。

雇用調整助成金の目的はここにあります。

つまり、雇用調整助成金FAQの更新で明らかになった緩和策は、

  • ルールを守らない不良企業を支援する

ことが目的ではなく、

  • ルールを守らない不良企業でも、そこで働く労働者を保護するために支援する

ことが目的です。

ルールを守っていない会社に雇用調整助成金を支給すれば、会社間での不公平は生まれます。

しかし、ルール違反は経営者の罪であって、そこで働く労働者に罪はありません。

政府は、経営者の罪のために「保護される労働者と保護されない労働者」という不公平・連累が生じることを重く捉え、ルールを守らない会社でも雇用調整助成金を利用できるように緩和したのでしょう。

 

また、支援に求められているスピードも大きな理由と考えられます。

資金ショートの危機に陥っている中小企業も多い今、政府は労働者保護のために、雇用調整助成金をスピーディに支給することが求められています。

もし、平常時と同じように書類を求め、怪しい会社については厳しく審査する流れをとれば、支給までに多くの時間がかかります。

その間に、真面目にルールを守ってきた会社の資金繰りが破綻する恐れもあります。

そのような事態に陥らないためにも、政府は今回の特例に踏み切ったものと考えられます。

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社労士も支援しやすくなった

労働保険料や労働関係法令について知っていながら、経営が苦しいため、義務違反であることを知りつつ守っていない中小企業は少なくありません。

そのような会社の経営者は、資金繰りが苦しい今、雇用調整助成金を受給したいと考えていても、「どうせウチは受給できないだろう」と諦めていたことと思います。

中には、社労士に相談したうえで諦めている会社も多いでしょう。

ルール違反を犯している会社は、雇用調整助成金を受給するために必要となる書類を作成しておらず、たとえ作成していても要件を満たしていません。

このような会社が雇用調整助成金について相談しても、社労士は依頼を断ります。

これは、法定書類が整わない会社を支援して不正が発覚した場合、社労士は罰則を受ける可能性があるためです。

不正と見なされた場合の罰則は、会社が受給した助成金の債務を社労士が全て負うといった、非常に厳しい内容となっています。

 

新型コロナウイルスの影響により、社労士への雇用調整助成金関連の相談件数は急増しています。

それでも、厳しい罰則規定があることから、社労士は書類に不備がある会社の支援を断らざるを得ない状況でした。

このような状況を踏まえて、政府は4月30日、

「法定書類が整わない中小企業を社労士が支援し、不正が発覚した場合にも、故意でなければ罰則を課さない」

という特例措置を発表しました。

不給要件の緩和も後押しとなり、社労士はこれまで難しかった相談にも積極的に対応できるようになりました

社労士に支援を断られた経験がある会社では、「社労士にも断られたのだから、雇用調整助成金は受給できないに違いない」と考えているはずです。

しかし、社労士への罰則規定の緩和と不給要件の緩和が決定されたことにより、受給できる可能性があります。

ぜひ、もう一度社労士に相談してみることをおすすめする!

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どのような会社が対象か?

政府主導の緩和策によって、普段ならば絶対に雇用調整助成金を受給できない会社でも、受給できる可能性が高まっています。

では、具体的にはどのような会社が対象となるか、いくつか具体例を挙げてみたいと思います。

1.労働保険料を故意に支払っていなかった会社

まず、雇用調整助成金FAQにある通り、労働保険料を支払っていない会社でも受給できる可能性があります。

これまでの未納が故意である場合でも該当するのがポイントです。

通常、故意の未納は悪質であるとみなされ、雇用調整助成金に限らず様々な助成金や支援を受けられなくなります。

しかし、そのような会社でも、

  • 今後はきちんと労働保険料を支払うこと
  • 過去にさかのぼって納入すること

などを条件として、雇用調整助成金を受給できる可能性があります。

2.労働保険料に加入していたが、一部をごまかしていた

労働保険料に加入しているものの、ごまかすことで一部のみ納付してきた会社は、雇用調整助成金を受給することができません。

労働保険料の未納が全部であれ、一部であれ、未納はルール違反です。

1のように、労働保険料を全く支払ってこなかった会社でも、雇用調整助成金を受給できる可能性があるのですから、一部未納の会社でも同様です。

ただし、この場合にも、

  • 今後はきちんと労働保険料を支払うこと
  • 過去にさかのぼって、一部未納の労働保険料を支払うこと

などが条件となるでしょう。

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3.法定帳簿を作っていない会社

従業員を雇用しているすべての会社は、法定三帳簿を作成する必要があります。

法定三帳簿とは労働者名簿・賃金台帳・出勤簿の三つであり、法定三帳簿の整備を怠る、あるいは3年間の保存義務に違反した会社には30万円以下、最大90万円の罰金が科せられます。

これらの書類を作成していない会社は少なくありません。とりわけ、家族経営の会社では、従業員が身内であることから、作成を怠っている場合が多いです。

法定三帳簿の未整備はルール違反ですから、普通ならば雇用調整助成金を受給できません。

また、法定三帳簿は雇用に際して作成するものであるため、過去にさかのぼって作成したとしても、雇用調整助成金の受給は認められません。

しかしながら、今回の緩和によって、

  • 今後はきちんと法定三帳簿を作成すること
  • 過去にさかのぼって法定三帳簿を作成すること

などを条件として、特例的に受給できる可能性があります。

4.労働トラブルを抱えている会社

通常、労働者とのトラブルを抱えている会社では、雇用調整助成金を受給できない可能性が高いです。

なぜならば、労使間のトラブルは多くの場合、会社側が労働関係法令に違反することによって起こるものだからです。

したがって、労働関係法令に違反している会社は、雇用調整助成金を受給できません。

また、このような会社では、守るべき様々な法令のうちひとつだけ違反し、それが労働トラブルに発展しているケースは少ないものです。

ほとんどの場合、多くの違反を犯した結果、いくつかの違反が労働トラブルに発展しています。

このため、労働トラブルによって労働局の調査が入った会社では、調査の結果、多くの違反が表面化する可能性が高く、受給はさらに困難になります。

ただし、上記の通り、今回の特例は労働者保護が目的であり、労働トラブルとその原因は別問題です。

したがって、労働関係法令に違反し、労働トラブルを起こしている会社でも、労働者保護のために雇用調整助成金を受給できる可能性があります。

5.行政指導・是正勧告を受けている

様々なルール違反を犯した会社では、最悪の場合、行政指導や是正勧告を受けることになります。

当然ながら、ルール違反を犯しているのですから、平常時では雇用調整助成金を受給できる可能性はほとんどありません。

しかし、4と同じく、行政指導や是正勧告を受けるに至った会社の問題点と、労働者の保護は別問題です。

したがって、労働者保護のために雇用調整助成金を受給できる可能性があります。

注意点

もっとも、この緩和措置があるからといって、ルール違反を犯している会社が、簡単に雇用調整助成金を受給できるわけではありません。

問22の回答には、

ただし、一定の条件がありますので、まずは、管轄の労働局に御相談ください。

との記載もあります。

「一定の条件」について詳しい説明はありませんが、悪質な会社を取り締まるために含みを持たせているのでしょう。

何を以て「悪質」とするかの基準は明確ではありませんが、政府主導で雇用調整助成金のスピーディな支給を目指していること、通常ならば不正受給に当てはまるケースでも支給する可能性があることなどから、「一定の条件」とは、

  • 労働保険料を支払っていなかった会社→今後の確実な納付、過去の未納分の納付
  • 法定三帳簿を整備してこなかった会社→今後の確実な整備、過去分の整備
  • 労働関係法令違反によって労働トラブルを起こしている、またそれによって行政指導や是正勧告を受けている会社→今後の法令順守、改善

といった条件を指すものと考えられます。

このような条件付きで雇用調整助成金を支給した会社に対して、支給後にどのような対応をとっていくか、現時点では不明です。

しかし、条件付きで支給しているのですから、労働保険料の納付状況や労働関係法令違反の改善状況について、長期的に調査を受ける可能性があります

さらに、調査の結果、労働保険料の未納や労働関係法令の違反が発覚した場合には、受給した雇用調整助成金の返還を求められたり、罰金を科せられる可能性もあります。

平常時の不給要件に該当する会社が、条件付きで受給する場合には、特に注意が必要となるでしょう。

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まとめ

本稿で解説したように、平常時ならば雇用調整助成金を絶対に受給できなかった会社でも、特例的に受給できる可能性が出てきました。

もっとも、この緩和では「一定の条件」という含みを残しているため、必ず受給できるとは限りません。

しかし、雇用調整助成金は受給できないと諦めていた会社でも、受給できるかもしれないのですから、もう一度検討してみる価値があるでしょう。

平常時の不給要件を抱えており、自社だけでは分からないことも多いと思います。そのような会社では、まずは社労士への相談をおすすめします。

助成金

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