銀行から融資を受ける際には、返済期間や金利などの条件が設定されます。
返済期間は長ければ長いほど、金利は低ければ低いほど、資金繰りがラクになります。
中でも、金利には敏感な社長が多いです。
しかし、返済期間と金利は密接な関係にあり、返済期間は長く、金利は低いという好条件を引き出すことは簡単ではありません。
この関係を理解しておかなければ、銀行に対して無理な交渉を持ち掛け、ひんしゅくを買ってしまう危険性があります。
本稿で、返済期間と金利の関係をしっかり学び、金利交渉に役立ててください。
返済期間によって金利が変わる
金利の仕組みを学ぶにあたって、最初に押さえておきたいのが返済期間と金利の関係です。
銀行が設定している金利は、返済期間によって変動します。
なぜ、返済期間によって金利を変える必要があるのかと言えば、返済期間によって銀行の負う貸し倒れリスクが変わるからです。
返済期間と貸し倒れリスクの関係
条件が全く同じA社とB社があり、どちらの会社も業績・財務ともにほぼ同じ状態であるとします。
この時、両社に対して3000万円の融資を実行したとします。
ただし、A社には6か月間の短期融資、B社には3年の長期融資とします。
さて、貸し倒れリスクが低いのはA社とB社のどちらでしょうか。
まず、6か月後と3年後では、近い将来である6か月後のほうが、会社の状況をより正確に予測できます。
審査の時点で問題ないと判断されたA社は、過去から現在に至るまでの状態から「貸し倒れリスクが低い」と判断されているのですから、6か月以内に経営が急激に悪化し、貸し倒れに至る可能性は低いです。
B社の返済期間は3年間です。
審査の時点では、過去から現在に至るまでの状態から考えて、「貸し倒れリスクは低い」と判断できるかもしれません。
しかし、今後3年間にわたって、貸し倒れリスクが低い状態が続くとは限りません。
時代の流れや変化が加速度的に速くなっている昨今では、何の問題もないように見えた会社が、数年のうちに大幅な経営悪化に陥ることがあります。
外部環境に影響されやすい中小企業となれば、その可能性は否定できません。
これは、審査の時点で問題ないとはいえ、B社でも十分に考えられることです。

以上のことから、B社よりもA社のほうが、貸し倒れリスクが低いことが分かるな。
このように、返済期間が長ければ長いほど、銀行が負う貸し倒れリスクは高まります。

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金利によってリスクヘッジを図る
返済期間によって変化するリスクに対し、銀行は金利設定によってカバーする必要があります。
A社の金利は低めに
経営状態に問題がなく、短期融資であるため貸し倒れリスクの低いA社ならば、通常の金利設定で融資することができます。
銀行がA社との取引を拡大したい、総融資額を増やして利息収入を高めたいなどと考えていれば、多少金利を優遇することもあるでしょう。
B社の金利は高めに
一方、現時点では経営状態に問題がないとしても、B社に対しては長期融資による貸し倒れリスクを考慮しなければならないため、金利を高めに設定する必要があります。

金利を高めに設定すれば、銀行の利息収入は増えるわ。
もしB社が、返済期間中に貸し倒れに陥ったとしても、それまでの期間に得た利息によって損失を軽減することができます。
もちろん、高めの利息と言っても0.数%~1%くらいの上乗せですから、貸し倒れになれば、利息収入よりも損失額のほうがはるかに多くなります。
しかし、長期融資を実行する融資先に対して、総じて高めの金利に設定しておくことで、長期融資先のリスクを吸収できる仕組みになっているのです。
リスクによって金利が変わる
つまり、「返済期間によって金利が変わる」ということは、「リスクによって金利が変わる」ということでもあります。

この原則を知れば、不動産を担保にしたり、信用保証協会から保証を受けたりした場合に、金利が低くなる理由もわかるな。
返済期間が長くとも、保全が取れていれば銀行の貸し倒れリスクは低くなるため、金利によって損失をカバーする必要がなくなるのです。
※このほか、銀行の規模や営業エリアによって、リスクへの対応は異なります。詳しくはこちら



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金利が高くなる返済期間は1年を境に
では、どれくらいの返済期間ならば金利が高くなるのでしょうか。
これは、1年間を目安に考えます。

融資を返済期間によって区別するとき、短期融資・中期融資・長期融資と区別するんだ。
1年以内の融資ならば短期融資、1年超3年以内ならば中期融資、3年超ならば長期融資と考えます。
これらはそれぞれ、
もっとも、最近では短期融資・長期融資のみで考え、中期融資という考え方は一般的ではなくなりつつあります。
銀行は、融資のための資金を金融市場から調達しています。
金融市場では、1年以内の取引を行う市場を「短期金融市場」、1年超の取引を行う市場を「長期金融市場」といいます。
近年では、銀行の資金調達先が短期金融市場に集中するようになったことで、1年超の融資は全て長期融資に分類する考え方が主流になっています。
このため、皆さんが銀行と交渉する際にも、おそらく銀行は1年を境に短期融資と長期融資に分けて考え、金利条件も1年を境に変わります。

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基本的には「長期>短期」
上記の通り、銀行にとって短期融資は貸し倒れリスクが低く、長期融資は貸し倒れリスクが高くなります。
これにより、返済期間と金利の関係は、
「返済期間が1年超>返済期間が1年以内」(長期融資>短期融資)
となります。
この基本を知らなければ、無理な金利交渉をしてしまい、銀行員からひんしゅくを買うかもしれません。例えば、
などと交渉すれば、銀行はどう思うでしょうか。
おそらく、銀行側のリスクを考えてくれない、無理な要求をしてくる社長だと思われることでしょう。
このような交渉は、よほど好調な会社でなければ通用しません。

短期融資と長期融資の違いを銀行の立場から理解すれば、このような間違った交渉の危険はなくなるよ。
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まとめ
本稿によって、返済期間が銀行の負うリスクにどう影響するのか、それによって金利がどのように変化するのか、理解できたことと思います。
この基本を押さえて交渉を考えることで、自社の資金繰りの都合だけで交渉するという間違いも起こりにくくなります。
金利交渉は、本稿の内容だけでどうにかなるものではありません。

しかし、少なくともこの基本を知らずして交渉は不可能ですから、しっかり覚えておこう!
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