当サイトを見ている人の多くが、資金繰りに何らかの悩みを抱いており、銀行から融資を受けることが難しいと考えていると思います。
しかし、まともな経営をしていれば融資は受けられるものであり、銀行も融資することで利息収入を得たいと考えており、さらに昨今のゼロ金利政策の影響もあって、融資を受ける難易度は低くなっています。
銀行の考えを知り、銀行の求めに応えるように融資交渉をしていけば、融資を引き出すことは決して難しいことではありません。
資金調達の王道は銀行融資
当サイトでも紹介している通り、資金調達にはいろいろな方法があります。
不動産や有価証券といった資産を売却する、資産をリースバックする、売掛債権をファクタリングする、受取手形を割引する、出資を受ける、少人数私募債を発行する、親族や知人からお金を借りるなどなど、いろいろな方法があります。
しかし、いろいろな方法があるといっても、やはり王道は銀行融資だ。
資金調達方法の中でも、銀行融資は期待通りに資金繰りに役立つ可能性が最も高く、利便性にも優れています。
資金が必要になった場合、まずは銀行融資を真っ先に考えるべきであり、銀行融資が不可能になったときに他の調達方法を検討していくべきです。
ファクタリングについての記事はこちら
融資を受けるのは難しくない
さらに、いろいろな資金調達方法がある中で、銀行融資は比較的簡単な方法とも言えます。
融資を受けるのが簡単といえば多少の語弊があるかもしれませんが、きちんと経営しており、業績や財務に問題がなく、銀行との信頼関係にも問題がない、つまり「特に問題がない普通の会社」ならば、融資を受けることは難しくありません。
もちろん、中小企業のうち赤字の会社は70%近くありますし、なにかしら問題を抱えている会社のほうが多いことを考えると、融資を受けることが難しいもいえるかもしれません。
しかしそれは、「本来は合格するのが難しくない試験であるにもかかわらず、寝不足や準備不足といった問題を抱えているために落第した」というようなもので、この場合に試験そのものは難しくないのと同様に、銀行融資を受けること自体は難しくないのです。
もちろん、特に困難なく融資を受けるための準備や対策は必要となるよ。
無駄な節税をやめて利益をしっかり出す、計画的な資金繰りによって財務を安定させる、銀行が好意的に見てくれるような交渉をしていくなど、困難なく融資を受けるための働きがあって、はじめて困難なく融資を受けることができます。
銀行は貸したいと考えている
銀行のビジネスモデルを考えてみても、融資を受けることが本来は難しくないことだと分かります。
銀行の事業で、収益の柱になっているのは会社や個人への融資です。
銀行は預金などでお金を集め、それを会社や個人に融資し、元金とともに利息を回収することによって収益を得ています。
そのほかにも、金融商品を販売したり、送金や為替などの取引で手数料を得たりすることでも収益を得ていますが、やはりビジネスモデルの中心は融資なのです。
もし、融資よりもっと安全にたくさん儲かる仕組みがあれば、銀行は融資ではなくその方法で預金を運用し、大きな利益を得ようと考えるでしょう。
できるだけ融資にはお金を回したくないと考えるため、会社が融資を依頼しても、融資を受けることはかなり難しくなると思います。
しかし、実際には融資が事業の中心に据えられており、銀行はできるだけたくさん貸してたくさんの利息収入を得たいと思っているわ。
このように、銀行ができるだけ貸したいと思っていることも、融資を受けることが難しくないと言える理由です。
特に、最近は日銀のゼロ金利政策の影響を受け、銀行は融資に積極的になっています。
もちろん、貸し倒れになってしまっては、回収した利息収入を貸し倒れた元金が確実に上回るため、銀行は貸し倒れを何としても避ける必要があります。
だからこそ、しっかりと審査をして融資先を見極めているのですが、上記のように融資によって収益を得るビジネスモデルであること、政策の影響から融資に積極的になっていることから、銀行融資は決して難しくないと言えるのです。
それと比較すると、他の資金調達方法にはいろいろな難しさがあります。
資産の売却では、市場の状況によってはかなり不利な条件で売却してしまう可能性があり、その見極めは簡単ではありません。
ファクタリングも優秀な方法ではありますが、きちんと理解していなければかなり割高な手数料を支払うことになったり、悪質な業者にひっかかったりして、かえって資金繰りを圧迫する可能性があります。
リースバックや手形割引は比較的簡単ですが、それによって確実に必要な資金を調達できないこともあります。
その他、出資を受けることは非常に難しいものであり、少人数私募債も銀行融資に比べて手間がかかり、親族・知人などからの借入れは精神的なハードルが高いという難しさがあります。
これらに比べて、銀行融資のほうが簡単だということが納得できると思います。
銀行融資を引き出す準備とは?
では、それほど苦労することなく融資を受けるための準備とは、どのようなものなのでしょうか。
具体的なテクニックについては当サイトの他の記事を参考にしていただくとして、ここでは簡単にまとめておきます。
融資希望額を決める
まず、融資希望額を明確に決めておくことが大切です。
上記の通り、融資はできるだけ多く受けておいたほうがよいのですから、明確に必要額を決めることなく、銀行には「貸せるだけ貸してください」と言いたいところでしょう。
しかし、銀行が会社を審査する際には返済力の有無が最大のポイントとなります。
返済力を見極めるためには、融資を受けた資金をどのように使うか、また希望する融資額はいくらであるかを明確にしたうえで、その金額をしっかりと返済するだけの収益力や経営計画があるかどうかを見ていくことになります。
資金を必要としている理由と、その金額が必要である理由が明確であり、合理的であるということは、銀行に融資を依頼する際の大前提ともいえるものですから、しっかりと考えておく必要があります。
必要書類をそろえる
融資を受けるということは、銀行の審査を受けるということでもありますから、審査に必要となる書類をそろえる必要があります。
そのため、
- 決算書
- 資金繰り表
- 事業計画書
- 納税証明書
といった資料をそろえて提出します。
もちろん、必要書類を求められるままに提出するのではなく、見栄えの良い資料を作るように工夫したり、求められないものの融資の参考になる資料を積極的に提出したりすることも大切です。
見栄えの良い資料の作り方は、当サイトでいろいろな説明をしているので、そちらを参考にしてください。
求められないものの提出したほうが良い資料には、
- 資金需要の根拠と取引契約の写し
- 見積書
- 会社の事業内容を理解してもらうための会社案内や商品案内のパンフレット
などがあります。
担保・保証人
融資を実行するための条件として、担保や保証人を求められることがよくあります。
経営が安定しにくい中小企業では、担保や保証人をつけることで保全を図ることが多いのです。
もちろん、担保や保証人が絶対に必要というわけではないのですが、担保があるかどうかによって融資の出やすさはかなり変わりますし、経営者自身が保証人になることを求められるのが一般的です。
経営者自身が保証人になることができないとすれば、融資のハードルはかなり高くなってしまうんだ。
経営者自身が保証人になれない何らかの理由、例えば経営者が金融事故を起こしたことがあるとか、反社会勢力と関係があるとかの場合には、銀行は融資しないと判断する可能性が非常に高いのです。
融資を提案される状況を作ろう
融資希望額を明らかにし、必要書類をそろえ、担保や保証人にも問題がなければ、融資を申し込む条件はそろったと言えます。
これは、あくまでも会社から銀行に融資を申し入れる場合の準備ですが、逆に銀行から会社に対して、融資を提案されることもあります。
会社が「貸してください」と頼むのではなく、銀行が「借りてください」と頼んでくるのですから、会社は「じゃあ借りましょう」というだけで融資を受けることができます。
当然、ほぼ確実に融資は実行されますし、銀行は「貸してあげる」ではなく「借りてもらう」という立場ですから、融資条件も会社に有利な設定になることが多いです。
融資を受けることに苦労している会社から見れば夢のような話ですが、普段から融資提案を受けるための状況をつくっておくことで、提案を受けられる可能性は高まります。
そのためには、普段から銀行とよい付き合いをしていくことが重要ですから、銀行に取引口座を作ったり、預金を積み立てたりしておくことが大切です。
それにより、取引が活発に行われていることや、手元資金が潤沢であることが分かると、銀行は「この会社は安全性も高いし好調だから取引したい」と考えて、融資を提案してくるようになるのです。
たくさん借りる経験を積む
たくさん借りて会社を成長させていくためには、実際にたくさん融資を受け、会社を順調に成長させている経営者と同じ目線に立って考えるのがよいでしょう。
ここまで書いてきた内容を読めば、たくさん借りるにあたっての考え方が理解できると思いますが、それこそすなわちたくさん借りている経営者に共通する考え方です。
しかし、理解することと実行することは別ですから、銀行融資が難しくない理由をしっかり理解し、さらに実行することが大切です。
例えば、銀行のビジネスモデルから考えれば、銀行はできるだけ貸したいと考えているのですから、会社は融資を受けて資金繰りを安定させ、銀行は利息を受け取って収益をあげるという「商談」と考えることができるでしょう。
この考え方を理解し、実行するならば、融資を申し入れる場合に平身低頭して「なんとか貸してください」というのではなく、あくまでも商談と捉えて「このような計画で確実に返済しますから、これくらい貸してください(融資してくれれば、利息で儲けさせてあげますよ)」という姿勢で交渉することができます。
しかし、ただ頭で理解しているだけの場合、どうしても「貸してもらう側」という意識が抜けず、弱い立場のように考えて交渉してしまうことになります。
経験を積めば融資交渉はうまくなる
ただ理解するだけではなく、実際の融資交渉にしっかりと活用していけるようになるためには、とにかく経験を積むのがよいでしょう。
本稿で紹介している考え方をしっかりと意識しながら融資を申し込み、実際の融資交渉の経験を積んでいくのです。
実際に交渉をしてみると、銀行がどのように考え、何を求めているのかが体験的にわかってきます。
銀行は基本的に融資したいと考えており、貸し倒れの可能性が低ければ融資を実行するというスタンスです。
そのために、決算書などの客観的な資料を求めるわけですが、それはあくまでも最低限の資料にすぎませんから、そこへ追加してどのような交渉を展開していくかが重要です。
銀行が求めた資料提出して「どうぞ読んで、融資を判断してください」と受け身になるのではなく、交渉相手である融資担当者に対して、「この会社には融資したほうがよさそうだ」「きちんと返済できるだろう」と思わせるように交渉していくのです。
そのためには、数字を使ってしっかりと説明するプレゼン能力が欠かせませんが、銀行交渉におけるプレゼンのクオリティは、融資交渉を実際に体験して、経験を積んでいくことで磨くことができます。
最初のうちは、どのような流れで説明すべきか、どこに力を入れて説明すべきか、よくわからないかもしれない。
資料のポジティブな情報をどのようにアピールしていくべきか、ネガティブな情報をどのようにフォローしていくかについても、わからないことが多いでしょう。
しかし、銀行の考え方を頭で理解し、体験によって理解を深めていくことで、交渉の場で融資担当者が考えていること、求めていることもわかってくるものです。
それに応じてプレゼンしていくことができれば、融資を受けられる可能性は飛躍的に高まります。
実際、資金調達をしっかりと行っている経営者は、銀行の考え方や求めていることをしっかりとつかんで、それに応えられるプレゼンを行い、融資を引き出す能力にたけているものです。
しっかりと融資を引き出していくためにも、融資交渉の経験を積んでいくことを心掛けましょう。
そうすることで、「できるだけ融資したい」という銀行の希望に応える形で融資を受けることができ、会社と銀行がWin-winの関係を築いていくことができます。
まとめ
本稿によって、銀行から融資を受けることが難しくない理由が分かったことと思います。
もちろん、苦労せずに融資を引き出すためには、それなりの準備も必要となりますが、逆に言えばそれができている会社は簡単に融資を引き出せるということでもあります。
本稿の考え方を参考にして、難なく融資を受けられる会社を目指しほしい!
コメント