助成金活用を加速させるためのジョブ・カード制度の基礎知識

働き方改革が進んでいる今、助成金の活用によって負担の軽減を図っている会社も多いことと思います。

しかし、助成金を活用したいと思っても、求職者とのミスマッチによって、うまく活用できない会社もあることでしょう。

例えば、キャリアアップ助成金の正社員化コースを活用しようと考えて、有期契約で採用したものの、受給要件を満たすまでの期間中に離職してしまい、取り組みが全て台無しになるようなケースは、意外と多いのです。

そのような失敗は、企業と求職者のミスマッチが大きな原因となっています。

本稿では、このミスマッチを不正で助成金の活用を加速するために役立つ、ジョブ・カード制度について解説していきます。

人材不足と中小企業

日本では、すでに人口が減少を始めています。

平均寿命が延びたことによって死亡率は低下したものの、出生率も低下していることによって、深刻な高齢化社会を招いています。

と同時に、将来の働き手となるべき14歳以下の人口の割合も低下の一途をたどっています。

これにより、日本の多くの企業が人材不足に悩んでいます。

もっとも、大企業には資金力があるため、生産拠点を海外に移すことで現地の人材を雇用したり、日本においても採用活動に資金を投じてよい人材を確保したり、雇用環境を整えて外国人労働者を雇用したりすることもできるため、人材不足の影響はやや軽微と言えます。

人材不足が深刻なのは中小企業です。

中小企業では、国内で人材不足が深刻だからと言って、生産拠点を海外に移したり、国内で日本人や外国人の人材を雇用したりすることは容易ではありません。

それでも、労働力を確保しなければ事業は成り立たないため、雇用は必要です。

しかし、中小企業では採用活動にそれほど多くのコストをかけられず、日本人特有の大企業志向も強いため、採用活動で苦戦を強いられるのが普通です。

採用活動のリスク

中小企業では、コストをかけて採用活動を実施したものの、以下のようなリスクに見舞われることが少なくありません。

ミスマッチ

よくあるのが、雇用した人材に適性がなく、期待した働きが得られないというミスマッチです。

多くの企業では、ミスマッチを防ぐために、トライアル雇用期間を設けるなどして、適性のない人材はトライアル雇用後に契約を更新せずに離職してもらうなどしています。

しかし、トライアル雇用によってリスクを抑えることができても、その期間の人件費や教育費は無駄になってしまいますし、再び採用活動を実施しなければならないのですから、無駄には違いありません。

定着しない

また、幸いにもミスマッチが起こることなく、継続雇用に切り替えることができたとしても、その人材が定着するとは限りません。

会社側としては、適性のある人材を雇用できて一安心といったところでしょうが、労働者側がどう思っているかは別問題です。

せっかくコストをかけて雇用し、適性のある人材を雇用できても、雇用・労働条件が本人の希望とマッチしていなければ、労働者は離職してしまいます。

ある程度の期間にわたって働いてもらえれば良いのですが、短期間で離職に至った場合には、やはりさまざまなコストが無駄になってしまいます。

本質的には、これもミスマッチによるリスクと言えます。

本当にマッチングした人材であれば定着率も高くなるのが普通ですから、ミスマッチは採用活動における大きな障害の一つと言えるでしょう。

CFイエロー
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採用活動のミスマッチは、時間的にもコスト的にも、多くの無駄につながるのよ。

ミスマッチが助成金受給の妨げになることも

では、上記のような採用活動のリスクをできるだけ抑えるためには、どのように工夫すべきでしょうか。

当サイトでは、助成金について様々な情報をお伝えしている関係から、

助成金を活用すればミスマッチのリスクを回避できる

と言いたいところです。

確かに、トライアル雇用助成金などの制度を活用し、ミスマッチの際に継続雇用しなくてよい状況を作ってから雇用することで、ミスマッチの際のリスクを引き下げることは可能です。

しかし、それは対処療法にすぎません。

ミスマッチが発生した場合に備えて活用することはできても、ミスマッチそのものの発生を抑えることにはつながらないのです。

したがって、採用活動に伴うミスマッチの発生を抑える、根本的な対処がより重要となります。

また、これは助成金の活用を加速させることにもつながります。

例えば、トライアル雇用助成金ではトライアル雇用の後、常用雇用に切り替えることで初めて助成金を受給できます。

ミスマッチによって常用雇用しなければ、助成金も受給できません。

ミスマッチの発生そのものを防止することができれば、常用雇用へ切り替えられる可能性が高まり、助成金をスムーズに受給することができます。

助成金の活用を加速していく上で、採用活動でのミスマッチを防ぐことは非常に重要です。

今後、助成金を活用していきたい会社では、常にこの視点からも考えたいものです。

CFレッド
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助成金を活用していくなら、ミスマッチそのものへの対処を考えておくことが大切だ。
CFブルー
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返す必要のない、助成金で資金調達する方法もあります。

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ジョブ・カード制度を活用しよう

とはいえ、ミスマッチを防ぐためにはどうすればよいか、具体的な対処が分からない会社も多いはずです。

そのような会社が活用できる制度の一つに、ジョブ・カード制度があります。

ジョブ・カード制度は、平成20年に始まった、意欲的な求職者を支援するための制度です。

求職者を支援するにあたって、一方的に求職者だけを支援しても効果は得られません。

それと同時に、意欲的な求職者を採用したいと考える企業も支援することも欠かせません。

このため、ジョブ・カード制度は求職者に役立つ制度であると同時に、企業の採用活動にも役立つ制度となっています。

 

企業側にとっては、意欲的な求職者を効率的に募集してミスマッチを防ぐと同時に、人材育成に関する支援も受けられます。

そのため、多少ミスマッチが起きている人材に対しても、その後の育成によってミスマッチを解消できる可能性があります。

つまり、ジョブ・カード制度を活用すれば、

  • 適性のある人材を選んで雇用する
  • 人材育成によって、適性の備わった人材を選んで雇用する

というふたつのルートによって、自社の希望する人材を採用しやすくなるのです。

経営者や人事担当者ならば、ジョブ・カード制度についていくらかの知識があるはずです。

しかし、果たして活用できるレベルの知識であるかどうか、不安もあると思います。

そこで、ジョブ・カード制度の概要や使い方、助成金との関連などを学んでいきましょう。

ジョブ・カード制度のメリット

ジョブ・カード制度は、上記の通り就職に意欲的な求職者と、雇用と人材育成に意欲的な企業とのマッチングを促進するための制度です。

ここでポイントとなるのは、国がジョブ・カード制度によって支援している求職者は、基本的に

正社員経験の少ない(あるいは正社員経験がない)求職者

を対象としていることです。

正社員経験が豊富な労働者は、求職活動することになっても、経験を買われてスムーズに就職できることが多いものです。

一方、正社員経験の少ない求職者は、求職活動でも不利な立場になってしまうことが多くなります。

企業としても、正社員経験の豊富な人材を雇用したいと思うのですが、そのような人材は自分の経験を売り込むこともできるため、獲得することは容易ではありません。

そこで、人材不足に悩む会社では、正社員経験の乏しい人材も対象として採用活動を展開していくことになります。

このような人材は正社員経験が乏しいだけに、採用後の訓練もセットで考える必要があります。

だからこそ、国はジョブ・カード制度では正社員経験が乏しい求職者を支援し、また同時にそのような求職者を採用する企業への支援も行っているのです。

採用にあたって、採用後の訓練をセットで考えることは、求職者と企業のマッチングに大きなメリットをもたらします。

訓練を前提として採用しない場合には、トライアル雇用期間を設けて、実務の様子から適性を判断していく必要があります。

中には、訓練次第で適性が備わる人材もいるでしょうが、訓練をせずに実務だけで適性を判断していくと、そのような可能性を見落としてしまうことが多いです。

逆に、トライアル雇用期間は簡単な作業しかできないため、簡単な作業によって適性を判断する必要があります。

このため、適性があると判断して常用雇用に切り替えたものの、作業の難易度が高くなるにつれて、適性・能力不足が明らかになることもあります。

また、求職者自身も、訓練すればしっかり務まる仕事・魅力を感じられる仕事であっても、訓練を通すことなく短期間だけ働いた結果、「自分はこの仕事に合っていない」と判断し、離職してしまうことがあります。

しかし、求職者の採用と訓練をセットで考えた場合、求職者も企業も、実務だけではなく訓練を通して踏まえて、より正しく判断することができます。

このように、ジョブ・カード制度を活用することによって、訓練期間を通じて訓練生の適性や能力を判断することができ、訓練後に企業と訓練生の希望がマッチすれば、そこで初めて常用雇用に切り替えることもできます。

CFイエロー
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ジョブ・カード制度を活用すれば、求職者の潜在的な可能性を見落とすことが少なくなる。自社に合った人材を採用できることも増えるわよ!
CFレッド
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もし今、資金繰りにお困りなら、こちらの窓口に相談されてみてはいかがでしょうか。

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ジョブ・カードとは?

さて、ジョブ・カード制度の概要は以上の通りですが、では「ジョブ・カード」とはどのようなものなのでしょうか。

ジョブ・カードとは、求職者の職業能力を証明する書類のことで、厚生労働省が作製しているものです。

普通、採用活動を実施し、求職者から応募があった場合には、求職者の作成する履歴書と面接、企業によっては適性試験や筆記試験などを実施して合否を審査します。

しかし、中小企業では何ら試験を実施せず、単に履歴書と面接だけで合否を決定する会社も多いものです。

ところが、求職者自身が作成する履歴書には事実とは異なる内容が記載されていたり、そうでなくとも勘違いにつながる内容が記載されていることが少なくありません。

そのような履歴書を資料として面接を実施しても、その求職者の適性や能力を正しく判断できるとは限りません。

求職者としても、自分の能力や長所について正しく把握し、正しく伝えられる人はそう多くありませんから、その意味でも適性・能力の把握が困難になります。

短時間の面接であればなおさらです。

書類が履歴書だけであることによって、ミスマッチが発生してしまうことも多いわけですが、そこでジョブ・カードが役立ちます。

ジョブ・カード制度を使った採用活動では、履歴書に加えてジョブ・カードを判断材料にすることができます。

ジョブ・カードは、4種類のシートによって構成されており、履歴書や面接だけでは把握しきれない、色々な情報が記載されています。

特に、求職者の職業能力のレベルについて、客観的な評価ができるところにメリットがあります。

求職者も、ジョブ・カードによって自身の能力やキャリアなどを正確に伝えやすくなります。

つまり、ジョブ・カードによって、会社は欲しい人材をより正確に判断できる、求職者は働きたい企業をより正確に判断できることとなり、マッチングが促進されるのです。

CFイエロー
CFイエロー
履歴書や面接だけでは頼りない実感がある会社では、ジョブ・カードが役立ちそうね。

ジョブ・カードは4種類

ジョブ・カードは、4種類のシートによって構成されています。

それぞれのシートの内容は、以下の通りです。

履歴シート

履歴シートは、求職者のこれまでの就業先や職務内容など、職務経歴を記載したものです。

履歴書に添えられる「職務経歴書」に似ていますが、履歴シートでは就業先・職務内容だけではなく、

これまでに研修や訓練を受けた経歴なども記載されるため、求職者の職業能力を掘り下げるための資料となります。

職務経歴シート

これも、履歴書に添えられる職務経歴書に似ていますが、職務経歴シートはより具体的な内容となっています。

特に、職務の中で得られた知識や技能について記載されていることがポイントです。

これによって、職務における自分の役割や貢献、スキルなどの実践的かつ具体的な内容が記載されます。

キャリアシート

キャリアシートは、求職者が自社で働くにあたって何を目標としているか、希望する職務の内容は何であるかなどを記載します。

評価シート

評価シートは、企業側が作成するシートです。

求職者に対して訓練を実施し、その終了後に訓練を通じて評価したものを訓練生に渡します。

ジョブ・カードとキャリア・コンサルティング

ジョブ・カードを構成するシートの内容を見ても、あまり優れているとは思えない人もいると思います。

このくらいのレベルであれば、履歴書と職務経歴書をしっかり作成すれば、わざわざジョブ・カードという形でなくとも、求職者のことを把握できるというのも事実です。

しかし、上記の通り、ジョブ・カード制度では「正社員経験の乏しい求職者」を対象としています。

新卒の人材などであれば、在学中に学校から就職活動の支援を受け、優れた履歴書と職務経歴書を作成することができるでしょう。

しかし、正社員経験に乏しい求職者はそのようなサポートを受けることが難しいため、履歴書と職務経歴書を作成しても、しっかりとした資料を作成できないことが多いのです。

ジョブ・カード制度では、そのような求職者でもレベルの高いジョブ・カードを作成できるように支援しています。

訓練生を希望する求職者は、訓練前に履歴シート・職務経歴シート・キャリアシートに記入する必要があります。

その際にはハローワークやジョブカフェなどで面談を行いつつ、現状の能力や課題について整理し、記入していきます。

さらに、職業相談の専門家であるキャリア・コンサルタントの面接も受け、細かい要素も含めてジョブ・カードを作っていきます。

キャリア・コンサルティングを踏まえ、キャリア・コンサルタントがキャリアシートにアドバイスなども記載した後、ジョブ・カードが交付されます。

ジョブ・カードの交付は、厚生労働省に登録されたキャリア・コンサルタントだけが交付することができるものですから、求職者の主観によって、実態とは異なる情報が記載されることはありません。

CFブルー
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ジョブ・カードは、キャリア・コンサルタントが交付している。
専門家による客観的な情報が記載されているから、安心して採用活動に使えるんだ。
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助成金活用にも役立つジョブ・カード

上記のように作成されたジョブ・カードを活用すれば、求職者の能力や希望などを正しく把握することができ、採用活動におけるミスマッチも起こりにくくなります。

ミスマッチを防ぐことができれば、有期契約雇用から常用雇用に切り替えることで助成金を受給できることも多くなるため、助成金の活用を加速させることもできます。

さらに、ジョブ・カードを活用すれば、訓練の実施によっても助成金を受給できることがあります。

採用した求職者に有期実習型訓練を実施した会社では、訓練の内容がジョブ・カードの内容に見合っているものであれば、人材開発支援助成金(特別育成訓練コース)の支給対象となります。

このように、ジョブ・カード制度を活用すれば、ミスマッチを防ぐことで常用雇用への転換や訓練の実施によって助成金受給の機会を増やし、助成金の活用を加速してくれる効果があるのです。

ジョブ・カードを様々な助成金に活用する考え方については、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

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※「ジョブ・カードの活用で助成が受けられる特別育成訓練コースについて」

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ジョブ・カードの活用から人材育成関連の助成金へ、訓練の結果採用できたら雇用関連の助成金へと進めるぞ。
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まとめ

本稿では、ジョブ・カード制度のメリットについて解説してきました。

この制度の活用により、採用活動におけるミスマッチを減らすことで、人材不足の解消に役立つだけではなく助成金の活用を加速させることにもつながります。

平成27年のデータによれば、ジョブ・カード制度を活用している企業の94.7%が中小企業です。

資金・労働力・時間などに余裕がない中小企業でも活用しやすい制度ですから、助成金をより良く活用していくためにも、ジョブ・カード制度を活用してみてはいかがでしょうか。

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