派遣労働者を正規雇用に転換するメリットと、スムーズに転換するポイントについて

最近の政府の方針により、雇用のあり方も随分と変わってきました。中途採用や外国人労働者雇用も拡大していく流れであり、人材確保の方法は多様化してくることでしょう。

中小企業の採用活動にも、いずれ様々な影響が考えられますが、その影響が具体化していない現在、従来の方法による人材確保が最も安全と言えます。

特に、派遣労働者の正規雇用転換という方法は、今後も中小企業の人材確保に役立つことが期待できます

本稿では、派遣労働者を正規雇用に転換するメリットと、転換の際のポイントについて、実際の会社の例も用いながら解説していきます。

中小企業の人材確保

正規雇用の従業員は、非正規雇用に比べて給与水準が高く、手当や社会保険、福利厚生、休暇制度、教育規定、退職金制度などでも充実しています。

このため、正規雇用は非正規雇用に比べて定着率が高く、長期にわたって事業に貢献してくれます。

人材不足を根本的に解決していくためには、人材の新規雇用と同時に定着が欠かせません。

人件費負担との兼ね合いもありますが、人材不足に困っている会社ほど、正規雇用の拡大を検討していく必要があるでしょう。

しかし、正規雇用は簡単ではないわ。

定着率が高いこと、つまり長期にわたって活躍してくれることを期待して雇用するのですから、会社が求める働きをしてくれない場合、却って負担になってしまうからです。

適切な人材を確保するためには、教育によって適切な人材へと育成しやすい新卒採用が適しています。

ただし、新卒の人材はどこでも雇用したいと考えるため、新卒採用ができずに困っている中小企業は多いです。

そこで、中途採用で人材を確保したり、派遣労働者を活用したりすることになります。

特に最近では、政府も中途採用の拡大を奨励しており、この流れに沿って中途採用に取り組む会社も増えています。

しかし、中途採用の人材は、適性があるかどうかを見極めにくいという問題があります。

 

そもそも、中途採用によって人材を確保するメリットは、即戦力としての期待があるからです。

中途採用の人材は就労経験があるため、即戦力としての活躍が期待して雇用するものです。

ところが、中途採用では適性の見極めが難しいため、採用したものの即戦力としての働きが得られず、ミスマッチが起こることがあります。

この場合、労使ともに不満を抱くようになり、早期に離職してしまう傾向があります。

離職率が高い理由

中途採用の人材を、面接や書類のみによって選考するならば、適性の見極めは困難です。

まず、自社が期待する能力やスキルを持っていない可能性があります。

求職者自らが書いた履歴書や、面接で聞き取った内容には、実態と異なる情報が盛り込まれていることも多いです。

この場合、会社が求める能力・スキルを実際に持っていないのですから、雇用し続けることは困難です。

また、能力やスキルに問題がなかったとしても、求職者の利用する会社の「企業理念」や「職場文化」が、自社の実態とかけ離れていることもあります。

これも適性の一つですが、書類や面接では把握しきれないことです。

企業理念や職場文化は、その会社で働く従業員の考え方や働き方にも反映されます。

もし、企業理念や職場文化に馴染めなければ、周囲との協調性を欠くことにもつながり、離職のきっかけとなります。

業種によっては体質上の問題も

さらに、見逃せないのが体質上の適否です。業務の内容によっては、身体的な負担が大きい業務もあります。つまり、

  • 重量物を運搬する作業により、肉体的負担が大きい
  • 顕微鏡を用いた検品、騒音を伴う現場での作業など、視覚や聴覚などに負担が大きい
  • 刺激のある薬液や材質を用いる作業により、体質によっては負担が大きい

などの理由から、どうしても離職せざるを得ないケースがあるのです。

業種や業務によっては、このような問題も中途採用者の離職の原因となります。

中途採用には、定着しにくい理由がたくさんあるんだね。

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派遣労働者を転換するメリット

新卒採用・中途採用での人材確保に悩んでいる会社では、派遣労働者を正規雇用へ転換するという方法により、人材確保がスムーズにいくことが多いです。

なぜならば、派遣労働者を正規雇用に転換する場合、定着率が高く、さらに即戦力としての活躍も期待しやすいからです。

派遣労働者を正規雇用に転換する最大のメリットは、あらかじめ有期契約で6ヶ月程度雇用し、適性を見極めたうえで正規雇用できるということです。

つまり、中途採用者の離職につながりやすい、

  • 能力・スキルが不十分である
  • 企業理念や職場文化にマッチできない
  • 周囲との協調性を欠く
  • 体質的に適していない

といった問題についても、有期契約期間中に見極めることができるのです。

これらの全てにおいて問題がない人材であれば、正規雇用しても離職する可能性は低いですし、適性が十分であるため、即戦力としての活躍も期待できます。

コスト負担が小さい

さらに、派遣労働者の正規雇用転換には、コスト面でもメリットがあります。

中途採用が定着しにくい会社では、人材確保がなかなかうまくいきません。辞める可能性が高い人材を採用し、教育するのですから、コスト的にも非常に無駄が多いのです。

しかし、派遣労働者は定着率が高く、着実に人材を確保していくことができます。定着すれば、時間とともに経験・知識も積んでいき、生産性は高まるため、業績へのメリットも高まります

もちろん、有期契約期間中は派遣会社に派遣料金を支払いますし、正規雇用に転換した場合にも手数料を支払います。

この手数料は、派遣労働者の年収の30%程度が相場ですから、決して安い金額ではありません。

しかし、キャリアアップ助成金の正社員化コースでは、派遣労働者の正規雇用転換で

1人当たり85万5000円(生産性要件を満たしている場合には108万円)

の助成金を受給できます。これにより、正規雇用に伴うコスト負担を大幅に軽減、あるいは100%カバーできます。

ちなみに、中途採用等支援助成金の受給額は50万円だ。

モチベーションアップ

このほか、派遣労働者を正規雇用に転換する制度を整備すれば、派遣労働者のモチベーションアップにつながります。

個人的な都合によって、あえて派遣労働者という立場を選んでいる人でない限り、派遣労働者は正規雇用として働きたいと思っています。

自社が派遣労働者の正規雇用転換に取り組めば、派遣労働者は正規雇用に転換してもらうべく、一生懸命に働くようになります

正規雇用転換の可能性がなければ、最低限の業務をこなし、有期契約期間をきちんと勤め上げることだけを考える派遣労働者も多いです。これでは、生産性も低く留まってしまいます。

しかし、正規雇用転換制度によってモチベーションが上れば、生産性向上にもつながります。

もちろん、生産性要件を満たせる可能性も高まります。

助成金を活用している会社では、助成金の加算を受けられることも増え、財務的なメリットも高まります。

モチベーションを上げるのって、意外と難しいんだよね。転換制度の整備でモチベーションが上がるんだね!

人材確保が加速する

さらに、人材確保が加速するというメリットもあります。

派遣労働者を正規雇用に転換した場合、派遣会社は手数料で稼ぐことができます。

このため、派遣会社としては、正規雇用に積極的な会社に、正規雇用に転換されやすい優秀な人材を派遣したいと考えます

つまり、正規雇用転換制度を整備した会社では、派遣会社から優秀な人材の派遣を受けやすくなり、人材確保が加速するのです。

また、派遣会社が派遣労働者に会社を紹介するとき、「6ヶ月で正規雇用に転換できる可能性がある」という形で紹介されるようになれば、魅力を感じる派遣労働者は多くなります

「ぜひその会社に」と希望する派遣労働者が増えていけば、意欲ある派遣労働者を派遣してもらいやすくなり、正規雇用へ転換できる可能性も高まり、この点でも人材確保が加速するのです。

派遣労働者の正規雇用をうまく使えば、好循環が生まれるのだ!

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正規雇用への転換をよりスムーズにするために

以上のように、派遣労働者の正規雇用転換には多くのメリットがあります。

ただし、これらのメリットのうち、

  • コスト負担が小さい
  • 人材確保が加速する

というメリットは多くの会社で期待しやすいのですが、

  • 適性を見極めてから正規雇用できる
  • モチベーションが高まる

というメリットについては、やり方によって大きく差が出てきます。

適性の問題

まず、適性の見極めについてですが、派遣労働者を雇っても、有期契約期間中に十分に適性を見極められない場合があります。

それは、派遣労働者と正社員の業務を分けている場合です。

会社によって、派遣労働者を活用する方針は異なると思います。大きく分けて、

  • 派遣労働者と正社員の業務を分ける
  • 派遣労働者も正社員の業務を分けない

という方針がありますが、前者の方針を採っている会社が少なくありません。

正社員は、会社の業務にもよく通じていますから、様々な業務を安心して任せられます。

しかし、派遣労働者は正社員ほど安心して任せられませんし、正社員だからこそ任せられる業務も多いでしょう。

また、派遣労働者は派遣会社の規定に基づく処遇で働くのですから、処遇も違えば業務も違う、と考える会社もあります。

 

だからこそ、派遣労働者と正社員の業務を分けている会社も多いのですが、これは極力避けるべきです。

というのも、このように業務を区別してしまうと、その派遣労働者に正社員としての適性があるかどうか、見極めることができないからです。

これでは、正規雇用に転換するための根拠は得られません。

正規雇用に転換してみたものの、業務に馴染めずに辞めてしまうことも考えられます。

転換による助成金を受給するためには、転換後6ヶ月にわたって賃金を支給することも受給要件となっています。

転換して派遣会社に手数料も支払ったものの、短期間で辞めてしまえば助成金を受給することはできず、大きなマイナスとなるので注意が必要です。

ただ派遣労働者として雇えば、適性を見極められるわけじゃないんだね。

モチベーションの問題

モチベーションが高まれば生産性も高まるものですが、モチベーションが空回りして、生産性への影響が小さくなることもあります。

正規雇用の可能性があることで、派遣労働者のモチベーションは高まるでしょう。

しかし、そのモチベーションをぶつける方向性が間違っていれば、生産性は高まりません

簡単に言えば、モチベーションを高め、意欲的に働くことは良いのですが、会社がそれほど求めていない部分で一生懸命に働いてもらっても、それほどありがたくないということです。

このような問題を防ぐためには、派遣労働者と正社員を分けることなく、会社の方針などを共有し、モチベーションを生産性につなげられる環境を作ることが大切です。

せっかくモチベーションが高まるのだから、生産性アップにもつなげていきたいな。

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派遣労働者の正規雇用を成功させた会社の取り組み

ここで、一つの実例を紹介します。

B社は、派遣労働者の正規雇用によって、助成金を受給しながら人材を確保し、人材不足の解消や生産性の向上などを成功させています。

この取り組みにあたって、B社で意識したことは、

  • 派遣労働者と正社員をできるだけ区別しない

ということです。

 

まずB社では、派遣労働者と正社員で業務の区別がありません。

B社の業務では、派遣労働者が正社員のサポートとして働くのではなく、派遣労働者に正社員と変わらない業務を割り当て、正社員と同じ責任で働くようにします

これによって、派遣労働者に正社員としての適性があるかどうかを、正確に見極めることができます。

また、派遣労働者と正社員が同じ意識を持てるように、派遣労働者にも毎日の朝礼や職場単位の集会、年1回の決算報告会などに出席することを義務付けています。

朝礼や集会も、意識を高めることにつながりますが、特に効果的なのが決算報告会への参加です。

決算報告会では、前年の事業総括、今期の事業計画を説明し、目的とビジョン、情報、求める成果を共有しています。

また、決算報告会では、利益の20%を社員に還元することも約束しています。

これにより、社員の頑張りによって得られた利益は、社員に確実に還元されることが分かり、モチベーションアップにつながります

 

もちろん、これは賞与という形での還元であり、派遣会社から給料をもらっている派遣労働者に還元されるものではありません。

しかし、決算報告会に参加して、このようなやり取りを見た派遣労働者は、「社員の頑張りが賞与として還元されるのだ」ということを知り、B社で正社員として働くことを、より強く望むようになります。

また、このような情報の共有によって、会社が社員に何を求めているかを知ることができます。

派遣労働者は、会社の求めに応じた働き方を模索しながら取り組むことで、モチベーションの空回りを防ぐこともできます。

 

このように、派遣労働者と正社員の区別を作らないことによって、

  • 正社員と同じ業務に従事させ、適性をより正確に見極める
  • 目的・ビジョン、情報、成果などを共有して意欲を高め、モチベーションの空回りも防ぐ

という効果が得られるのです。もちろん、この効果の延長として、

  • 派遣労働者の適性を見極めて正規雇用に転換し、定着率は高く、キャリアアップ助成金を問題なく受給できる可能性が高まる
  • モチベーションが高まり、生産性が向上し、生産性要件を満たすことで助成金の加算を受けられる

といった、様々なメリットを享受することも可能です。

派遣労働者の正規雇用転換に取り組む会社では、ぜひB社の取り組みを参考にしてみてください。

派遣労働者の使い方は、会社によって違うだろう。B社のように、あえて正社員と区別しないことが、経営改善につながることもあるのだ。

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まとめ

派遣労働者から正規雇用への転換に取り組むことで、正社員を確保しやすくなります

採用活動に力を入れているのに、正社員候補がなかなか見つからない、定着率が低いといった悩みがある会社は、派遣労働者の活用に目を向けてみると良いでしょう。

ただし、派遣労働者の正規雇用転換は、方法を誤ると早期離職につながり、助成金を受給できない、生産性によい影響が出ないなどの問題も起こります。

ぜひ、本稿で紹介したB社の例も参考にしながら取り組むことをおすすめします。

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