初めて障害者を雇用する会社は特定求職者雇用開発助成金を使おう!

民間企業における障害者の雇用義務は、現在、法定雇用率2.2%に設定されています。

このため、常用労働者46人以上の会社で、雇用義務が発生します。

しかし、2021年には法定雇用率を2.3%へと引き上げることが決まっており、常用労働者44人以上の会社で雇用義務が発生するようになるため、初めて障害者雇用義務を負う会社もたくさん出てくるはずです。

このように「初めて障害者を雇用する」場合、特定求職者雇用開発助成金によって多額の助成金を受給することができます。

本稿で詳しく見ていきましょう。

日本の障害者問題

日本では、デリケートな問題について、あえて触れまいとする雰囲気が強く、障害者雇用についても同様の傾向があります。

間違いなく考えるべき問題であるものの、具体的にどうするのがベストであるか分からないから触れない、下手な主張をすれば叩かれてしまうから触れないなどと考え、事なかれ主義に奔る人が非常に多いのです。

このため、日本では障害者の実態について、あまり知られていません。

しかし、障害者問題は確実に深刻化しています。

このことは、2000年から2018年までの18年間に、障害者の数が倍増していることを見れば一目瞭然です。

日本では人口の減少が続いており、生産人口は長期的に減少していき、高齢者などの非生産人口は増加してくと見られています。

これに加えて、障害者の人数も増加の一途をたどっています。

つまり、社会を支えていく生産人口は減少しているのに対し、非生産人口は増加しており、このままでは従来の福祉制度が成り立たなくなる可能性も考えられます。

だからこそ、政府は高年齢者を70歳まで雇用することを目指したり、障害者の雇用義務の拡大に取り組んだり、様々な対処を進めているのです。

このように、デリケートな部分を直視してみると、経営への影響もよくわかります。

今後、障害者の雇用義務は大きくなり、うまく対応できない会社では大きな負担になる可能性があります。

この負担を嫌い、雇用義務から逃れようとした会社に対するペナルティも、より厳しくなるかもしれません。

将来的に大きくなってくるであろう障害者雇用の問題にうまく対応するには、正しい知識を身に着け、障害者雇用にともなう助成金の活用の経験も積み、政府の方針に柔軟に対応していくことが大切です。

もちろん、障害者雇用に取り組む中で、障害者を労働力として活用できる環境を作ることも可能です。

これにより、障害者雇用を通じて社会に貢献し、助成金によって財務的メリットも得て、なおかつ人材不足の解消につなげていくことができます。

※障害者雇用の基礎知識について、詳しくはこちら

障害者は増加しているが、日本の経済成長は鈍い。成長しない企業と、障害者の雇用義務の拡大。この関係をしっかり見据えることが大切よ。

助成金を活用しよう

障害者の人口は今後も増え続けるでしょう。

少なくとも、障害者の数や社会に与える影響が激減することは考えにくいです。

つまり、社会にとっても企業にとっても逃れられない問題です。

逃れられないものから逃れようとするよりも、問題を真正面から捉え、経営にプラスになるよう取り組んでいくべきです。

障害者雇用促進法の雇用義務制度では、法定雇用率を2.2%としています(2021年は2.3%に引き上げられる見通し)。

このため、従業員数が46人の会社では最低でも1人の障害者を雇用する義務があります。

このときに欠かせないのが、助成金の活用です。

障害者雇用以外のシーンでも、新規に雇用したり、転換したりする場合には、トライアル雇用助成金やキャリアアップ助成金などの助成金を活用することができます。

助成金は、政府が促進したい取り組みを実施した会社に対し、負担軽減を目的に支給されるものです。

健常者を雇用した場合でさえ助成金を受給できるのですから、障害者を雇用した場合に助成金を受給できない道理はありません。

障害者を雇用した会社では、

  • 障害者トライアル雇用助成金(障害者トライアルコース、障害者短時間トライアルコース)
  • 特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)
  • 特定求職者雇用開発助成金(障害者初回雇用コース)

などの助成金を受給できます。

障害者雇用で使える助成金は色々あるんだね。

助成金の活用が欠かせない理由

一般的な雇用と比較して、障害者雇用は企業の負担が大きくなります。

現実的な問題として、健常者と障害者を比較した場合、障害者のほうが生産性は落ちてしまうのが普通です。

また、障害者が働けるように設備を整えたり、周りからの配慮が必要になることも多く、コストがかかったり、職場全体で業務効率が落ちたりするリスクもあります。

そもそも、会社は利益を追求するものです。

生産性の低下につながる従業員は雇わないほうが良いというのが、資本主義の合理的な考え方です。

もし、障害者の雇用を義務付ける制度がなければ、社会貢献に熱心な会社を除き、積極的に障害者を雇用する会社は少ないでしょう。

また、雇用義務を課すとしても、政府は経営負担と福祉のバランスを取りつつ、制度を整備していく必要があり、過大な負担を求めることはできません。

そこで、義務としての雇用は最低限の範囲に設定しつつ、また最低限の雇用義務による負担を軽減するために、助成金を支給しているのです。

このため、健常者を雇用する時に受給できる助成金に比べて、障害者雇用で受給できる助成金は受給額が大きくなっています。

助成内容と会社の負担は比例関係にありますから、助成金が大きいということは企業の負担も大きいということです。

だからこそ、障害者を雇用するにあたって、助成金の活用が欠かせないのです。

障害者雇用というと、色々な取り組みも必要だし、コスト負担を嫌う会社も多いね。助成金をしっかり受給していこう!

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特定求職者雇用開発助成金(障害者初回雇用コース)

では、障害者を雇用する際に利用できる助成金について、具体的に見ていきましょう。

まず、初めて障害者雇用に取り組む会社、例えば、

  • 常用雇用の従業員を増やし、初めて障害者の雇用義務が生じた会社(雇用義務制度では法定雇用率が2.2%に定められており、常用労働者が46人以上の会社で、障害者を一人雇用する義務が生じる)
  • 法定雇用率の引き上げ(2021年に2.3%へ引き上げの予定)により、障害者を雇用する義務が新たに生じた会社(法定雇用率2.2%では常用労働者45人まで雇用義務が発生しないが、法定雇用率2.3%では常用労働者44人から雇用義務が発生する)

といった場合には、特定求職者雇用開発助成金の障害者初回雇用コースを利用するのがおすすめです。

障害者初回雇用コースでは、常用労働者300人以下の障害者雇用の経験がない中小企業で、障害者を初めて雇用し、法定雇用率を満たした場合に助成金を受給できる制度です。

ここでポイントとなるのは、障害者初回雇用コースでは「障害者雇用の経験がゼロの会社」を対象としていることです。

雇用形態に関わらず、雇用経験がある会社は対象となりません。

たとえ派遣やアルバイト、研修、職場適応訓練などであっても、自社で就労させた経験がある場合には助成金を受給することはできません(過去3年間において)。

初めての雇用に限られる。

だからこそ、初めての雇用で利用しないのはもったいないわ。

受給額

「初めての障害者雇用」という条件を満たすならば、問題なく受給できる可能性が高いでです。

対象となる層の労働者を初めて雇用することにより、受給できる助成金は他にもあります。

例えば中途採用等支援助成金では、45歳以上の人材を初めて採用する会社に、60万円の助成金を支給しています。

しかし、初めての障害者雇用の受給額は120万円となっており、初回雇用によって受給できる助成金の中でも特に多額の受給ができる仕組みになっています。

会社にとって、初めての障害者雇用のハードルが高いからこそ、助成金額が大きくなっているわけです。

初回雇用に取り組む会社で、これを受給しないのは非常にもったいないことです。

支給の流れ

障害者初回雇用コースは、後述する特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)との併給が認められています。

併給のためには、支給までの流れを知り、うまく組み合わせる必要があるため、流れを確認しておくことが大切です。

障害者初回雇用コースの流れを、具体的な日付の例とともに見ていきましょう。

  1. 障害者初回雇用コースの対象となる、一人目の障害者を雇い入れる。(4月1日に雇い入れたと仮定)
  2. 法定雇用率による雇用義務が一人のみの会社は、これで雇い入れ完了となるが、二人以上の雇用義務がある会社では、一人目の障害者を雇い入れた日の翌日から起算して3ヶ月以内に、全ての障害者の雇い入れを完了する。(7月1日までに雇い入れ完了)
  3. 雇い入れ完了日の直後の賃金締切日の翌日から起算して、6ヶ月間にわたって雇用を継続する。(賃金締切日が毎月15日であれば、7月16日から翌年1月15日まで)
  4. 6ヶ月間にわたって継続雇用した後、その翌日から起算して2ヶ月以内に障害者初回雇用コースの支給を申請する(翌年1月16日から3月15日が支給申請期間となる)

流れを掴んで、受給要件を漏れなく満たしていこう!

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特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)

初めて障害者雇用に取り組む会社は、障害者初回雇用コースを利用するだけで、120万円もの助成金を受給することができます。

これに加えて利用したいのが、特定求職者雇用開発助成金の特定就職困難者コースです。

特定就職困難者コースは、就職が困難とされる特定の人材を雇い入れた会社に助成金を支給する制度です。

障害者だけではなく、高年齢者や母子家庭の母などが対象となっています。

障害者初回雇用コース
「初めて障害者雇用に取り組み、法定雇用率を満たしたこと」について助成金を支給する制度
特定就職困難者コース
「障害者雇用の経験や法定雇用率の達成状況に関係なく、障害者を雇用したこと」について助成金を支給する制度

このように、障害者初回雇用コースと特定就職困難者コースは目的が異なるため、併給も認められています。

障害者雇用という一つの取り組みで、二つの助成金を受給できるんだね。

受給額

特定就職困難者コースの受給額は、雇い入れる障害者の雇用形態や区分によって異なり、以下のように設定されています。

対象労働者 支給額 助成対象期間 支給対象期ごとの支給額
短時間労働者以外の者 重度障害者等を除く身体・知的障害者 120万円 2年 30万円 × 4期
重度障害者等 240万円 3年 40万円 × 6期
短時間労働者 重度障害者等を含む身体・知的・精神障害者 80万円 2年 20万円 × 4期

この表のように、障害の程度が重いほど支給額は多くなっています。

短時間労働者(週所定労働時間が20時間以上30時間未満の労働者)であるかどうかによっても異なります。

また、支給対象期とは、助成金の支給対象となる雇用期間のことです。

6ヶ月を1期とみなします。

なお、重度障害者等とは、重度身体障害者、重度知的障害者といった重度障害者のほか、45歳以上の障害者、精神障害者もこれに含まれます。

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支給の流れ

では、特定就職困難者コースのみ利用する場合の支給の流れを、具体的な期間とともに見ていきましょう。

  1. 特定就職困難者コースの対象となる障害者を雇い入れる。(4月1日に雇い入れ)
  2. 雇い入れ日の直後の賃金締切日の翌日から起算して、6ヶ月間(1期目)にわたって雇用を継続する。(賃金締切日が毎月15日であれば、4月16日から10月15日まで)
  3. 6ヶ月間にわたって継続雇用した後、その翌日から起算して2ヶ月以内に、第1期の支給を申請する(10月16日から12月15日が支給申請期間となる)
  4. 第1期目の翌日から起算して、6ヶ月間(2期目)にわたって雇用を継続する。(賃金締切日が毎月15日であれば、10月16日から翌年4月15日まで)
  5. 第2期目6ヶ月間にわたって継続雇用した後、その翌日から起算して2ヶ月以内に、第2期の支給を申請する(翌年4月16日から翌年6月15日が支給申請期間となる)(以下、くり返し)

上記の表の通り、雇用する障害者の区分によって受給できる期間が異なります。

その期間中、受給要件を満たした会社は、以上の流れをくり返して助成金を受給することができます。

障害者には色々な事情があって、短時間労働を望む人も多い。

それでも80万円受給できるのだから、特定就職困難者コースは使えるわよ。

併給について

すでに述べた通り、障害者初回雇用コースと特定就職困難者コースは併給可能となっています。

さらに、障害者トライアル雇用助成金も併給可能な場合があります。

ただし、併給にあたっては色々な注意点やポイントがあります。

とりあえず、本稿では併給が可能であること、併給を前提として取り組むべきことを知っていただき、併給に関する具体的な情報は別の記事を参考にしてほしいと思います。

※障害者雇用で利用できる助成金の併給について、詳しくはこちら

併給についても、詳しく学んでおくと役立つよ!

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まとめ

障害者雇用促進法の改正は、2021年に予定されています。

それ以降も、様々な形で企業が障害者福祉に携わる機会は増えてくることが予想されます。

もちろん、日本の抱えている問題は非常に多く、障害者雇用以外でも企業の負担は増えていくはずです。

様々な形で負担が増えるとき、また様々な形で助成金による支援も実施されるため、それらをうまく活用して、負担を軽減していくことが大切です。

障害者雇用関連の助成金は受給額も大きく、活用できる会社とできない会社で、大きく差が出てくるはずです。

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しっかりと知識をつけ、活用を心掛けてみてね!

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