最低賃金を上げるときに使える業務改善助成金とは?

政府は、働き方改革の方針の一つに最低賃金の引き上げを掲げており、年間3%の引き上げを目標としています。

これにより、2016年、2017年、2018年と3年連続で、目標通り3%以上の引き上げを実施しており、業績が伸びないまま最低賃金の引き上げに対応せざるを得ない会社もあります。

業績が伸びずに人件費負担が重くなれば、財務は圧迫されてしまいます。

そのような会社は、生産性向上の後に最低賃金を引き上げることで受給できる、業務改善助成金の活用がおすすめです。

本稿では、業務改善助成金について解説していきます。

最低賃金改定が続いている

政府の働き方改革により、近年、労働環境の整備が急速に進んでいます。

これにより、労働者にとって安心して働ける職場が増えていけば、職場への定着率が高まって労働人口が安定し、さらに意欲的に働けるようになって生産性が向上し、結果的に日本経済の成長にもつながります。

このような目的をもって働き方改革が進められることによって、会社にも様々な負担が生じています。

直接的に経営を圧迫する改革には、

  • 有給休暇の付与の義務化
  • 時間外労働の上限規制
  • 最低賃金のアップ

などが挙げられます。

中小企業において、有給休暇の付与の義務化は2019年4月1日施行、時間外労働の上限規制は2020年4月1日施行予定となっています。

これらの取り組みは、一度施行されればしばらくは変化しないと思いますが、最低賃金のアップは毎年のように続けられています。

2018年度の最低賃金改定によって、最低賃金の全国平均は874円となっており、近年では毎年3%以上の上昇率で改定が続いています。

政府は、最低賃金の全国平均を1000円まで引き上げることを目標としていますが、インフレによって現金の価値が目減りしていくことを考えると、いずれは1000円以上に改定されていくと考えたほうが良いでしょう。

最低賃金の改定は、会社の人件費に直接的な影響を与えるため、いかに負担を軽減していくかを考える必要があります。

政府は、負担軽減のために助成金制度を実施しており、最低賃金を改善した会社は助成金を受給することができます。

したがって、このような助成金を受給することによって、最低賃金改定の負担を軽減していくことが得策です。

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業務改善助成金とは?

最低賃金アップによって受給できる助成金の一つに、業務改善助成金があります。

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業務改善助成金は、中小企業や小規模事業者の生産性向上を支援するための助成金よ。

生産性を向上すれば、従業員一人当たりの生産が増え、売上や利益を伸ばすことができます。

それを、賃金アップという形で、従業員に還元することも可能です。

このように、生産性を向上させることを目指し、事業場内最低賃金(事業場内で最も低い賃金)をアップした会社には、生産性向上のために行った設備投資やサービスの利用などの経費の一部を助成してもらうことができます。

事業場内最低賃金とは?

業務改善助成金を正しく理解するためには、事業場内最低賃金について知る必要があります。

これは、簡単に言えば、事業場内で最も低い賃金ということです。

では、事業場内とはどの範囲を指しているのでしょうか。

労働基準法では「事業場内」について、以下のように規定しています。

事業場とは、工場、鉱山、事務所、店舗等のごとく一定の場所において相関連する組織のもとに継続的に行なわれる作業の一体をいう。

したがって、一の事業場であるか否かは主として場所的観念によつて決定すべきもので、同一場所にあるものは原則として一の事業場とし、場所的に分散しているものは原則として別個の事業場とするものである。

このように、原則的に場所を基準として考えるとしています。

例えば、ある会社の同じ敷地内に工場と倉庫があるとき、工場では製造を行い、倉庫では材料や製品の管理を行っています。

この両者は、同じ場所にあるものですし、互いに連携して動くものですから、同じ事業場内にあるとみなされます。

ただし、例外として、以下のようにも定められています。

しかし、同一場所にあつても、著しく労働の態様を異にする部門が存する場合に、その部門を主たる部門と切り離して別個の事業場としてとらえることによつてこの法律がより適切に運用できる場合には、その部門は別個の事業場としてとらえるものとする。

たとえば、工場内の診療所、自動車販売会社に附属する自動車整備工場、学校に附置された給食場等はこれに該当する。

ここで例に挙げられている通り、場所的には同じ事業場内にあっても、独立しているとみなされる部門については、同じ事業場内とはみなされません。

したがって、業務改善助成金における「事業場内最低賃金の引き上げ」とは、

「場所的に同じエリアにあり、なおかつ独立していない事業場内で、最も低い賃金を増額すること」

と考えます。

例えば、以下のように、業務によって賃金が異なる会社があったとします。

  • 製造作業・・・1000円
  • 倉庫管理・・・950円
  • 検品・・・950円
  • 梱包・・・900円

このような場合、梱包作業にあたる従業員の賃金が、同一の事業場内における最低賃金となります。

したがって、業務改善助成金を受給する際には、生産性向上を図り、梱包業務の賃金900円を引き上げることとなります。

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助成金の内容

では、業務改善助成金の具体的な内容を見ていきましょう。

支給対象者

まず、業務改善助成金の支給対象者は、以下のように定められています。

  • 中小企業あるいは小規模事業者であること
  • 事業場内最低賃金が1000円未満であること

このように、大企業が支給対象にならないほか、事業場内最低賃金がすでに1000円以上になっている会社でも支給対象とはなりません。

支給額

次に支給額ですが、支給額は

  • 事業場内最低賃金が800円未満の事業場かつ事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が30円以内及び事業場規模30人以下の事業場
  • 事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が30円以内及び事業場規模30人以下の事業場

の2つのコースに分けられています。

CFレッド
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なお、業務改善助成金のコース区分はよく変更されているので、注意が必要だぞ。

2019年度は2つのコースに分けられていますが、年度によってコースの数が変更される可能性があります。

業務改善助成金では、コースごとに以下のように設定されています。

事業場内最低賃金の
引き上げ額
助成率 引き上げる
労働者の数
上限額 助成対象の事業場
30円コース
(800円未満)
4/5
(9/10)
1
~3人
50万円 事業場内最低賃金が800円未満の事業場かつ
事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が
30円以内及び事業場規模30人以下の事業場
4
~6人
70万円
7人以上 100万円
30円コース
(800円以上)
3/4
(4/5)
1
~3人
50万円 事業場内最低賃金と地域別最低賃金の
差額が30円以内及び事業場規模30人以下の事業場
4
~6人
70万円
7人以上 100万円

※助成率のカッコ内は生産性要件を満たした場合。

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助成対象となる経費と注意点

助成対象となるの、生産性向上を目的として、設備や機器を導入したり、教育訓練を施したり、経営コンサルティングを受けたりした場合に要した費用です。

気をつけたいのは、

  • 単なる経費削減のための取り組み
  • 職場環境を改善するための取り組み
  • 通常の事業活動と変わらない取り組み

などは助成対象とはならない点です。

経費削減や職場環境改善に取り組めば、業績や財務に良い影響が得られ、事業場内最低賃金を引き上げる余裕が出るかもしれません。

しかし、経費における無駄を省いたり、職場環境における無駄を省いたりすることは、生産性の向上とは異なる取り組みであり、助成対象とはならないのです。

助成対象となる取り組みとは、例えば、

  • POSレジシステム導入による在庫管理の短縮
  • リフト付き特殊車両の導入による送迎時間の短縮
  • 顧客・在庫・帳票管理システムの導入による業務の効率化
  • 専門家による業務フロー見直しによる顧客回転率の向上
  • 人材育成・教育訓練による業務の効率化

などです。

CFブルー
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誤った取り組みをして助成金が受給できない、というミスがないようにしよう。

受給の流れ

業務改善助成金を受給するまでの流れは、以下の通りです。

1、助成金交付申請書を労働局に提出

まず、業務改善計画と賃金引上げ計画を記載した事業実施計画を策定し、交付申請書を管轄の労働局に提出します。

計画が認定されると、助成金の交付決定通知が届きます。これは、助成金の支給を決定するものではなく、計画通りに実施すれば、助成金を支給してもよいという通知です。

2、生産性の向上

設備や機器導入したり、教育訓練を実施したりすることで、生産性の向上・労働能率の増進を目指します。

3、事業場内最低賃金の引き上げ

事業場内最低賃金を、計画通りに引き上げます。

この時注意したいのが、引き上げ後の賃金が事業場内最低賃金でなければならないということです。

例えば、同一事業場内で、賃金Aは1000円、賃金Bは920円、賃金Cは900円という3つの賃金形態があるとき、事業場内最低賃金は賃金Cです。しかし、賃金Cを30円引き上げると、賃金Bが事業場内最低賃金となってしまうため、受給要件から外れてしまうのです。

4、助成金の支給申請

計画の実施結果と賃金引上げ状況を記載した事業実績報告書を労働局に提出し、審査を受けます。審査に問題がなければ、実施した計画の助成率と、申請された経費に応じて助成金額が確定し、助成金が支払われます。

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まとめ

政府は、目標として掲げている通り、年間3%の最低賃金引上げを続けています。

現段階では、最低賃金を1000円まで引き上げることを目標としている事から、年間3%の引き上げが続けば、2023年まで毎年引き上げが続くことになります。

増大する人件費負担に対応するためには、消極的・惰性的に対応するのではなく、業務改善助成金を活用して生産性の向上を図り、最低賃金の引き上げに圧迫されない経営を目指し、働き方改革の流れに乗っていくべきです。

そのためにも、業務改善助成金を活用してほしいと思います。

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