外国人労働者の受け入れの前にできることは?活用できる助成金はたくさんある

改正入管法が施行されたことにより、行政や大企業は外国人労働者の受け入れ拡大を目指し、様々な取り組みを始めています。

これからは、外国人労働者も雇用していく時代になっていくと思われますが、中小企業がすぐに外国人労働者の受け入れに向けて動き始めることについては、一考の余地があります。

中小企業では、すぐに外国人労働者の雇用に取り組むよりも、それ以前の取り組み、例えば国内の人材確保のあり方を変える、あるいは生産性を向上するなどによって、人材不足が大きく改善される場合が少なくないのです。

本稿では、外国人労働者を受け入れる前に検討したい取り組みと、その際に活用できる助成金について解説していきます。

人材確保の幅を広げよう

まず、中小企業において、外国人労働者の受け入れを検討している会社では、日本人労働者だけではなく外国人労働者を雇用することによって、人材確保の幅を広げようとしているのだと思います。

しかし、人材確保の幅を広げたいのであれば、外国人労働者を対象として広げていくのではなく、国内の人材をより広く雇用していく方法を考えてみる必要があります。

もし、国内に人材を求めるよりも、外国人労働者を受け入れるほうが簡単そうだと考えているならば、その考え方は改めたほうが良いでしょう。

これからは、外国人労働者雇用に関する規制も色々と進んでいくでしょうし、外国人労働者は日本人労働者よりも雇用のハードルが高くなっていく可能性もあります。

外国人労働者を雇用するためには、外国人労働者向けの環境整備を進めたり、職場内の意識を改善したりと、色々な手間がかかるのに対し、国内の人材ならばその負担も小さいです。

したがって、国内の人材をうまく確保していくことができ、外国人労働者を雇用する必要がなくなるならば、それに越したことはありません。

国内の人材への検討。

これを飛び抜かして外国人労働者の受け入れを進めるのは危険だぞ。

活用できる助成金

当サイトをご覧の皆さんには、もうおなじみかもしれません。

国内の人材の雇用に取り組むならば、活用できる助成金がたくさんあります。

特定技能外国人は、まだまだ制度が始まったばかりということもあり、助成金との関連も具体的に知ることはできません。

一方、既存の助成金はほとんど国内での雇用に向けて設計されているものですから、様々に活用することができます。

外国人労働者ではなく、国内の人材に目を向けた時に活用できる助成金には色々ありますが、代表的な助成金には、

  • トライアル雇用助成金
  • キャリアアップ助成金
  • 人材開発支援助成金
  • 両立支援等支援助成金

などが挙げられるでしょう。

このなかでも、とりわけ「外国人労働者よりも日本人労働者を!」という意識で活用できる助成金は、キャリアアップ助成金です。

以下で、キャリアアップ助成金を通して、国内の人材の可能性を考えてみます。

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キャリアアップ助成金を活用する例

外国人労働者ではなく、あえて国内の人材に目を向ける場合に活用したい助成金の筆頭は、キャリアアップ助成金です。

特に、正社員化コースの活用がおすすめです。

改正入管法が施行されたことで、日本語能力と技術能力に問題がない「特定技能外国人」が話題になっていますが、正直なところ、このような外国人労働者をどのように雇用し、活用していくのかについて、具体的なプランを立てられる中小企業は多くないはずです。

独自に採用活動を実施しても、良い人材は容易に得られない可能性が高く、結局は専門の企業から特定技能外国人の紹介を受け、雇用するパターンが増えると思います。

特定技能外国人の紹介サービスに取り組んでいる企業では、ワンビザなどが有名です。

今年6月4日の日経新聞でも紹介されていますが、ワンビザは海外に拠点を築いて外国人を育成しています。

育成した外国人は、国内の企業に紹介されます。

このとき、紹介先の企業は紹介元の企業に、対象となる外国人労働者の年収の3割を支払うとしています。

この仕組みについてよく考えてみると、日本における派遣会社の「紹介予定派遣」とあまり変わらない仕組みです。

紹介予定派遣では、紹介を受けた派遣労働者を6ヶ月以下で雇用したのち、直接雇用することを前提としています。

紹介を受けた会社は、直接雇用するにあたり、職業紹介手数料として、派遣労働者の年収の10~30%(30%が一般的)を派遣元に支払います。

これをみれば、外国人労働者の紹介を受ける場合にも、日本人労働者の紹介予定派遣を受ける場合にも、コスト負担はあまり変わらないことが分かります。

むしろ、実質的なコストで考えれば、外国人労働者を受け入れるための環境整備も必要ですから、外国人労働者の紹介を受けるほうが、コストが高くつく場合が多いはずです。

あくまでも、外国人労働者というものは、日本人労働者で人材確保ができない場合のやむを得ない措置として、補完的な意味合いで雇用するものです。

外国人労働者の紹介料が安いというならばまだしも、どちらも同じくらい、あるいは高い金額を支払うのであれば、わざわざ外国人労働者を雇用する必要はないと言えます。

総合的に考えよう。

採用コスト、人件費、就労後の貢献性など、総合的に見て外国人労働者には本当にメリットがあるのかな?

派遣労働者の直接雇用を

また、特定技能外国人の紹介を受けた場合の雇用区分がどうなるか、雇用した場合にどのような助成金を受給できるのか、まだはっきりとした基準はありません。

特定技能外国人の紹介を受けて雇用することにより、国内の人材を雇用するよりも手厚い助成金を受給できるならば、検討する価値があるかもしれません。

しかし、助成金という制度の本質を考えると、そのような手厚い助成金は成り立たない可能性が高いです。

そもそも助成金とは、企業の立場から考えると本来成り立ちにくいものを促進するための制度です。

例えば、

  • 障害者や高齢者など、企業にとって活用が難しい、場合によっては負担が増大するために雇用しにくい人材の雇用を促進する
  • 企業にとって、何らかの理由からあえて有期契約を結んでいる人材の、正規雇用への転換を促進する
  • 育児中の従業員や介護中の従業員など、特殊な事情から仕事と生活の両立が困難な人材を、離職させずに雇用し続けるための支援を促進する

などです。このような、難しい問題に取り組めば、企業の負担は増大します。

したがって困難です。

しかし、政府としては放置できない問題でもありますから、これらの困難な取り組みによる負担を助成金によって軽減し、企業の取り組みを促しているのです。

では、外国人労働者の雇用はどうでしょうか。

既に大企業では、特定技能外国人の争奪戦が始まりつつあります。

おそらく政府がテコ入れせずとも、外国人労働者の受け入れは広がっていくはずです。

政府がやるべきことは、日本企業の自発的な外国人労働者の受け入れに対して、住居の問題や銀行口座の問題、外国人労働者の雇用条件の整備など、民間企業の活動を補完する形で、法整備などを進めていくことです。

したがって、わざわざ助成金を手厚くして、特定技能外国人の雇用を促す必要はないと考えられます。

今後、外国人労働者の受け入れ状況がどうなっていくかによって、助成金制度にも影響が出てくる可能性がありますが、近々のうちに大型の助成金制度が設置されることは考えにくいです。

したがって、現状では国内の派遣業者から紹介予定派遣で紹介を受け、直接契約を結び、正社員化コースを受給したほうが、助成金的にもメリットは大きいと思います。

現在、キャリアアップ助成金の正社員化コースでは、派遣労働者を正規雇用に転換した場合、正社員化コースにおける通常の支給額に対し、

1人当たり28万5000円(生産性要件を満たしている場合には36万円)

が加算されるため、

基本的な支給額 生産性が6%向上している場合
有期契約から正規雇用へ転換 1人当たり85.5万円 1人当たり108万円
無期雇用から正規雇用へ転換 1人当たり57万円 1人当たり72万円

という、手厚い助成金を受給することができます。

外国人労働者の紹介を受けて雇用した場合には、国内における派遣労働者の転換とは事情が大きく異なります。

この制度では、あくまでも日本人の派遣労働者の転換を促すことを目的としています。

そのため、特定技能1号、すなわち5年で帰国することが前提となる特定技能外国人を、紹介を受けて雇用するとき、このような手厚い助成金を受給できるかどうか疑問です。

同じように紹介を受けて人材を確保するならば、日本人の派遣労働者を正規雇用に転換し、手厚い助成を受けることをおすすめします。

紹介を受けて雇用する流れは似ているけど、活用できる助成金に大きな違いがあるわね。

※派遣労働者の転換について、詳しくはこちら

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積極的に応用していこう

以上のように、国内の人材に目を向けた場合、かなり手厚い助成金が受給できる場合があるのです。

キャリアアップ助成金だけを見ても、そのことがよくわかると思いますが、このほかにも活用できる助成金は色々あります。

例えば、人材を訓練した企業が受給できる人材開発支援助成金も、ぜひ活用したい助成金です。

上記の通り、外国人労働者の紹介を受ける場合、雇う外国人労働者の年収の3割程度の紹介料を支払います。

この紹介料には、紹介元の会社が現地の教育機関などと提携し、外国人労働者を教育したコストも含まれています。

前述のワンビザなどでは、現地の人材を無料で教育していますから、この教育コストを紹介料に反映しなければ勘定が合わないのです。

したがって、自社が紹介料を支払っているということは、外国人労働者の教育コストを自社で負担しているとも言えます。

しかし、自社が直接教育しているわけではありませんから、この教育コストを助成金でカバーすることはできません。

ならば、国内の人材を雇用して訓練を実施し、人材開発支援助成金を受給しながら人材を確保したほうが、教育コストを助成金で軽減できますし、国内の人材確保にもつながって一石二鳥と言えるでしょう。

さらに、訓練した有期契約労働者を正規雇用に転換することで、キャリアアップ助成金を受給できる場合もあるため、場合によっては一石三鳥の効果が得られます。

このように、あえて国内の人材に目を向け、助成金を活用していくことによって、外国人労働者の紹介料を支払うよりも少ないコストで、国内の人材を幅広く確保していくことができるのです。

このほかにも、人材を雇用するのではなく生産性向上に努め、従業員一人当たりの生産性を高めていけば、外国人労働者を雇用しなくても人材不足が解消されるかもしれません。

そのためには、テレワークの導入をはじめ、業務効率化・生産性向上のための様々な取り組みが考えられ、助成金を受給できることも多いです。

外国人労働者の紹介を受けている、ということの本質を考えると、自社で教育コストを負担していることにもなるんだね。

助成金をもらえずに教育コストを負担する、もったいないね!

※人材開発支援助成金について、詳しい情報はこちら

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助成金の活用が良い結果を招く

特定技能外国人の雇用に伴う助成金制度は整備が進んでおらず、助成金の活用が難しい状況です。

社労士などに相談しても、特定技能外国人への助成金の活用事例が少ないため、有効なアドバイスや具体的なアドバイスは受けられないことも多いはずです。

それでも政府は、外国人労働者の受け入れ拡大に意欲的であり、年内にも外国人労働者の支援策を充実させていく方針です。

この流れの中で、実際に支援策が充実していき、外国人労働者向けの助成金も設置され、中小企業がそれらの支援を活用する事例も増えていくと思います。

そうなる前の段階で、外国人労働者の雇用に取り組んで試行錯誤したり、十分な支援を受けられなかったりするよりも、まずは国内の人材に目を向け、自社でできる取り組みに徹し、助成金も活用していくほうが、より低いリスクでより高い効果が期待できるでしょう。

当面は、地に足のついた取り組みに力を入れ、機が熟してから外国人労働者の受け入れに取り組んでいこう。

それが外国人労働者を雇うための体力づくり、環境づくりなど、準備になるだろう。

優秀な外国人労働者を雇用できる可能性も高まるぞ!

※外国人労働者雇用がメインテーマではありませんが、業務効率化・生産性向上などによって人材不足に対処していく方法について、以下の記事で詳しく解説しています。

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まとめ

本稿では、外国人労働者の受け入れが広がる風潮のなかで、自社ができること、助成金を活用できることについて解説しました。

現時点で活用できる助成金を、可能な限り活用していくことによって、必ず良い結果につながります。

無計画に助成金を使うと、却ってデメリットになることもありますが、まともに活用している限り、助成金には一切デメリットがなく、会社の負担を軽減し、成長に役立つ制度です。

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今、外国人労働者の雇用を検討している会社では、助成金を活用しつつ、国内に人材を求める余地がないか今一度考えてみることをおすすめするよ!

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