外国人労働者向けの環境の整備で受け取れる助成金は少ない。地域限定の助成金を活用しよう

外国人労働者の受け入れを拡大するために、政府は今年4月、改正入管法を施行しました。

外国人労働者の受け入れについては、まだまだ官民ともに試行錯誤している途中ですが、大企業の中には力を入れて取り組んでいる会社も多いです。

今後、外国人労働者の受け入れが拡大するにつれて、受け入れ体制が整っていない会社では、国内のみならず国外の人材確保にも苦労することになります。

そこで本稿では、外国人労働者の受け入れ体制を作っていくための環境整備で役立つ、助成金について解説していきます。

外国人労働者向けの環境整備とは

外国人労働者を受け入れていくにあたって、外国人労働者が働きやすくなるための環境整備が欠かせません。

これは、賃金や処遇を日本人労働者と同じレベルに設定するなど、最低限の取り組みのことではありません。

このような取り組みは法令によって定められている、ごく普通の取り組みです。

これを守らなければ、今後は厳しい行政処分を受ける可能性も高いため、問題があれば早急に取り組んでいく必要があります。

本稿で解説するのは、このような最低限の取り組みではなく、より進んだ取り組みであり、外国人労働者が快適に働くための環境整備のことです。

改正入管法によって新設された「特定技能ビザ」を取得するためには、日本語水準や技能水準の試験をクリアする必要があるため、受け入れ側の企業が言葉の壁などで苦しむ懸念は少ないです。

ただし、意思疎通は言語だけで行うものではありません。

もちろん言語が基本ですが、お互いに思想的・文化的背景も汲み取りつつ、理解を示していくことも大切です。

むしろ、今後外国人労働者の受け入れに対応していく会社では、言語の壁を心配するよりも、文化や慣習などの多様性を理解するよう努め、環境を整備していくことが大切です。

日本語力や技能に心配がないからこそ、環境整備の重要性は高まっていくだろう。

文化や慣習に沿った環境整備の例

文化や慣習に沿った環境整備について、具体的な例をいくつか見てみましょう。

このような環境整備で特に外国人労働者から求められるのは、休暇制度の整備です。

国が違えば休暇を取得するタイミングや、取得する基準も異なります。

それを、外国人労働者の事情に合わせて設計することで、働きやすさが大きく改善されるのです。

長期休暇の違いに配慮

例えば、日本ではお盆や正月の期間を休業とする会社がほとんどで、8月の中頃と年末年始が休暇となります。

しかし、同じ正月でも、中国は旧正月・春節と呼ばれる期間が日本の正月にあたり、1月末から2月初めにかけて休暇を取得する文化です。

中国人労働者としては、年末年始にまとまった休暇をもらってもあまり意味はなく、それよりも2月にまとまった休暇をもらい、帰国したいと考える人も多いです。

そこで、有給休暇の計画的付与制度を設け、外国人労働者の事情に合わせたタイミングで有給休暇をまとめて付与することが、環境整備につながります。

思想の違いに配慮

ほかには、その外国人労働者の宗教や文化を背景とした思想によって、休暇の考え方が異なる場合があります。

例えば、王室・皇室などを重んじる文化がある国では、このようなタイミングで突発的な休暇が発生するケースがあるものです

日本も、先日皇位が継承されることに伴って、10連休という巨大な連休となりました。

逆に、昭和天皇が崩御した直後などは自粛ムードとなり、経済活動も停滞したこともあります。

海外で最近話題になったのは、タイにおけるプミポン国王の死去です。

タイ政府は1年間の服喪期間を定め、死去の直後は数日間の臨時休業とする会社も多数出たようです。

日本への影響は軽微だったようですが、今後外国人労働者の受け入れが広がった場合、このようなタイミングでの休暇申請を受け入れやすい仕組みを作っておくと、外国人労働者が働きやすい環境になるはずです。

自国の文化や宗教行事にも配慮してくれると分かれば、会社への信頼も高まり、モチベーションや生産性の向上にもつながります。

国が違えば休暇の考え方も違う。

休暇に配慮してもらえば働きやすくなる。

外国人労働者も同じだよ。

助成金の活用は難しい

上記のような配慮によって環境整備を実施するとき、助成金を受給できないかと考える会社は多いと思います。

しかし、現時点で厚生労働省が実施している助成金には、従業員の有給休暇制度を整備することで受給できるほとんど助成金はありません。

わずかに、時間外労働等改善助成金の職場意識改善コースでは、有給休暇の取得促進が受給要件になっているのですが、外国人労働者には適用しにくい内容となっています。

というのも、職場意識改善コースでは、有給休暇の取得を促進するために、

  • 病気休暇
  • 教育訓練休暇
  • ボランティア休暇

のいずれか1つ以上を全ての事業場に新たに導入することが要件となっており、外国人労働者向けの柔軟な特別休暇は対象外です。

職場意識改善コースを使っても、外国人労働者に役立てにくい特別休暇を導入するだけですし、有給休暇の取得促進・時間外労働の削減のために色々な取り組みが求められるため、却って負担が増大する可能性があります。

もちろん、今後の政府の方針次第では、外国人労働者向け環境整備に伴って活用できる助成金が充実する可能性がありますが、現時点では少なくとも外国人労働者向けの取り組みを想定した助成金制度はありません。

今後、外国人労働者向けに特化した助成金が増えてくるかもしれない。今は時期尚早だわ。

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TOKYO働き方宣言企業制度とは?

そこで、これから環境整備に取り組む会社では、厚生労働省の助成金以外で、自治体や財団が実施している助成金を調べ、活用できるものがないか探してみる必要があります。

例えば、外国人労働者向けの環境整備で活用できる助成金として、「TOKYO働き方宣言企業制度」というものがあります。

これは、東京都産業労働局が独自に実施している助成金制度で、東京都内の会社が利用できるものです。

TOKYO働き方宣言企業制度は、政府の働き方改革を後押しするために設けられている制度であり、有給休暇の取得促進や長時間労働の削減を目的としています。

ここでポイントとなるのは、TOKYO働き方宣言企業制度では、厚生労働省の助成金では支援できない部分を、補完する側面を持っていることです。

このため、時間外労働等改善助成金の職場意識改善コースで対象とならない特別休暇でも、TOKYO働き方宣言企業制度では対象となることがあります。

ここれを活用すれば、外国人労働者の事情を汲んで、休暇制度を整備していくときにも、助成金を受給できるかもしれません。

TOKYO働き方宣言企業制度の流れ

TOKYO働き方宣言企業制度の流れを、簡単に説明すると以下の通りです。

  1. 必須の取り組みとして、働き方改革宣言のために、働き方改革宣言事業(働き方改革に向けた様々な取り組み)を実施する(30万円の奨励金を支給)
  2. 任意で、制度整備事業(働き方改革のために、様々な制度を導入する)を実施する(最大40万円の奨励金を支給)
  3. TOKYO働き方宣言企業の認定を受ける
  4. 宣言に沿って、制度を運用していく(最大40万円の働き方改革助成金を支給)

TOKYO働き方宣言企業制度の利用にあたり、まずは働き方改革宣言事業に取り組むことが必須となっています。

これは、長時間労働の削減や有給休暇の取得促進に向けて問題を抽出・分析し、取組目標を設定し、社内に周知するものです。

これにより、30万円の奨励金が支給されます。

これに続いて、任意で制度整備事業に取り組みます。

これは任意ですが、外国人労働者向けの休暇制度を導入するには、制度整備事業を利用します。

制度整備事業では、働き方の改善・休み方の改善の二つのアプローチから取り組むこととなります。

働き方の改善では、テレワーク制度やフレックスタイム制度などを導入・整備することで、最大30万円の奨励金が支給されます。

また、働き方の改善に取り組まない場合にも、休暇制度を新たに1つ以上導入した会社には、10万円の奨励金を受給することができます。

奨励金の支給対象となっている休暇制度には、以下のような制度があります。

  • 業務繁閑に応じた休業日の設定(閑散期の飛び石休日を連続休暇にする等、業務繁閑に応じた休業日の設定)
  • 年次有給休暇の計画的付与制度(ゴールデンウィークや夏季・冬季等の機会を捉えた、年次有給休暇の計画的付与制度)
  • 記念日等有給休暇制度(誕生日・記念日等の決まった日や申告した日を有給休暇とし毎年付与する制度)
  • 時間単位での年次有給休暇制度(年次有給休暇を時間単位で取得できる制度)
  • 連続休暇制度(5営業日以上の連続休暇制度)
  • リフレッシュ等休暇制度(リフレッシュやリカレント教育のための休暇制度)
  • 柔軟に取得できる夏季休暇制度(夏季において、労働者の申請に基づき取得できる3日以上の休暇制度)

これらのうち1つでも導入すれば10万円の奨励金を受給でき、さらに導入した制度を運用し、12ヶ月の計画期間中に実際に利用した実績があれば、働き方改革助成金として1制度あたり10万円、最大40万円までの支給を受けられます。

※TOKYO働き方宣言企業制度について、詳しくはこちら

色々な休暇制度が対象だ。外国人労働者に適したものもあるわ。

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休み方の改善の例

TOKYO働き方宣言企業制度に取り組み、奨励金・助成金を受給すれば、負担を大幅に軽減しながら取り組むことができます。

支給対象となる休暇制度には色々ありますが、活用のためには以下のように考えます。

年次有給休暇の計画的付与制度

年次有給休暇の計画的付与制度を利用すれば、会社と労働者の都合に合わせて、有給休暇を計画的に付与することができます。

年次有給休暇の計画的付与制度では、対象労働者が取得する権利を持っている有給休暇の日数から、5日を除いたものを計画的に付与することができます。

計画的付与の方法は柔軟に決めることができ、

  • 会社全体で、ゴールデンウィークや夏季・冬季などに一斉に有給休暇を付与する
  • 労働者をいくつかのグループに分け、それぞれ適した時期に有給休暇を付与する
  • 個人別に、適した時期に有給休暇を付与する

などが可能です。

したがって、

  • 労働者を国籍ごとのグループに分け、日本人労働者には年末年始に計画的付与を使って大型連休とする。外国人労働者は年末年始を小規模な休暇にとどめ、希望するタイミング(中国における春節、タイにおけるソンクラーンなど)に合わせて計画的付与を行う。

    外国人労働者が多く、国籍がある程度まとまっている場合に効果的。

  • 日本基準で休暇を与えながら、各人の希望によって有給休暇を計画的に付与する。

    外国人労働者が少ない、あるいは国籍がバラバラの場合、グループごとの付与が難しいため個別の付与が効果的。

というように使えば、外国人労働者の事情に合わせた休暇制度を整備できます。

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記念日等有給休暇制度

ほかには、記念日等有給休暇制度も役立つ制度です。

記念日等有給休暇制度とは、家族の誕生日などをはじめとする様々な記念日に、有給休暇を取得することを認める制度です。

労働者の希望に応じて有給休暇を取得しやすいのが特徴であり、例えば年度末に翌年度の記念日等有給休暇の希望の申請を受け付け、翌年度に記念日休暇を付与します。

年次有給休暇の計画的付与制度は、ある程度まとまった有給休暇を計画的に付与・消化するのに役立つのに対し、記念日等有給休暇制度は希望に応じてこまめに有給休暇を付与するのに役立ちます。

外国人労働者の中には、宗教的伝統や独自の文化・慣習に基づいて、単発での休暇を希望する従業員もいると思います。

そのような労働者に配慮して記念日等有給休暇制度を導入すれば、外国人労働者にとって働きやすい環境となり、満足度や定着率、モチベーションアップにつながります。

このほかにも、自社の業務内容や受け入れる外国人労働者の国籍などによって、活用の方法は変わってくると思います。

しかし、柔軟に考えると意外に活用できるものも多いので、一考の価値ありです。

外国人労働者向けの環境整備のために、本当に効果的な方法はわからないかもしれない。

しかし、休暇を求める気持ちは世界共通。休暇制度から取り組めば、着実な効果が期待できるぞ。

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まとめ

厚生労働省の助成金制度では、外国人労働者向けに特化した環境整備で使える助成金がほとんどありません。

しかし、自治体などが実施する助成金には利用できるものがあります。

「外国人労働者向けの整備」という目的を全面に押し出していないものでも、応用できないか考えてみると、意外に活用できる場合があります。

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是非、厚生労働省の助成金以外にも目を向けて、外国人労働者の受け入れに役立てていこう!

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